(閑話案をまたいただいたので一部編集して投稿します!)
束たちが雷王作戦を完遂していたころ地球の海鳴市では・・・
「それで、この前さぁ‥‥」
ある日、昴はリンネと共に世間話をしながら市街地を歩いていた。
すると、
「あれ?」
リンネが何かを見つけた。
「ん?どうしたの?リンネ」
「昴、アレ‥‥」
「えっ?」
リンネが指さした先には何かが落ちていた。
二人が駆け寄ると、それは赤ん坊ぐらいの大きさなのだが、勿論それは赤ん坊ではなく一体の人形だった。
ただ、動物や日本人形ではなく外国の人形なのだが、フランス人形やくるみ割り人形とかの部類ではなく、アフリカの民芸品みたいな人形で、牙が生えた口を大きく開け、舌を出し、頭は鶏冠のような髪型に角を生やしている。
着ている服も原始人みたいな腰蓑一丁しか身にまとっていない。
「何これ?人形?」
「見た所民芸品みたいだね」
「落し物かな?」
周囲を見渡すが、この人形を落とした様な人は見当たらない。
「落し物なら交番に届けないとね」
「そうだね」
昴とリンネは落ちていた人形を持って交番へと向かった。
「すみませーん!!」
昴が交番に居るお巡りさんに声をかける。
「はい、は~い、何かな?」
「落し物でーす!!」
「落とし物?なに?」
若い警官が気だるそうに交番から出てくる。
しかし、リンネが持っている人形を見て、ギョッとする。
「ん?えっ?何それ?ええー!!落とし物?えっ?これ、落ちていたの?」
「うん」
「えっ?捨てられていたんじゃないの?」
「ゴミ捨て場に落ちていたわけではないですし‥‥」
墜ちていたのはゴミ捨て場ではなかったので、ゴミだとは思えなかった。
「それを‥‥わざわざ交番に持ってきたの?」
「落とし物だからね」
「ええー‥‥コレ、絶対に呪われる奴だよ‥‥」
お巡りさんはリンネが持っている人形を見てドン引きしている。
「呪いって、お巡りさん何を言っているの?」
「本当に落ちていたの?」
お巡りさんはあくまでも落とし物ではなく、ゴミとして処理したいみたいだ。
「だから、落ちていたって言っているじゃん!!」
「えっ‥‥あぁ‥‥どこで拾ったの?コレ?」
「三丁目の交差点」
「三丁目?それなら二丁目の交番の方が近いのに何でこっちに持ってきたの?」
「家がこっちの方だから」
昴はお巡りさんの二丁目の交番ではなく、この交番に来た理由を話す。
理由は月村邸に向かうのにこっちの交番が通り道にあるからだ。
「とにかく、これ渡しますので‥‥」
リンネがお巡りさんに人形を渡そうとする。
「えっと‥‥さわっ‥‥ちょ、い、いったんそこ‥‥そこに置いてみてくれる?」
「あの~‥‥こっちもこの後色々予定があるんですけど‥‥」
「もう~早く引き取って下さいよ!!」
中々人形を受け取らないお巡りさんに対してリンネも昴もイライラしている。
「いや、いや、ちょっ‥‥」
リンネが人形をズイッとお巡りさんに差し出すと、お巡りさんは後ろに後退る。
「ほら、はい」
「えええ~‥‥いや、ちょっ、今、忙し‥‥あ、あっち、あっちで呼ばれているから」
呼ばれても居ないのにお巡りさんはとうとうこの場から逃げ出そうとする。
「もう、ただの人形なんだから、早く引き取ってよ!!」
「いや、これ絶対に呪われる奴だって!!」
見かけが怖い人形にお巡りさんは怖がっている。
このお巡りさんはどうやら迷信深い性格みたいだ。
「絶対に嫌だ!!受け取らない!!しつこい!!」
そして、とうとう職務放棄を宣言しだした。
「じゃあ、どうするの?これ?」
「二丁目の交番に渡してきて!!」
「えぇー今から逆方向に行くのはめんどい!!」
「若いんだから運動しなさい!!運動を!!」
「むぅ~」
「リンネ‥‥ぼそぼそ‥‥」
中々人形を受け取らないお巡りさんに業を煮やして昴はリンネに耳打ちをする。
そして、
「ほい」
リンネは人形をお巡りさんに向かって放り投げる。
「あっ、わわわわわ‥‥」
お巡りさんは反射的にその人形をキャッチする。
「うわわわわわ‥‥やばい、どうしよう‥‥ちょっと、コレ‥‥もう、これで本当にお巡りさんに何かあったら君たちのせいだからね」
お巡りさんは落とすと呪われそうだと思い、かと言って手に持ってしまったからには昴やリンネに渡すわけにもいかず、嫌々ながらも人形を持ったまま交番の中に入って行った。
奇妙な人形を交番に届けた二人は再び歩き出す。
「それで、何の話でしたっけ?」
「ああ、実はこの前、忍さんの発案で季節外れの鍋会をやったんだよ」
「鍋?日本では調理器具を食べるのですか?」
「いや、そうじゃなくて、土鍋って言う浅く広い鍋にスープと具材を入れて煮込んで食べる料理の事‥主に冬に食べるんだよ」
「へぇ~‥‥それで、その鍋で何かあったんですか?」
「そうそう、それで、鍋は鍋でも闇鍋をやろうって言い出して‥‥」
「闇鍋?」
「闇鍋って言うのは、材料を複数人で持ってきて、真っ暗な中でその具材を鍋で煮込んで食べる鍋の事だよ」
「変わった食べ方をするのですね」
「うん。忍さんも変わっている所があるからね。それで、私と箒姉、星姉、忍さんで具材を持ち合って闇鍋をしたの‥‥」
昴はリンネに先日行われた闇鍋をやった時の事を話す。
鍋会の日、月村家の食堂ではグツグツと音を立ててスープが煮立っている鍋がある。
「さあ、やるわよ」
忍が食堂の電気を消すと、明かりは鍋の下の携帯コンロの火だけとなる。
「じゃあ、まずは星奈ちゃんからね」
「はい」
星奈が何かを鍋の中に入れる。
すると、周囲に異臭が漂う。
「うわくっさ!何この臭い!?」
「星姉、お〇らしたでしょう!?」
悪臭に顔を歪める箒と昴。
昴はこの異臭は星奈が〇ならしたのではないかと疑う。
「次、箒ちゃん」
「むぅ~この臭いを消すにはちょうどいいな」
そう言って箒は鍋の中に具材を入れる。
すると、今度は甘ったるい臭いがしてくる。
「なんか甘い匂いが‥‥」
「箒、何を入れたの?」
(この匂い‥‥チョコレートかな?)
昴は鍋から漂ってくる甘い匂いの正体がチョコレートだと判断した。
「次、昴ちゃん」
「は、はい」
(大丈夫かな?)
昴は鍋の中にあるモノを投下する。
ボチャ、ボチャ、ボチャと沢山の具材を投下したので、落水音が多い。
「なんか、大量に入れたね」
「一体何を入れたんだ?」
(ガムとチョコを一緒に食べるとガムが溶けちゃうけど、いっぱい入れたから大丈夫だよね?)
昴が鍋の中に入れたのは大量のガムだった。
しかし、昴の前に箒が鍋にチョコレートを入れたので、昴は自分の入れたガムが溶けないか心配だった。
「じゃあ、最後は私ね」
そう言って忍もボチャ、ボチャ、ボチャと沢山の具材を投下する。
すると、今度は甘酸っぱい匂いがしてきた。
「忍さん、何を入れたの?」
「これ、本当大丈夫なのかな?」
鍋なのに具材から放つ匂いが臭かったり、甘かったり、甘酸っぱい匂いがしたので、心配になる。
「食べるときは電気つけません?」
「そ、そうね‥‥」
提案者の忍も不安になり食堂の明かりをつける。
すると、茶色いスープの中に何かが浮いている鍋の姿があった。
「な、ナニコレ?」
「ドリアンです」
鍋の中にある物体は星奈が入れたドリアンだ。
「このスープの色は‥‥」
「多分、私が入れたチョコレートだ」
スープが茶色になったのは箒が入れたチョコレートのせい。
なお、甘い匂いもチョコレートだ。
「なんか、スープに粘着力があるんだけど‥‥」
忍が菜箸で鍋をかき混ぜるとスライムみたいにスープに粘性があった。
「ソレ、私が入れたガムのせいかも‥‥」
スープが粘着質なのは昴が入れた大量のガム。
「ん?何か小さなモノが‥‥」
箒が菜箸で鍋に沈んでいる小さな物体を拾い上げる。
「それは私が入れたアセロラの飴」
鍋の中にある小さな固形物は忍が入れたアセロラ味の飴だった。
「「「‥‥」」」
あまりの鍋の惨状に思わず沈黙する三人だった。
「それで、どうなったんですか?それを食べたんですか?」
「ううん、流石に食べる気にはなれなくて‥‥」
「捨てたんですか?」
「うん。でも、臭いでノエルさんにバレて、皆怒られた」
「‥‥」
食堂での闇鍋の匂いは食堂から出て屋敷中に広がり、ノエルが駆けつけ、鍋を見て瞬時に状況を判断し、その場に居た全員がノエルからお説教を受ける羽目になった。
「そ、それで、今度はルールを設けて改めて闇鍋をしようってことになったの」
「またやるんですか‥‥」
「ねぇ、リンネも来ない?」
「えっ?」
昴は闇鍋のリベンジにリンネを誘った。
「‥‥」
話を聞く限り、闇鍋はとても人が食べるモノではない印象がある為、リンネは鍋会の参加に対して渋っている。
「こ、今度は大丈夫だよ。鍋の具材縛りでやるから」
「は、はぁ~‥‥それじゃあ‥‥」
リンネとしては折角の昴からの誘いだし、ラーメンの時も昴からのアドバイスで美味しいラーメンと出会えた。
それに次の闇鍋では鍋の具材縛りと言う事で昴が話した様な惨事は起きないだろうと判断し、闇鍋に参加することになった。
昴から闇鍋に誘われたリンネは両親にその旨を伝えると、後日にリンネの父親がある変わり種の具材を用意してくれた。
「えっ?これって‥‥」
リンネは最初、その具材を見て戸惑う。
「中国の知り合いの人に貰ったんだ。見かけはアレだが、味は美味しんだぞ」
「‥‥」
リンネはこの食材が本当に美味しいのか疑う。
「あっ、その目疑っているな?よーし、それじゃあ証明しようじゃないか」
その日の夜にリンネの父親がその具材を使用してある料理を作った。
リンネは恐る恐るその料理を口にしたが、見かけによらずその料理は美味しかった。
そして、リンネはその食材を持って月村家での闇鍋会に臨んだ。
前回同様、月村家の食堂で携帯コンロの上にスープが入った鍋がグツグツ煮えている。
「えぇーでは、これより第二回闇鍋大会を開催したいと思います」
忍が開会の宣言を述べると、その場に居る皆が頷き、忍が鍋の蓋を取る。
そして、皆が具材を鍋の中に投入する。
「前回は皆がお菓子や果物を入れてゲテモノになった反省を踏まえて、今回は鍋料理の具材に条件を縛らせていただきました」
あの時のノエルからのお説教は主である忍も堪えたようなので、今回の闇鍋では具材を縛る条件を出したのだ。
そして、今回は具材を縛った事により、具材の投入後も鍋からは変な臭いはなく、鍋の中からグツグツと具材が煮えている音がする。
しばしの間、具材を煮込んだ後、
「では、まず昴ちゃん」」
「えっ?私!?」
「前回、大量のガムを入れた罰ね」
「それを言うなら、チョコレートを入れた箒姉やドリアンを入れた星姉の方が重罪でしょう?忍さんだって沢山の飴を入れたのに‥‥」
愚痴りながらも小皿に装った鍋の具材を口にする。
「フゥー‥‥フゥー‥‥パクッ‥‥ん?何か硬い‥‥ナニコレ?本当に鍋の具材?」
「えっ?」
昴の言葉を聞いて電気をつけると鍋の中には昆布が四枚と少量の肉が入っていた。
「「「えっ?」」」
鍋の具材を見た忍、箒、星奈は唖然とする。
「被った?」
「えっ?もしかして他の皆も?」
「昆布を入れたの?」
「えええーっ!!」
「じゃあ、このお肉は?」
「それは私です」
リンネが入れた肉以外は皆、具材が被った。
「これ、ただの出汁鍋じゃん!!」
一応、リンネが入れた肉があるのだが、いかんせん量が少ない。
これでは和風のブイヨンスープである。
その後、ノエルがあらかじめ用意していた鍋の具材を入れて普通の鍋会となる。
そんな中でリンネが持ってきた肉を忍、箒、昴、星奈が食べる。
「ん?これは、鶏肉か?」
肉を食べた箒が肉の味の感想を言う。
その肉の味は鶏肉の味にそっくりだったので、皆はリンネが入れた肉は鶏肉だと思った。
「でも、鶏肉にしてはなんかさっぱりしている様な‥‥」
「なんか味が深い感じね‥‥」
しかし、普段食べ慣れている鶏肉と少し異なる味だった。
「ねぇ、リンネ。これ何のお肉なの?鶏肉?」
そこで昴はリンネに肉の正体を尋ねる。
「これは田鶏(テイエンチー)の肉です」
「‥‥」
リンネから肉の正体を聞き、忍はピシッと固まる。
そのリアクションから忍は田鶏の正体を知っているみたいだ。
しかし、田鶏の正体を知らない箒たちは気にせずに田鶏の肉を食べている。
「へぇ~田鶏ってどんな生き物なの?やっぱり珍しい鳥なの?」
「カエルです」
「「「‥‥」」」
田鶏の正体を聞き、箒たちもピシッと固まる。
三人は反射的に吐き出しそうになったが、それは食材を用意してくれたリンネに対して失礼なので、苦心しながらも田鶏の肉を飲み込んだ。
「私も先日、父の土産で田鶏を食べたのですが、最初は嫌悪感がありましたが味はなかなか美味しく、唐揚げは絶品でした。今回は鍋と言う事で水炊きにしましたが、これは、これでなかなかですね」
そう言ってリンネは田鶏の肉を食べる。
しかし、田鶏の正体を知った忍たちは出来れば田鶏の出汁が出ている鍋も食べたくはなかったのだが、また食べ物を粗末にするとノエルに怒られるので、肉以外の食材ばかり食べていた。
「日本の鍋と言う料理も美味しいですね」
リンネは笑みを浮かべながら再び田鶏の肉を食べた。
今日の鍋会ではノエルから叱られることはなかったが、今回の鍋も忍たちにとっては忘れられない鍋会となった。
次回 土星圏
再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥
-
Dr.スカリエッティ
-
エルトリア組
-
アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様