内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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コラボ?終了です。


第二十九話 帰還

ISと言うパワードスーツ専門の学校、IS学園での行事の一つである臨海学校の最中に起きたアメリカとイスラエルの共同製作の無人IS機、銀の福音の騒動は苦戦するはずだった本来の歴史とは異なり、平行世界の未来から来たイレギュラーたちの手により、あっさりと解決した。

 

篠ノ之束は妹と親友に今生の別れを済ませた。

 

妹の篠ノ之箒はこれまで姉である篠ノ之束の我が儘で家族が保護という名目で離散させられた。

 

それなのに自分は身の危険に晒されている現状に嫌気がさして平行世界へ逃げるなんて篠ノ之箒にしてみれば納得がいかなかったが、篠ノ之束は『自分がこの世界から消えれば、箒たち篠ノ之家の重要度は無くなり今後は普通に暮らせる』と、指摘すると黙ってしまう。

 

「あっ、ちーちゃん。コレあげるよ」

 

篠ノ之束が旅館に設けられていた対銀の福音の作戦室から出る直前にポケットから一つの石を取り出し、織斑千冬に放り投げる。

 

投げられた石を織斑千冬はパシッと手でキャッチする。

 

「これは?」

 

「月の石だって」

 

篠ノ之束が織斑千冬に投げた石はアナンケが地球へ降下する際に船体に反重力感応器で月の石を纏った。

 

大気圏突入の際、大半は大気圏の摩擦で剝がれ落ちてしまったが、全ての月の石が燃え尽きたわけではなく、アナンケの甲板にいくつか残っていた。

 

ヤマト世界の者たちにとって月の石なんてもはや珍しくはなく、文字通りただの石ころで大した価値はないが、このIS世界では地球人類はまだ月への開拓を行っていないので、月の石はきっと価値がある物だろう。

 

織斑千冬が生きている間にこの世界の地球人類が月へ辿り着けるか分からないので、篠ノ之束は別れの記念として月の石を彼女に手渡した。

 

彼女がその石を月の石と信じるかは別であるが‥‥

 

「私はこの世界から消えるから、ちーちゃんの口から表向きは、私は死んだことにしておいて。私の友人でありブリュンヒルデであるちーちゃんの言葉なら、大抵の人は信じるでしょう。まぁ、中には執念深く居もしない私を捜しまわる人もいるかもしれないけどね」

 

「ああ‥分かった」

 

篠ノ之束の言う通り、表向きに篠ノ之束は死んだことにすれば、篠ノ之箒たち篠ノ之家の者たちはまた一緒に暮らしていけるはずだ。

 

その点を織斑千冬も理解しているので、篠ノ之束の頼みを聞き入れた。

 

専用機持ちの生徒たちも何か言いたげであった。

 

篠ノ之束を失うのはこの世界に置けるISの開発を止めることになる。

 

なにせ、ISのコアを作れるのはこの世界でただ一人、篠ノ之束だけである。

 

しかし篠ノ之束の言う通り、彼女が消えることで篠ノ之箒が家族と一緒に生活ができると言われたら、複雑である。

 

だが、家族と聞いてセシリアは両親と死別しており、シャルロットは家族に対して複雑な事情を抱えている。

 

鈴は両親が離婚して、ラウラに関しては家族と言う存在をラウラ自身は持っておらず、家族がどんなモノなのかは副官のクラリッサからの日本の漫画やアニメからの知識しか持っていないが、それでも尊いモノだと知っている。

 

織斑一夏に関して、本人は無意識かもしれないが、傍から見ればシスコンな一面もある。

 

そんな家族に対して様々な一面を抱えている専用機持ちの生徒たちだからこそ、篠ノ之束に対してこの世界に留まるように強く言えなかった。

 

そもそも、篠ノ之箒自身が篠ノ之束にこの世界に留まって欲しいと言っていない以上、他人である自分たちがとやかく言えなかった。

 

旅館を出て内火艇でアナンケへ戻る中、月村束は篠ノ之束に声をかける。

 

「よかったの?あれで」

 

「ん?」

 

「こっちの世界の箒ちゃんとなんか喧嘩別れする感じになっちゃったけど‥‥?」

 

「いいよ。元々姉妹仲はそこまで良い訳じゃなかったし、互いにもう二度と会う事はないだろうから‥‥それに、私がこの世界に居れば箒ちゃんはずっと家族とは一緒に暮らせなかったからね」

 

篠ノ之束自身は既にこの世界と見切りをつけていたので、特に感傷に浸ることもなかった。

 

一見冷たそうにも見えるが、やはり妹がこの先家族と共に暮らせることを祈っているあたり、姉としての最低限の感情は残っていたのだろう。

 

「ギンガはどうだった?成長した箒ちゃんを見れて?」

 

月村束は次にギンガへ篠ノ之箒についての感想を訊ねる。

 

「そうですね‥‥容姿はおそらくこの世界の箒と同じになるのでしょうけど、性格も似るとは限りませんからね。時間が取れる限り、箒と昴と一緒に過ごしていこうと思います」

 

「そうだね」

 

「えっ?そっちの世界にも箒ちゃんが居るの!?それに君たち二人姉妹なの!?」

 

ここで篠ノ之束は月村束とギンガの二人が姉妹関係だと言う事を知った。

 

更に二人の会話からこれから向かう世界にも箒が存在していることも同時に知った。

 

「あっ、補足として私とギンガは血がつながっていないよ。それに私たちの世界の箒ちゃんともね」

 

「えっ?」

 

「この世界では貴女と箒ちゃんは姉妹関係だけど、私たちの世界では姉妹だけど箒ちゃんたちは月村家の養女だよ。それに箒ちゃんにはこの世界に存在していない妹の昴ちゃんもいるよ」

 

「へぇ~そっちの箒ちゃんはお姉ちゃんなんだ‥‥」

 

篠ノ之束はこれから向かう世界にも箒が存在することを知り口元を少し緩めた。

 

(そういえば、この世界に私やスバルはいたのかな?)

 

一方でギンガはIS学園にこの世界の自分やスバルが居なかったので、この世界にもう一人の自分やスバルが居るのかは気になったが、今更確認する術はないので諦めた。

 

アナンケに戻った束たちは夜が来るのを待つ。

 

周辺をIS学園の教員たちが封鎖しているとはいえ、その教員らがアナンケを拿捕しようとしてくると面倒だから、夜陰に乗じてこの世界の地球から一気に宇宙へ出る予定だ。

 

宇宙へ出る前にどうやったら元の世界へ戻れるかの意見交換が行われた。

 

「さて、問題はどうやったら元の世界へ戻るかだ‥‥」

 

「やはり、この世界へ来た原因となったワームホールだろうな」

 

ディアーチェがそもそもこの世界へ来た原因であるワームホールを通ったら元の世界へ戻れると推測する。

 

「で、でも、ワームホールなんてそう簡単に起こるモノなのでしょうか?」

 

知床鈴はワームホール事態が珍しい宇宙現象なので、そうホイホイと起こるモノなのかと疑問に思う。

 

「それにこの様な平行世界があるように例えワームホールを見つけ、その中に入ったとしてもワームホールの外が元の世界と限りませんし‥‥」

 

ギンガがこのISが存在するこの平行世界が存在や元の世界があるように運よくワームホールを見つけその中に入ったとして、出口の世界が元の世界とは限らない。

 

「それに無事にワームホールから出られるかも分からないしね」

 

レヴィがもしかしたらワームホール内の亜空間に閉じ込められてしまうかもしれない事を指摘する。

 

すると、知床鈴は顔を青くする。

 

実際に宇宙にはサルガッソーと呼ばれる宇宙の墓場があるとされ、そこに入り込むと二度と通常空間に出てこれなくなると言われている。(実際にヤマトが次元断層に迷いこんだことがある)

 

「‥‥でも、元の世界へ戻る方法はこれしかない。宇宙へ出たらひとまず冥王星を目指しワームホールを捜す」

 

月村束は最初にワームホールが起こった冥王星宙域を目指しつつワームホールを捜すことにした。

 

そして、この周辺の地域が日没を迎えた時、海中からアナンケが浮上した。

 

「浮上完了」

 

「周囲に船舶及び航空機の反応はありません」

 

「よし、このまま地球圏を脱出する」

 

「波動エンジン内エネルギー注入」

 

アナンケの波動エンジンが唸りを上げ始める。

 

「メインエンジン内圧、臨界。フライホイール始動!」

 

「フライホイール始動」

 

機関室では波動エンジンのフライホイールシリンダーが轟音を上げながら回転する。

 

「おぉぉぉー」

 

その様子を篠ノ之束は機関室で目を輝かせながら見ている。

 

「波動エンジン点火十秒前‥‥九‥八‥七‥六‥五‥四‥三‥二‥一‥‥波動エンジン、接続、点火」

 

「第一から第四エンジンまで稼働確認!」

 

「離水、上昇!」

 

轟音と振動と共にアナンケの船体が海から浮上する。

 

「大気圏を抜けました」

 

「波動エンジン、大気圏外出力に切り換え」

 

「了解」

 

「艦内外とも異常ありません」

 

「では、このまま冥王星宙域を目指すよ」

 

アナンケはワームホールを捜しながら冥王星宙域を目指した。

 

 

その頃、この世界とは別の宇宙の某宙域では‥‥

 

「クロノ提督、出航準備完了しました」

 

「よし、出航する」

 

時空管理局の本局ではクロノ・ハラオウンが艦長を務めるXV級次元航行艦の一隻、クラウディアが出航した。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

JS事件以降、管理局はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで管理世界になりうる世界の探索、ロストロギアの探索を行っていた。

 

それはまさに管理局以外に優れた技術を持つ世界など無いと思い込んでいるかのように‥‥

 

管理局はこれまで使用していたL級巡行艦に代わり、XV級次元航行艦を就航させていた。

 

これによりこれまで管理局の主力を務めてきたL級巡行艦は順次退役を余儀なくされている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

ただ、JS事件の際に機動六課の部隊長、八神はやては解体処分される寸前のL級巡航艦のアースラを先にナンバーズの襲撃で崩壊した隊舎の代わりに臨時の司令部を置き、鎮圧の指揮を執っていたことからアースラの艦名は有名となり、今後XV級次元航行艦でもアースラの名を受け継ぐ艦も出てくるかもしれない。

 

そして、JS事件の首謀者であるジェイル・スカリエッティの切り札とも言える古代ベルカ時代の兵器である 聖王のゆりかご を破壊したのが多数のXV級次元航行艦のアルカンシェルの一斉砲撃によることから管理局‥特に“海”と呼ばれる本局を勢いづかせたのは間違いないだろう。

 

本局の港を出港したクラウディアは目的地の探査宙域まで次元跳躍(ワープ)する。

 

「次元跳躍準備」

 

「了解」

 

クラウディアの魔導機関の魔力が上昇する。

 

「次元跳躍準備完了」

 

「跳躍」

 

クラウディアの前方にワームホールが出現し、クラウディアはそのワームホールの中へと入って行った‥‥

 

 

ここで視点をアナンケの居る宇宙へと戻る。

 

別宇宙でクラウディアが次元跳躍をした時、

 

「艦長、前方にワームホールの反応があります!!」

 

突如、アナンケの近くでワームホールの反応があった。

 

「針路をワームホール出現地点へ」

 

「了解」

 

アナンケは急ぎワームホールの出現場所へと向かった。

 

ワームホールの出現宙域では、グニャリと空間が歪みまるで洋服のチャックを開けるかのようにワームホールが空き始めた。

 

「‥‥これより、ワームホールへと突入する」

 

緊張した面持ちで月村束がアナンケの艦首をワームホールへ向けるように指示を出す。

 

「りょ、了解」

 

航海長の知床鈴も緊張した様子でワームホールを目指す。

 

「総員に告ぐ、これより本艦はワームホール内に突入する。各自、持ち場を離れず職務をそのまま全うせよ」

 

やがて、アナンケの姿はワームホールの中へと消えて行った。

 

ワームホール内の亜空間‥‥

 

そこは通常空間と異なる未知の空間でもある。

 

今回のアナンケの様に元の世界と平行世界をつなげる特殊なトンネルの様な役割を持つ空間だが、詳しい調査が出来ていない空間。

 

人類がこの空間の謎を解明するには膨大な時間を必要となり、もしかしたら永遠に解明することが出来ない空間なのかもしれない。(一応データを取ってはいるが)

 

そしてこの亜空間はワープ中に一時的に様々な空間さえも同調させてしまうこともあった。

 

「ん?」

 

次元跳躍中のクラウディアの艦橋にて、オペレーターがレーダーに僅かな反応があったのを見逃さなかった。

 

「どうした?」

 

「いえ、一瞬ですがレーダーに艦船らしき反応が‥‥」

 

「他の艦じゃないか?」

 

クロノはこの時、レーダーに反応したのは同じ管理局所属の艦ではないかと思った。

 

「いえ、エネルギー反応が我々管理局の次元航行艦と異なる性質でした。おそらく民間の次元航行船でもないと思われます」

 

「艦影は補足できたか?」

 

「すみません。一瞬のことですので、明確な艦影までは‥‥」

 

「それでもいい。見せてくれ」

 

「わ、分かりました」

 

オペレーターは一瞬であるが補足した艦影の画像を見せる。

 

しかし、オペレーターの言う通り画像は荒く、何が映し出されているのか分からなかった。

 

艦長や提督の中にはただのノイズであり気にする必要もないと思う者も居るだろうが、クロノはこの時、妙な予感を覚えた。

 

それはこの先、管理局が経験する嵐の前兆とも言える予感であった。

 

また、クラウディアが出航したほぼ同じころ、別の次元航行艦がとある管理世界へ向けて出航した。

 

その次元航行艦には培養液で満たされた培養槽が積み込まれていた。

 

そしてその中には髪の長い金髪の女性が睡眠状態で入っていた。

 

彼女はあのJS事件の首謀者、ジェイル・スカリエッティが生み出した戦闘機人の一人、ドゥーエ。

 

ドゥーエは変装を得意とする能力を有しており、管理局へスパイとして潜入していた。

 

そしてJS事件の際、“陸”の総司令官であるレジアス・ゲイズの暗殺を実行した。

 

レジアスの暗殺は成功するもその直後、彼女はスカリエッティの手によりレリックウェポンと化したかつて“陸”のエースと言われたゼスト・グランツの手により絶命‥‥したかと思われたが、奇跡的に生きていた。

 

やはり、戦闘機人なので生命力は普通の人間と異なり強かったのだろう。

 

しかし、JS事件後も治療を施されるもドゥーエが目覚める気配はなく、治療中であったが今回別の管理世界へと護送されることになった。

 

と言うのも仮に彼女が目覚めたとしても管理局側の司法取引に応じる性格ではないことは既に司法取引に応じた彼女の妹たちから証言を得ており、またミッドチルダでこのまま治療の為、置いておき、目覚めた直後脱走でもされたら厄介な事になるので最低限の運用人数しかいない管理世界の医療刑務所へ収監するために今回の護送となったのだ。

 

護送と言っても肝心のドゥーエが眠っているので、任務と言っても簡単なモノだとこの次元航行艦の乗員は誰もがそう思っていた。

 

しかし、宇宙は時に人の予想を裏切ることが多々ある。

 

突如、この次元航行艦を次元震が襲い掛かった。

 

想定外の次元震に乗員たちは慌てた。

 

急ぎ、この宙域から退避しようとする。

 

そんな中、ある箇所で凄まじい衝撃が起こり、船体の一部に破孔が生じた。

 

そこは、ドゥーエが入った培養槽の置かれていた箇所だった。

 

次元震を抜け、なんとか目的地へ着いた後、調べてみるとドゥーエが入った培養槽は無かった。

 

乗員はあの次元震の際、培養槽は船外に吸い出されてしまったものだと判断し、護送中の事故と言う事でドゥーエはそのまま死亡認定されることになった。

 

 

その頃、ワームホールの中を航行しているアナンケは、空間の切れ目ともいえる穴を見つけた。

 

恐らくそこが出口なのだろうと思われ、その穴を目指す中、アナンケに何かがぶつかったような衝撃が起きた。

 

「な、なんだ!?」

 

「船体に何かが衝突した模様」

 

「技術班、至急応急修理に迎え!」

 

技術班が現場に向かうとアナンケの船体の一部に何かが突き刺さっていた。

 

よく見るとそれは液体が満たされた円筒状のモノでその中には金髪女性が入っていた。

 

技術班は至急月村束に報告を上げた。

 

「えっ?人が入った筒?」

 

『はい。それが船体の一部に突き刺さっています。どうしますか?』

 

「‥‥一応、調査するからそれは収容して」

 

『了解しました』

 

技術班は女性が入った円筒状のモノを艦内に収容し、空いた穴を補修した。

 

やがて、アナンケは亜空間から通常空間へと出た。

 

「通常空間を確認」

 

「‥‥ここが元の世界ならば良いのだが‥‥」

 

「‥‥」

 

通常空間へと出たがここが元の世界なのかまだ分からない。

 

また別の平行世界である可能性の方が高い。

 

そんな中、アナンケのレーダーが艦船反応を捉える。

 

「レーダーに反応」

 

「艦種識別‥急げ」

 

判別を急ぐとそれは氷室丸を曳航している長門と内惑星艦隊所属のサラミス級やレパント級の姿があった。

 

長門からは確認の通信が送られてきた。

 

「帰ってきたみたいだな‥‥」

 

「はぁ~‥‥」

 

「貴重な体験だったけど、もうこんな体験はしたくない」

 

無事に元の世界へ戻ってきたのだと実感できたことで艦橋の空気が緩んだ。

 

あれから長門と通信をした結果、アナンケがワームホールへ吸い込まれてから時間にして僅か数時間しか経っていなかった。

 

こうして、束たちアナンケの奇妙な航海は無事に終わったのだった。

 

 




ステルス兄貴さんありがとうございました!!次回からは完全にオリジナル路線です!!

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様
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