内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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西郷参謀長が復帰されます。


第三十五話 意外な人物の戦線復帰

太陽系内周へと入ったヤマトは第十一番惑星近海へと近づいた。

 

 

 

「カイパーベルトを通過、まもなく第十一番惑星の軌道です」

 

 

 

太田がヤマトの現在位置を報告する。

 

 

 

「ここまで来れば、地球の勢力圏だ。家の庭先へ帰って来たようなものだな」

 

 

 

「このままいくと、あと数日には地球艦隊と合流できると思います」

 

 

 

「相原、防衛軍本部に連絡しておけ」

 

 

 

「はい」

 

 

 

古代の命令を受け、相原はヤマトの現在位置、地球艦隊との合流予定日時等を本部へ知らせる。

 

地球の勢力下へと戻って来たと言う事で、みんなの顔には安堵の様子が見られる。

 

そんな時、斎藤が古代を呼び、彼に第十一番惑星に立ち寄らせてくれと頼んだ。

 

しかし、古代はこの時、斎藤の頼みを断った。

 

今は一刻も早く土星圏の地球防衛軍本体との合流を急いでいる為、少しのロスも許されなかった。

 

斎藤の頼みを断った後、古代は艦橋で思いに耽っていた。

 

其処へ島が古代に声をかけた。

 

 

 

「どうした?古代。何を考えているんだ?」

 

 

 

「島、十一番惑星に立ち寄ってくれないか?ほんの少しでいい」

 

 

 

「何を言うんだ、古代!!そんな余裕があると思っているのか?白色彗星だって接近してきているんだ。今は一分一秒でも早く地球艦隊と合流しないと‥‥」

 

 

 

「ああ‥‥そうなんだが‥‥」

 

 

 

古代は力なく答える。

 

古代に第十一番惑星への立ち寄りを断られた斎藤は強硬手段に出た。

 

格納庫で整備中のコスモタイガーを奪おうとしたのだ。

 

当然、コスモタイガー隊の隊員たちはそんな事を許せるはずもなく、斎藤と取っ組み合いになった。

 

騒ぎを聞きつけた古代は格納庫へと行くと、斎藤に第十一番惑星への探査命令を出した。

 

当初、古代の命令を聞いた斎藤は困惑しつつも、第十一惑星に行けるなら‥と、整備が終わったコスモタイガーで第十一番惑星へと向かおうとしていた。

 

そこへ、佐渡が酒を持ってやってきて、「久しぶりに戦友と会うのだから、酒でも持っていけ」と、強引に酒を斎藤に持たせた。

 

 

 

斎藤が第十一番惑星へと向かっている間、ヤマトは何もしなかったと言う訳ではなかった。

 

新たに搭載したタイムレーダーにて周辺を探査し、通り過ぎて行った敵艦隊の規模と通過時間を測定していた。

 

しかし、目星しい情報は手に入らず今後も索敵活動が必要となった。

 

そこへ、地球の防衛軍本部からヤマトに通信が入った。

 

 

 

「古代、何故、ヤマトを停めた?」

 

 

 

藤堂は第十一番惑星近海で停泊しているヤマトにその停泊理由を訊ねてきた。

 

 

 

「決戦の時は近い‥事は一刻を争うのだぞ。見たまえ‥‥」

 

 

 

そう言って藤堂は土星衛星タイタン基地に集結している防衛軍本隊の映像をヤマトの乗員たちに見せる。

 

 

 

「我々は今、全力を挙げて態勢を整えつつある。目下、太陽系外周艦隊の全てをタイタン基地へ集結させている最中だ。最終的には地球連邦の全艦隊を集結させる」

 

 

 

スクリーンには、次々とタイタン基地へ続々と集結する地球防衛軍艦艇の光景が表示される。

 

 

 

「防衛軍の全艦隊をタイタン基地にですか?」

 

 

 

「土星軌道を絶対防衛線に設定し、敵の侵攻艦隊を迎え撃つのだ。地球全域にはすでに避難命令が出され、人々は地下都市へと避難を開始した。この決戦にはなんとしても勝たねばならん。急いでくれ古代!!地球はヤマトを待っている」

 

 

 

「はい」

 

 

 

藤堂はヤマトの到着を急がせて通信をきった。

 

 

 

「土星基地に全艦隊が集結か‥‥」

 

 

 

島が余りにもスケールのデカイ話だと言わんばかりに言う。

 

 

 

「こりゃまた、思い切った事をするもんじゃわい」

 

 

 

徳川も島の意見と同様な様子。

 

 

 

「おそらく土方提督が提唱した戦略でしょう」

 

 

 

真田がこの作戦の立案者の名をあげる。

 

 

 

「土方さんが?」

 

 

 

「そうだ、古代。敵の規模は途方もなく巨大なものだ。すべての戦力を一局に集中せねば、勝利の見込みは無い」

 

 

 

「しかし、次には白色彗星本体が出てくるんですよ。いくら侵攻艦隊に勝てたとしてもその時に戦力が失われてしまっては元も子も‥‥」

 

 

 

南部が今回の作戦大丈夫なのかと不安げに訊ねる。

 

 

 

「僕もそう思います。戦力は分散配置させた方が良かったんじゃないんですか?」

 

 

 

太田も南部の意見に同意した。

 

 

 

「まず、侵攻艦隊を倒さねば、地球が生き残る道は無い。白色彗星にはまた別の戦略を考えるしかないんだ。無謀にも見えるかもしれんが、そうするしかなかったんだよ、土方提督は‥‥」

 

 

 

真田の予想はピタリと一致していた。

 

 

 

 

 

その頃、第十一番惑星に到着した斎藤は、第十一番惑星を急襲してきた白色彗星帝国との戦闘で戦死した部下たちの墓へと来ていた。

 

 

 

「お前たち‥‥此処にいたのか‥‥」

 

 

 

墓と言っても、戦死者が使っていたであろう、ロケットランチャーやビームライフル、ヘルメットで作られた簡単な作りの墓標である。

 

 

 

「さぁ、お前たち‥‥飲め‥‥」

 

 

 

斎藤は部下の墓、一つずつに丁寧に酒をかけた。

 

そして、斎藤が部下の墓参りをしていると突如、大きな揺れが起こった。

 

 

 

「な、なんだぁ!?じ、地震か!?」

 

 

 

斎藤が辺りを見回していると、空には高速飛行物体が飛んでいった。

 

 

 

「こ、こりゃあ‥‥!!」

 

 

 

突如、空を飛んでいった高速飛行物体を見ていると、其処からかビームライフルのビームが飛んできた。

 

 

 

「やべぇ!!」

 

 

 

斎藤がビームの飛んできた方向に目をやると、彗星帝国の兵士がビームライフルを構えながら、近づいて来た。

 

斎藤は両手をあげ、抵抗はしないというポーズをとると、兵士は尚も近づいてくる。

 

そして事もあろうに斎藤の部下の墓の上を歩いた。

 

それを見た斎藤は憤慨し、手で兵士が持っていたライフルを弾くと次に兵士の腹に蹴りを入れ兵士が吹っ飛ぶと、

 

 

 

「そこを土足で踏むんじゃねえ!!」

 

 

 

と、怒声で叫びホルスターからコスモガンを抜き、敵の兵士を射殺した。

 

 

 

戦死した部下たちの墓参りを終えた斎藤は急いでヤマトへと戻った。

 

第十一番惑星の空を飛んでいった高速飛行物体は彗星帝国軍の長距離ミサイルだった。

 

 

 

「ミサイル接近!!‥‥第十一番惑星からです!!」

 

 

 

「なんだって!!」

 

 

 

「十一番惑星は、すでに敵の兵站基地になっていたと言う訳か‥‥」

 

 

 

真田の言う通り、防衛軍が冥王星まで防衛ラインを引き下げたことにより、彗星帝国はナスカ艦隊が全滅した後、また新たに先遣部隊を送り、何の抵抗もなく第十一番惑星を占拠、そこに大規模な兵站基地を建設していた。

 

そして、第二次先遣隊は彗星帝国本体の地球攻略作戦が実施されるまで、防衛軍に悟られぬようにひっそりと息を潜めていた。

 

だが、ズォーダー大帝が地球攻略作戦の発動を宣言し、しかも至近距離にあのヤマトが来たのだ

 

基地の将兵たちはこの千載一遇の機会を見逃す手はないとヤマトに対して攻撃を開始したのだ。

 

 

 

ヤマトはミサイルを撃ち落としながら、第十一番惑星へと接近する。

 

斎藤を待つよりも此方から出向いた方が早かったからだ。

 

更にヤマトの後方からは敵艦も迫って来た。

 

ヤマトは大きく旋回し、敵艦を迎撃するが、斎藤の回収と敵の攻撃の回避は不可能。

 

故にヤマトは斎藤の回収を優先した。

 

その為、ヤマトの各部に被害を出し、多数の負傷者も出した。

 

だが、ヤマトもただでやられる訳にもいかず、斎藤を待っている間、波動砲のエネルギーチャージを行っていた。

 

そして、斎藤の帰還と同時にエネルギーが溜まり敵艦隊と第十一番惑星の敵基地に向けて波動砲を撃ちこんだ。

 

 

 

ヤマトの波動砲により、第十一番惑星の敵基地と艦隊は一瞬のうちに消滅した。

 

基地と守備艦隊との連絡が途絶えた事から、ヤマト の攻撃を受けたものだと、彗星帝国側は直ぐに分かった。

 

 

 

 

 

白色彗星帝国軍 太陽系侵攻機動艦隊 旗艦 メダル―ザ 艦橋

 

 

 

「バルゼー提督、第十一番惑星の兵站基地がヤマトの攻撃を受け全滅しました」

 

 

 

「なにっ!?」

 

 

 

「護衛にあたっていた第二十五戦闘艦隊も同じく連絡を絶ちました」

 

 

 

「‥ヤマトか‥‥‥」

 

 

 

この時からヤマトはバルゼーにとって取るに足らない辺境の田舎戦艦から小賢しい敵と認識を変えた。

 

 

 

ヤマトは第十一番惑星で負った傷を修理しながら、第十一番惑星軌道を抜けた。

 

探査任務(部下の墓参り)を終えた斎藤は医務室で佐渡と酒を酌み交わしていた。

 

 

 

「今日の酒はうめぇ‥‥」

 

 

 

杯に注がれた酒を一気に飲む斎藤。

 

 

 

「そうじゃろう、そうじゃろう!!さっ、呑め!!もっと呑め!!」

 

 

 

佐渡は斎藤の杯に酒を注ぐ。

 

 

 

「先生‥‥あいつは良い奴だな‥‥」

 

 

 

「誰の事じゃ?」

 

 

 

「‥‥艦長代理だよ」

 

 

 

「ん?そうか、そうか」

 

 

 

佐渡は嬉しそうに頷きながら自らの杯に酒を注いだ。

 

 

 

その頃、土星圏タイタン基地では地球防衛軍の艦艇が続々と集結していた。

 

 

 

「只今、第十一艦隊が到着いたしました。すでに第二十四艦隊はイアペトゥスに、第十五、十六艦隊はレアに配置完了。現在第六機動艦隊、第七巡洋艦隊がタイタンに向かいつつあります」

 

 

 

「うむ」

 

 

 

パネルにはタイタン、土星圏に集結してくる地球艦隊の光景が広がっていた。

 

とはいえ第十一番惑星での戦闘により、予定時間を大いにロスした為、ヤマトは冥王星を通過した後、土星までの大ワープを行う事となった。

 

その時、ヤマトのレーダーが一瞬何らかの反応を捉えた。

 

 

 

「っ!!レーダーに今、なにか‥‥」

 

 

 

「どうした?雪?」

 

 

 

「レーダーに一瞬、反応が出た様に思ったんだけど‥‥消えてしまったわ‥‥ちょっと待って。記録をさかのぼってみるわ」

 

 

 

雪はタイムレコーダーの履歴を遡って、先程捉えた反応を調べる。

 

 

 

「何もなければいいんですけど、こういう時の悪い予感って当たっちゃうんですよね‥‥」

 

 

 

相原がフラグをたてるような台詞を吐く。

 

 

 

「見つけたわ!!微弱だけど、潜宙艦が空間潜航時に出すパルスよ!!ヤマトのコンピューターに潜宙艦の交戦記録が残っていたから、一瞬でも感知出来たのね」

 

 

 

雪が過去の履歴と先程の反応を照らし合わせた結果、先程捉えた反応は敵の潜宙艦の反応だと判明した。

 

相原の言う悪い予感は奇しくも当たってしまった。

 

 

 

「潜宙艦がこのあたりにか?敵の偵察隊‥‥いや、奇襲隊の可能性もあるな」

 

 

 

島がこの辺りに潜んでいる潜宙艦の目的を推察する。

 

確かに島の言う通り、潜宙艦の構造上、潜宙艦は偵察か奇襲攻撃には持って来いの艦艇だ。

 

ドイツのUボートによる群狼戦術しかり、第二次世界大戦の折、日本軍が真珠湾攻撃の際に行った特殊潜航艇による攻撃、アメリカの潜水艦による通商破壊同様、十分奇襲攻撃の可能性はあった。

 

 

 

「土星で待っている土方さんの下には潜宙艦のデータが無い!!もし、それが奇襲艦隊だとすると‥‥」

 

 

 

「まずいぞ、これは‥‥!!」

 

 

 

古代と徳川も敵潜宙艦の狙いが集結中の防衛軍への奇襲攻撃を危惧する。

 

 

 

「相原、急いで潜宙艦の分析データを土星へ転送するんだ!!」

 

 

 

古代は相原に防衛軍本体へ、潜宙艦のデータを送るように指示する。

 

 

 

「了解!!でも、ただでさえ、バカでかいデータです‥‥収束通信で送ってもかなりの時間がかかります!!」

 

 

 

「仕方がない‥‥艦載機を展開して警戒しながら進もう!!なんとか土星到着前に潜宙艦を発見して撃破しなければ‥‥相原、土星への通信を並行して、周囲を探針で探ってくれ!!」

 

 

 

「了解‥‥ふぅ~いきなり忙しくなるな‥‥」

 

 

 

相原は土星へデータを送るのと同時に、以前プロキオン宙域にて探針で潜宙艦を探り当てたのと同様の方法で、潜宙艦の捜索にあたった。

 

その結果、相原は次々と潜宙艦を発見し、コスモタイガー隊にその位置を通達して、コスモタイガー隊は潜宙艦を次々と撃沈していった。

 

ヤマトが冥王星付近にて、敵の潜宙艦と交戦して居る頃、

 

 

 

「艦長、前方にガニメデ基地、着陸用ドックを確認」

 

 

 

二ルソン大佐が艦長を務めるユリシーズは木星のガニメデ基地に到着した。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「ようこそガニメデへ」

 

 

 

基地管制塔からの通信が入る。

 

 

 

「こちら地球防衛軍、戦艦ユリシーズ。藤堂司令の命令を受け、西郷参謀長を乗せ、ただいま到着しました。誘導をお願いします」

 

 

 

「‥‥IFFを確認‥‥了解。第二ドックへの着陸を許可します」

 

 

 

「了解、戦艦ユリシーズ、第二ドックへ着陸します」

 

 

 

ユリシーズ通信長はガニメデ基地とコンタクトをとり、ユリシーズはガニメデ基地の艦船第二ドックへ着陸した。

 

 

 

既に木星圏に駐屯している艦隊は土星のタイタン基地に向かっていたので、ドック内に艦船の姿が見えない‥‥と、思ったら、まだ一隻だけ戦艦がドックに残っていた。

 

 

 

「西郷参謀長、ガニメデ基地に到着しました」

 

 

 

二ルソンが西郷のいる部屋へ行き扉の前で まほろば がガニメデ基地に到着したことを知らせる。

 

 

 

「うむ、今行く」

 

 

 

「さ、参謀長!!その恰好は!?」

 

 

 

部屋から出てきた西郷の姿を見て、二ルソンは声をあげる。

 

目の前にいる西郷はいつもの防衛軍司令部の幕僚が着ている深緑色の軍服ではなく、ニルソン艦長が着ている宇宙艦隊の艦長が着ている黒いジャケットタイプの軍服に白い軍帽を被っていた。

 

 

 

「ん?この服装のことかね?見ての通りだ。私も今回の作戦では、一艦長として、戦場に赴く。既に長官の許可を得ている」

 

 

 

土方が独断で艦隊配置を変えた時、西郷は藤堂に自分も艦長として前線に赴くのでその許可を出してもらうよう頼んでいたのだ。

 

 

 

「では、横に泊まっている艦は‥‥」

 

 

 

「私が艦長を務める艦だ」

 

 

 

そう言って、西郷は荷物を纏め、ユリシーズを降り、横に泊まっている戦艦へと移乗していった。

 

その時の西郷の様子は、普段防衛軍司令部庁舎に居る時よりも、何だか嬉しそうと言うか、輝いていた。

 

宇宙戦艦アナンケ 第一艦橋

 

 

 

「へぇ~あの参謀長殿が‥‥」

 

「ん?どうしたのだ束??」

 

『ああ、参謀長殿がドレッドノート級戦艦薩摩の艦長になって戦線に復帰されるとのことだ』

 

「なんだとぉ!!??」

 

束がユリシーズ艦橋員から戦艦の艦長を務める事を伝えられてある意味関心しているのに疑問を持ったディアーチェの質問に連絡を受けた千冬が詳細を伝えたが、ディアーチェは多いに驚いた。

 

まぁ、確かに司令部の幕僚が好き好んで前線勤務を志願するなんて、珍しい事なので、ディアーチェが意外そうに言うのも分かる。

 

「ほえ?王様、総参謀長って前線勤務だったの??」

 

「レヴィ・・・お前な・・。西郷参謀長はかつて戦艦の艦長を務められたことがあるのだぞ?」

 

「ええ!!??」

 

まあ、『あの参謀長殿が・・?』となるのは当たり前だが

 

 

「司令、ユリシーズ以下第一哨戒艦隊から薩摩とともにガニメデを出航したとのことです」

 

「了解。さーてヤマトはいつになったら来るのやら」

 

 




ヤマト合流はやはり次回になりました。

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様
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