IS学園で新入生対象の臨海学校。
その二日目。
二日目は一日目と違い、朝食の後小休止を取り、午前中からISの実習が入っていた。
「それでは各班に振り分けられたISの装備試験を行うように」
『はい!!』
まもなく夏真っ盛りと言う気候の中、千冬はいつもの黒いレディーススーツを着て生徒たちに指示を出す。
「専用機持ちは各国から届けられた専用パーツのテストだ。時間は有限だ。全員迅速に行え」
『はい!!』
「篠ノ之。お前はちょっとこっちに来い」
「はい」
箒は何故自分だけ呼ばれたのか分かっていた。
「篠ノ之、お前は今日から専用機持ちだ」
「はい」
箒には篠ノ之束が事前に今日、自分の専用機を渡すことが知らされていたが、千冬は今朝になり篠ノ之から電話があり、今日の実習の始めに妹に専用機を渡す旨を伝えていた。
だからこそ、千冬は箒を呼び出したのだ。
「千冬姉、それはどういう‥‥」
一夏は突然箒に専用機持ちになる事に驚いていた。
「ああ、それなんだが‥‥」
箒が一夏に事情を説明しようとした時、
「ちーちゃん!!」
「‥‥束」
「やあ!やあ!やあ!会いたかったよちーちゃん!」
海岸の崖を篠ノ之束が物凄い勢いで駆け下りてきた。
そして、
「さあ、ハグハグしよう!愛を確かめ‥‥ぶへっ!!」
篠ノ之束が千冬に抱き着く寸前で、千冬は手を伸ばし篠ノ之束の顔面を鷲掴みする。
「うるさいぞ、束」
「ぐぬぬぬ‥‥相変わらず容赦のないアイアンクロウ‥‥でも、これこそが本物のちーちゃんだよね」
「何を訳の分からないことを言っている」
篠ノ之束としてはアナンケの艦内でAIの千冬に抱き着いた際に彼女が無反応だったので、ワンチャン織斑千冬も抱き着かせてくれるかと思ったのだが、現実はそう甘くはなく、篠ノ之束は織斑千冬のアイアンクロウを喰らった。
「やあ!箒ちゃん」
「‥‥どうも」
「こうして実際に会うのは何年ぶりかなぁ?大きくなったねぇ~特におっぱいが」
篠ノ之束がワキワキと怪しい手つきで箒へと迫る。
しかし、
ゴン!!
「殴りますよ?」
「それ、殴ってから言うセリフじゃないよぉ~」
妹にセクハラ紛いな事をした篠ノ之束は箒に殴られた。
一連の篠ノ之束の行動を崖の上から見ていた月村束は、
(この世界の私がちーちゃんに抱き着いた際、違和感を覚えていたのはこの為か‥‥)
篠ノ之束がAIの千冬に抱き着いた際、困惑していたのは千冬が篠ノ之束にアイアンクロウもげんこつもしなかった為であり、それと同時に、
(この世界の私を向こうの世界の箒ちゃんに会わせて大丈夫かな?)
血の繋がった妹の胸を揉もうとしたのだから、血の繋がらない箒の場合、それこそセクハラ紛いな行為だけでなく、同性同士ながらも月村箒が篠ノ之束に食われないかちょっと心配になる。
この世界の束と箒とのやり取りを見て、心配になった月村束とは別にギンガの方は、
「やっぱり、箒も束さんと同じでそっくりですね。あと五~六年であそこの箒と同じ感じになるんでしょうね」
月村箒はまだ小学生で、篠ノ之箒は高校一年生と五~六年の差があるが、篠ノ之束と月村束の容姿と声が瓜二つであるように月村箒も高校ぐらいの年頃になると、篠ノ之箒とそっくりになるのだろうと予測した。
「でも、こっちの姉妹はあまり上手くいってないみたいだね」
篠ノ之箒と篠ノ之束の僅かなやり取りを見て、篠ノ之箒は篠ノ之束を避けているようにも見える。
もしかして、織斑千冬をはじめとして他の生徒や教員がいるため恥ずかしがっているのかもしれない。
「こっちの私がISを開発して以降、家族は離散して連絡もほとんどとってないみたいだし、家族とのコミュニケーション不足で関係が冷え切ったのかも」
しかし、照れ隠しではなく篠ノ之箒は本当に姉である篠ノ之束を嫌悪しているのかもしれない。
「‥‥私たちも軍務で宇宙にいることが多いので大丈夫でしょうか?」
「‥‥」
ギンガの指摘を受けて月村束は顔を引き攣らせる。
(もし、無事に地球へ帰ったら有休をとって姉妹との絆を深めようかな)
この世界の篠ノ之姉妹の様な関係にならないように無事に戻れたら箒と昴との時間を取ろうと思った。
崖の上で月村束とギンガが篠ノ之姉妹のやり取りを見ている中、崖下では篠ノ之束が妹の篠ノ之箒に専用機を渡していた。
「ほら、これが箒ちゃんの専用機『紅椿』だよ」
篠ノ之束が赤いISについて簡単に説明をする。
「これが‥‥私の専用機‥‥」
「スペック上ではこの紅椿は最新鋭のISで世代で言うと、世界で唯一の第四世代にあたる性能を有しているよ」
篠ノ之箒は既に姉の事など眼中になく自分の専用機である紅椿をジッと見ている。
それはまるで親から新しいおもちゃを貰った時の様な子供みたいな表情に近かった。
「あぁ~箒ちゃん‥聞いてないね。じゃあ、ちーちゃん。これ、紅椿のスペック表。後で箒ちゃんに渡しておいて」
「ああ」
篠ノ之束は織斑千冬に紅椿のスペック表を手渡した。
「あの専用機って篠ノ之さんが貰えるの…?身内ってだけで‥‥」
「だよねぇ。なんかずるいよねぇ」
「普段から『姉さんは関係ない』みたいな事言っていたのに‥‥」
「必要な時だけ家族面するなんてねぇ…」
織斑一夏の場合、世界で唯一、男なのにISを動かした男ということで今後もIS開発等のデータ収集と言う役割から国家代表でも国家代表候補生でもないが専用機を渡されていたが、同級生にしてみれば一夏が織斑千冬の弟でもあり、学園の中での唯一の男子であり容姿も整っているので納得が出来たが、篠ノ之箒の場合は姉が一夏同様、世界的に有名人であるが箒自身も国家代表でも国家代表候補生でもない普通の高校生。
しかも普段から篠ノ之束と自分は確かに姉妹であるが、それだけの関係であり、あくまでも自分は篠ノ之箒であることを貫いていたが、同級生からしてみれば、篠ノ之束の妹と言うことで努力せずに専用機をもらったことに嫉妬していた。
「おやおや?君たちは歴史の勉強をしたことがないのかな?人類の有史以来、世界が平等であったことなど一度もないよ?大体、ISが誕生してから男女格差が生まれた時点ですでに平等は大きく瓦解しているんだよ。そんな瓦解している中で君たちは女で生まれ、その上普通の高校ではなく、IS適正がちょっと高いってだけでIS学園に入学できたんだ。その時点で既に優遇されているのに気づかないの?」
ギロッと篠ノ之束は箒のクラスメイトたちを睨む。
「よさんか、束」
織斑千冬は篠ノ之束に睨むのを止めるように言い、
「生徒たちは呑気に見ていないで、各自の作業に戻れ!!」
『は、はい~!!』
織斑千冬の一喝で生徒たちはバラバラと散って作業へと戻っていく。
「ね、姉さん、紅椿の設定は‥‥」
「ISには自己進化できるようにプログラムしてあるから、あとは箒ちゃんが好きにしていいよ。もう紅椿は箒ちゃんのモノなんだし」
先ほどのやり取りとは打って変わって何だか投げやりな感じの篠ノ之束
「それにメンテナンスに関してもこの私のお手製で世界唯一の第四世代型だから、『メンテナンスさせてくれ』って頼み込んでくる企業はこの先、わんさかと来るだろうから、箒ちゃんが自分で決めて」
「いいのか?束。篠ノ之にあげた専用機はお前が作った最新のISなのだろう?それを他人に弄らせても」
織斑千冬も篠ノ之束の態度に違和感を覚え訊ねる。
「いいよ。いつまでも私に甘えるようじゃあ、この先、箒ちゃんの為にならないもん。自分のISの面倒くらい自分でみてもらわないと」
「‥‥」
ますます篠ノ之束に違和感を募らせる織斑千冬。
「さて、渡す物も渡したし、最後に箒ちゃんとちーちゃんとも会えたからもう心残りはないかな」
「むっ?最後?それはどういうことだ?」
「あっ、実はね‥‥」
篠ノ之束が口にした『最後』と言う言葉の意味を織斑千冬が訊ねると、篠ノ之束はその訳を話そうとする。
その時、
「た、大変です。織斑先生!!」
慌てた様子の山田先生が駆け寄ってきた。
「どうした?」
「こ、これを‥‥」
山田先生は織斑千冬にタブレットの画面を見せる。
それを見て、織斑千冬の表情も強張る。
タブレットの画面には、
『ハワイ沖で試験稼働中のISが暴走。現在太平洋上を高速で移動中』
と、書かれていた。
(束め‥紅椿のデモンストレーションをするためにやったのか?)
織斑千冬は当然、このISの暴走は篠ノ之束の仕業だと思った。
それは篠ノ之束との付き合いが長く、彼女の人柄とISの開発者と言う経緯から疑うのは当然だった。
「全員注目!今日の実習は中止、各班ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各自室内で待機すること以上だ」
織斑千冬は生徒たちに今日の実習を中止すると言う。
「ちゅ、中止!?」
「どういうこと?」
生徒たちにはいきなりの中止に困惑する。
「専用機持ちは全員集合しろ。もちろん篠ノ之もだ」
「はい!」
「えっ?ちょっと、ちーちゃん」
「今はお前にかまっている暇はない」
(大体、今回の騒動はお前の仕業だろう)
「で、でも、ちーちゃんに紹介したい人が‥‥‥行っちゃった‥‥」
あわただしく海岸から旅館に戻って行く一同。
海岸にはむなしい様子の篠ノ之束だけが残された。
旅館に戻った一同の内、専用機を持っていない一般生徒は織斑千冬の指示通り部屋に戻り、専用機持ちの生徒たちと織斑千冬、山田先生は旅館のある一室にあった。
「では、現状を説明する。三時間ほど前、ハワイ沖で試験稼働中のアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型軍用IS『銀の福音』が暴走した。衛星からの監視結果、今から二時間後にここから二キロ先の海上を通過することが分かった」
織斑千冬は専用機持ちの生徒たちに何故今日の実習が中止になったのかその理由を話した。
中止原因を聞き、専用機持ちの生徒たちの内、一夏と篠ノ之箒は困惑したが、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラは冷静だった。
「学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処することになった。教員は訓練機で海上及び空域の封鎖を行う。福音はお前たちで止めろ。さて、質問はあるか?」
「はい」
「オルコット」
セシリアが手を上げ、織斑千冬に質問する。
「目標ISの詳細なスペックデータを要求しますわ」
セシリアは織斑千冬に銀の福音の情報を訊ねる。
「いいだろう。但し、これは二国間の最重要軍事機密だ。絶対に漏らすな。漏らした瞬間に査問委員会による裁判と最低二年の監視が付く」
「分かりました。」
セシリアは頷き、他の専用機持ちたちも納得した様子だ。
織斑千冬は専用機持ちたちに今回暴走したIS、銀の福音の情報を伝えた。
「広範囲殲滅を目的とした特殊射撃型…私のISと同じく、オールレンジ攻撃を行えるようですね」
「攻撃と機動の両方を特化した機体ね。厄介ね」
「この特殊武装が曲者って感じはするね」
「いずれにせよこのデータでは格闘性能が未知数だ。偵察は行えないのですか?」
銀の福音のスペックを聞いて、冷静に分析していくセシリア、鈴、シャルロット、ラウラ。
一夏と篠ノ之箒は同じ専用機持ちでもなんだか取り残されている感じだ。
二人とも専用機を持ってはいるが、他の専用機持ちと異なり、専用の訓練や教育を受けていないので、こうしたイレギュラーな事態についていけないのも当然だ。
ラウラは偵察をしてもう少し銀の福音の現状をもっと詳しく把握出来ないかと訊ねる。
「無理だな。この機体は現在も超音速で飛行中だ。アプローチは一回きりだ」
「一回きり‥‥と言う事は一撃必殺の攻撃で止めるしかありませんね‥‥」
銀の福音の速度が速すぎる為、偵察は不可能でこの海域周辺を通る一回で銀の福音を仕留めなければならない。
山田先生が口にした『一撃必殺』と言う単語を聞いてその場にいた全員の視線が一夏に集中した。
その理由は一夏の専用機である白式にあった。
白式の武装は専用の刀一本と言う一見貧弱そうであるが、その刀、零落白夜は相手のエネルギー兵器による攻撃を無効化したり、シールドバリアーを切り裂いて相手のシールドエネルギーに直接ダメージを与えられる白式最大の攻撃能力をもっており、いかに高速で暴走するISと言えど、この零落白夜の一撃を喰らえば機能を停止するはずである。
「ちょっと待ってくれ‥‥俺が行くのか?」
『当然!!』
「状況的に考えてお前の零落白夜で落とすしかない‥‥だが、これは訓練ではない‥実戦だ。覚悟がないなら無理強いはしない」
織斑千冬は一夏が学生だと当然理解しているので、拒否権を選択肢の一つにいれて今回の作戦に参加するかを訊ねる。
「‥‥やります‥‥俺がやってみせます!!」
「‥‥よし、それでは作戦の具体的な内容を決めよう」
一夏の覚悟を受け止めた織斑千冬は作戦を実行するにあたり次の段階へと移る。
白式の零落白夜で銀の福音を落とすとして、次にその一夏を現場まで誰が連れて行くかである。
零落白夜は一撃必殺の能力故、その消費エネルギーも大きく、白式独自の飛行ではその飛行にエネルギーを消費していざ、現場に着いた時に零落白夜を使用するエネルギーが残っていない可能性が高い。
当然、零落白夜が使用不可であれば銀の福音を落とすことは出来ない。
それに速さも大事であり、なるべくなら銀の福音よりも早く現場に到着し、一分一秒でも時間的な余裕を持たせたい。
「この中で最高速度が出せる機体は‥‥オルコットのブルー・ティアーズか篠ノ之の紅椿ぐらいか‥‥」
白式以外の専用機で白式を銀の福音到着前に現場に運べる機体はセシリアのブルー・ティアーズか篠ノ之箒の紅椿のどちらかであった。
「でしたら、わたくしが‥‥」
「私が一夏を運ぼう!!」
セシリアよりも篠ノ之箒が大声をあげて白式の運搬を志願する。
「確かに紅椿ならば‥‥」
制作者である篠ノ之束本人が紅椿は世界で唯一の最新である第四世代型のISと言う事で、第三世代のブルー・ティアーズよりも成功率が高いかもしれないが、搭乗者の篠ノ之箒はついさっき、紅椿をもらったばかり‥‥
しかも一度も搭乗していない。
安定性をとるならば、篠ノ之箒の紅椿よりもセシリアのブルー・ティアーズの方が高い。
だが、白式を現場に運ぶだけの簡単な作業で多少の未知数があるものの成功率が高いのは紅椿の方だ。
織斑千冬がセシリアに任せるか、それとも篠ノ之箒に任せるか迷っていると、
「ちょーっと待ったー!」
突然、第三者の声がして天井の一部の板が外されると、そこから篠ノ之束が降りてきた。
しかし、降りてきたのは篠ノ之束一人ではなく、他にも三人の人物が降りてきた。
「なっ!?」
『っ!?』
その内、二人の姿を見た一同は目を見開き驚愕した。
ドルフロでやっとHK416がでた・・。
再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥
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Dr.スカリエッティ
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エルトリア組
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アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様