木星圏に突如現れたガトランティス残党艦隊との戦いは雷王作戦の実行により成功したかに思えたが、突如として敵艦隊のほとんどが特攻を仕掛けてくるという普通なら考えられない事態が起きた。
しかし、アマテラスやヤマトを主体とする防衛軍戦艦部隊はこれを退け、後方から独断で急行してきたホワイト級部隊の奮闘もあってガニメデ基地に突入しようとしていた部隊も殲滅できた。そののちに到着した包囲艦隊ととともに残党狩りを行いつつも土星圏の拠点確保に向かっていたころ地球の防衛軍司令部にある通信電文が届いた。
「長官。奇妙な電文を受信しました」
「どこからだ?」
「そ、それが‥‥デスラーからの電文です」
「デスラーから!?‥‥間違いないのか?」
「はい、何度もチェックしましたので間違いありません」
「それで内容は?」
「はっ、ガミラス星が正体不明の敵に襲撃され爆発。その反動でイスカンダルが軌道を外れ暴走し、遂にはワープしてしまったとのことです」
「あのイスカンダルが‥‥」
「イスカンダルのワープアウト地点は銀河系の外れ方位25の空間だそうです」
「‥‥」
「しかし、電文の発信源があのデスラーですから何かの罠かもしれませんが‥‥」
「うむ‥‥」
西郷の推測は一理あったが、あのデスラーがイスカンダルを出汁にして、ヤマトを罠にかけるとは考えにくかった。
ヤマトを撃沈するのであれば、あの白色彗星帝国との決戦の最中、その機会は十分にあったからだ。
藤堂はヤマトの乗員の意見を聞いてみようと、デスラーの電文をヤマトとアマテラスへと送った。
そのころ次元空間をある一隻の艦が航行していた。フェイトとティアナが乗艦している次元航行艦『テリオス』である。
この艦は新人研修も兼ねた中距離航海演習中であったが、執務官などがその業務に違法な行為をしていないかの監査もしなければならず、そのためフェイトとティアナが乗り込んでいたのだ。
そこにある一通の緊急電が届いた。
「艦長、本部より緊急伝です」
「うむ」
通信士から本部より発せられた緊急電文を読むテリオスの艦長の表情は険しいものとなった。
そこへ、フェイトがブリッジにやって来た。
フェイトは艦長の険しい顔を見て、艦長に話しかける。
「艦長?どうかされましたか??」
「ハラオウン執務官、之を‥‥」
そう言って艦長は先ほど自分が読んでいた緊急伝が書かれた紙をフェイトに手渡す。
「‥‥これはっ!?」
[第44探査任務部隊通信途絶により消息不明]
と書かれていた。
(もしかしてカリムの予言がさしていたのはこれのこと?)
出航前にはやてから聞かされていたカリムの予言の内容を覚えていたフェイトは、予言の一部はこの部隊の消息不明のことではないか?と判断した。
「どう思いますか?」
「‥‥今回の研修航海は、予定を繰り上げた方が良いかもしれませんね」
既に研修の主だった内容は終了しており、残りの部分に関しては本局のシミュレーションで行っても十分差支えがない為、遠洋での研修はこれで打ち切った方が良いのではないかと言う提案をフェイトはした。
「そうですね‥安全を考慮して此処までにしましょう」
フェイトの提案にテリオスの艦長も賛成し、艦内放送にて事情を説明し今回の研修を繰り上げて、今日で研修を終了とし、テリオスは本局への帰還航路へとついた。
しかし、その帰路の途中で突然、非常を知らせるアラームがテリオスのブリッジに鳴り響いた
コンソールを操作したオペレーターが緊迫した声を上げる。
「本艦周辺に次元震感知!震度AAAクラスです!!」
「何っ!?」
「次元震、約三分後には本艦到達します!!」
「いかん!!通常空間に一時転移してやり過ごす!!転移用意!!」
「了解!!」
突然の次元震により、テリオスは通常空間に待避した。
乗り切れない程の次元震ではないが、万が一艦に損傷やトラブルが起きては大変なので艦長は退避をする選択をした。
この時はテリオスに乗っている者たち全員が、次元震及び次元乱流が収まればまた通常航路に復帰し、何の問題もなくミッドに戻れるとばかり思っていた。
だが、破綻は唐突に訪れた‥‥。
ここで場所を土星圏宙域に戻す。
アマテラスとヤマトはドレッドノート級戦艦の<蝦夷><アイル・オブ・スカイ><メリーランド>とアナンケ級<ユリシーズ>マゼラン級<ガングート>そして途中から合流してきたプランツ級護衛艦<晴風>と伊吹級防空重巡洋艦<鞍馬>とともに土星圏の拠点確保とタイタンのコスモナイト90採掘基地の奪還のために土星圏に向かい進撃していた。
そこに地球の総司令部から緊急電が届いた。なんと送り主はあのデスラーであることに艦隊の主要メンバーは驚いたが、その内容にも驚愕した。
『ガミラス星が爆発・消滅したことでイスカンダル星が軌道を外れ暴走したため、イスカンダル星に住んでいるスターシアと古代守を共に救って欲しい』
といった内容であったのだ。
確かにイスカンダル星には古代進の兄、古代守が女王スターシアとともに暮らしておりそれに地球はイスカンダルに地球を救ってもらった恩がある。
そのイスカンダル星が窮地に立たされているというならば、イスカンダルに多大な恩がある地球人としてはすぐに助けに行きたい。
しかし、自分たちは重要な作戦行動中であるし、かといって再び勝手に出航するというのは文民統制下(シビリアンコントロール下)にある軍人としては許されない行為だ。前回のガトランティス戦時はヤマトの独断行為で地球が助かったということで特例ということで許されただけなのだ。
「行きましょう!我々が行かなきゃ誰が行くっていうんですか!!」
無論アマテラスでもこの内容は紛糾した。
「しかしな朝田!勝手に向かうわけにはいかんのは当たり前だろう!!そもそもどうやってイスカンダルまで行くつもりだ!!あのヤマトでさえ一年近くかかってやっとたどり着いた航路なのだぞ!着くころにはすでに決着がついてしまっている!!」
「王様!じゃあ恩を仇で返すっていうの!?」
「そうは言っておらん!!しかし現実問題我々は作戦行動中、総司令部の許可なく行動するわけにはいかん!」
「‥‥…」
この会議においては束はしばらく沈黙を保っていた。彼女の心境的には無論向かいたい、しかし彼女は内惑星系艦隊司令官であるし、土星圏奪還作戦中。その重大な任務を放り出すわけにはいかない。
『束』
「・・・どうしたのちーちゃん」
『総司令部に上申してみてはどうだ?』
「総司令部に?」
『ああ、総司令部がこの通信内容を送ってきたということは総司令部も迷っているということだろう。ならあと一押しと言ったところだろう』
「うん。わかった、上申してみる」
そうして総司令部に上申したところヤマトとも相談していたようで、すぐに承認された。距離の問題もデスラーの通信の最後に連続ワープ機関の概念図がついていたので実験デバイス数基を改修すればいいということで解決した。
そうして土星圏奪還後にイスカンダル星救援作戦が開始されることになるが、無論一般兵士は混乱した。何せガミラスとの共闘が考えられるのだから、混乱するのは当然だ。しかし、首脳部の説得や命令ということで何とか飲み込んだ。
「あ、そう言えば」
「どうされました?出雲さま」
「大山さんがタイタンに向かうって言っていたけど大丈夫かな?」
そのころ技術工作室で明石とともに陸戦隊の機動甲冑とISの調整をしていた出雲はガトランティス残党が土星圏を占領する前にタイタン基地に向かった知り合いのことを思い出し、身を案じていた。
『土星圏に到達、予定航路との誤差は0.002‥‥充分に許容範囲です』
「波動エンジン異常なしでぃ」
「艦の損傷も認めず」
「知床もこの艦の操艦がだんだんと手慣れてきたじゃねぇか」
「は、はい!!ありがとうございますぅ」
柳原機関長は性格が難ありの知床航海長が何とかアマテラスを使いこなしてきていることに関心し、久々にほめていた。
すると・・・・
「ん?あ、ああ!!」
「ど、どうしたの?」
「ま、前!!前!」
知床が慌てている様子に驚いた艦橋要員は前を見ると、
「こ、これって」
「地球防衛軍と白色彗星軍の決戦の跡地か・・・」
「こんな状況になっていたなんて・・・」
そこには無数の艦の残骸が漂流していた。
一応白色彗星帝国との戦闘が終結したあとに月軌道や内惑星系一帯に広がっていた残骸は遺資源の再利用と双方の戦死者の慰霊のために遺体とともに収容されていたのだが、タイタン方面は白色彗星帝国残党が占拠してしまっていた影響で回収ができていなかったのだ。
「ほんの一ヵ月前の事なのに何だか、随分昔の様にも思えてくるなぁ‥‥」
「でも、私たちはあの尊い犠牲を無駄にせず、そして決して忘れてはなりません」
柳原の言葉にギンガが、いくら年月が経とうとも、あの戦いの事を‥‥。
あの戦いで戦死していった大勢の宇宙戦士たちの事を忘れてはならないと言う。
『こちらCICの千冬だ。周囲に敵影は認められず』
CICにて義体でレーダーの確認をしていた千冬から報告が来る。
「う~ん。艦長、敵の艦隊は全部木星圏に行っちゃったのかなぁ?」
そうレヴィが束に問いかけるが、
「いや、ここは第十一番惑星に残っている残党軍にとっては最終防衛ラインに最も近く、地球への再侵攻にはうってつけの拠点。そうそう敵が無防備に放置するわけがないよ。それに土星圏はデブリや衛星タイタンからも貴重な鉱物資源が手に入る戦略上の要ともいえるからね」
束は敵が潜んでいる可能性は大だと断言した。
そしてその言葉は現実となる。
『どうやらそのようだな、こちらCIC。敵影を今、複数とらえた。』
「おいでなすったね。全艦戦闘配置!!」
「ん?こ、これは・・・・司令!」
その時各艦に戦闘配置を伝達していたギンガがあることに気が付いた。
「どうしたの?」
「かなり微弱な通信波をキャッチしたんです。出力が低くて音声受信が出来ませんが‥‥」
「敵の通信波を傍受しているのではないのか?」
ディアーチェはその通信波をガトランティス残党の物ではないか?と言うが、
「いえ、信号の種類が二つありまして、一方は‥‥防衛軍のものです!!」
「もう一方は?」
「‥‥わかりません。ですが、彗星帝国でもガミラスの通信波でもありません」
「敵方向から味方の?それにもう一方からもガミラスでも彗星帝国でもない通信‥‥」
『レーダーでも捕えました。通信波は衛星タイタンとその付近からのようです!!』
CICの電脳内にて千冬のサポートをしていたアインスが発信元を特定した。
なんと発信元は敵に占拠されていたはずのタイタンとその近郊の宙域であった。
「ええ!?タイタンから?」
「しかし、土星圏は、今は敵の勢力下‥‥なんでそんな所から防衛軍の通信が?」
「防衛軍の生き残りがタイタンにいるのか‥‥?それとも敵の罠か‥‥?」
ディアーチェは敵の罠ではないかと困惑したしかし、本当に味方であれば防衛軍軍人としては見過ごすわけにはいかない。
「束。我としては敵であろうと味方であろうとまずは敵の艦隊を排除してそれか確認すべきだと思うのだが」
「う~ん。アインス、もう一つの通信波の発信源に敵の艦は確認できる?」
『あ、ああ。どうもガトランティス残党のククルカン級が二隻とゴストーク級ミサイル戦艦が一隻ほど何かを追いかけているようだが・・・』
するとそこに電波の波長を確認していた千冬が割り込んできて・・・
『束、その通信波の波長を確認したが、つい先日回収した次元航行艦『ノア』が所属している時空管理局の物と完全に一致したぞ』
「なにぃ!?」
(まったく、また時空管理局かぁ)
束とディアーチェはなんでこんなとこに時空管理局艦がいるのか疑問に思ったが放置するわけにもいかないので・・・
「ギンガ、ヤマトに通信。『我がアマテラスはタイタン近郊の電波発信地点に<ユリシーズ><ガングート><鞍馬><晴風>とともに向かう。貴艦は<蝦夷><アイル・オブ・スカイ><メリーランド>とともに土星圏奪還作戦を開始されたし』と」
「分かりました」
そうしてアマテラスは内惑星系艦隊所属艦とともにその電波発信地点に急行した。
この時の判断が二つの世界を結ぶ接点になるとはこの時はまだ誰も知らない。
次回 救出
再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥
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Dr.スカリエッティ
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エルトリア組
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アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様