内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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ステルス兄貴さん、ありがとうございます。


第二十話 異世界の地球へ降下

ガミラスからの脅威が去り、地球は本土の復興をほぼ達成し、その勢いを太陽系内の他の星へ推し進め、繁栄の兆しを見せて居た時、地球に新たな脅威が起ころうとしていた。

 

古代たちは新たな脅威に対しての対策を政府と軍に提案するも地球連邦政府の政治家も防衛軍の軍人の大半が耳を傾けなかった。

 

そして、古代たちヤマトの乗員たちはヤマトを強引に発進させた。

 

地球へ危機を伝えてきた謎のメッセージの発信者の下へ‥‥

 

ヤマトが地球を出てから地球を狙う脅威とは異なり、宇宙気象により、冥王星宙域で一隻の宇宙貨物船が遭難した。

 

束率いる内惑星系艦隊はただちに救助へと向かう。

 

幸い乗員は軽傷であとは船を曳航して遭難現場から離れるだけであった。

 

しかし、山の天候同様、宇宙では何が起こるか分からず、貨物船の遭難原因であるワームホールが突如、消滅の兆候を見せ、周囲にある物を吸引しはじめた。

 

その強力な引力に引っかかり、ワームホールへと吸い込まれそうになる。

 

束は民間人を守るために艦のエンジンに負荷がかかることを承知で貨物船を押し出し、引力圏から離脱させた。

 

だが、無理をさせたせいで、束が乗艦するアナンケは推進力を失いそのままワームホールへと吸い込まれていった。

 

 

アナンケがワームホールに吸い込まれてどれだけの時間が経っただろうか?

 

アナンケの艦内では警報音がなり、非常灯がついている。

 

「うっ‥‥うぅ~‥‥」

 

『束大丈夫か?』

 

「ち、ちーちゃん‥‥こ、此処は‥‥?」

 

『地獄よ、よく来たわね‥‥と、言いたいところだが、ここはあの世ではない』

 

「‥‥生きていた」

 

束自身ワームホールに吸い込まれてよく生きていたなと彼女にしては珍しく驚いた。

 

ワームホールに吸い込まれて生きていたなんて事例はこれまでの地球人類の宇宙開拓史のなかでは記録がないので、おそらくこれが初症例になったのではないだろうか?

 

「と、とりあえずみんなを起こさないと‥‥ちーちゃん、警報を止めて、艦内電力を非常灯から通常に戻して」

 

『了解だ』

 

束が千冬にオーダーを出すと、千冬は束のオーダー通り、警報を止め電気も赤い非常灯から通常の電灯の色に戻った。

 

「ディアーチェ、ディアーチェ、起きて、起きて」

 

束は倒れていたディアーチェの身体を揺すり、彼女を起こす。

 

「むっ‥‥ん?‥‥束か?」

 

身体を揺すられ、ディアーチェは目を覚ます。

 

「ここはどこだ?」

 

「分からない。あの世ではないことは確かだよ」

 

「そうだな」

 

「とりあえず、みんなを起こさないと始まらないから、ディアーチェも手伝って」

 

「うむ、承知した」

 

束とディアーチェは二人で倒れている乗員を起こしにかかると同時に負傷していないかを確認した。

 

乗員を起こし、負傷者の有無を確認した後、現状の確認を行う。

 

「現在の位置を確認できるかい?」

 

ディアーチェとギンガがレーダーや使い捨ての探査衛星、通信機を使い、アナンケがどこにいるのかを確認する。

 

「束‥‥さきほど、探査衛星がある画像を撮影したのだが、これをどう思う?」

 

ディアーチェは探査衛星が捉えた映像を艦橋のメインパネルに投影する。

 

「こ、これはっ!?」

 

「もしかして‥‥」

 

艦橋のメインパネルに映し出された星の映像は自分たちにとって見慣れた星の姿だった。

 

「火星?」

 

メインパネルに投影された星の姿は地球の隣にある惑星である火星。

 

「冥王星宙域から火星宙域まで来てしまったのか?」

 

「じゃあ、あのワームホールはワープホールみたいなモノだったのでしょうか?」

 

「うーん‥とりあえず火星には防衛軍の基地も当然存在する。ギンガ、火星基地に通信を入れてくれ」

 

「そ、それが、さきほどから火星基地へ通信を入れているのですが、一向に応答がありません」

 

「通信機やアンテナにダメージを受けたのか?」

 

「いえ、送信は出来ているので、機械もアンテナもダメージを受けているようには思えないのですが‥‥」

 

「どう思う?束」

 

「‥‥探査衛星の高度を下げて火星の地表の映像を送れる?」

 

「地表の映像をか?まぁ、出来るとは思うが」

 

「じゃあ、お願い。金星エネルギー集積基地みたいに火星基地でも何か被害を受けて通信を送れない状況かもしれないから」

 

「承知した」

 

束も土方やヤマトの乗員たち同様、地球が新たな脅威にさらされていると言う可能性には肯定的だった。

 

その為、先日の金星エネルギー集積基地の件も連邦政府、防衛軍は事故として片づけるつもりだろうが、束は何者かの手による破壊活動だと思っていた。

 

その為、アナンケが火星に通信を送っても応答がないのは、火星基地の通信施設が破壊された可能性があるので、火星地表の映像を送ってもらいそれを確認しようとしたのだ。

 

もし、火星基地が何者かの手によって攻撃を受けているならば、救援に向かわなければならない。

 

「ギンガは、周囲の艦船にも通信を送り続けて」

 

「了解」

 

ギンガは火星基地への通信を止め、周辺の軍艦、民間の宇宙船へ通信を送る。

 

ギンガが周辺の艦船に通信を送っている中、探査衛星は火星の地表の光景をメインパネルに映し出した。

 

その映像を見て、束たちは再び驚愕することになる。

 

「なっ!?こ、これは‥‥!?」

 

「どういう事!?」

 

メインパネルに映し出された火星の地表の光景は赤い砂と岩だらけの荒野で、防衛軍の火星基地も開拓された都市の姿もなかった。

 

「な、なんだ‥‥?これ‥‥」

 

「開拓前の光景じゃないか‥‥」

 

「束、どうする?」

 

「‥‥ひとまず、地球へ戻ってみよう。鈴ちゃん、針路を地球へ向けて」

 

「りょ、了解」

 

束はいつまでも火星宙域にとどまっていても仕方がないので、アナンケの針路を地球へ向ける。

 

ただ、操舵輪を握る鈴はもちろん困惑している様子だったのは言うまでもない。

 

月、地球圏まで来た進出したアナンケだが、火星での光景を見てやはり月と地球の様子も気になったので、月と地球に探査衛星を射出する。

 

すると、月は火星同様、防衛軍の基地もなければ月に建設された都市の姿もない。

 

そして、地球に関しては地球の周辺にかなり旧式な衛星が多数あり、防衛軍の戦闘衛星の姿は一つも見当たらなかった。

 

ヤマトが地球脱出の際、いくつかの戦闘衛星を破壊したが、地球周辺の戦闘衛星すべてを破壊したわけではない。

 

むしろ、ヤマトは戦闘衛星が比較的に少ない地球~月までの航路を辿ったので、戦闘衛星はかなりの数が地球の周辺にある筈だ。

 

しかし、地球の周辺に浮かんでいるのは旧式な気象衛星や監視衛星ぐらいだ。

 

「‥‥これは‥どう思う?束」

 

地球の周辺に浮かんでいる旧式な衛星を見て、ディアーチェは束に訊ねる。

 

他の艦橋クルーも困惑が隠せない。

 

「‥‥うーん‥もしかしたらあのワームホールはワープホールじゃなくて、タイムホールだったんじゃないかな?」

 

束はアナンケが吸い込まれたワームホールはアナンケを冥王星宙域から火星宙域へ跳ばしたことから当初はワープホールかと思われたが、火星と月には防衛軍の基地も都市もなく、地球圏にくれば戦闘衛星はなく、あるのは旧式な衛星ばかり‥‥

 

それらの要素から束はアナンケが吸い込まれたワームホールが吸い込んだ物を過去へ送るタイムホールだと判断した。

 

しかし、束のこの見解はある意味では当たっており、ある意味では外れていた。

 

「それで、束。これからどうする?」

 

ディアーチェが今後の方針を束に訊ねる。

 

「一度、艦を止めてちゃんとした検査もしたい。もし、損傷箇所があれば修理もしたいしね」

 

束はワープホールに吸い込まれたのだから一度、艦をチェックしておきたいと言う。

 

「では、月で行いますか?今の月なら無人ですし‥‥」

 

ギンガが昔の月ならば誰もないので誰からも邪魔されずに艦のチェックを出来ると提案するが、

 

「うーん‥でも、折角だから昔の地球も色々見てみたい」

 

22世紀の地球でもタイムマシンは存在していない。

 

その為、今回の出来事は束の知的好奇心を掻き立てるのは十分な出来事だった。

 

「まったく、己と言う奴は‥‥」

 

もしかしたら元の時代へ戻れないかもしれないのに束はその事態に恐れることも不安になることもなく、むしろ今の現状を楽しんでいるようにも見える。

 

そんな束の様子にディアーチェは呆れる。

 

「でも、旧式な衛星とは言え、このまま地球へ降下するのは不味いのではないか?」

 

「そうだね‥‥この衛星の造りを見る限り、2000年代初頭っぽいから、地球連邦政府も防衛軍も存在していないだろうからね」

 

『自分たちが未来の地球から来ました』なんて言ったところで信じる者がいるだろうか?

 

逆に身柄を拘束されて宇宙人だと思われ人体実験の被検体にされるかもしれない。

 

「だから、流星の振りをして地球へ降下する。ちょっと待ってね」

 

束はそう言うと、コンソールを叩きながら何やら計算をし始めた。

 

「影響を与えないくらいの威力と面積は‥‥これくらいか‥‥よしっ、詩乃ちゃん」

 

「は、はい」

 

「いまから指示するエネルギー量で月の表面を砲撃して」

 

「えっ!?」

 

束の月を撃てと言う命令に詩乃は一瞬唖然とする。

 

「気でも触れたんですか?艦長」

 

「大丈夫、表面をちょっと傷つけて掘削する感じだから」

 

「ですが、月を砲撃するのと地球へ降下するのに一体何の関係が?」

 

「掘削で巻き上げた月の石を反重力感応器で船体に着けて流星に偽装して地球へと降下するんだよ」

 

「な、なるほど」

 

束の説明を聞き納得した詩乃。

 

「それじゃあ、早速準備して」

 

「了解」

 

詩乃は束からの指示通りのエネルギー出量と仰角で月を撃つ。

 

続いて砲撃で巻き上がった月の石の岩盤へ反重力感応器を打ち込む。

 

「反重力感応器、打ち込み完了しました」

 

「よしっ、反重力感応器作動」

 

「反重力感応器作動」

 

反重力感応器の電源が入ると、月の石の岩盤はまるで生きているかのようにアナンケの周りへと集まりだす。

 

「岩盤装着」

 

「岩盤装着」

 

続いてアナンケの周囲にあった岩盤がアナンケの船体へと引っ付く。

 

「岩盤装着完了」

 

「では、いよいよ昔の地球へ降下しようか?」

 

束は通常の帰還ルートとは異なり、地球へ落下する隕石に化けて地球へ降下するため、その降下角度やスピードを計算し、地球への降下軌道を鈴の下へ送る。

 

「鈴ちゃん、この軌道と速度で地球へ降下して」

 

「は、はい」

 

いつもと異なる降下方法なので、やはり緊張する鈴。

 

アナンケは地球へ落下する隕石に偽装して地球へと降下する。

 

束の目論見通り、隕石に化けたアナンケは地球へ落下した隕石の一つとしてこの地球では記録された。

 

大気圏の摩擦で徐々にアナンケ周囲の月の石は焼け落ちていくが、アナンケの船体は当然大気圏の摩擦程度ではビクともしない。

 

無事に地球へ降下したアナンケは太平洋の海へと着水した。

 

「着水完了」

 

「よし、早速艦の総チェックを行う。ただし、周辺の監視には十分に行え。この時代の船や飛行機に発見されると面倒だからね」

 

「了解」

 

周辺の監視にはもちろん、千冬も行いアナンケの乗員たちは船体の総チェックを行い始める。

 

アナンケがこの時代の地球へ降下し、太平洋の海へ着水した時、その様子を着水ポイントから近い島に設けられた秘密研究所から見ている人物がいた。

 

「まさか、宇宙から来るなんて‥‥へぇ~一体どんな奴が乗っているんだろう‥‥」

 

機械で出来たウサ耳に不思議の国のアリスの様な服を着たその人物は珍しく目を輝かせてモニターに映るアナンケを見ていた。




ちなみにアナンケ以下内惑星系艦隊の艦艇の警報アラーム音はガンダム基準で脳内再生してください。

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様
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