内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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まさに双方にとっての地獄絵図


第四十六話 そこはまさに地獄

 

強襲揚陸戦隊戦隊長のシュベルトが発案した挺身作戦は土方が全員生還を条件に採用したものの挺身作戦に参加した保安隊や陸戦隊・強襲揚陸戦隊は全滅を覚悟しており、作戦開始直前に水杯を交わしていたという。

 

「古代!後ろからコロンブス級が突っ込んで来るぞ!」

 

「なんだって!総員!伏せろぉ!!」

 

先に突入していたヤマト航空隊や戦術科の乗組員は無論のこと、古代や真田・斎藤もまさか友軍艦が突っ込んで来るとは想像もしておらず、慌てて敵の銃座からの射線に入らないように物陰に隠れたその時!

 

ズドガァァァァァン!!

 

改コロンブス級強襲揚陸艦の<イオージマ>がドック内にあったククルカン級襲撃型駆逐艦を押しのけながら突入してきた。

 

「総員!!つづけぇ!!」

 

『おおー--!!』

 

突入が成功したとたんに両舷のコンテナ型格納庫の正面ハッチが開き、シュベルトが先陣を切って突入してきた。

 

「って!シュ、シュベルトの姐さん!!」

 

「おお、斎藤か何をぼさっとしてるんだ!さっさと突入しろ!!」

 

「あんたらがとんでもない方法で入ってくるからだろうが!!」

 

「戦隊長殿!なーにをやってるんですか!先陣を切ったんですから物陰に真っ先に入ってください!!」

 

「す、すまん」

 

実は斎藤の所属していた空間騎兵連隊とシュベルトの強襲揚陸戦隊はかつて友好演習を行ったことがあったのだが空間騎兵隊はぼこぼこにされたことがありそれ以来その空間騎兵隊はシュベルトのことを『姐さん』と呼んでいたのだ。

 

「で、貴様らはなんのために突入したのだ?我々は敵の機関部か首脳部を叩きのめすために土方提督に私が直談判して突入してきたのだが?」

 

「なんだって!?我々も同じだ!」

 

「そうか!なら我々も随伴しよう!」

 

「というか、あの土方さんに直談判したのか・・・」

 

「で、あのパワードスーツのようなのはなんなんだ?」

 

「ISと空間機動甲冑だ」

 

実はISと空間機動甲冑は内惑星系艦隊の強襲揚陸戦隊にのみ試験配備されていたのだ。

 

「戦隊長!確かにヤマトの船員に続くのもいいですが橋頭保を確保しておくべきではないですか!?」

 

「む、確かに一理あるな・・・・よし、古代艦長代理!!」

 

「な、なんですか?」

 

「機関部破壊には貴様らにまかせる!ここは我々強襲揚陸戦隊に任せて機関部をぜったいに破壊してこい!」

 

「は、はい!」

 

シュベルトの指示を受けた古代と真田・斎藤は航空隊と戦術科のメンバーを率いて突入していった。

 

「戦隊長!敵の歩兵部隊が!」

 

「まったく、ここが死に場所になりそうだな」

 

「縁起でもないことを言わないでください!」

 

「陸奥保安隊半壊状態です!」

 

「今すぐ<イオージマ>に戻らせろ!」

 

ここは地獄であった。

 

 

一方そのころ彗星都市外部も地獄であった。

 

「ドレッドノート級戦艦の<コロラド>が中破!戦線を離れます!」

 

「マゼラン級戦艦のカリフォルニア大破!総員退艦命令が発令されました!」

 

「サラミス級<アドミラル・ヒッパー>小破なれどもいまだ健在!」

 

「アトランタ級<ブルックリン>小破!」

 

<イオージマ>突入のために陽動作戦を行っていた主力艦隊は悲惨な状況になりつつあった。

 

なにせ突入口の形成は成功したものの敵の防御用火砲まいまだ多数が健在であり、支援のために近づいていた艦隊は圧倒的な弾幕をうけたのだから。

 

 

「提督!このままだと破壊作戦が成功する前に本艦隊の続戦能力が尽きてしまいます!」

 

「提督!護衛艦<晴風>艦長の岬明乃から意見具申!『本護衛艦隊による小型波動砲の一斉発射で別の箇所にも大穴を開けて敵の防衛設備に不具合を発生させる』というものが」

 

「許可する!ただし<イオージマ>から送られてきたデータを参考にし、突入部隊が巻き込まれぬようにして発射させろ!」

 

「了解しました!」

 

 

護衛艦<晴風>

 

「艦長!土方提督からの許可が下りました!『<イオージマ>及び突入部隊に被害が及ばないエリアに対してのみ収束波動砲を使用せよ』と!」

 

「了解!しろちゃん!波動砲戦用意!」

 

「了解!護衛艦隊各艦!波動砲戦用意!マルチ隊形!」

 

「めいちゃん!照準しっかりと!」

 

「お任せ~!」

 

「タマちゃん!敵艦接近したらすぐに魚雷発射!」

 

「うい!」

 

「波動砲発射準備完了!」

 

「付近の味方艦の退避も完了とのことです!」

 

「対ショック対閃光防御!」

 

「艦首波動砲!発射!!」

 

そうして護衛艦<晴風>旗下の護衛艦部隊は彗星都市のベルト装甲の直下に収束波動砲を叩き込んだ。

 

これにより彗星都市の防御システムの大半が機能を停止してしまった。

 

ドック内橋頭保防衛線

 

「ぬぉっと!なんだ!今のは!」

 

「ラウラ隊長!我が部隊のISと空間機動甲冑を装備していない者のほとんどが重傷です!」

 

「今すぐに<イオージマ>に担ぎ込んで応急処置してもらえ!」

 

「ラウラ!無事か!」

 

「戦隊長!はい我々の部隊は半数が死傷していますが何とか!」

 

「それは無事とは言わん!」

 

「私たちアナンケ保安隊は5割が重傷で壊滅判定ですけどね」

 

「更識!無事だったか!」

 

「ええ、何とか」

 

橋頭保守備隊は壊滅寸前まで追い詰められていた。ISと空間機動甲冑のおかげで死者は少ないもののほとんどの部隊が壊滅していたのだから。

 

「くそ!戦隊長!まだ機関部の破壊はできないんですかね!」

 

「ああ、そろそろ破壊されてもいいと思うのだがって、ん?」

 

「あれ?ガトランティス兵がなんか逃げ回ってません?」

 

「確認してみる」

 

シュベルトは突然ガトランティス兵士の抵抗が弱まったことを不審に感じ頭を出して双眼鏡で確認したところ

 

「おい、ラウラ」

 

「は、はい?」

 

「お前らは虫を艦内に入れていたのか?」

 

「へ?ってなんじゃありゃ!」

 

そこにはどこにいたのか蚊やGなどの害虫にパニックをおこして倒れていくガトランティス兵士がいた。

 

「いやいや!我々は虫嫌いですし、そもそも艦内に虫は入れませんよ!!」

 

「じゃあどこからあんなに大量の虫が?」

 

「まぁなにはともあれ好機だ!今のうちに仲間の遺体を<イオージマ>に収容させておけ。それと気絶したガトランティス兵士(機関銃座)は徹底的に切開してやれ!」

 

『イエスマム!』

 

こうして守備隊は古代と真田が戻ってくるまで橋頭保を維持し続けたのである。

 

 

ところでなんで虫が彗星都市の内部に入り込んでいたのかというと・・・

 

『よし、もういいと思うぞ』

 

「わかりましたルシフェリオン。ふぅ、なかなか転移魔法は疲れますね」

 

ここは地下都市の避難民収容区画の近くの廃棄ビルの中。ここで高町星奈は愛機ルシフェリオンとともに地下都市内にいた害虫どもを腹いせとばかりにガトランティス彗星都市内部に送り込んでいたのだ。(えげつない・・)




次回 マトリョーシカ

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様

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