みんなにとって「キャンプ」と言うものはどういうものを思い浮かべるだろうか。
お父さんが運転する大型ワゴン車に、折り畳みテーブルや椅子、テント、寝袋などを持ち込み、
お母さんが食材を買い揃え、
子供たちが和気あいあいとしながら車に乗り込んで鼻歌を歌っている。
そして現地に着くなり、子供たちがはしゃぎ回り、親御さんがテントなどの準備をして、その手伝いを少し嫌々しながら、子供たちも手伝うところまでは想像ができないではないだろう。
つまり一般的な「キャンプ」とは集団で比較的に明るいアグレッシブな人達がするものと言う解釈でも間違いではない。
何が言いたいかと言うと……
蓮仁郎「やっぱり…あいつ変わってるよな…」
「あいつ」というのは俺の幼馴染のことだ。俺の幼馴染は、前述した一般的に思い浮かべる「キャンプ」と言うものがあまり好きではないらしい。嫌いというわけではないらしいが、好きな理由はあまり聞いたことはない。
蓮仁郎「だけど、キャンプ…っていうよりソロキャンか…それは好きなんだよな…」
ソロキャンというのは、一般的なキャンプとは違い、1人で静かにキャンプを楽しむことだ。
多分幼馴染に言えば、そんな簡潔なことではないと言った顔で、ソロキャンを勧められる可能性があるが、とにかく簡単に言えば、ソロキャンは一般的に挙げた「キャンプ」とは違うものというのが俺の見解になる。そこに同じ部分があるとすれば、外で楽しむものということと、それをする人たちはアグレッシブな人達の部類であるということである。
だが、俺は思うのだ。
蓮仁郎「なぁ、リンさんや」
リン「なに?レン」
蓮仁郎「お前が好きなのって、1人でキャンプするボチキャンだよな」
リン「ボッチっていうな。ソロキャンな」
蓮仁郎「ソロキャンってさ、1人で静かに楽しむキャンプなんだろ?」
リン「確かに簡単に言えば、そうだね」
蓮仁郎「なら…俺はなんで、連行されてるんだよ…」
リン「なんで?」
蓮仁郎「いや、疑問に疑問で返すなよ。要するに、1人でキャンプするのがソロキャンなのに、2人でしたら、お前のやりたいソロキャンではなくなるんじゃない?って言う疑問だよ」
リン「レンはさ……」
蓮仁郎「おう」
リン「最近全くもって外出てないだろ」
蓮仁郎「いや、ちゃんと学校には行ってるじゃん。外出てる出てる」
リン「放課後は、私と一緒に帰ってるから、どこも寄り道してないし、土日は玲奈さんに聞いたら部屋に篭って一日中寝てるって」
蓮仁郎「いやいやいや!ほら!学校でさ!動いてるから!うん…その、えーっと……」
リン「参碧にも聞いたけど、ご飯の時以外出てこないから、最近悩み事でもあるんじゃないかって心配してた」
蓮仁郎「……」
リン「私も」
蓮仁郎「も、申し訳ございませんでした…」
リン「一緒に行くことに関してなんか質問ある?」
蓮仁郎「しまりん様の貴重な時間を私めなんかに割いていただき誠にありがたく存じます。願わくばお供させていただきたい所存でございます」
リン「うむ。くるしゅうない」
そんなこんなでこの男「田上蓮仁郎」は幼馴染「志摩リン」に連行されて「ソロキャン」というものを体験することになった。しかし果たして2人でやるキャンプはソロキャンなのか?ツー…キャン?ツインキャン?セカンド…セカ…セカキャン?どれも合わない。何か良い名前はないものか…
リン「なんか、くだらないこと考えてるだろ」
いやはや、俺の幼馴染は恐ろしい。