内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第二十八話 二つの世界の違い

IS学園への行事の一つである臨海学校の最中に起きたアメリカとイスラエルの共同生製作の軍用IS,銀の福音が突如暴走した。

 

暴走の報告を受けた当初、織斑千冬は今回の騒動には篠ノ之束が関与しているのではないかと疑った。

 

その根拠は、篠ノ之束が妹の篠ノ之箒に専用機‥しかも世界では初の第四世代に当たる最新鋭のISを渡したからだ。

 

自分が製作した最新のISのお披露目として、暴走したISを止める‥‥

 

篠ノ之束が好きそうなシチュエーションであり、過去にも似たような事をやったからだ。

 

しかし、本人は今回の騒動についてはぐらかすことなく真っ向から否定した。

 

それに作戦に関しても篠ノ之箒に渡した専用機の投入に関して一切主張してこないばかりか、もう一人の束に頼んできた。

 

もう一人の束に自分そっくりなAI‥‥聞きたいことは沢山あるが、まずはこの事態を収拾しなければならない。

 

だが、本当に戦闘機でISに勝てるのかと言う疑問は此処にいる専用機持ちの生徒と教員の共通の疑問であるが、篠ノ之束たちは最初から勝負は決まっているとでも言いたげに自信がある様子だった。

 

結果は篠ノ之束の言う通りで、これまで織斑千冬が見たことのない機影をした戦闘機二機は暴走しているとはいえ、軍用のISをいともたやすく撃墜してしまった。

 

銀の福音を撃墜した二機の戦闘機は悠々とした様子でいずこかに飛び去っていった。

 

「‥‥」

 

部屋に居る専用機持ちの生徒、自分を含めた教員は映像の内容が信じられない様子で、精巧につくられ映像ではないかと思うぐらいであった。

 

「山田先生‥‥」

 

「は、はい」

 

「銀の福音のシグナルの確認を‥‥」

 

「は、はい」

 

もし、あの映像が作られたモノであれば銀の福音のシグナルはまだ健在の筈で、反対に事実であるならば、バラバラになり海へ墜落したのだからシグナルはロストしている筈だ。

 

山田先生がアメリカ側に確認を入れ、しばらくして銀の福音のシグナルはロストしているとの回答があった。

 

「銀の福音は撃墜の報告については、表向きにはいっくんでもいいし、他の専用機持ちの学生が撃墜したってことにしておいて」

 

篠ノ之束は銀の福音を撃墜したのはあの二機の戦闘機ではなく、一夏か専用機持ちの学生と言う事にして真実を隠してくれと言う。

 

「‥‥」

 

織斑千冬も専用機持ちの生徒たちも何か言いたげであるが、織斑千冬自身がもう一人の束に依頼し、銀の福音は既に撃墜されていると言う結果が出ている以上何かを言いたくても言えなかった。

 

「それにしても今回の暴走の原因は一体何だったんでしょう?」

 

ギンガが篠ノ之束に銀の福音の暴走原因を訊ねる。

 

「今回のISは無人機だった‥‥『公式』では『初の無人機』だったんだけど、無人機だからこそ、無理な速度や運動が出来るように設定をした結果、コアに異常な負荷がかかって暴走したんじゃないかな?」

 

篠ノ之束は銀の福音が世界でも初めて公式で認められた無人機であることを強調する。

 

実際は篠ノ之束が開発したゴーレムが世界では初の無人機なのだが、ゴーレムの存在は非公式扱いとなっている為、銀の福音が世界初の無人機扱いとなっている。

 

そして、無人機だからこそ有人機とは違い、無理な速度や運動を行った結果、コアに異常な負荷がかかりバグを生じ、暴走したのではないかと言う結論に至った。

 

「さて、お待ちかね、もう一人の束さんたちの紹介をしようか?」

 

篠ノ之束は銀の福音の騒動が収拾したので、今度はもう一人の束と千冬の紹介へと移る。

 

「いっくんはもう一人の私が整形だと思っているみたいだけど、もう一人の私が言うように、この人の容姿は元から私とそっくりな容姿だし、AIのちーちゃんもこの世界のちーちゃんを真似て作られた訳じゃないよ」

 

篠ノ之束は先ほど、一夏が食って掛かってきた理由に関して否定する。

 

「そもそも、この人たちはこの世界の住人じゃないし」

 

「この世界の住人じゃない?」

 

「何を言っているんだ?束」

 

篠ノ之束の説明に織斑千冬は訝しみ、他のメンバーもいまいち理解できていないみたいだ。

 

「簡単に言えば、パラレルワールド、平行世界って言えば分かるかな?」

 

次に月村束が説明するが、それでも学生たちは首を傾げている。

 

「例にすると、『もし、篠ノ之束がISを作らなかったら‥‥』 『もし、篠ノ之束と言う人物が存在しなかったら?』なんて言う感じの『もし~』『たられば~』の世界だね。もちろん、今此処に篠ノ之束と言う人物は存在し、ISも存在しているので、ISも篠ノ之束と言う人物もいない世界なんて考えられないと思うけど、本来ならば、そう言った平行世界は交わることがないから、そんな世界は存在しないと言えるのだけど、実際に私の世界にはISは存在してないし、2000年代に篠ノ之束と言う人物が存在していたという記録もない」

 

月村束は簡単な例を出すと専用機持ちの生徒たちも理解した。

 

「それで、この人たちはただの平行世界だけじゃなくて、180年未来の平行世界から来た人たちなんだよ」

 

篠ノ之束は補足として月村束が来たのが平行世界は平行世界でも、未来の平行世界であることを伝える。

 

「180年後‥‥」

 

「未来!?」

 

「でも、本当に未来から来たのか?」

 

一夏はやはり、信じてはいない様子で胡散臭そうな目で月村束たちを見る。

 

「いっくん、君はさっきの映像を見なかったの?どの国だってISに勝てる戦闘機なんて有していないんだよ?」

 

信じていない一夏に対して篠ノ之束は彼女たちが未来から来た証明としてコスモゼロとコスモタイガーⅠを引き合いに出す。

 

「‥‥」

 

コスモゼロとコスモタイガーⅠが銀の福音を撃墜したのは精巧に作られた映像ではなく紛れもない事実だったので、月村束たちはISをいとも簡単に撃墜することが出来る戦闘機を有しているのは事実だ。

 

「とは言え、私自身ももう一人の私の未来についてじゃ詳しくは知らないんだけどね」

 

「そうだね‥‥丁度いい機会だから私たちがどんな世界から来たのかを説明しよう。ただ、前提としてこれから流す映像はこの世界の未来じゃないことだけは念頭に置いてね」

 

「そう言えばさっき、ISが存在しないって言っていましたもんね」

 

「となると、未来の歴史も違うってことか‥‥」

 

「そういう事。ちーちゃん、メモリーを再生して」

 

「うむ」

 

千冬は再び壁に映像を映し出す。

 

それは、月村束が経験した激動の時代だった。

 

西暦2042年、地球人類はついに火星へ到達する。

 

それから69年後の西暦2111年、地球人類は本格的に火星への入植を開始する。

 

ただ、地球人類での歴史で入植した大陸や島で独立を叫ぶように火星でも自治政府が地球連邦政府に対して独立戦争を仕掛ける。

 

地球艦隊と火星艦隊が接近する中、映像が一時止められる。

 

「ここから先はちょっとショッキングな映像が続くから、戦争映像やグロい内容がダメな人は出た方がいいよ」

 

月村束は部屋に居るメンバーに注意喚起する。

 

此処から先の歴史は戦争の歴史に突入するからだ。

 

宇宙戦争なんてSF映画と同じ内容かと思っている生徒たちに効果があるか分からないが、いきなり戦争映像を見せて気分を悪くするのも大人としてマナーに反すると思ったからだ。

 

グロい内容と聞いて山田先生は顔を青くするが、やはり未来の情報が気になるらしく部屋にとどまった。

 

生徒たちも気になるのか?

 

それとも単なる脅しなのかと思ったのか誰も部屋から出ずに留まった。

 

誰も部屋から出ないので、再開して良いと判断した千冬は映像を再生する。

 

地球と火星との戦争‥‥これが後に第一次内惑星戦争と呼ばれる地球人類が経験した初めての宇宙戦争だった。

 

地球と火星との大規模な戦争は二度起こり、2183年に地球連邦政府は完全に火星の独立派を鎮圧した。

 

火星宙域での戦闘で地球、火星双方ともに一隻の戦闘艦が爆発する度に多くの人命が消えていく。

 

宇宙空間に漂う乗員の遺体‥‥

 

人の形を保っているのはまだマシで、中には四肢を失っている者やバラバラになっている者もいた。

 

ここにきて月村束の言うグロいと言う意味を理解した生徒たちだった。

 

そして、地球は外宇宙からの来訪者を迎えた。

 

西暦2191年、天王星の監視ステーションが太陽系内に進入してくる謎の宇宙艦隊‥後に判明するガミラス艦隊と接触した。

国連宇宙艦隊は太陽系に進入してきたガミラス艦隊に対して発砲。

 

その結果、地球は艦隊の八割を喪失するという大敗北となり、地球は本格的にガミラスとの星間戦争へと突入する。

 

西暦2192年六月に火星宙域での艦隊戦、第一次火星沖海戦では地球は奇跡的にガミラスを撤退させることに成功した。

 

ガミラスは冥王星に前線基地を建設するが、艦隊を直接地球へ送り込むことはなく、遊星爆弾と呼ばれる隕石を地球へと落とし始める。

 

遊星爆弾は地球の各所へと落ちていく‥‥

 

イギリスのロンドン橋、ビックベン 

 

フランスのエッフェル塔、凱旋門 

 

中国の万里の長城、天安門 

 

ドイツのブランデンブルク門、ノイシュヴァンシュタイン城

 

各国の観光名所、歴史的価値のある遺産の建造物が次々と冥王星から降って来る遊星爆弾で破壊されていく。

 

自分たちの国の建造物が成す術なく破壊されていく光景に各国の専用機持ちの生徒たちは顔を青くしたり、目を背けている。

 

世界の各地へ遊星爆弾が落とされる中、日本も当然その被害を受け、最初に三浦半島へ遊星爆弾が落ちる。

 

その後も都市部の各地へ遊星爆弾は雨の様に落下し、都市の建造物と共に沢山の人間をはじめとする生物を吹き飛ばしていく。

 

やがて、海は蒸発し赤く有害な放射能が広がるカラカラの大地の星へと変わっていく。

 

地球人は懸命に生きようとし、生活の場を地表から地下へと移す。

 

2198年2月、ガミラスは再び艦隊を地球へと差し向け火星宙域が地球とガミラスとの二度めの戦場となる第二次火星沖海戦が勃発。

 

地球側はガミラス艦隊による地球への直接攻撃を食い止めるべく試作段階だった陽電子衝撃砲を用いた戦術でガミラス艦隊を撤退させることには成功したが国連宇宙海軍の艦隊戦力はほぼ壊滅状態となる。

 

翌年、地球最後の艦隊がガミラスの拠点である冥王星へと出撃し、冥王星沖海戦が行われるが地球側はガミラスを太陽系から追い出すことは出来なかった。

 

(ちなみに月村束もこの海戦に参加していたことを話すと、IS世界メンバーから驚かれた。)

 

 

地球はこのままガミラスの遊星爆弾と放射能で滅んでしまうのかと思われた中、マゼラン星雲の中にあるイスカンダルから救いの手が差し伸べられる。

 

地球人類はこのイスカンダルからもたらされた波動エンジンを第二次世界大戦の際に坊ヶ崎沖で沈没した戦艦大和に搭載し、大和を強力な宇宙戦艦へと改造し、イスカンダルへ放射能除去装置を受け取りに向かわせた。

 

流石にヤマトの航海はあまりにも長くなってしまうので、千冬はその点を割愛した。

 

ヤマトは無事にイスカンダルへたどり着き、放射能除去装置を受け取り無事に地球へ帰還。地球人類は絶滅寸前のところで救われたところで映像は終わる。

 

篠ノ之束は地球がどういった経緯で波動エンジンを開発したのか気になっていたが、まさか波動エンジン自体が他所の星からの技術だったことに驚いていた。

 

(そう言えばあの時、もう一人の私が言っていたような‥‥)

 

アナンケを見学している際に月村束が波動エンジンに関してチラッと呟いていたことを思い出す。

 

(やっぱり、この世界にいたんじゃあ、井の中の蛙で終わるところだった‥‥宇宙には無限の可能性がある)

 

悲惨な歴史を辿ったもう一つの地球であるが、宇宙開発に関してはやはりこの世界の地球よりももう一人の自分の世界の地球が進んでいる。

 

その世界ならば、ISを本来の使い方で研究できる。

 

それに太陽系の惑星はもとより、マゼラン星雲への航海実績もあり、地球よりも技術が発展した星もある。

 

それならばきっと地球以外にも様々な星を見ることもできる可能性が高い。

 

「これはあくまでも私たちの世界の歴史であって、こっちの地球が180年後に同じ歴史を辿るとは限らないし、流石に100年以上生きるのは無理でしょう?」

 

そう言うが、人間の寿命として180年後には生きていない。

 

「さて、それじゃあ要件も騒動も済んだし、帰ろうか?」

 

篠ノ之束が月村束にアナンケへ戻ろうと声をかける。

 

「まて、束」

 

「ん?何かな?ちーちゃん」

 

「確か浜辺でお前は私に『最後』とか言っていたが‥‥?」

 

織斑千冬は浜辺で篠ノ之束が呟いていた事を思い出す。

 

「ああ、私はもう一人の私と一緒にこの世界を出てくことにしたんだよ」

 

「なっ!?」

 

「えっ!?」

 

「ちょ、姉さん!?」

 

篠ノ之束の発言に織斑千冬はもとより一夏も篠ノ之箒も唖然とする。

 

「どういう事だ?束」

 

「言葉の意味通りだよ。私の開発したISは世界中に広まった‥‥でも、その使用方法は私が望むものではないし、今後もそれに期待できない。世界中から指名手配を受けて隙あらば誘拐・暗殺っていうエキゾチックな状況だったけど、そんな環境にもう飽き飽きしてね。そんな中で、彼女たちが来て『これはチャンス』と思ったんだよ」

 

本来は宇宙開発の為にISを作ったが、今は宇宙開発どころかスポーツ競技の為の器具‥‥その次は今回の銀の福音、以前ラウラの専用機に搭載されているVTシステム‥‥兵器に転用されるのが目に見えている。

 

「こっちの私の地球は宇宙人の攻撃で絶滅寸前に追い込まれたけど、この世界じゃあ、女性権利団体の連中が地球上から男性の絶滅を画策して地球人類は地球人類の手によって滅びそうだし」

 

「‥‥」

 

篠ノ之束の指摘に織斑千冬は言い返せない。

 

「それじゃあね」

 

篠ノ之束が部屋から出ようとした時、

 

「ちょっと待ってください!!姉さん」

 

篠ノ之箒が声をあげて篠ノ之束を呼び止める。

 

「いつもそうだ…貴女は…貴女は!!私たち家族にどれだけ迷惑をかけたと思っている!!貴女のせいで私たち家族は要人保護の名目で引き裂かれたんですよ!!それなのに勝手にこの世界を見捨てて出ていく!?ふざけないでください!!」

 

「それについては、重々承知しているよ。だからその償いとして、箒ちゃんに専用機を渡したんじゃない。それに私がこの世界から消えれば、もう狙われる事はなくなって箒ちゃんは家族と一緒にまた暮らせるよ」

 

篠ノ之箒は篠ノ之束の言葉に苦虫を嚙み潰したように顔を歪める。

 

(浜辺でチラッと見たけど、やっぱりこの箒は束さんの事を嫌っている‥‥そりゃあ、家族をバラバラにされれば怒るのも無理はないけど‥‥)

 

ギンガは篠ノ之箒の態度を見て予想通り彼女は姉を嫌っていたのだと理解したのだった。




IFルート【もし銀の福音撃墜後すぐにディアーチェが束達を回収しに来たら?】

銀の福音撃墜後にアナンケから束達を回収しにきたディアーチェはIS学園専用機メンバーをみて愕然として問い詰め始めた。

ディアーチェ「貴様!歳は!?」

一夏「じゅ十七です」

ディアーチェ「IS学園とやらで行ったISをつかっての戦闘訓練時間は!?」

セシリア「ひゃ百五十時間ほどかと・・・」

ディアーチェ「実弾が飛び交う戦場に置いての実戦経験は!?」

凰 「あ、あるわけないでしょ!」

ディアーチェ「自分、いや己を本気で殺しにかかってくる敵を見たことはあるのか!?」

シャルロット「い、いいえ!」

彼らいや彼女らの返答を聞いたディアーチェはIS世界の千冬に対して

ディアーチェ「こんな学徒兵以下の連中で軍用機相手にかなうと本気で考えていたのか!!貴様らは指揮官としても教師としても人間としても失格だ!!小学校から道徳と軍学校で兵法を一から学びなおしてこい!!」

と千冬(IS)と山田摩耶をしかりつけた。


次回でステルス兄貴さんとのコラボ(?)のIS世界編は終了です。

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様
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