内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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お待たせしました。久々に完全オリジナルです!

海戦は次回に持ち越します。


第七十四話 ベテルギウス沖

時空管理局本局 次元航行艦隊本部・第三会議室

 

その一室には高町なのは、スバル、シグナム、ヴィータ、グリフィスの五人が詰めていた。

 

いずれのメンバーも非番だった為、此処に来たのだ。

 

ヴィヴィオに至っては、なのはが珍しく学校を休ませてわざわざ此処に連れてきたのだ。

 

フェイト、ティアナ、シルビア、神堂ら生存者の関係者を除く生存が絶望視されているテリオスの他の乗組員の家族とは別フロアの部屋なのは仕方がないだろう。

 

さらに、展開されている通信ウィンドウにはフェイトの被保護者のエリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエ、そして八神はやてが映っていた。

 

三人はどうしても仕事が外せなかったので、職場からこうしてリモートで参加している。

 

『いや~フェイトちゃんたちが助かったのは嬉しいんやけど、まさか助けたのが[地球防衛軍]とはなぁ~』

 

「うん。私たちが知る地球以外にもう一つ地球があるなんて信じられないけど‥‥」

 

「まぁ、クロノ提督からの連絡がもうすぐあるだろう。その時にはある程度の証拠が揃っているとありがたいのだが‥‥」

 

本当にもう一つの地球なんてあるのだろうか?

 

そして、本当にフェイトたちが生存しているのか?

 

未だに半信半疑のなのはたち。

 

『『‥‥‥‥』』

 

一方、エリオとキャロは涙ぐんでいるが、フェイトが生存している可能性が高くなったことに一縷の希望を掴んでいるようだ。

 

それは此処に顔を見せている者たちに限ったことではない。

 

皆が顔を合わせてから、大体三十分位が経っただろうか?

 

突如、一同が待つ会議室に新たな通信ウィンドウが開く。

 

そのウィンドウには緊張した面持ちのクロノが映し出されていた。

 

「「「「『『『クロノ(君)(提督)!!』』」」」」

 

通信回線を開いたとたんにいきなり元機動六課メンバーに詰め寄られてさすがのクロノもギョッとしたがすぐに落ち着きを取り戻して皆を諭した。

 

『み、皆、焦る気持ちは分かるが、一旦落ち着いてくれないか!?こちらが知っている情報は全部話すから!!』

 

そう言ってクロノはティアナと神堂がアマテラス艦内で撮影した映像をその場にいる皆に見せた。

 

ティアナと神堂の二人はまず、自分たちは無事だと説明し、自分たち以外にもフェイトやシルビアが無事だと説明する。

 

撮影当時、シルビアは重症の為、ベッドに横になっており動かせず、フェイトも体調不良の為、現状を説明できる状況下ではない事も補足説明されている。

 

ティアナと神堂の映像を見て、

 

「映像を見た限りじゃ、ティアナや神堂ちゃんたちは大した怪我はしていないと思うし、脅迫されて無理矢理言わされているようにも見えない。私は、フェイトちゃんたちが地球防衛軍という人たちに救出されたと信じるよ。クロノ君」

 

『そうか。なのはがそう言うのならそうなのだろう』

 

そう言うなのはの言葉を受けてクロノも心なしかほっとした顔をした。

 

「なのはママ。じゃあ、フェイトママたちは助かったの?」

 

元気を取り戻したヴィヴィオは笑顔でなのはに聞くが

 

「うん。はっきりとは言えないけどフェイトママも助かっていると思うよ」

 

「ほんと!?」

 

嬉しそうにするヴィヴィオだったが、

 

「でも、フェイトママやティアナの他に助かったのは二人だけらしいの‥だから喜ぶのはこの部屋だけにしようね?」

 

「う、うん‥‥」

 

ヴィヴィオもなのはの言う言葉の意味を理解したのかシュンとする。

 

アマテラスを旗艦とする土星圏奪還作戦に参加した内惑星系艦隊によって救出されたのはフェイト・ティアナを含めてもたったの四名。

 

そんな状況で大っぴらに喜ぶのははばかられる行為だ。

 

助からなかった乗員の遺族の苦しみは察するに余りある。

 

『でも、フェイトさんが体調不良って大丈夫なのでしょうか?』

 

次にエリオが体調不良だと言うフェイトの身を案じる。

 

「うーん、でも、ティアナたちの様子からそこまで深刻ではないと思うけど‥‥」

 

フェイトの事を伝えた時のティアナの様子から体調不良とは言え、そこまで重病ではないだろうと予測するなのは。

 

まさか、ワープ酔いをしてグロッキー状態だったと言うのはフェイトの名誉のためにティアナは体調不良の一言で片付けていた。

 

「それで?テスタロッサ達を襲った不届き者の目星はついているのか?」

 

テリオスを襲撃した下手人の正体を質すシグナムにクロノは、『まずはこれを見てくれ』と別の映像を出した。

 

クロノが端末の再生スイッチを入れた。

 

再生されたのは、先日遭難したテリオスが所属不明の艦船に襲撃された時の艦内外の映像とブリッジの音声信号だ。

 

『なにが起きたのか分からないとあらぬ疑いをかけられないか?』と心配した千冬がリインフォースとともに証拠映像を繋ぎ合わせて編集し、束たちやフェイトらの了承を受けて送付しておいたのだ。

 

まず映ったのはテリオスが土星圏に偶々転移してしまい、ガトランティス残党艦隊からの攻撃を受ける映像だったがこれに対して見ていた者は全員の表情が憤怒と苦痛に歪めていた。

 

しかし、中盤の地球艦隊(内惑星系艦隊)が救援に来てからは驚愕に変わった。

 

何せテリオスが手も足も出なかったガトランティス残党軍の艦をまるで赤子の手をひねるかの如く蹂躙しだしたのだ。

 

そして、火達磨になった敵艦が高エネルギーの束に串刺しにされ、次々と爆発していった時は、皆一様に声を失った。

 

やがて、攻撃が終わると、そこには大小無数の金属片と艦体をへし折られて漂う大型艦が映し出されていた。

 

皆は当初、これは作られた映像なのではないかと思ったが、

 

しかし、

 

『こちらでも何度も確認したがこれは作られたものではなく実際の映像のようだ』

 

事前に確認し、何度もチェックしたクロノのお墨付きがあり、各々が所持しているデバイスもフィクション映像ではないという見解を出している。

 

「テリオスを嬲り殺しにした艦隊をろくに反撃させないまま撃破するとは‥‥」

 

シグナムが呻くように呟いた。

 

『まだ断言はできないが、これは以前、テレザートで見たミサイル艦隊と同じ勢力の艦だと思っている』

 

「あの時の艦か‥‥」

 

シグナムとクロノが話し合っている時、なのははあるモノが映像にばっちり映っている事に気が付き、慌ててヴィヴィオの目を隠した。

 

それはテリオスとガトランティス残党艦両方の乗員だったモノ‥すなわち戦死体だったのだ。

 

それも手足や身体が変な方向に曲がり、身体が裂けて内臓がはみ出ている状態や上半身と下半身が分かれている状態など、とても子供には見せられない状態で‥‥

 

こんなものは大の大人でも顔をしかめるモノなので当然子供の精神教育上非常によろしくない。

 

すでにエリオとキャロも思わず目を閉じてウィンドウから目を背けている。

 

それに気が付いたクロノはしまったという表情になり、慌てて映像を切る。

 

なのははヴィヴィオと共に部屋を退室し、はやてもエリオとキャロに後の事は追々説明する旨を伝え退室を命じた。

 

『す、すまない』

 

子供にはきつい映像を見せたとクロノは謝罪した。

 

「フェイトさんやティアたちが生きていた事に関しては嬉しい事ですが、どうやってティアたちは地球防衛軍に救助されたのでしょう?」

 

スバルがクロノに質問する。

 

彼女らは、フェイトたちが無事と言う報告を聞いただけで、そのどのような経緯があったのか知らないし、ティアナと神堂も肝心な部分が抜けているのか自分たちが無事と言う事だけで、救助された経緯を映像の中では話していない。

 

『おそらくこの艦隊がテリオスを襲撃している所にヤマト、アマテラスが率いる艦隊が通りかかり、戦闘の結果撃破された‥‥というところだろう』

 

クロノの仮説に在室の一同は無言で頷いた。

 

ヴィヴィオ、エリオ、キャロ、なのはの四人が退室したのを確認した後、クロノは映像を再生する。

 

やがて、大破したテリオスの近くに一隻の大型艦を筆頭に多数の艦艇が姿を現す。

 

その中で旗艦と思しき艦は艦首に巨大な発射口らしき大きな口を二つも開け、船体各所に三連装の砲身付砲塔が前部に九基、後部に一基装備しているまさに戦うことを前提に設計されたのは明らかな艦であった。さらにその船体の大きさはXV級次元航行艦を優に超えていた。テリオスの艦橋の記録装置は被弾の際の衝撃で映像記録装置が破損したらしく状況は分からなかったが音声は記録されていたのでフェイトとティアナ、シルビアが艦橋で救出され、機関部で神堂が救出されたのが確認できた。

 

この時に映像記録装置が破損していたのは双方ともに不幸中の幸いだった。なんせ救出隊を指揮したシュベルトはシグナムのそっくりさんだったのだから‥‥

 

そして、通信ポッドの最後の映像はこのポッドが設置されていた小惑星から離れていく三隻の艦の姿だった。

 

一隻は先程見た大型戦闘艦、もう一隻も同じくタワー状の艦橋、煙突らしき構造物、三連装の砲身つきの主砲と副砲を装備した水上艦に近いフォルムの艦。

 

もう一隻は、葉巻状の船体に砲身がついた連装式の砲塔や長く伸びているアンテナを着けた小型艦。

 

「それでどの艦がヤマトなんでしょうか?」

 

そう言うスバルの疑問にはシグナムが答えた。

 

「おそらく地球にいた際に見た資料や映像に出てきた水上艦に似たこの艦がヤマトだろう」

 

『そうやな。私もそう思う』

 

シグナムの発言にはやても同意した。

 

「そうなると、消去法で、あのXV級よりも巨大な艦が、アマテラス‥‥」

 

「それじゃあ、アマテラスと同行しているヤマトっちゅう船は、テレザートでミサイル艦隊を消滅させたあのヤマトと同一の船なんか?」

 

『恐らくそうだろう』

 

「信じる、信じない、は別として、この謎の敵艦を保有する勢力と地球防衛軍は、我々より格段に進んだ科学技術と軍事力を持っていることは間違いないですね?」

 

グリフィスがクロノに問うように言う。

 

『ああ、本局や“海”の上層部には信じようとしないお歴々もまだ居るがいい加減現実を認識してもらわないとな‥‥』

 

クロノがやれやれと言った感じで言う。

 

ただこの時、そんな技術力と軍事力を持った勢力を管理局がこのまま野放しにしておく訳がないと言う疑念をこの場にいた誰もが持たなかった。

 

それほど、フェイトたちの生存や目にした現実が凄まじかったのだ。

 

『私らは‥‥管理局は知らぬ間に『井の中の蛙』になっとったんとちゃうやろうか?』

 

はやてはクロノの発言にそう返した。

 

「主‥‥」

 

『はやて‥‥』

 

『地球の日本の義務教育の中で宇宙のことも一応は学んどったはずやのに‥‥管理局に入って、宇宙(次元の海)は無限の空間であり未知の空間が広がっている事をすっかり忘れとった‥‥私ら管理局は宇宙(次元の海)を全て見通していた訳やないのに‥‥』

 

『耳が痛い話だがはやての言う通りだな。とはいえ、今一番の優先事項はテリオスを襲った敵について知る事と、何とかフェイトたちとコンタクトを取ることだ』

 

「クロノ提督。あてはあるんですか?」

 

グリフィスがクロノに訊ねる。

 

『ああ。おそらくヤマトとアマテラスは任務の後に母国に帰る際に通信ポッドがあった宙域を再び通ることが考えられる。打てる手は可能な限り打っておかなければな‥‥しかし、フェイトたちが救出されたのは確実だし、救出した地球防衛軍も戦闘力は兎も角、思想的に危険なところはなさそうだ』

 

「だがなるべくはやく地球防衛軍と連絡をとり、テスタロッサたちの身柄返還要請をしなければ‥‥」

 

そうシグナムは言うがクロノは厳しい顔をして難しいと言ってきて上層部が混乱していることを伝えると元六課メンバーは頭を抱えた。

 

そのころ元六課メンバーたちが対策相談をしていた部屋の両隣では正反対の反応が出ていた。

 

片方はシルビアと神堂の両親が来ていて生存を喜んでいたがもう片方には死亡・生死不明の局員の遺族が集まっており怒号や泣き声があちこちで上がっていた。

 

管理局上層部も対応に追われていたが質量兵器アレルギーの管理局上層部は発狂しかけ、さらに現場の艦長らが出航拒否をする始末だったのでそれに対する対応にも追われていた。

 

 

 

 

そしてその頃、星の海では‥‥

 

宇宙戦艦ヤマトと宇宙戦艦アマテラス、無人駆逐艦となった雪風・改はイスカンダル星を目指してヘリオポーズを抜けてワープを用いて航行していた。

 

「ワープ終了。予定航路との誤差0.0021、十分に許容範囲内、オリオン・α星系に到着です」

 

『友軍艦にも異常を確認できない。各艦のワープアウトを確認した』

 

「機関長。一応機関停止をお願いできる?満足な試験もしてない新機関を搭載しているから船体や機関に何か異常をきたしているかもしれないし」

 

「あいよ!出力制御弁閉鎖、そののち機関停止でぃ!」

 

『はいよ~!』

 

そうして機関の窯の火が一時落された。

 

「オリオンα星系ベテルギウスか…たしかこの宙域でヤマトはデスラーが放ったガス状生命体と交戦したそうだな。‥‥まさか生き残っておらんだろうな?」

 

ヤマトのファースト航海においての戦歴からディアーチェはガス生命体の生き残りを懸念する。

 

「まさか~ヤマトからの報告だとα星ベテルギウスにエネルギーを求めて突っ込んで燃え尽きたらしいから生き残ってないと思うよ?」

 

束はヤマトの航海報告からガス生命体は生き残っていないと言う。

 

「そうか…まぁそうであろうな!はっはっは!(‥‥だが何か嫌な予感がするのだが)」

 

仮にヤマトがこの宙域から去った後にガス生命体が生き残っていたとしても膨大なエネルギーを求めるのがガス生命体なので、α星ベテルギウスに突っ込んでいくだろう。

 

だが、この時のディアーチェの嫌な予感が的中していたとはこの際艦橋要員の誰も考えていなかった。

 

その頃、アマテラスの大食堂でフェイト、ティアナ、神堂、シルビアが食事をしていた。

 

数日前まではシルビアの医務室からの退院にドクターストップがかかっており太陽系赤道祭には参加できなかったが今日、ようやく許可が出たので四人で食堂に来ていたのだ。

 

赤道祭の前は四人とも個室で食事をしていたが赤道祭以降は大食堂で食事をする事にしていた。

 

その理由はやはりレヴィとフェイトの共演のあれである。

 

もちろん最初、乗員たちはフェイトと自分たちの艦の戦術長であるレヴィと顔や姿がそっくりなのに驚いたが元々アマテラスの乗員は女性隊員が多いことも相まってすぐに打ち明けた。

 

人見知りの一面があるフェイトや警戒心の強いティアナと神堂にしては珍しいが航空隊の坂本美緒や陸戦隊のシュベルトなどの人当たりのいい面々によってだんだんと打ち明けてきている。

 

「それにしてもこのO.M.C.Sって凄いですね」

 

シルビアがO.M.C.Sについて称賛していた。

 

管理局艦では現実の潜水艦と同じような食事環境な為乗員らとしてはそこには不満があった。

 

艦の規模にもよるが出航したばかりの日から数週間は生鮮食品を食べられるがそれ以上の日数の任務の際には食事はレトルトや缶詰、味気の無い宇宙食へ移行していくのだ。

 

しかし、そんな宇宙での食事状況を打開できるであろうO.M.C.Sは時空管理局からすればロストロギアと同等の代物であった。

 

ちなみにこの世界線のO.M.C.Sは束の実家の月村グループが製造している。

 

「そうだね。…あのシュベルトさん、このO.M.C.Sの原料って何なんでしょうか?」

 

と神堂はたまたま近くにいたシュベルトに聞くが‥‥

 

ほぼ無限に食材を生み出す機械‥‥

 

一体どんな材料を使っているのか気になるのは当然だった。

 

「‥‥それは知らないほうがいいぞ」

 

と顔を背けつつ言われた。

 

実はシュベルトはディアーチェ経由で束とも知り合いなのだが月村家で宴会をした際にO.M.C.Sの秘密を知って少々後悔していた。

 

そのため好奇心で聞いてくる部下にも知らせていない。

 

四人や同席していたシュベルトの部下のラウラやクラリッサもシュベルトの反応に疑問を抱いて頭を傾げたが『やっぱり軍事機密事項なんだろうな~』と軽く考えていた。

 

そして四人がシュベルトたちと食事をしていたころアマテラス、ヤマト、雪風・改はα星の近くまで進出していた。

 

 

オリオンα星 ベテルギウス

 

この星は太陽系から640光年先にある巨大恒星だ。

 

この恒星はM型の赤色超巨星で、変光星でもあり、星自体の形状が変化する脈動変光星である。

 

中でも半規則的に変光するSRC型に分類されている。

 

その直系は太陽の500倍以上、比重が軽いが質量比でも優に数十倍。

 

そのため地球上から肉眼で観測できる恒星の中でも最大級の大きさだ。

 

大きさで同等なものはさそり座のアンタレスくらいと言われている。

 

もし太陽系の太陽の位置にベテルギウスがあれば火星まですっぽりベテルギウスに飲み込まれてしまう。

 

「機関の総チェック完了!特に異常なしでぃ!」

 

「ヤマトより通信!『ヤマトと雪風・改にも特に異常は見られず。これより七色星団までのワープに移る。準備にかかれ!』です」

 

柳原機関長と通信長のギンガから機関の点検終了とイスカンダル星救援作戦旗艦のヤマトからの指示が伝えられた。

 

「よし!総員ワープ準備!一気に七色星団までいくよ!」

 

と束も行く気満々だったが…

 

『ちょっとまて!束!』

 

CICにて周囲の警戒をリインフォースとともに行っていた千冬からストップがかかった。

 

「へ?どしたのちーちゃん」

 

突然千冬から制止を受けた束は困惑気味だが千冬はかなり慌てている。

 

『ベテルギウスの近くに高エネルギー反応を確認したんだ!』

 

「ん?それはベテルギウスのエネルギーがベテルギウス自身の重力レンズ効果で屈折しているだけではないのか?」

 

そうディアーチェは返すが、

 

『エネルギー源が動いているんだ!すぐにベテルギウスの陰から出てくる!』

 

それから数分後‥‥

 

千冬の言うように観測されたエネルギー源が出てきた。

 

それは黒い靄のようなガスのような物体だった。

 

「な、なんですか?あれ?」

 

「黒い…靄のような…ガスのような…」

 

「もしかしてディアーチェが言っていたようにガス生命体の生き残り?」

 

「ひぇぇぇ!」

 

『うるさいぞ!航海長!』

 

「は、はい~」

 

艦橋はいささかの混乱状態に陥ったが千冬の報告で落ち着きを取り戻すことになる。

 

『と、とりあえず皆、落ち着いてくれ!あの物体だが、生命反応は観測されていない!だが、これは暗黒物質で構成されている原始星そのものだ…』

 

リインフォースは事態の収拾のために分析結果を報告したが当の本人も少々混乱気味だ。

 

『ちょっとまて、その暗黒物質の周りに二つに分かれて布陣している艦隊を補足したぞ‥‥おいなんの冗談だ?その二つの艦隊から強力な重力波が暗黒物質とベテルギウスの双方に向けて照射されているぞ?』

 

千冬が引き続きペテルギウス周辺を観測し続けていると二つの艦隊反応を捉えた。

 

「も、もしかして‥‥」

 

「どうしたんだ?束?」

 

千冬からの報告を受けた束が少々震え気味なのに疑問を持ったディアーチェが聞くが帰って来た答えは予想外の物だった。

 

「あの艦隊はベテルギウスのエネルギーを採掘しているじゃあ‥‥!?」

 

「採掘?」

 

「そう。このままエネルギー採掘を続けられたらベテルギウスは何万年も早く超新星化しちゃうよ!これはまずい!かなりまずいよ!しかもただの超新星爆発じゃあない!『ハイパーノヴァ』が起こる可能性大だよ!」

 

「「「「「「ハイパーノヴァ?」」」」」」」

 

束の答えに艦橋要員は頭を傾げた。

 

「20世紀末に観測された星の大爆発だよ。みんなが知っているように普通の恒星は寿命を終えると超新星爆発を起こして星間ガスに戻って再び何十万年後に新しい恒星が生まれる元になる。でも太陽の30倍以上の大きさを持っている巨大恒星は桁違いな大爆発を起こすことが分かっているんだ。それが超超新星爆発すなわちハイパーノヴァだね」

 

「へぇ~」

 

「そうなんですか~」

 

「いや感心している場合じゃないよ!地球から3000光年以内でこれが起きたら地球は爆発の衝撃や放射能をもろに食らって壊滅的な被害が起きると言われているんだよ!!!」

 

「「「「マジですか!?」」」」

 

「うん…それにベテルギウスの直系は太陽の500倍以上だし質量比でも優に数十倍…α星ベテルギウスはハイパーノヴァを起こしうる超巨星なんだよ!」

 

[実は現実世界でもベテルギウスは爆発するのでは?と2020年に騒がれたが実際のところまだ十万年は大丈夫だそうだ。(被害もそこまでではないと言われているが本当かはわからない)]

 

『束、さらに困った報告だがその二つの艦隊のエネルギー放射はデスラーが送って来た盗掘艦隊とほぼ同じだ』

 

「え!?」

 

「つまりなにか?其奴らは、マゼラン雲はもとより銀河系にまで勢力を広めているのか!?」

 

『可能性はあるな。しかも、ガミラス星やペテルギウスの行為から連中は侵略ではなく、エネルギー採掘が主目的なのだろう。それがその星系や惑星に住む生物にどんな被害があろうとお構いなしの迷惑な方法でな‥‥』

 

「司令!ヤマトより不明艦隊に採掘中止を求める通信文が送られました!」

 

千冬からの報告を受けて考察していた束とディアーチェの元にヤマトが不明艦隊に通信を送ったとギンガから報告が上がった。

 

「ガミラスで盗掘していた連中なのだろう?とても話を聞くとは思えんが‥‥」

 

「うん。まぁヤマトの古代君もそう思っているだろうけど、ごく僅かな可能性を信じているのかもしれないな」

 

『そのようだぞ、束。不明艦隊のエネルギー波長に変化ありだ、おそらく砲門を開いて戦闘配置を整えたと見える』

 

「やっぱりね‥総員に第一種戦闘配置発令!急いで!」

 

「「「「はい!!」」」」

 

ビー!ビー!ビー!

 

「っ!?」

 

「な、なに?」

 

食堂に居たフェイトたちは突然の警報音にビックリする。

 

『総員!第一種戦闘配置!繰り返す!総員!第一種戦闘配置!』

 

「戦闘‥配置?」

 

「ま、まさか‥‥」

 

「戦闘が起きるってこと?」

 

「うん‥多分」

 

艦内に響く警報音と放送を聞き、フェイトたちは不安そうに顔を見合わせる。

 

こうしてアマテラスはヤマト、雪風・改と共に暗黒星団帝国との初の交戦状態に突入した。




感想お待ちしております。

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様
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