内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

97 / 212
今回と次回まではステルス兄貴さんのご協力で制作しました。第七十四話より完全オリジナルの予定です。


第七十二話 太陽系赤道祭 前編

 

ヘリオポーズにて管理局とのコンタクト用に通信ポッドを設置するほかにヤマト、アマテラスの乗員たちのガス抜きを兼ねて太陽系赤道祭を行う事になった。

 

ヤマトも最初のイスカンダルへの航海にて此処ヘリオポーズで今回行われる太陽系赤道祭を行っていた経緯がある。

 

通信ポッドを小惑星に設置する前、ギンガは管理局に伝わりやすくするためにテリオスから救助されたフェイトたちの姿と声を録画・録音する為に機材を持って医務室を訪れた。

 

医務室を訪れたギンガの目に飛び込んできたのは、ベッドの上で青い顔してグロッキー状態のフェイトだった。

 

「ふぇ、フェイトさん!?どうしたんですか!?」

 

ギンガが驚くのも無理はなかった。

 

一体何があってフェイトがグロッキー状態になったのか見当もつかなかったからだ。

 

「フェイトさん、ワープ酔いしてしまったみたいで‥‥」

 

ティアナがギンガにフェイトがグロッキー状態になった理由を説明する。

 

(フェイトさん、三半規管が弱かったんだ‥‥)

 

高速で飛行魔法を使用しているからてっきり三半規管は強いかと思ったギンガは意外性を感じた。

 

フェイトがグロッキー状態になっており、シルビアはまだベッドから動けないので、ティアナと神堂の二人が管理局に説明する為の映像を撮った。

 

ヤマト、アマテラスの主計科・厨房係の乗員たちが赤道祭の為の料理を用意している中、ギンガはヤマトの真田に通信ポッドを確認してもらい、手ごろな小惑星に設置していた。

 

「よし、此処で大丈夫だろう。起動させるぞ‥‥」

 

「はい」

 

宇宙服を着て真田と共に小惑星に通信ポッドを設置するギンガ。

 

作動スイッチを押すと、通信ポッドが作動する。

 

「しかし、この電波が彗星帝国に傍受されなければ良いのだが‥‥」

 

真田がこの通信ポッドが発している電波が彗星帝国に傍受されないかを危惧する。

 

「たとえ、傍受されても独自の暗号通信に変換されていますし‥‥」

 

ギンガは管理局では捜査官の資格の他に二級通信士の資格を有している為、管理局の艦の周波数や暗号変換に精通していた事が後々に管理局とのコンタクトに役立つことになった。

 

通信ポッドが設置され後は太陽系赤道祭の開催を待つ中、フェイトのワープ酔いも回復していた。

 

「大丈夫ですか?フェイト」

 

リニスが白湯をフェイトに渡す。

 

「う、うん。だいぶ良くなったよ」

 

リニスから渡された白湯をチビチビと啜るフェイト。

 

「通信ポッドの設置が終わりました」

 

そこへ、通信ポッドを設置し終えたギンガが医務室にやって来た。

 

「太陽系赤道祭の開催中はヤマトもアマテラスも此処に止まるみたいで、その間に管理局の次元航行艦がこの通信を傍受して来てくれれば良いんですけど‥‥」

 

フェイトたちが最速でミッドに還る方法としたら、ギンガが言うようにこの太陽系赤道祭の開催中に管理局の艦が来てくれることだが、こればかりは運なので何とも言えない。

 

何しろ、防衛軍が管理局の艦の居場所何て知る由もないのだから‥‥

 

しかし、フェイトとティアナにはある懸念があった。

 

太陽系赤道祭の最中に管理局の艦が来てくれたら確かにそのままミッドに戻れる。

 

だが、その時に来た管理局の艦を指揮する艦長または提督が穏健な人物である事が望まれる。

 

もしも強硬派な人物だった場合、ヤマトとアマテラスをロストロギアと認識して接収しようとしたら、あっと言う間に撃沈され自分たちは宇宙の藻屑になり果てる。

 

自分たちを知るリニスとギンガが居るとしても一方的に接収しようとするのだから、ヤマトもアマテラスも容赦なく管理局の艦に攻撃してくるだろう。

 

それを考えるとゾッとする。

 

そんな二人の心境を知る由もなく、

 

「そうだ、フェイトさんたちも太陽系赤道祭に参加しませんか?」

 

管理局の艦が来るかどうか分からないので、それまで医務室でただジッと待つのは退屈だろうと思い、ギンガはフェイトたちを太陽系赤道祭に誘う。

 

「えっ?私たちも?」

 

「はい‥‥もし、動くのがお辛いのでしたら無理強いはしませんけど‥‥?」

 

ギンガの誘いにフェイトたちは顔を見合わせる。

 

自分たちは管理局の局員であり、防衛軍の軍人ではない。

 

太陽系赤道祭は防衛軍の軍人たちの催し物なので、救助者とは言え、部外者である自分たちが参加しても良いモノなのだろうか?

 

「でも、私たちは防衛軍の関係者じゃないのに参加して大丈夫なんですか?」

 

神堂がギンガに質問する。

 

「その点は大丈夫です。艦長に事前確認をしました。参加するのであるならば、参加しても構わないそうです」

 

「あ、あの‥すみませんが私は動けそうにないので‥‥ 私に構わずハラオウン執務官たちは行ってきて構いませんよ」

 

管理局組の中で重傷のシルビアはまだベッドから動けないので、自分は太陽系赤道祭の参加を辞退した。

 

「えっ?そんな‥」

 

フェイトとしては同僚が重傷の中、自分たちが楽しんで良いのかと悩む。

 

(こんな時、スバルだったら‥‥)

 

ティアナはミッドに居る親友の姿を思い浮かべる。

 

スバルが今の話を聞いたらきっと、

 

「行きます!!」

 

と、即答していただろう。

 

「こういう異文化を見聞するのも、後々いい経験にもなるわよ。それにアライアンスさんの看護は私たち医務科のスタッフが代わる代わるやるから」

 

リニスはフェイトたちにシルビアの面倒は自分や鏑木が行うので、フェイトたちには気にせずに太陽系赤道祭へ参加して構わないと促す。

 

「そ、それじゃあ‥‥」

 

シルビアとリニスからの行為からフェイトたちは太陽系赤道祭に参加することにした。

 

太陽系赤道祭の会場であるアマテラスの食堂ではテーブルの上に和洋中の様々な料理の他にケーキ、パイ、クレープにエクレア、シュークリーム、フルーツの盛り合わせ等のデザートが並んでいる。

 

ドリンクも様々な物が用意されている。

 

料理の他にアマテラスとヤマトの乗員たちが居るので、椅子は最低限の数を置き、立食形式となっている。

 

料理と会場の準備が整い、いよいよ太陽系赤道祭の開催である。

 

「えっ?私が開会の挨拶をするの?」

 

「そりゃあ、そうだろう。お前はこの艦の艦長なのだからな」

 

束は真田から太陽系赤道祭の開会の宣言をしろと言われ驚く。

 

「そうだな。ほれ、束。さっさと挨拶をしろ。皆、今か今かと待っているのだぞ」

 

ディアーチェも束を急かす。

 

「わ、分かったよ、もう‥‥」

 

渋々と言った様子で束は特設舞台に設置されたマイクの前に立つ。

 

キィィィンというマイクのハウリングの後、

 

「皆、厳しい訓練、そして木星圏、土星圏での戦闘、お疲れ様でした。この先もまだまだこうした戦闘は続くと思うけど、今はゆっくり英気を養い必ず我々の恩人であるイスカンダルを救おう!!」

 

束が挨拶を行い手にしたグラスを掲げ、

 

「これより太陽系赤道祭を始める!!乾杯!!」

 

『乾杯!!』

 

会場に居る男女が明るく大きな声を上げた。

 

開会の挨拶と乾杯が終わると皆は早速親しい者同士で料理を食べ会話を楽しんだり、この後の仕事に支障がない飲兵衛たちは酒を飲んでいる。

 

なお、赤道祭の様子は医務室でもモニターで表示されており、料理に関しても主計科の隊員が医務室にデリバリーしてくれたので、シルビア、リニス、鏑木ら医務室に居る人たちも間接的に赤道祭に参加した感じだった。

 

一応、フェイトたちは防衛軍の女性隊員服を着ているので、ヤマトの乗員はフェイトたちがアマテラスの乗員だと思い、逆にアマテラスの乗員たちはヤマトの乗員たちだと思い特に疑問視することはなくフェイトたちは上手く会場に溶け込んでいた。

 

だが、自分たちの知り合いが極端に少ないこの環境下ではどうしても浮いている感覚が否めない。

 

自分たちを誘ったギンガを見てみると、ギンガの周りには何人かの乗員たちが居り、ギンガは会話を興じている。

 

それを見ると、今のギンガは管理局員ではなく、防衛軍の軍人なのだと改めて認識される。

 

楽しそうに会話を興じているギンガに対して邪魔をするのはあまりにも無粋だ。

 

「皆さん、楽しそうですね‥‥」

 

「そうね‥‥」

 

「管理局の艦では見られない光景ですね」

 

航海中に祭り何て自分たちが知る限り管理局の艦ではそんな事はしない。

 

これも文化の違いなのだろう。

 

「ええ‥‥」

 

(スバルだったら、すぐにこの場に溶け込めたのかもしれないわね‥‥)

 

こういったイベントの会場では、きっとスバルはいち早く慣れ親しんで自分たちを引っ張る姿が脳裏に浮かぶティアナ。

 

しかし、フェイトも神堂もそして自分も何だか萎縮してしまい赤道祭が始まった中でもあまり馴染んでいない。

 

それでも、お腹はすくものなので、フェイトたちは用意された料理や飲み物に手を付けた。

 

「あっ、この料理美味しい‥‥」

 

「ホント、まさか宇宙船の中でここまでの料理を食べられるなんて‥‥」

 

航海中に祭りをやることもそうだが、出された料理に関しても防衛軍と管理局の艦とでは差を感じる。

 

三人が食事をしていると、何やら一部でザワザワして人だかりが出来ている。

 

「人だかりが出来ていますね」

 

「あれ?何かあったのかな?」

 

「ちょっと見てみますか?」

 

三人は気になって人だかりへ近づいてみると、そこには一つのテーブルに座って食事をしている男女の姿があった。

 

女性の方はギンガであり、男性の方はヤマトの航海長補佐の太田健二郎だった。

 

二人は当初、普通に食事をしていたのだが、いつの間にか大食い対決となっていた。

 

太田はヤマトでも大食漢として有名なのだがまさかその太田を相手に女性のギンガがまったく引けを取らずについている事にヤマトの乗員たちもアマテラスの乗員たちも信じられずにヒートアップしているのだ。

 

(そう言えばスバルはよく食べるけど、やっぱり姉であるギンガさんも沢山食べる人だったのね‥‥)

 

ギンガの妹であるスバルが沢山食べる事は訓練校時代に一緒に居たティアナは知っていたし、六課で一緒になったフェイトも知ったが、姉であるギンガがやはりスバル同様沢山食べる体質だった。

 

最初は二人とも均衡を保っていたのだが、皿の枚数が増えていくにつれ、太田の顔が青くなり、食べるスピードも遅くなりやがてギブアップし、ギンガが勝者となった。

 

「ま、まさかあの太田に勝つなんて‥‥」

 

「しかも相手は女性‥‥」

 

太田の事を知るヤマトの乗員たちはまさかあの太田が女性相手に負けるとは思ってもおらず驚いていた。

 

「ん?お前たちも来ていたのか。どうだ?楽しんでおるか?」

 

そこにディアーチェが三人に声をかけてきた。

 

「あっ、ディアーチェさん」

 

「えっ?八神二佐?」

 

ディアーチェと初邂逅になった神堂はディアーチェの姿を見て驚いている。

 

「神堂さん、この人は八神二佐じゃなくて、この艦の副長さんなんです」

 

ティアナが神堂にディアーチェの事を伝える。

 

「へ、へぇ~‥‥でも、此処までそっくりな人が居るんですね‥‥」

 

「まぁ、私たちも最初、会った時は驚いたけどね‥‥」

 

「そうだ、それならそこの金髪にそっくりの奴も紹介しておこう」

 

「えっ?フェイトさんにそっくりな人?」

 

「そんな人が居るんですか?」

 

「ああ‥まぁ、金髪の方が真面目そうだがな。ついてまいれ」

 




次回 太陽系赤道祭 後編 

次回は明日投稿します。

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。