内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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ステルス兄貴さんから提案話(でいいのか?)をいただいたので投稿します。


閑話 月村邸メンバーの日常

月村束やギンガたちが宇宙へ出ている頃、月村家でお世話になっている箒、星奈、昴の三人は近くにある海聖小学校へと通っている。

 

悪質な養護施設時代は子供たちを外部と完全に遮断するために箒たちは学校へ通へなかったが月村束により保護されて以降、こうして普通の子供の様に学生生活を送っている。

 

忍や箒は当初、人見知りが激しい昴が学生生活に慣れるか心配であったが、仲の良い友人が出来たのか、食事の時など忍やノエルに学校であった出来事を嬉しそうに話している。

 

そんなある日の夕食時‥‥

 

昴は成人男性の大食いチャレンジャーが食べるくらいの量の料理を平然と食べながら忍とノエルに学校での出来事を話している。

 

月村家では昴が来てから既にこの光景は見慣れたモノになっているので、昴の料理の量に関して誰も何も言わない。

 

箒も昴の話に耳を傾けながら食事を摂っている。

 

「‥‥」

 

そんな中、星奈は何か難しそうな顔で料理を口に運んでいる。

 

「ん?どうしたの?星奈ちゃん。具合でも悪いの?」

 

星奈の様子に気づいた忍が彼女に声をかける。

 

「あっ、いえ‥大丈夫です」

 

星奈はすぐに取り繕い、何事もなかったかのように食事を続ける。

 

「‥‥」

 

箒は少し彼女を心配するようにチラッと見るが。食欲もある様子なのでしばらく様子を窺うことにした。

 

食事と入浴を済ませ、学校からの宿題も既に終え後は寝るだけとなった箒たちであるが、寝るまではまだ時間があったので皆でテレビを見ながらアイスを食べていると、

 

ガリガリ‥‥

 

星奈は既に食べ終えたアイスの棒を齧っている。

 

「星姉、もうアイス無いよ」

 

昴が星奈に声をかける。

 

「ん?」

 

「もっとアイス食べたいの?だったら私も‥‥」

 

「昴、アイスは一日一個だ。前に家のアイスを全部食べつくしてお腹を壊しただろう」

 

箒は昴に注意する。

 

昴は以前、月村家にあるアイス全てを食べつくしてお腹を下したことがあるみたいだ。

 

「それで、星奈は本当にアイスをもう一個食べたいのか?」

 

そして箒は次に星奈にアイスのお代わりを食べたいのかを訊ねる。

 

「ん?そうじゃないけど‥‥」

 

星奈は口からアイスの棒を出し、歯形が付いたアイスの棒をジッと見ている。

 

「「?」」

 

アイスのお代わりを食べたいわけでもないのにアイスの棒をジッと見つめている星奈の行動に首を傾げる箒と昴。

 

翌朝の朝食の席でもやはり、星奈は時折顔を歪めて、

 

ガリ‥ガチャ‥‥ガチャ‥‥

 

デザートのヨーグルトを掬ったスプーンを昨日のアイスの棒同様、齧っている。

 

「星姉、スプーンは食べ物じゃないよ」

 

スプーンを齧っている星奈に昴が声をかける。

 

「ん?あっ‥‥」

 

昴に言われ、星奈は口からスプーンを口から出す。

 

学校への登校中も星奈は舌で口の中をモゴモゴさせていた。

 

「ねぇ、箒姉」

 

「ん?どうした?」

 

「星姉に何かした?」

 

「えっ?」

 

「なんか不機嫌そうだし‥‥」

 

チラッと昴と箒が後ろに居る星奈を見るとやはり、彼女は顔を歪めている。

 

「わ、私には心当たりはないぞ。むしろ、昴お前が何かしたんじゃないか?」

 

「わ、私だって何もしてないよ!!」

 

「そうか?星奈のプリンかアイスを食べたんじゃないか?」

 

「そ、それは‥‥」

 

どうやら昴には心当たりがあるみたいだ。

 

「早めに謝った方がいいぞ」

 

「う、うん‥‥」

 

箒から言われ、昴は星奈に近づき、

 

「ほ、星姉‥‥」

 

「ん?」

 

「その‥‥この前、星姉のプリン食べちゃってゴメン!!」

 

「えっ?」

 

星奈はいきなりの昴からの謝罪に唖然とする。

 

「えっ?あれって昴仕業だったの?」

 

「えっ?それを知って怒っていたんじゃあ‥‥」

 

「いえ、プリンの件は今知りました」

 

「‥‥」

 

昴としては藪蛇だった。

 

「まぁ、プリンの件については別に気にしていません」

 

星奈はプリンの件について昴をあっさりと許したが、やはり何かあるのか再び顔を歪める。

 

「「‥‥」」

 

箒と昴は一体何が星奈の機嫌を損ねているのか首を傾げるばかりであった。

 

昴が学校生活に馴染んでいるように箒の方も学校生活に馴染み始めており、授業と授業の間の休憩時間、箒はクラスメイトと会話に花を咲かせていた。

 

そんな中、

 

「箒‥‥」

 

星奈が箒に声をかけてきた。

 

「な、なんだ?星奈」

 

今朝の登校の事もあり、やや警戒しながら訊ねる箒。

 

「図書委員会のポスター制作の仕事があるから放課後、教室でちょっと残ってくれる?」

 

「あ、ああ‥分かった」

 

箒と星奈は学校では図書委員会に所属しており、図書室に貼るポスターを放課後に製作しようと星奈は箒に声をかけてきたのだ。

 

「‥‥じゃあ‥‥」

 

箒に放課後の委員会の仕事を伝えた星奈は自分の席へと戻って行くがその時も顔を歪めたりしていた。

 

「…えっと‥箒、星奈と喧嘩でもしたの?」

 

クラスメイトも星奈が何だか不機嫌みたいに見えた。

 

「いや‥私も星奈が何故不機嫌なのか分からなくて‥‥」

 

理由もなく不機嫌な星奈と放課後一緒に仕事をすることに一抹の不安を抱く箒であった。

 

 

そして放課後‥‥

 

昴には昼休み中に箒が放課後、委員会の仕事があるため一緒に帰れない旨を伝えており、箒と星奈は教室で図書室に貼るためのポスターを制作していた。

 

(まいったな‥今日の星奈は何故か機嫌が悪いし‥‥そのせいか何か空気が重いように感じる‥‥)

 

(この空間からさっさと逃げたいが‥‥)

 

「はぁ~‥‥」

 

まだポスターは出来上がっておらず、箒は未完成のポスター用紙を見て思わずため息をつく。

 

この空間から逃げるには委員会の仕事を終わらせなければならない。

 

その後、互いにポスターのデザインを思案中‥‥

 

カリカリカリ‥‥

 

カリカリと変な音がしたので、箒がポスター用紙から目をあげるとそこにはペンを噛んでいる星奈の姿があった。

 

「ほ、星奈。委員会の仕事なんてさっさと終わらせて帰ろう」

 

「うん‥‥」

 

(‥‥ダメか、コミュニケーション失敗)

 

箒が星奈から視線を逸らしたその瞬間、

 

パキッ‥‥

 

「ん?」

 

プラスチックが割れるような音がして箒が星奈を見ると、

 

バキッ‥‥メキッ‥‥ボリ‥‥

 

星奈は手にしたペンを嚙み砕いていた。

 

「ほ、星奈‥‥別にお前の食生活に口を出すつもりはないが、ペンは食べ物ではないぞ」

 

「ちがうの‥その‥‥昨日から抜けそうな乳歯があって、何かを噛んでいないと落ち着かなくて」

 

「‥‥もしかして、昨日アイスの棒を噛んだり、朝ご飯の時スプーンを齧ったり不機嫌そうだったのは‥‥」

 

「歯が気になって‥‥」

 

「そ、そうだったのか‥‥」

 

星奈が不機嫌そうだったのは抜けそうな乳歯が原因だった。

 

「箒はもう歯は生え変わったの?」

 

「あ、ああ。私は全部生え変わっている」

 

バキっ‥‥ゴリ‥‥バキャ‥‥

 

「‥‥」

 

星奈は全て永久歯に生え変わった箒を羨むかのようにペンを再び齧る。

 

「‥‥書くものがなくなっちゃった」

 

星奈が手にしていたペンは彼女が噛み砕き既に筆記用具としての機能を失った。

 

そんな星奈の様子に箒はまさにドン引き。

 

しかし、ペン一本を犠牲にしても星奈の乳歯は抜けなかった。

 

そして、次のターゲットに箒のペンに決めたかのように机の上に置かれている箒のペンをジッと見る。

 

「はっ!?」

 

箒も星奈の視線に気づき、慌てて自分のペンを手にする。

 

星奈に噛み砕かれては堪らない。

 

「で、デザインは私が描く」

 

「じゃあ、ちょっと休んでいい?」

 

「あ、ああ‥‥」

 

星奈は席から立ち何か噛めるものを捜しに行く。

 

そんな中、横を通り過ぎた際に箒の耳たぶが星奈の視界に入る。

 

「‥‥」

 

星奈は気配を殺して箒の後ろに立ち、徐々に腰を下ろす。

 

ゾクッ!?

 

背後から寒気を感じた箒はバッと振り返る。

 

すると物凄い速さで箒と距離をとる星奈の姿があり、

 

「あっ、虫がいた」

 

本当に虫が居たのかは分からないが、星奈は虫を捕る仕草をとった。

 

「バカなことをやっていないで、休むなら座っていろ。早く終わらせるぞ」

 

箒としては今の星奈に背後を取られると何をされるのか分からないので、休むなら自分の視界の範囲内に星奈を居させたい。

 

そんな中、箒の不注意で指を紙で切ってしまった。

 

「いたっ!!」

 

「どうしたの?」

 

「いや‥紙で指を‥‥」

 

箒は星奈に傷口を見せる。

 

「見せて」

 

星奈は箒の手を取り、ジッと見つめた後、

 

ちゅう‥‥

 

血が流れている箒の指を口に含む。

 

「‥‥」

 

箒は突然の星奈の行動に驚くがチラッと机の上にポツンと置かれている星奈が嚙み砕いたペンが視界に入る。

 

プラスチックのペンを粉々に嚙み砕いた星奈の顎の力‥‥

 

もし、その力で自分の指を嚙まれたらと思うと身震いする。

 

そして、箒が恐れていた事態が起こり、

 

「痛っ!!」

 

箒の指に激痛が走った。

 

「星奈、今私の指を噛んだろう?」

 

「嚙んでない」

 

「いや、絶対に噛んだ」

 

「‥‥うん、噛んだ」

 

「‥‥」

 

流石に思いっきりではなかったので、指にうっすらと歯形残る感じであるが、やはり星奈は箒の指を噛んだ。

 

星奈は箒の指を噛んだことを認め、指から口を離す。

 

「昨日から色々ためしていたの‥‥アイスの棒にガムやキャラメル‥‥ペンに消しゴム‥‥縦笛にノエルさん‥‥」

 

「ノエルさん!?」

 

アイスの棒は昨日見たがその後も星奈は色々と試し噛みをして乳歯を抜こうとしたのだが、その中で彼女はノエルも噛んだみたいで、その告白に思わず声をあげる箒。

 

一体ノエルのどこを噛んだのか分からないが、驚愕するには十分だった。

 

何しろ、今日の朝食の席でノエルは星奈に嚙まされた事について何も言わなかったし、星奈を見ても何のリアクションも起こさなかったからだ。

 

もし、星奈が噛んだ相手がノエルではなくファリンだったら昨日嚙まれた時点で騒いでいただろう。

 

「これだった‥‥箒の指‥‥太さ、硬さ‥‥これが一番落ち着く」

 

「‥‥」

 

そう言って再び星奈は箒の指を咥える。

 

「よ、よさないか!!」

 

再び噛まれると思った箒は思いっきり星奈の口から指を引き抜く。

 

その際、

 

コン‥‥

 

抜けそうだった星奈の乳歯も一緒に抜けた。

 

「あっ‥‥」

 

「抜けた‥‥」

 

机の上にコロンと落ちた乳歯を見つめる二人。

 

「ありがとう、引っ張ってくれて」

 

星奈は机の上の乳歯を拾い、

 

「まだ乳歯が残っているから、次も指貸して」

 

「‥‥」

 

星奈はまだ口の中に残っている乳歯を指さし、その乳歯がまた抜けそうになった際には箒の指を噛ませてくれと頼んだ。

 

忍やノエル同様、普段怒らない人が怒ると滅茶苦茶怖い。

 

星奈もその部類に入るので、箒は断るに断れなかった。

 

(昴もまだ乳歯が残っていたな‥‥まさか、昴の時も私は昴に指を貸せねばならないのだろうか?)

 

妹の昴も当然、まだ乳歯が残っており、時期に星奈同様永久歯に生え変わる。

 

昴の乳歯が生え変わる時、箒は自分の妹にも指を貸さねばならないのかと思うのも無理はなかった。

 

こうして星奈の乳歯(不機嫌)騒動は終わり、家に戻った時、星奈の機嫌が直っているように見えた昴はホッと胸をなでおろしたのだった。

 

ただ、星奈にはまだ乳歯が残っているので、再び生え変わる時、この騒動は再発するのだろう。

 

でも、その時の対処法は星奈と箒の二人だけが知っているのは二人以外当然知る由もなかった。




31話はもう少しお待ちください。

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様
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