内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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テレザートでの話は割愛させていただきます。

(今回もステルス兄貴さんの『星の海へ』を参考にさせていただきました。)


第三十四話 全艦隊集結セヨ! 目標タイタン!!

第17管理世界の管理局支部にある次元航行艦ドックには先のテレザート宙域で損傷を受けたクロノ・ハラオウンが艦長を務めるXV級次元航行艦、クラウディアがその身を横たえていた。

 

クラウディアはこのドックにて応急修理を終え、再びテレザートへ向けて出航しようとしていた。

 

 

 

「各部チェック終了、各システム、異常ありません」

 

 

 

「よし、管制塔に連絡。本艦は予定どおりの時刻にテレザートへ向け出発する」

 

 

 

「はっ!!」

 

 

 

第17管理世界の支部長がクロノの報告を重視してくれた為か、クラウディアの修理は優先的に行われたおかげでこうして短時間で終了した。

 

 

 

「あの艦がまだテレザートに滞在してくれればいいんだが‥‥」

 

 

 

艦長席に座ったクロノは不安交じりに言う。

 

 

 

「うん、そうだね」

 

 

 

クロノの横でフェイトもやや不安げに答える。

 

全身をハリネズミの様にミサイルで武装したあのミサイル艦隊が、消滅させられる前の艦隊内の通信でしきりに出していたあの『ヤマト』という名の艦。

 

小学校三年生の終わりごろから中学卒業までの約五年半の間、地球の‥‥日本の海鳴で生活したフェイトにとってはとても偶然や聞き間違いで片付けることはできなかった。

 

確かに地球とミッドには似た様な文化や名前が存在するように、もしかしたら自分たちの知らない世界の艦が、たまたま自分が地球で知る艦の名前と同じだったのかもしれないが、あの艦のシルエットと艦名から地球以外の産物ではないとフェイトの中には確信めいたモノが存在していた。

 

その確信を得るため、フェイトはどうしてもあの『ヤマト』と名乗る艦の乗員と話がしたかった。

 

 

 

所属する世界や組織の事、

 

 

 

何故あのミサイル艦隊と戦ったのか?

 

 

 

あのミサイル艦隊を攻撃した武器はどんな名前で、どういう原理なのか?

 

 

 

そして、どうやってバキューム鉱石を操作し、エネルギーが一瞬で回復したのか?

 

 

 

聞きたい事は沢山あったが、確実に言える事はあれだけの強力な艦船を建造し保有、運用できる国家なり組織なのだから、時空管理局や管理世界と同等かそれ以上の文明や科学力、そして軍事力を持っているのは間違いない。

 

高圧的な態度や言葉で挑発し、迂闊に相手を刺激して敵対するのだけは避けたいが、フェイトは何故か、あの艦の乗組員とはちゃんと話ができるという確信めいた予感を抱いていた。

 

 

 

出航予定時間となり、クラウディアは第十七管理世界を出発して全速でテレザート宙域へと向かった。

 

そしてテレザート宙域に入った頃、

 

 

 

「か、艦長!!テレザートに超大型の天体が亜光速で接近しています!!」

 

 

 

周辺の監視を行っていたオペレーターが緊迫した声をあげる。

 

 

 

「そんなバカな!!一昨日まではそんな天体は確認できなかったじゃない!?超大型の天体なら一昨日の時点で探知していてもおかしくない筈よ!!」

 

 

 

フェイトがオペレーターに観測ミスではないかと問うと、

 

 

 

「ですが、間違いありません。直径約6600キロの超大型の天体で、周囲からは強力な電波と重力場を確認できます!!」

 

 

 

「パネルに出せ」

 

 

 

「了解」

 

 

 

クロノの指示に従ってオペレーターは捕捉した超大型の天体をパネルに投影した。

 

 

 

「こ、これはっ!?」

 

 

 

パネルには巨大な白色彗星の姿がいっぱいに広がる。

 

映し出された白色彗星の映像に誰もが声と顔色を失った。

 

 

 

「なんか‥この彗星‥‥」

 

 

 

「不気味と言うか‥‥」

 

 

 

「怖い‥‥」

 

 

 

経験の浅い新人乗組員や女性乗組員は白色彗星を見て心底恐怖しているような声を漏らして身体を震わせた。

 

フェイトやティアナも口にこそ出さなかったが、他のクルーたち同様、あの巨大な白色彗星から漂ってくる形容しがたい禍々しさと不気味さに冷汗を流していた。

 

 

 

「僅か二日で、こんな巨大な彗星が接近してくるなんて‥‥」

 

 

 

「こんな事ってあり得るんですか?」

 

 

 

ティアナが次元航行艦乗りとして天体などに自分たちより遥かに詳しいクロノに訊ねる。

 

 

 

「い、いや管理局の士官学校で習った天文学でもこんなことはなかったし、僕自身、あんな巨大な彗星を見たのは初めてだ‥‥あの彗星の存在は余りにも異常だ‥‥」

 

 

 

クロノでさえ、パネルに映し出されている彗星の存在は初めて見たと言う。

 

戸惑い、恐怖、不安、そんな思いを抱いていたクロノたちにさらなる情報がもたらされた。

 

 

 

「本艦より二時の方向、先日の戦闘艦、ヤマトを確認!!」

 

 

 

「なに!?間違いないか!?」

 

 

 

「はい!!間違いありません!!先日と同じエネルギー反応と艦影ですから」

 

 

 

クラウディアのクルーはあの艦を聞き間違いかもしれないが、本当の名前が判明するまで、仮名ながらもヤマトと呼んでいる。

 

 

 

「クロノ!」

 

 

 

フェイトがクロノの方へ顔を向ける。

 

 

 

「ああ、ヤマトに追いつけるか?」

 

 

 

クロノにはフェイトが何を言いたいか分かっていたようで、操舵手にヤマト追撃を指示する。

 

 

 

「やってみます」

 

 

 

次元航行艦のメイン機関である魔導炉が唸りをあげ、クラウディアはヤマトを追いかける。

 

 

 

「通信士、ヤマトに通信を送って呼びかけて!此方に敵対の意思はない事と私たちの所属・艦名を!!地球の英語と日本語の通信文は私が作るから、貴方は大至急ミッド語とベルカ語の通信文をお願い!」

 

 

 

「わ、わかりました」

 

 

 

通信士に通信を依頼したフェイトは自らもキーボードを叩いてヤマトに呼びかける英文と日本語文のメッセージを作り、通信士に渡した。

 

 

 

この時、テレザートから例の白色彗星へと通信が行われていたのだが、残念なことに次元航行艦の通信傍受器では両者の通信を傍受出来ず、通信士は気が付かないままヤマトへの通信文を作成していた。

 

通信文を作成している時、オペレーターが一段と緊迫した声を上げる。

 

 

 

「テレザートからエネルギー反応!急激に増大しています!!」

 

 

 

「強力な磁場発生!送受信ができません!!」

 

 

 

「何度でも呼び続けて!!」

 

 

 

テレザートからのエネルギー反応の影響か、クラウディアの通信機が一時的に使用不能になった。

 

その為、ヤマトへ通信が送れない。

 

 

 

「テレザートからのエネルギー反応が止りません!!このままでは、星全体が爆発、崩壊の危険があります!!」

 

 

 

「何らかの攻撃か?まさか、プレオを破壊した例のミサイルか?」

 

 

 

「いえ、その反応はありません。重力バランス変動による地殻崩壊でもありません!」

 

 

 

「では、一体‥‥」

 

 

 

「テレザートの光学映像、出します!」

 

 

 

パネルに映し出されたテレザートの映像を見て、クラウディアのクルーはまたも驚愕した。

 

テレザート星全体が黄色い光に包まれていたのもさる事ながら、光の中に金髪で青いドレスらしい服をまとたった若い女性が祈るような姿勢で浮かび上がったのだ。

 

しばらくその光景が続いたが、やがてその姿が消え、遂にテレザートに終局の時がやって来た。

 

あの白色彗星はテレザートに接近し、両者がぶつかり合う寸前、テレザート星が白色彗星を巻き込み大爆発を起こした。

 

 

 

「衝撃波が来るぞ!!全員何かに掴まれ!!」

 

 

 

唖然とする中、クロノの慌てた大声がクラウディアに響いた。

 

 

 

 

 

それから、八時間後‥‥

 

 

 

テレザート星の大爆発から逃れるためクラウディアは緊急転移してその場から転移した為、ヤマトとコンタクトをとることはできなかった。

 

いや、それ以前にヤマトの速力はクラウディアを遥かに上回っており、到底追いつけるものではなかった。

 

結局、確認できたのはテレザート星の謎の大爆発。

 

星の表面に浮かび上がって来た金髪で青いドレスのような服をまとたった謎の若い女性。

 

不気味で巨大な白色彗星。

 

ヤマトの姿を捉えた不鮮明な光学データだった。

 

余りにも荒唐無稽で、情報不足が否めない出来事であったが、執務官としては一連の出来事を全て報告書にまとめる義務がある為、フェイトはクラウディアの艦内にある自分の部屋で報告書の作成を行っていた。

 

テレザートの爆発によって起きた衝撃波から逃れる為、緊急次元転移を行ったが、多少の影響を受け、またもやクラウディアの各部署には損傷個所が幾つも出た。

 

流石に第十七管理世界には戻れないので、クラウディアは別の管理世界へと赴く事となった。

 

折角、優先的に応急修理をしてくれたにも関わらず、出航したその日にボロボロの姿で戻り、「また修理してくれ」とは、クロノも言い辛いのだろう。

 

星の海を見ながらフェイトはヤマトとは、またいつか逢える様な気がしてならなかった。

 

 

 

 

 

彗星帝国 ガトランティス 玉座の間

 

 

 

テレザートの自爆とも言える大爆発の影響により、一時的に針路を変更せざるを得なくなった白色彗星。

 

その事実にズォーダーは不機嫌さを露わにしていた。

 

 

 

「我が帝国は建国から一度たりとも軌道を変えた事は無い。今回の軌道変更はガトランティス有史以来の屈辱である。しかし、この広い宇宙で誰一人出来なかった事を成し遂げただけでもテレサには十分に敬意を表する。だが、この屈辱は徹底的に晴らさなければならない。ゲーニッツ!!」

 

 

 

「はっ!!」

 

 

 

「バルゼー艦隊の現在位置はどこだ?」

 

 

 

「はっ、銀河・太陽系外周の8.7光年の位置にあるシリウス恒星系まで進出し、待機しております」

 

 

 

床に埋め込まれたパネルに宇宙海図を開いて艦隊配置図をズォーダーに説明するゲーニッツ。

 

 

 

「よし、直ちにバルゼー艦隊に出撃を命じろ!!我が帝国も三倍に速度をあげ、地球へ進撃する。これより地球大攻略作戦を実施する!!」

 

 

 

大帝ズォーダーは高々と地球攻略作戦の開始を宣言した。

 

この瞬間、白色彗星の本格的な地球侵略作戦が開始された。

 

 

 

 

 

シリウス恒星系‥‥

 

そこには、彗星帝国の大・中・小の戦闘艦を主力とする大艦隊が遊弋していた。

 

戦艦と思われる大型艦は全長300mを超え、中型の巡洋艦クラスの艦も200m、小型の駆逐艦でも防衛軍の宇宙駆逐艦以上の大きさを誇っている。

 

その艦隊のほぼ中央にいる大型艦は、他の艦とは全く異なるフォルムを持っていた。

 

艦形は双胴型でエンジンも双発。

 

大きさは他の大型戦艦よりも更に一回り大きく、双胴型艦体中央の艦首下部に大口径の兵器らしき武装を装備しており、他の僚艦とは異なる戦術思想を持っていることは明らかだ。

 

その戦艦‥‥バルゼー艦隊 旗艦 火炎直撃砲搭載戦艦、メダルーザの艦橋で、一人の男が全艦に命令を下した。

 

 

 

「大帝のご命令が下った。我が艦隊は総力をあげて太陽系へ突入し、地球軍を撃滅する!!」

 

 

 

この男こそ、この艦隊を率いる艦隊司令、バルゼー提督であった。

 

艦隊司令、バルゼー提督の命令一下、バルゼー艦隊はシリウス恒星系を出撃し、太陽系を目指し進撃を開始した。

 

さらにズォーダー大帝の命令はプロキオン恒星系に待機していたガトランティス、プロキオン方面軍にも伝えられ直ちに出撃。

 

バルゼー艦隊と土星圏での合流を目指し、圧倒的戦闘力をもって太陽系へ迫っていった。

 

 

 

一方、地球防衛軍も手を拱いてはおらず、連合艦隊司令の土方が先頭に立って様々な策を打っていた。

 

各方面に所属を問わずパトロール艦や哨戒艦隊を派遣し、白色彗星帝国軍の動向を補足しようと躍起になっていた。

 

その時北米管区所属のパトロール艦オマハから

 

『ワレ、敵ノ大艦隊ヲ補足セリ。敵機数機ヲ撃墜シタガ敵艦隊カラノ追撃ヲ受ケル。離脱ハ困難ナ状況ナリ。ワレ、コレヨリ敵艦隊二突入シ防衛軍軍人トシテノ誉ヲミセン。地球トアメリカノ弥栄ヲ祈ル』

 

という通信文と座標データ・白色彗星のデータが送られてきた十分後にパトロール艦オマハの信号は途絶えた。

 

(白色彗星帝国戦後にパトロール艦オマハの艦長以下乗組員全員に勲章が送られ英雄墓地に祀られた。)

 

パトロール艦オマハ(旧作版のユウナギみたいな塗装艦だと脳内変換してください)

 

【挿絵表示】

 

 

これを受けて防衛軍は艦隊主力と内惑星系艦隊の統合艦隊運用を決定したが。

 

「ともかく、各惑星や衛星の艦隊に戦闘準備の命令を‥‥」

 

 

 

「内惑星艦隊はどうする?」

 

 

 

「火星基地に集結させるか?」

 

 

 

「いや、それよりは此処土星圏に集めた方が‥‥」

 

 

 

どうやら幕僚たちは、司令部の基本方針通り、冥王星、海王星、天王星、土星、木星、火星の各宙域に戦闘区域を設け、敵艦隊を分散的に迎撃しようとしているようだ。

 

彼らの検討議論の声がまるで聞こえていないかのように一人、土方は沈思黙考を続ける。

 

 

 

敵は戦闘艦だけでも地球艦隊の倍はある。

 

しかも地球艦隊の戦艦よりも大型‥‥

 

しかし、この陣容に土方は一つ気になる点があった。

 

シリウス方面から侵入してくる艦隊の中に空母が異常に少なかったのだ。

 

第十一番惑星での件から見て、敵の基本戦術はまず機動部隊による航空先制攻撃だろう。

 

それにも関わらず、艦隊に随伴する空母が余りにも少ない。

 

空母を中心とする機動部隊は別ルートから向かっているのかも知れない。

 

だとすると、敵はまず空母を使っての奇襲攻撃を行ってくるかもしれない。

 

いずれにせよ、防衛軍司令部が想定している各惑星圏からの漸減戦は、彼我の戦力に差がなければ有効だが、これだけの戦力差があると、数の暴力で押し潰されるのは明らかであった。

 

やがて、土方はモニターに映る太陽系内の戦力配置図を睨みながら、幕僚に指示を下し始めるが、その指示を耳にした幕僚は当惑の色を見せた。

 

 

 

「命令を下す。太陽系第一、第二外周艦隊の二個艦隊は一時間以内に合流、同じく第四、第五艦隊は第三艦隊と合流し、直ちに土星圏タイタン基地に集結させろ」

 

 

 

「そ、そんなっ!?」

 

 

 

「総司令‥‥」

 

 

 

「冥王星、天王星、海王星所属艦隊も全てこのタイタン基地へ集結させろそして内惑星系艦隊については練度の高い艦はすべて集結させ、練度に自信がない艦はア・バオア・クー要塞にて最終防衛ラインを築かせろ。」

 

 

 

「お待ちください、総司令。司令部の許可なく、艦隊配置を変えるのは‥‥」

 

 

 

「そんな時間は無い直ちに命令を伝達しろ」

 

 

 

幕僚の意見など聞く耳持たず、土方は命令を下す。

 

 

 

「しかし、それではあまりにも独断すぎるのではないでしょうか?」

 

 

 

「君たちは、私の戦務幕僚ではないのかね?そしてこれは私の命令なのだ!!」

 

 

 

土方のこの言葉が決め手となり、幕僚たちは各艦隊に土方の命令を伝達した。

 

 

 

(古代たちの意見をまとも取り合わなかった挙げ句がこの体たらくだ!ガミラスとの戦争中の方がまだ危機感があった。いつから地球はこんなに余裕ぶれる程強くなったんだ!?)

 

 

 

土方は内心で連邦政府首脳と防衛軍上層部に呆れかえっていた。

 

 

 

命令を受けた各惑星や衛星の駐屯艦隊は直ちに出撃し、土方の命令通りに土星圏タイタン基地へ集結し始めた。

 

冥王星、海王星、天王星基地に残っている基地職員も艦隊の集結と共に、基地の内部データを破棄、無人戦闘衛星や無人攻撃ステーションを自動迎撃モードに切り替えた後、基地から退避した。

 

地球の防衛軍司令本部では、突如自分たちの受け持ち区域から土星圏タイタン基地へ向かう艦隊の動きを見て混乱が出始めた。

 

オペレーターは各艦隊の旗艦に通信を入れ、元の配置に戻るように伝えるが、タイタン基地への集結は艦隊司令の土方からの命令なので、艦隊は土方の命令に逆らえない様で本部からの命令を無視する形で土星圏へと集結していった。

 

そして内惑星系艦隊総司令官の束も土方からの司令を受け(この時束やディアーチェは土方の命令を勅令のように感じていた)、内惑星系艦隊第一~第四連合艦隊とユリシーズ率いる第一哨戒艦隊・イオージマ配下の強襲揚陸艦隊・トラファルガー級二隻と改コロンブス級空母五隻を動員しタイタンへ急行。ア・バオア・クー防衛艦隊の指揮はアナンケ級リオ・グランデ艦長兼内惑星系艦隊第五連合艦隊司令官のアレクサンドル・ビュコック司令に任せた。

 

当然、地球の軍本部、特に参謀本部は土方の独断専行に憤激した

 

「長官、土方総司令に中止命令を出してください!!」

 

 

 

参謀の一人が藤堂に土方を止める様に進言する。

 

その直後、

 

 

 

「土星圏、タイタン基地より入電です」

 

 

 

土星に居る土方から通信が入った。

 

 

 

「通信回路を開け」

 

 

 

参謀の一人がオペレーターに命令するとパネルに土方の姿が映った。

 

 

 

「土方総司令、これは一体どういうことだ!?」

 

 

 

長官よりも先に参謀は土方に訊ねる。

 

 

 

『長官、事後承諾になり申し訳ない。白色彗星の太陽系侵攻艦隊と思われる大艦隊が太陽系に向け、出撃してきましたので』

 

 

 

「その報告ならば受けている」

 

 

 

『土星軌道を絶対防衛線として地球防衛艦隊全艦を持ってこれを迎撃にあたります』

 

 

 

「越権行為だ!!作戦指示は軍令部から出すものだ!!」

 

 

 

『予想される大戦力を分析した結果、太陽系の広い範囲に戦力を分散配置するのは非常に危険です』

 

 

 

「戦力を集中する方がもっと危険だ!!敵の主力はその艦隊だけではない!!後から白色彗星の本体がやってくる!!」

 

 

 

『侵攻艦隊は地球艦隊よりも規模が大きい艦隊だ。戦力を集中するほか、勝利の見込みは無い!!』

 

 

 

「例え勝利を得ても味方も半数は失うだろう!?その戦力でどうやって戦うんだ!?どうやって地球を守ると言うんだ!?」

 

 

 

『この戦いに勝たなければ、地球は生き残る道は無い。白色彗星にはまた別の戦略を考えればいい』

 

 

 

「む、無謀だ」

 

 

 

『長官、御許可を頂けますかな?』

 

 

 

「君は指揮系統をなんと心得ているんだ!?」

 

 

 

『今は長官の決断が一番必要な時なのです』

 

 

 

土方と参謀のやり取りを黙って聞いていた藤堂が此処で口を開いた。

 

 

 

「土方君、戦略上の大変更は防衛会議の決定が必要なのは君も知っているだろう?」

 

 

 

『のんびりと会議を開いている暇はありません。作戦を直ちに実行しなければ地球は壊滅的被害を受けます』

 

 

 

「もう少し、時間をくれたまえ‥‥」

 

 

 

『ご決断ください』

 

 

 

「‥‥」

 

 

 

『‥‥では、私の権限で作戦を実行させていただきます。地球の全艦隊は私の指揮下にあるのですから』

 

 

 

そう言い残し、土方は長官である藤堂や参謀達の答を聞かず、通信をきった。

 

 

 

(市民が平和と繁栄に酔いしれるのはまだいい。しかし、地球連邦の政治家や軍人は本来危機意識を持っていなければならない。僅か一年‥‥たった一年で、防衛軍上層部はこうも簡単に危機意識を失ってしまったというのか)

 

 

 

土方は地球との通信をきった後、今の地球の現状を嘆いた。

 

ガミラス戦役で常にピリピリしていた頃と違い、白色彗星帝国の侵攻艦隊が迫ってきていると言うのに、司令部の中には、「アンドロメダが居るのだから大丈夫」等と言う余裕さえも感じられた。

 

「くそっ。月村司令官に通信をつなげ!!」

 

 

「はっはい!!回線繋ぎました!!」

 

 

「月村司令!!今すぐに艦隊を戻せ!!」

 

 

『・・・戦線から』

 

 

「なに?」

 

 

『戦線から遠のくと楽観主義が現実にとってかわる。そして最高意思決定の段階では現実なるものはしばしば存在しない。戦争に負けているときは特にね』

 

ブツッ

 

 

「あっ!切られました」

 

「そ、総司令!?長官、土方司令と月村司令を罷免してください!!長官!!」

 

 

 

一方、地球の防衛軍司令部では、土方の越権行為に幕僚たちが藤堂に意見するが、当の藤堂は考えに耽った。

 

今、土方を罷免させてしまえば、後任の人事に会議を開き、連邦政府のお偉方に事情を説明し、後任に相応しい人間の調査を行い、検討し、そこでようやく、決まる。

 

その間に白色彗星帝国の侵攻艦隊が太陽系に来てしまう。

 

指揮官を失った状態の艦隊など、ただの烏合の衆と化してしまう。

 

そうなれば、地球は終わりだ。

 

危険かもしれないが、ここは土方に任せてようと決めた藤堂だった。

 

そんな時、

 

「長官」

 

参謀長の西郷が藤堂に話しかけた。

 

西郷も土方を罷免しろというのか?と思った藤堂であったが、西郷の話を聞き、一瞬目を見開いたが、

 

 

「‥‥よかろう。西郷君」

 

 

 

西郷にある許可を出した。

 

 

 

「ハッ、ありがとうございます長官。では、準備が整いしだい現地へ向かいます」

 

 

 

「うむ、頼むぞ」

 

 

 

西郷は藤堂に何かを意見具申して、その具申が通ると、司令部のコントロール室を出て行った。

 

その後、藤堂は土方の提案を受け入れ土星圏を絶対防衛ラインに設定し、地球防衛軍全艦艇で白色彗星を迎え撃つ事となった。

 

 

 

 

 

「木星圏、ガニメデ、エウロパ、イオ、各衛星の航空機部隊は最短距離に居る第一、第二、第三、巡航空母艦隊のいずれかに合流。合流完了次第空母部隊は土星基地へ集結せよ!」

 

 

 

召集命令が太陽系内を駆け巡り、防衛軍の全ての艦艇はタイタン基地へと集結していく中、

 

冥王星からの軍属引き上げを行い、今まさに地球から艦隊集結地のタイタン基地へ向かおうとするユリシーズ以下の第一哨戒艦隊に便乗者がいた。

 

「木星のガニメデまで、お世話になるよ。ニルソン艦長」

 

 

 

「は!!」

 

 

 

西郷は木星の衛星ガニメデに何か用が有るらしく、ユリシーズに便乗者として乗艦した。

 

一名の便乗者を乗せたユリシーズは土星衛星タイタンの前に木星の衛星ガニメデを目指し地球を飛び立った。

 

 

 

こうして地球は白色彗星帝国との戦いに備えていったのである

 

 




ヤマトがガニメデに合流するのは次回です。

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様
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