内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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なんか短くなっちゃいました。


第六十二話 救出後編

時空管理局所属の次元航行艦『テリオス』は、次元震から退避すべく緊急転移したが、そこは今まさに土星圏奪還戦が行われようとしている土星圏であり、白色彗星帝国残党の哨戒艦隊からの猛烈な砲撃を受けてしまい、フェイトとティアナ、そしてフェイトを守ろうとした女性オペレーター以外の乗組員はほぼ全滅してしまった。そこにアマテラス以下の内惑星系艦隊が到着する。

 

 

「前方に白色彗星帝国残党艦発見!」

 

アマテラス航空隊のウイッチリーダーを務める坂本美緒は新鋭機コスモパイソンを駆って山本玲以下の部隊よりも一足先に到着していた。

 

『しょ、少佐!』

 

「ん?どうした、芳香?」

 

『ゴストーク級ミサイル戦艦1とククルカン級襲撃型駆逐艦2以外に艦種識別不能なガトランティス艦が一隻います!』

 

「なに!?」

 

そう地球側ではラスコー級突撃型巡洋艦は確認できていなかったので艦種一覧にも登録されていなかったのだ。

 

とはいえガトランティス艦であることには変わりなく。

 

「よし!艦種不明艦に注意しつつガトランティス艦に先制攻撃をかける!各機続けぇ!!」

 

『了解!!』

 

 

そうしてアマテラス航空隊による空襲が始まった。

 

 

まず最初に標的にされた哀れなガトランティス艦は艦隊旗艦であったゴストーク級であった。先陣を切った美緒機が57ミリ陽電子機関砲を艦首の破滅ミサイルに向けて射撃し、破滅ミサイルが誘爆、その後船体各所にあったミサイルに誘爆しものの数十秒で轟沈した。

 

次に狙われたのはラスコー級であった。この艦には追いついた山本玲以下の元アナンケ航空隊があたり、艦橋部への集中攻撃を行い、完全に沈黙した。

 

そして残った二隻のククルカン級はさらに悲惨であった。旗艦であるゴストーク級と予備旗艦のラスコー級を立て続けに失い、かといって土星圏の本隊のところに引き返そうにも本隊はヤマトと<蝦夷><アイル・オブ・スカイ><メリーランド>といった主力戦艦が殲滅していたので引き返すこともできなかった。そうしてアワアワしていたところにアマテラス以下の艦隊が到着してしまい、背水の陣となってしまった。

 

とはいえこの二隻のククルカン級は武人としての誇りから降伏等最初から頭になく、艦隊方面に突撃してきた。そのうちの一隻は晴風の砲術長の立石の正確な射撃により艦橋を粉砕されて沈黙。もう一隻はアマテラスからの集中砲火を浴びて完全に沈黙した。

 

 

「さて、ガトランティス艦は全滅かな?」

 

『ああ、にしてもアインス。まさか、デブリと敵の新鋭艦を間違えるとはな』

 

『うう…』

 

「まぁまぁ、まだアインスも新米なんだから」

 

「さて、次の問題はあの時空管理局艦だな。シュベルト、準備はどうか?」

 

『万全だ、いつでも突入できるぞ』

 

『いやいや!戦隊長!あくまでも“救助任務”ですからね!!』

 

やはり黒ウサギ隊副隊長のクラリッサ・ハルフォーフの苦労はアマテラスでも変わらないようだ。

 

「ほんとに大丈夫かな?」

 

「分からん」

 

と、艦橋員は不安に駆られていたものの陸戦隊を乗せた救助艇使用のコスモシーガルは『テリオス』に向かって発艦した。

 

そのころ、その救助対象のテリオスではやはり諦めきれないのか、ティアナは心肺停止状態のクルーに対し、半泣きで蘇生措置を続ける。

 

しかし、そんな彼女の肩にフェイトの手がポンッと置かれた。

 

「‥‥」

 

振り返ったティアナにフェイトは無言で首を横に振った。

 

フェイト自身も自分を庇おうとしてくれたオペレーターの女性局員以外の艦橋要員の事も未だに完全には踏ん切りがついていないがこの場でいつまでも悲しみに暮れている暇はない。

 

「敵は排除されたみたい‥‥これから助けが来るって‥‥」

 

目を真っ赤にしたティアナも頷き、蘇生措置を諦め、若い操舵士の手を胸の上で組ませた。

 

そこで初めてティアナは気付いた。

 

自分たちを助けようとする者の身元をまだ知らないことを‥‥

 

よって、ティアナはフェイトに誰が救助に来るのかを訊ねた。

 

もしかしたら、管理局の友軍が救助に来てくれたのかもしてないと思ったからだ。

 

その質問にフェイトは、

 

「正直、私も混乱している。相手は『地球防衛軍』と名乗っているんだ」

 

「地球‥防衛軍?‥‥でも、地球は‥‥」

 

ティアナも以前六課に所属していた頃、地球へ行ったことがある。

 

その時に見た地球には宇宙防衛をする組織も、宇宙戦闘艦を建造できる技術も無かった。

 

「ひょっとしたら、私たちが知っている地球とは別世界なのかも知れない‥‥」

 

ティアナの疑問にフェイトはそう答えた。

 

それから数分後、

 

「おーい!誰か!生存者はいるか!?」

 

「いたら返事をしろぉ!!」

 

通路の奥から人の声が聞こえた。

 

その声を聞き、ティアナはフェイトと視線を合わせて頷き合うと、

 

「こっちです!!」

 

その返答を聞いて通信室に入ってきたのは、黒色のヘルメットと黒の手袋とブーツを身に着け、上下共に緑色の戦闘服を着た女性が入ってきた。

女性はヘルメットのバイザーを上げ、フェイトとティアナに挙手礼をして名乗った。

 

「地球防衛軍内惑星系艦隊臨時旗艦アマテラス陸戦隊副隊長補佐クラリッサ・ハルフォーフです。救難信号を出したのはあなた方ですか?」

 

「はい。時空管理局所属、執務官、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです。危険な中での救助活動に感謝します」

 

フェイトは頭を下げて礼を述べた。

 

「同じく執務官補佐のティアナ・ランスターです」

 

ティアナも救助に来たクラリッサに頭を下げた。

 

「細かい話は後回しにしましょう。まずはお二人を私たちの艦にお迎えします。よろしいですか?」

 

「はい。お世話になります。あ、あと二人じゃないですね。この人も」

 

「し、失礼しました」

 

そうしてフェイトとティアナは唯一確保していた生存者の女性オペレーターとともにコスモシーガルに搬送されていった。

 

そして三人をコスモシーガルに乗せたクラリッサはシュベルトに報告するべく艦内を移動しつつほかにも生存者はいないか探し回ったが、いなかった。

 

「戦隊長。他のエリアには生存者は確認できませんでした」

 

「そうか…ん?クラリッサ。どこに行っていた?」

 

「は!先ほど生存者を三名確保したのでシーガルに乗せていました」

 

「そうか!生存者がいたのはよかった。・・・あとは機関室だな」

 

そうして、機関部を捜索しに行ったが、機関が意味不明の仕組みであったことに頭をかしげたが生存者の捜索を優先し、そして・・・

 

「生存者一名発見しました!」

 

「よし!シーガルに乗せろ!」

 

そうしてさらに捜索したが結局最後に機関部にいた黄色の髪をした女性以外は発見できなかった。

 

 

「お待たせしました。最後の生存者を発見したので遅れてしまいました」

 

「いえ大丈夫です。って!神堂さん!」

 

そう最後に発見された生存者はフェイトとティアナが行ったことのある地球出身の神堂慧理那であったのだ。

 

「戦隊長、各員搭乗しました」

 

「そうか、っふう」

 

そうしてヘルメットを脱いだシュベルトを見てフェイトとティアナは驚愕した

 

「「シ、シグナム!?」さん!?」

 

「ん?シグナム?誰だそれは?私は八神シュベルトだが??」

 

 

という珍事がアマテラスに戻るシーガル内にてあったとか。




次回 幸運艦復活・会合

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様

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