内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第二十五話 接触直前

IS学園の新入生にとって一学期におけるメインイベントの一つでもある臨海学校。

 

初日は学園からの移動と言うことで、旅館に着いた後は自由時間で生徒たちは早速海へと繰り出す。

 

世界で唯一男性ながらISを動かした織斑一夏が海岸でセシリアのポロリを見てしまうラッキースケベかと思いきや、彼女から強烈な一撃を貰い、鈴は海で泳いでいる最中足がつると言う些細なハプニングがありながらも自由時間は無事に終わり、入浴時間を挟んで夕食の時間となった。

 

旅館の広間には今回の臨海学校に参加しているIS学園の新入生たちで埋め尽くされている。

 

IS学園は一夏同様、世界で唯一のISを専門に教える高等学校であり、様々な国からの留学生がいる。

 

何故、日本に世界で唯一のIS専門の学校があるのか?

 

その理由は簡単で、ISを産み出した篠ノ之束が日本人だからだ。

 

外国人と言うことから正座が苦手という生徒も居るので、食事の席は畳に座るタイプの席とイスとテーブルの席が用意されていた。

 

日本人である一夏と箒、そして一夏に密かに好意を寄せているシャルロットとセシリアは畳の席、ラウラはテーブル席へと着いて食事を摂る。

 

海辺の町と言うことで、夕食には豪華な刺身の盛り合わせが出た。

 

シャルロットは刺身の横にあるわさびをそのまま食べて大変な目に遭ったりもしていた。

 

また、イギリス出身のセシリアはやはり正座は厳しそうで足をモジモジしていた。

 

だが、一夏の隣を得るのにかなりの交渉の苦労が裏であった為、足の痺れ如きでこの場から動きたくはなかった。

 

一夏にしては珍しく空気を読み、セシリアに対して食べさせてあげる行為である『あーん』をやったことが切っ掛けでクラスメイトたちが騒ぎだし、あまりの騒々しさから千冬が襲来するハプニングもあった。

 

夕食後もこのメンバーに平穏などなく、食事の終わり際に一夏がセシリアを部屋に誘った。

 

セシリアとしては臨海学校とは言え、これは何かしらの期待をしてしまう。

 

しかもぶっ飛んだ方向に‥‥

 

一度、自分の部屋に戻ったセシリアは大人な下着へと着替え、一夏の部屋へと向かおうとしたのだが、同じ部屋のクラスメイトに見つかり、もみくちゃにされた。

 

クラスメイトたちが十分にからかい、もみくちゃにした後、セシリアは解放され一夏の部屋へと向かった。

 

その際、一夏の部屋の前には箒と鈴が襖に耳を当てていた。

 

セシリアも二人に習って襖に耳を当てる。

 

すると、部屋の中から千冬の艶のある声が聞こえてきた。

 

思春期真っ只中の高校生ということで三人の脳裏は共通しており、部屋の中ではまさに姉と弟の禁断の恋の行為が行われているのではないかと思われた。

 

だが、蓋を開けてみれば決してそのようなことはなく、一夏が千冬にマッサージをしているだけであった。

 

一夏がセシリアを呼んだのは千冬に行っていたマッサージをするためであった。

 

セシリアにマッサージを施している間、千冬は箒と鈴にラウラとシャルロットを呼んでくるように言う。

 

そして入れ替わるように一夏は再び風呂へ、そして一夏ラバーズともいえる少女たちが部屋に残る。

 

千冬はビール片手に彼女たちに一夏についての質問をする。

 

女三人寄れば姦しい、修学旅行の女子学生のノリのような恋バナ展開となる。

 

部屋に集まった箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラの五人にとって一夏はまさに初恋の人であるが、彼との恋を成就させるには千冬と言う大きな壁を乗り越え、彼女から認められなければならないようだった。

 

 

その頃、この海辺の町の近くの海中では‥‥

 

「ほれ、今日近くの市場から仕入れてきた新鮮な魚介類だ!!たっぷりと堪能せよ!!」

 

アナンケの食堂ではディアーチェをはじめとする厨房のスタッフたちが沢山の海鮮料理をふるまっていた。

 

ただ180年前のお金なんて持ち合わせていないアナンケの乗員たちであるが、ISと言う巨万の富を得るパワードスーツを開発した篠ノ之束と言う大天才がいるので、食材を購入する資金に心配はなかった。

 

ディアーチェは昼間、船務科の乗員、手空きの乗員を引き連れて食材の買い出しへと向かっていた。

 

O・M・C・Sで作られた合成食品ではなく本物の食材での調理はディアーチェや厨房の士気と腕を十分に振るわせることとなり、アナンケの乗員たちは久しぶりの本物の海鮮料理に舌鼓を打っている。

 

「うーん‥‥やっぱり、ディアーチェの料理は美味しいね」

 

月村束はディアーチェの握り寿司を満面の笑みで食べている。

 

一方の篠ノ之束も海鮮料理を食べているが、月村束ほどのリアクションはとっていない。

 

初めてこの世界にやって来てアナンケでディアーチェの作った食事を食べた時もそこまでのリアクションはなかった。

 

反対にクロエは目が見えていないが、それでも美味しそうに食べていた。

 

月村束がクロエに聞いてみると、

 

「束様は重度の味覚音痴で、私が作った黒焦げのパンでさえ、平気で食べる方ですから」

 

と、篠ノ之束は基本、食べられるモノなら何でも食べると言うある意味で軍人としては必要な胃袋の持ち主であった。

 

「ねぇ、もう一人の私」

 

「ん?なに?」

 

「あの娘‥‥ギンガちゃんなんだけど‥‥」

 

篠ノ之束がギンガの方を指さす。

 

「ん?」

 

月村束が視線をギンガの方へと向けるとそこにはディアーチェがギンガ用に用意したのか、力士か体育会系の男子学生が使用するようなデカい丼には昔ばなしの中で登場するかのようなご飯の山が盛られていた。

 

とても女子が食べきれるような量ではないが、ギンガは平然とした様子でご飯の山を口の中に放り込んで崩していく。

 

「あぁ~こっちの私はギンガちゃんの食事風景は初めて見るんだっけ?ギンガちゃんにとってはあの量が普通なんだよ」

 

「‥‥」

 

(ちーちゃんでもあそこまでの量は食べないだろうし、食べきれないだろうな‥‥)

 

自身の食に関しての興味が薄い篠ノ之束でもギンガの食欲に関しては驚いていた。

 

翌日‥‥

 

「ディアーチェ、見て、見て、じゃーん!!」

 

「ぬおっ、お前それ‥‥」

 

月村束は普段来ている防衛軍の軍服ではなく、篠ノ之束が着ている不思議の国のアリス風の衣装を身にまとっていた。

 

「‥‥お前は私の知っている束か?」

 

体形、声、容姿それらが月村束と篠ノ之束が一緒なので、来ている衣装も同じとなればますます二人の見分けがつかない。

 

ディアーチェが疑るような目で束を見る。

 

「一応、確認しておく。束、お前の誕生日はいつだ?」

 

「私の誕生日?えっとね‥‥」

 

目の前の束は月村束の誕生日を答える。

 

「じゃあ、次は私の誕生日いつだ?」

 

「ディアーチェの誕生日?それは‥‥」

 

次にディアーチェは自らの誕生日を訊ねる。

 

すると、目の前の束はディアーチェの誕生日も難なく答える。

 

「もう、疑り深いなぁ~ディアーチェは‥‥それなら、私とディアーチェしかしらないことも答えようか?あれは確か士官学校に入りたての頃に‥‥」

 

と、目の前の束はディアーチェと月村束しか知らないエピソードも語る。

 

「分かった、分かった、確かにお前は月村の方の束だな」

 

エピソードを聞いてディアーチェは目の前に居る束は月村束であることを確信する。

 

「それで、なんで?もう一人の束と同じ格好をしている?」

 

「ちょっとしたサプライズ?」

 

「余計に混乱を招くだけだと思うが?」

 

ディアーチェでさえ、区別がつかないのだ。

 

例え篠ノ之束と血の繋がったこの世界の箒や交流がある織斑姉弟でも二人の束の違いは分からないだろう。

 

「まぁ、そのためにちーちゃんも連れて行くから」

 

二人の束の見分けがすぐにつくとしたら、月村束が開発したAIの千冬ぐらいだと月村束は言うが、

 

(確か、行く先にも千冬がいるのだろう?もはや現場はカオスになるのではないか?)

 

二人の束に二人の千冬‥‥

 

事情を知らない者が見たら混乱するのではないかと思うディアーチェであった。

 

「じゃあ、行ってくるから、艦のことよろしくね」

 

「うむ」

 

月村束は副長のディアーチェにアナンケのことを任せて、内火艇でアナンケを出発する。

 

今回、篠ノ之束に同行するのはもう一人の束こと、月村束と千冬、ギンガの三人であった。

 

なお、アナンケは引き続き海中で待機している。

 

「それにしてもこんなに朝早くに出発する必要があるんですか?」

 

ギンガが篠ノ之束に質問する。

 

まだ朝の五時で旅館に居るIS学園の生徒はもちろん、教員も眠っている時間だ。

 

「箒ちゃんや私を知っている一部の人に『私が来た』ことを知らせる印を残すためだよ」

 

篠ノ之束は自分が来たことを知らせるための印を旅館に残すために生徒や教員がまだ寝ているこの時間に行くことにしたのだ。

 

「じゃあ、ちょっと行ってくるね」

 

「気を付けて」

 

人気のない海岸に内火艇を着岸させると、篠ノ之束は手を振って旅館に向かう。

 

それからしばらくして篠ノ之束は戻ってきた。

 

「ただいま~」

 

「おかえり~」

 

「‥‥」

 

同じ声、同じ姿、同じ服装の二人の束のやり取りは見ていても困惑する。

 

ギンガはそんな二人のやり取りを見て若干引いている。

 

それから数時間後‥‥

 

IS学園の生徒が宿泊している旅館の中庭では‥‥

 

「‥‥」

 

一夏が中庭から生えている機械のウサ耳と『引っ張って下さい』と書かれた立て札を見て困惑していた。

 

「どうした?一夏。中庭に何かあるのか?」

 

そこへ、箒が通りかかり一夏に声をかける。

 

「な、なぁ、箒‥あれ、どう思う?」

 

「アレ?」

 

一夏が中庭のウサ耳と立て札を指さす。

 

箒は一夏の指先へ視線を移す。

 

「‥‥」

 

箒の目には機械のウサ耳と見慣れた筆跡で書かれた立て札の姿。

 

「知らん。私に聞くな。関係ない」

 

箒は興味なさげにその場を後にする。

 

「えっと‥‥抜くぞ」

 

「好きにしろ、私は関係ない」

 

一夏は立て札に書かれたように機械のウサ耳を引き抜こうとするが、箒はその場から去ってしまう。

 

一応、自分の専用機が用意されていることは知っており、もしかしたらこの場で引き渡すかもしれないのに、去ってしまった箒。

 

一夏が地面から機械のウサ耳を引き抜くとその下に束の姿が‥‥ある筈もなく、一夏の手には機械のウサ耳だけが握られていた。

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様
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