フィールドワークを続けているが
森ばかりで何も見つからない。
カルデアからマシュが地道に
マッピングしてくれているから
迷わずに済んでいるけど、
やはり霧をどうにかしたい。
ランスロットは反応が出たり
消えたりしていて、 位置も都度大きく
変わるためすぐに合流は難しいそうだ。
幸いなことにシグルドが
いつもより調子がいいようだ。
膨大な魔力が適切に流れ込んでいるらしい。
シグルドの考察では
特異点外周に沿って張られた結界は
魔力の流れを気流のような流れで
コントロールしているらしく
異常に大気中の大源が濃いらしい。
ダヴィンチちゃんの計測によると
第七特異点よりちょっと数値が高いとか。
おかげでサーヴァント自身の魔力で
完結出来るから一戦した割に
ほとんど疲れがない。
「マスター、敵が現れた。
霧の性かこの距離まで気づかなかった。」
大きな剣を持った大傷のある大男。
フェルグス・マック・ロイが
そこにいた。
攻撃するそぶりもなく、
堂々とそこにいる。
「俺の名はフェルグス・マック・ロイ!
アルスター時代はコノート最強の騎士で
ご覧の通り色男だ!
貴公らにはここで死んでもらう。
もっともこの特異点に関与せず、
手を引くならその限りではないがな」
押しつぶされそうなプレッシャーを放ちながら、
小さくえくぼを浮かばせる。
「悪いけど、それは出来ない。
この特異点を修正しないといけない」
「そうか。その決断に敬意を。
まぁ悔いの無いようにやってくれ」
フェルグスが構え始める。
「シグルド頼んだ」
「委細承知」
両雄が剣先を結ぶ。
剣戟から始まったが、驚くことに
当方の方が膂力、スピード共に
上回っているのに
巧みな剣技ですべていなされた。
称賛するしかない。
辛うじて距離をとりルーンによる攻撃に
切り替えるも相手の剣が鞭のようにしなり伸びる。
投げた短剣も弾き落されてしまう。
ルーンを刻んでも虹霓が光りかき消されしまう。
「どうした戦士、打つ手なしか?」
おまけにすぐに距離を詰められる。
「ゲオルギウスを出す!」
マスターがシャドウサーヴァントを召喚。
当方とフェルグスとの間に入り入れ替わりする。
「今のうちに立て直しを!」
「承知した!」
周囲にありったけのルーンをばら撒き、
竜の炉心を加速させ、最大限魔力放出をする。
渾身の力で破滅の黎明を振り下ろす。
まいったな・・・・。
我がマスターは優秀過ぎて、
まいってしまう。
敵の数を制限し、そこから更に分断。
霧で合流を妨害し
敵は単独で戦うしかない。
おまけにこちらは結界の効果で
地脈の魔力をまるまる使えるようなもの。
これじゃ戦う前から勝ったも同然ではないか。
正直、手ごたえがない。
おかげで余計な事を考えてしまう。
今のマスターに付いたのはもう1年以上前だ。
人理修復の任務を遂行していた男には妹の様に
可愛がっていた少女がいた。
全ての特異点を修正したあとの戦いで少女は
死んでしまったらしい。
俺は同じ戦場にはいたが、
同じ場所には居なかった。
不甲斐ない。
見事人類史を救った彼は、勝利の美酒が
与えらるはずが、絶望に堕ちた。
その後、任務を終え俺たちは退去した。
が、その後再召喚された。
この特異点に。
目的は少女を蘇らせるためだそうだ。
魔術に弱い俺にもわかる。
そんな事は不可能だ。
少女は普通に殺されたのではなく
マスターを守るために焼き消えたそうだ。
スカサハはクー・フーリンの息子コンラに
生き物を生き返らせる魔術を授けたそうだが、
遺体がないものは神代の魔女でも無理らしい。
だが男は言った。可能だと。
男は自分が持ち得る全てのリソースを費やし
膨大な計算により
不可能な魔術式の構築に成功したらしい。
もっとも、
この人理が不安定な状況あってのものだとか。
男には辛く苦しい試練を
達成した栄誉があった。
守り切った世界があった。
だが男はそれら全てを投げうち、
この特異点を作った。
人類史を終わらせるためじゃない。
少女を蘇生させる装置として。
男に帰る世界は最早無い。
この計画のため
消費してしまったらしい。
男は世界を救った英雄だ。
英雄がそこまでして
一人の少女を助けようとしている。
それだけで
同じ英雄として手を貸すには十分だ。
だから気が乗らない戦いにも身を投じる。
今この瞬間も。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
シャドウサーヴァントとの打ち合いの
合間に巧妙に入り込む。
破滅の黎明がトップスピードで降りかかる。
これはいなせない。だが・・・・。
「『虹霓剣!』」
瞬間、辺りは虹色に包まれ、
太陽の魔剣は吹き飛ばされた。
「ぐわあッ!!」
虹霓剣に吹き飛ばされたが、
着地したのは先ほどの地面ではない。
さっきまで立っていた場所は
大きくV字に裂け、地表が露わになっている。
その生まれたばかりの斜面に
宙に浮いた身体が引き戻された。
体中が裂けている。
ガッツが無ければ終わりだった。
周りに配置していたルーンも
クッションになったがほとんどは
虹の光と共に消えてしまった。
崩れそうな胸から竜の炉心を
無理やり加速させて回復を図る。
「シグルド!」
「マスター!!こちらには来るな!!
急ぎ次のシャドウサーヴァントの召喚を!!!」
「マスター!
シグルドさんの霊基がもう持ちません!
即刻撤退を推奨します!」
マシュからの通信が響く。
「逃げられればな・・・!」
糸目の戦士が斜面を滑り下りてくる。
マスターを狙われないのは幸いだが、
もう彼と打ち合う余力はない。
マスターだけでも逃がさなければならない・・・・!
今、礼装から応急手当を起動してもらい
多少はマシになったがもう何分も
持ちこたえれない。
可能性は低いが、
もう宝具で無理やり逆転するしかない。
幸い、魔力だけは潤沢な状況だ。
この場面だけ切り抜けられれば
あとから回復を図れる。
今この瞬間に全力をかけて挑む。
マスターがシャドウサーヴァントで
援護してくれているがフェルグスは
全て軽く流している。
青き炎をたぎらせろ・・・!
「絶技用意・・・・!
太陽の魔剣よ、その身で破壊を巻き起こせ!!
『壊刧の天輪』!!!」
この霊基に染みこんだ動作。
大地を踏みしめて、
破滅の黎明に拳を叩き付ける。
その筈が、
甘く見ていた。
引き裂かれた大地の強度は低く
拳をふるうための踏み込みの際に
大きくガクッと下へ落ちた。
体勢は崩れ宝具は不発に終わった。
「やはりマスターの計略は優秀過ぎる。
これだけの英霊がこの様とは
いやはや困ったものだ・・・。」
その時、ゲオルギウスのシャドウサーヴァントが
後ろからフェルグスを
がっしり抑え込む。
彼もガッツで耐えていたようだ。
今にも消えそうな状態で
本人さながらの
守護をしてくれている。
この隙に残っている
ルーンを起動させる。
勝利のルーン。
地面に散らばっていた
ルーンを空中に投影する。
空気がレンズ状に固まり
しっかりとした足場になる。
もう一撃、破滅の黎明を打ち放つ。
シャドウサーヴァントが後ろから
掴んできた時は驚いた。
もうとっくに消えていると思っていた。
惜しむらくは 振り払えなくとも
宝具は撃てるということ。
あぁ。マスターの力にはなるが、
何十何百と英霊を屠っては
剪定される世界を潰しているのだ。
止められるものなら止めてほしい。
それでもパスを通して男の記憶が流れる度に
我がマスターを救わねばと 決意する。
我ながら女々しい事を考えているな。
男を救うには願いを叶えてやるのも
一つの手ではある。
だが、堂々と健全な行い
と言う事も出来ない。
戦いと女にしか頭を使えん俺には正直、
問題が複雑過ぎる。
だから問題の解決手段があるなら
敵でもなんでもいい、
やってほしい。
けれども、
我がマスターに抗うには
俺を倒せる程度の能力が必要だ。
故に全力で戦う。
負けたいのに
勝たざる負えないとは
まったく面倒を引き受けたものだ。
目の前に居る男の覇気は凄い。
彼の様な戦士に
勝ってもらいたいものだ。
「 ↑ !!」
眼前の戦士が叫び、
大地に刻まれたそれは宙に現れ、
戦士はそこに立ち上がる。
再び太陽の煌めきを放つ。
身体が奮い立つ。
久々の高揚感に口角が吊り上がる。
全力で迎え撃っても
更に勝負の見えない感覚。
これで全力で宝具を放てる。
「真の虹霓をお見せしよう・・・!」
「魔剣完了。
貴殿の矜持、見せてもらう。」
口上の途中だが耳に残る。
なかなかこたる言葉だな・・・。
「これなるは破滅の黎明『壊刧の天輪』!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
どうか、
この虹が彼方の意志に届き、
我らの願いが果たされますように。
「虹の如く、等しき無限長。されど剣。
それなるは螺旋虹霓!
伸びろ!『極・虹霓剣』!!!!」
虹が大地に染みこみ
螺旋に伝播する。
宝具を打ち出す、
戦士を飲み込むように。
足場は揺れ、
身体は吹き飛ばされそうなはずだが、
戦士は全力の攻撃のモーションを
途切れさせない。
だがもう間に合わない。
「主の御業をここに!『我が神はここにありて』」
優しい光が突然広がる。
あちらのマスターが出した
シャドウサーヴァントの宝具か。
シャドウサーヴァントには結界の効果がないから
十分押し切れる出力だ。
だが、押し切ったところで
彼の準備が整った。
宝具が来る。
撃ち放たれた太陽剣は閃光となり、
俺の霊核に触れてくる。
既に放たれた剣を
どうする事も出来ない彼は
全ての魔力を投じて
この一撃に賭けている。
「うおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおお!!
ブリュンヒルデえええええええええええ
えええええええええええええええええええええ!!!」
虹の波の中心で太陽の光が煌めき、
激しい白が広がっていく。
【挿絵表示】
「激しい閃光で映像見えませんが、
敵サーヴァントの消失を観測!
勝ちました!」
よっしゃああああ!!
と声が上がる。
「やりましたよ!マタ・ハリさん!」
回復を終え、管制室で一緒に見守っていた彼女と
両手を合わせて喜ぶ。
「ええ!やったわね!」
満面の笑みを浮かべる彼女は
軽やかに立ち上がり、
通路に出て歩き出した彼女は
踊り始める。
モニターはまだ光に覆われ、
白いまま見るもののない職員達の
視線を集め、
ヒューヒューと歓声があがる。
美しい体躯が魅せる踊りは
徐々に他の職員達も
釘付けにしていき、
全ての職員が
彼女を見ているように感じる。
彼女から目が離せず
確認は出来ない。
「おいおい、
いくら嬉しくても管制室で踊る....の.....は...........」
ダ・ヴィンチ司令官代理が
注意を促そうとするも
口が閉じずに中断された。
いつの間にか管制室には
甘い匂いに包まれている。
「結び、開き、私という女に溺れて頂戴!」
『陽の眼を持つ女』
踊りを終えた彼女の周りには、
手繰り糸が切れた人形のように
立ち止まっている人影のみ。
全員瞳孔が開き、
マタ・ハリ同様に瞳が光っている。
宝具による洗脳が完了した。
ダヴィンチもマシュも同様に。
先ほどとは違い、
ニンマリと笑う彼女は
胸元の谷間から装備していた
聖杯を現界させる。
管制室のロックを確認し、
職員を操り通信を繋ぐ。
「第一段階完了よ。マスター
ここは当たりの世界みたい!」
「あぁ、よくやった。
流石一番信頼出来るサーヴァントだ」
モニターには黒い鎧の男とロビンフッドが映っている。
誰の視点だろうか。
カルデアの一室で
ミーティングをしている光景が見える。
「君たち、出会ってからまだ数週間なのに、
いやに馴染んでるね!
まるで兄妹みたいだ」
にやけながらダヴィンチが言う。
「兄妹・・・・!
なら兄さんですね!マスター」
「やめてくれ。社会的印象が悪くなる。」
「?!え・・・?何故ですか?」
困惑するマシュに適当に返す。
「知らなくていい・・・。
任務が始まって以来ベッタリだ。
プライベートで無理に
構わなくてもいいんだぞ」
目を合わせずに、紅茶に砂糖をまぜながら話す男。
「無理になんて!
いえ、お嫌なら辞めますが・・・。」
急に暗い表情になるマシュが
横目からでも視界に入ってしまった。
面倒だ・・・。
「したいときだけしろ・・・。
不安になることはない」
「・・・・!はい、兄さん!!」
嬉しそうに笑うマシュを見て思わず
微笑んでしまった。
彼女は研究のためサンプルでしかない。
人として扱ってはいけない。
魔術師として当たり前のことを
いまさら頭の中で反芻させる。
彼女は16歳の誕生日に大きな事件にあった。
今まで誰とも接せずに
ガラス室で飼われてた彼女は
ようやくマスターとしてやって来た、
選りすぐりのメンバー達と友人になり
人並みの感情が芽生えたところで
全て失った。
友人以外のマスター候補も全員失った。
マリスビリーに戦術顧問として
呼ばれていた俺は管制室から
飛んでいき、貴重な研究サンプルを
助けにいった。
そして、死にかけの彼女を
励まして救出を試みた。
そうして、あれよあれよと
人類最後のマスターになった。
たまたまレイシフト適性があったばっかりに。
そこから雛鳥のすりこみみたいに懐かれた。
おまけに新任のアニムスフィアのご令嬢は
最初のレイシフトで死亡。
他に適任者がいなくてダヴィンチが
カルデアの司令官になった。
まったく他の職員も猫可愛がりするから
カルデアはマシュの託児所みたいだ。
「任務の話に戻すけど、
現在我々に協力してくれているサーヴァントは
マタ・ハリとロビンフッドのみ。
君の作戦通り規模が大きく
ひっ迫している特異点から
対処しているが、
最初のバビロニアは
英雄王がサーヴァントを
召喚していて協力してくれたから
勝てたが、もっと直接的な戦闘が
出来るサーヴァントを
仲間にしないといずれ手詰まりだ。」
「あぁ、俺とマシュとロビンじゃ
英雄王みたいトップサーヴァントの
相手は無理だ。
次のエルサレムの情報から
必要になりそうなサーヴァント
を英雄王から見せてもらった
宝具の一覧から選別して
聖遺物として投影、召喚を試みる。
俺が降霊術の大家の出でよかったな」
「まったくだ。
君の様な戦闘面も研究面も
優秀な人間を
没落貴族の魔術師の中から見つけて
雇って来るなんで、
マリスビリーの人材確保能力は天才的だ」
「まぁ、1994年の冬木の儀式で
時計塔のパワーバランスが崩れたからな。
研究で籠ってたらいつの間にか
ポストを取られてたんだ。
流石に冠位が用意した霊地が
報酬じゃ断れん。」
「なるほどね。
今日のミーティングはお開きにするけど、
君らこの後の予定は?」
「・・・・。
45分後に仮眠を取るが、それまで何かするか?」
「えっと。それなら食堂でトランプでも」
「了解した。この前、ロビンとダヴィンチに
搾られたからな。 タダのゲームは魅力的だ」
「・・・!それはよかったです!」
ふふっとダヴィンチが部屋を後にして、
男たちも続く。
「は・・・・・・・?」
土砂の上で目が覚める。
宝具の撃ち合いで
フェルグス・マック・ロイを撃破したあと、
彼の宝具による地形破壊で
土砂に呑まれて気絶した。
胸から下と左腕がない。
「なん・・・
だ・・・・?
すべて思い出した・・・!!
俺はマスターのカルデアから
呼び出されたサーヴァントではない・・・!
彼もマスターではない!!
忘れさせられていた!
彼女に操られていた!
マタ・ハリの宝具で!!」
そうだ。当方はエルサレム攻略のために
『原罪』を触媒に召喚されたサーヴァント。
再び、この特異点で呼ばれた際に、
あの男の恐ろしい計画を止めるべく離反した。
あの男に敗れて拘束された当方は
マタ・ハリの宝具で洗脳され、
スパイの片棒を 担がされたという訳か・・・!
まずい、このまま当方は消えてしまう。
マスターは!
彼がいた場所は地形破壊の影響が少ない。
シャドウサーヴァントが守ってくれたのだろう。
彼は既に次の行動に移しているのか。
姿が見えない。
上からでは当方の位置は隠れて見えそうにない、
もともとパスが繋がっていないのだから
生存の有無も確認出来なかっただろう。
仕方あるまい。
だが、
あの男を止めるために彼には
勝利してもらわなければならない。
意識が薄れていく。
当方はもう合流出来ない。
代わりに彼のために
誰かを送らなければ。
彼にあの男の事を教えなければ・・・!
今持てるものをすべて託す。
頼む、彼を止めてくれ・・・・・!
右手で綴ったルーンが円を繋ぎ、
儀式が行われる。
マタ・ハリに占領された管制室。
電力の供給ほきゅうを少しずつ制限して
稼働中のサーヴァントに気取られないように
現界出来ないようにしていく。
藤丸立香の意味消失を防ぐための
モニタリングを辞め、
黒い鎧の男や仲間のモニターに
切り替える。
「順調に進んでいるけれど、
フェルグスの戦闘の影響で二層目の結界が
破られちゃったわね」
「英雄シグルドとの戦闘だ。仕方ない。
それより
サーヴァントの損失が出るとは思わなかった」
「まぁフェルグスの兄さんがあの宝具使うのも
ここ来てから初ですしね。
今まで全戦全勝なのが、おかしいんすよ」
重く考え込むマスターの空気を換えるように
両手を平らにジェスチャーするロビン。
「計画は予定通り第二段階に移行する。
こちらも損失は出ているが
敵マスターは単独。
戦力はシャドウサーヴァントのみだ。
二層の外にいたヘクトールと合流しても
意味消失に耐えられず
消えていくだけだろう。
そのあと彼を倒せばいい。」
「了解。
まぁ一騎だけなのが幸いしましたな。」
「その一騎が問題なんだがな・・・・。
ヘクトールについてはベオウルフに任せよう。
フィン・マックールもそろそろ終わっている頃だろう
報告があり次第 向かわせてくれ。」
「わかったわ。」
笑顔で応えるマタ・ハリ。
「機材や設備の調整完了。
あとは何をすればいいんだい?」
「レオナルド、あなたには特別な仕事があるの
私と一緒にコフィンに来てちょうだい!
マシュもね!」
「了解」「わかりました」と待機する。
「霧が消えたから確認していたが、
以降は計器もすべて第二段階のために
割いてくれ、
仲間を見ていても意味がない」
「伝えておくわ、この後も気を付けてね」
「あぁ、ありがとう」
通信が終わり、
画面から映像が途絶える。
「マシュ、準備できたかしら?」
「はい、準備完了です」
コフィンに入るマシュに
笑顔で見送るマタ・ハリ。
タブレットからダヴィンチが
コフィンの術式を調整し、
聖杯と接続する。
「よし!じゃあ始めよっか!
実に興味深い術式だ。
ホントに可能なのかやりがいがあるよ!」
「万能の天才がやるんだもの、
絶対うまくいくはずよ」
二人の美女の異なった笑顔が
迎え合わせになる。
「確かに、
この人理が不安定な状況を
利用する方法としては
堅実的なプランに見える。
実際、こんな事やる人間はいないから
まったく予想外の事が起きても
おかしくはないけど」
「ふふっ、あなたたちホントに仲良しね!
マスターも同じことを言っていたわ」
「? そうなのかい?
これが終わったら直接会ってみたいね」
はっと両手を口に押えるマタ・ハリ。
「ええ、喜ぶわ」と笑顔で合わせる。
「それとマシュ、あなたはレイシフトしたら
私の宝具を受けた後の事は
全部忘れてちょうだい。
いつも通りそのまま
マスターを探して合流するといいわ」
「わかりました。マタ・ハリさん」
「良い子ね」と頭を撫でそうになるが
とっさに止めて手を振るマタ・ハリ。
「それじゃあマシュ!
人類未踏の試みに挑んでみようか・・・!」
「はい、マシュ・キリエライト出撃します!」
レイシフトの音が響き渡る。