愛讐越界特異点カムラン   作:Pon_De_hutago

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5章 忘れられない

 「・・・・ッ!!!!」

「大丈夫かマスター!

しっかりしろ・・・・ッ」

頭痛(ずつう)がする。気分が悪(わる)い。

頭の中にいきなり

暗(くら)い情報(じょうほう)を押(お)し込(こ)まれた。

こうならなくて良(よ)かったと

恐怖(きょうふ)するような光景(こうけい)が

実際(じっさい)に体験(たいけん)した記憶(きおく)として流し込まれた。

終局(しゅうきょく)特異点(とくいてん)の後の

青空(あおぞら)を一人(ひとり)で見て膝(ひざ)をついている光景(こうけい)。

マシュが居ないカルデアの光景(こうけい)が

断片的(だんぺんてき)に流(なが)れてきた。

ここの特異点(とくいてん)のマスターの記憶(きおく)・・・・?

「ごめん、一瞬(いっしゅん)頭痛(ずつう)がしただけ。

もう大丈夫」

「これまでの経緯(けいい)を聞くに、

既(すで)にマタ・ハリが管制室(かんせいしつ)を占領(せんりょう)している。

連絡(れんらく)が付(つ)かないのもそのせいだ。

これは早く特異点(とくていん)を修復(しゅうふく)しないと

お前さんがもたないな」

「うん。そうしよう」

「つーわけで、ここはお目(め)こぼし頼(たの)むぜ?

ベオウルフさんよー。」

鋭(するど)い目(め)つきのヘクトールに対(たい)して、

飄々(ひょうひょう)と笑(わら)っているベオウルフ。

「そいつは聞(き)けねぇーな。

代(か)わりにさっさと楽(らく)にしてやるから

恨(うら)みっこなしで頼(たの)むぜ。ヘクトール」

両者(りょうしゃ)睨(にら)み合い、剣風(けんぷう)が舞(ま)う。

 

 ベオウルフ相手(あいて)には

離距(きょり)を取りたいのはやまやまだが、

赤原猟犬(フルンディング)の的確(てきかく)な重い連撃(れんげき)で

どんどん距離(きょり)を詰(つ)められる。

更(さら)には下手(へた)に距離(きょり)を取り過ぎても、

赤原猟犬(フルンディング)をマスターに投(な)げられては

その場で終(お)わってしまう。

ト(・)ド(・)メ(・)に鉄槌蛇潰(ネイリング)は

不毀の極槍(ドゥリンダナ)では強度(きょうど)が高すぎて

当(あ)てただけで砕(くだ)けるが

爆発(ばくはつ)を防(ふせ)ぐ手段(しゅだん)がない。

 「相性(あいしょう)が悪(わる)すぎるな・・・・。」

赤原猟犬(フルンディング)を受けた槍(やり)から

重い金属音(きんぞくおん)が響(ひび)く。

無理(むり)やり押(お)しのけて

必死(ひっし)に吐(は)き出(だ)すヘクトール。

「我(われ)らがマスターの知略(ちりゃく)は一級品(いっきゅうひん)だからなぁ!

しっかりアンタが出てきた時の事も

織(お)り込(こ)み済(ず)みよ」

「ヘクトール!仕切(しき)り直(なお)して」

後(うし)ろからシャドウサーヴァントが現(あら)れる。

あれはバビロニアの記録(きろく)で観(み)た。

レオニダス一世か!

鉄槌蛇潰(ネイリング)を盾(たて)で抑(おさ)えるレオニダス。

その隙(すき)に赤原猟犬(フルンディング)を持っている右半身を

槍(やり)で雀刺(すずめざ)す。

しかし、

赤原猟犬(フルンディング)によって

穂先(ほさき)が捉(とら)えられ弾(はじ)かれる。

バーサーカーの癖(くせ)に器用(きよう)な事を・・・!

引(ひ)き留(と)められた槍(やり)を

膂力(りょりょく)で無理(むり)やり押(お)し返(かえ)される。

吹(ふ)き飛(と)ばされそうだ。

もうもたない・・・・!!

「まだまだあああああああああ!!!」

レオニダス一世が片手(かたて)の盾(たて)のみで

鉄槌蛇潰(ネイリング」)を抑(おさ)え始(はじ)める。

腕(うで)がはち切(き)れそうなほど膨張(ぼうちょう)して

血管(けっかん)が所々(ところどころ)に浮(う)き出(で)ている。

片手槍(かたてやり)が振(ふ)るえるようになり

ベオウルフに仕掛(しか)ける。

「やるじゃねぇか・・・!

だがなぁ!!」

赤原猟犬(フルンディング)が不毀の極槍(ドゥリンダナ)から離(はな)れた。

レオニダス一世に赤原猟犬(フルンディング)で

畳(たた)み掛(か)けるベオウルフ。

今だ・・・!

不毀の極槍(ドゥリンダナ)に魔力(まりょく)を込めて

ベオウルフの横から切りつける。

右腕(みぎうで)と脇腹(わきばら)に深い裂(さ)け目(め)が出来(でき)ても

構(かま)わずレオニダス一世に

赤原猟犬(フルンディング」)を叩(たた)きつける。

「おらおらおらおらおらおらおら!!!!」

返(かえ)す穂先(ほさき)で雀刺(すずめざ)すが

身体(からだ)に穴が開(あ)き続けているのに、

まるで止(と)まる気配(けはい)がない。

戦闘継続(せんとうけいぞく)スキルか?!

更(さら)には膨大(ぼうだい)な魔力(まりょく)で

次々(つぎつぎ)と傷(きず)が再生(さいせい)していく・・・・!

すさまじい連打(れんだ)に

レオニダスがすり潰(つぶ)されていくようだ。

止められない!

間に合わない。

 

 「先輩(せんぱい)!!」

大盾(おおたて)がベオウルフの頭上(ずじょう)に降(ふ)ってくる。

舌打(したう)ちをしてベオウルフが回避(かいひ)する。

「マシュ?!」

「マシュ・キリエライト

一時的(いちじてき)に戦線復帰(せんせんふっき)しました!

万全(ばんぜん)です!指示(しじ)を!」

マスターの眼(め)が変(か)わった。

遠くを見据(みす)えて、

敵(てき)を捕(と)らえている。

ふっ、マシュ嬢(じょう)ちゃんに

こんな相手が出来た世界(せかい)か。

「了解(りょうかい)!

マシュは全力(ぜんりょく)で防御(ぼうぎょ)を。

ヘクトール!思(おも)いっきりやって!!」

そういう事か!

「オーケイ、マスター!」

マシュが大盾(おおたて)を構(かま)えた。

透(す)かさず、槍(やり)で鉄槌蛇潰(ネイリング)を突(つ)きぬく。

破裂(はれつ)した威力(いりょく)をマシュ嬢(じょう)ちゃんが防(ふせ)いで

ベオウルフにぶつける!

ベオウルフは鉄槌蛇潰(ネイリング)から

手を離(はな)して宙(ちゅう)に放(はな)った。

「そういう魂胆(こんたん)か。

ならこいつもやるよ」

宙(ちゅう)に浮いた鉄槌蛇潰(ネイリング)目掛(めが)けて

赤原猟犬(フルンディング)も投(な)げた。

赤原猟犬(フルンディング)は鉄槌蛇潰(ネイリング)を押(お)して

まっすぐマシュの方へ飛んでいく。

「え?」

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)。

鉄槌蛇潰(ネイリング)が手榴弾(グレネード)のように

爆発(ばくはつ)した直後(ちょくご)、

ミサイルのような赤原猟犬(フルンディング)の

爆発(ばくはつ)が巻(ま)き起(お)こる。

想定(そうてい)を上回(うわま)る火力(かりょく)に

マシュが後方(こうほう)に吹(ふ)っ飛(と)び、

レオニダスは霧散(むさん)した。

直感(ちょっかん)によるその場の判断(はんだん)か、

マシュが合流(ごうりゅう)した際(さい)の作戦(さくせん)も

織(お)り込(こ)み済(ず)みなのか、

一瞬(いっしゅん)で増援(ぞうえん)を無力化(むりょくか)した。

「ははは、ははははははははは!!!

やっぱ久々(ひさびさ)の闘争(とうそう)に心(こころ)が躍(おど)る!

いつもはフェルグスとフィンで

終(お)わっちまうからなぁ!!」

理性(りせい)を欠(か)くことのないはずの男が

目は白く光り輝(かが)き、

口は大きく開(ひら)き高笑(たか)いをする。

俺が与(あた)えた傷(きず)や爆発(ばくはつ)の余波(よは)を受けても構(かま)わず、

再生(さいせい)するに任(まか)せて立ち上がる。

「アンタともあろう奴(やつ)が、

まさかもっとマスターと戦(たたか)いたくて

こんな事に協力してんのか!」

「まさか。

別に俺たちは人類史(じんるいし)を脅(おびや)かしてる訳(わけ)じゃねぇ、

ただあってもなくてもいいような世界(せかい)を

救(すく)わされた代(か)わりに

家族を犠牲(ぎせい)にされちまった奴(やつ)が、

名誉(めいよ)も居場所(いばしょ)もすべて賭(か)けて

大事な妹を救(すく)おうって言ってんだ!

そいつに手(て)ェ貸(か)して何(なに)が悪(わり)ぃってんだ!!」

こめかみが裂(さ)けた気(き)がした。

「悪(わり)ぃに決まってんだろーが!!!!

女のために戦争(せんそう)起(お)こすならいい。

その時は我(わ)が輝(かがや)ける武具(ぶぐ)の

すべてを賭(と)して共に戦(たたか)おう。

だ(・)が(・)な(・)!!!

自分の大事な女を殺(ころ)してまで、

その女生(い)き返(かえ)らそうなんて事、

許(ゆる)せる訳(わけ)ねーんだよ!!!」

真名開放(しんめいかいほう)ではないが

出来る限(かぎ)りの魔力(まりょく)を込(こ)めた槍(やり)の一投(いっとう)が

ベオウルフに伸(の)びる。

既(すで)にダメージを受けているベオウルフに

これは耐(た)えられないだろう。

ベオウルフは空(あ)いた両(りょう)の手で槍(やり)をつかむ。

そのまま仰(の)け反(ぞ)り槍(やり)を無理(むり)やり止める。

「『源流闘争(グレンデル・バスター)』!!!!!」

巨人(きょじん)を殺(ころ)した膂力(りょりょく)で不毀の槍(やり)は静止(せいし)する。

「アンタが、俺たちの居城(きょじょう)を破壊(はかい)するために

出来るだけ魔力(まりょく)を温存(おんぞん)しておかなきゃ

いけねぇことは分かっている。

だから宝具(ほうぐ)を使ってこねぇってなぁ!」

「・・・・ッ!!」

「だが、悔(くや)しいなぁ

どうせなら、全力のアンタと

殴(なぐ)り合(あ)ってみたかったぜ。

俺は全力で殴(なぐ)る。

アンタが全力を出せない分は

後(うし)ろのマスターに期待(きたい)しよう。

なんせ、俺たちから二人(ふたり)も倒(たお)すなんて

初(はじ)めてだからなぁ!!

さぞ、優秀(ゆうしゅう)なマスターなんだろうよ!!」

喋(しゃべ)りながら歩(あゆ)み寄(よ)る。

槍(やり)を引(ひ)き戻(もど)して、

マスターの壁(かべ)になる。

「ヘクトール!!避(よ)けて!!」

緊急回避(バック・ブリンク)。

礼装(それいそう)からの術式(じゅつしき)で強制的(きょうせいてき)に横に移動(いどう)させられた。

「な?!」

「『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!!!!!!」

青い光(エーテル)が壁(かべ)のように

眼前(がんぜん)に流れていった。

光が来た先に目を向けると

マスターの横に長髪(ちょうはつ)の男が

大剣(たいけん)を構(かま)えて立っている。

シャドウサーヴァントではない。

眼鏡(叡智の結晶)を光(ひか)らせ、

口をとがらせる竜騎士(りゅうきし)が

ベオウルフを鋭(するど)く見つめている。

 

 「てめぇ・・・・、

どっから来た・・・・?」

宝具(ほうぐ)の一撃(いちげき)を受けたベオウルフが

血だらけになって問(と)い質(ただ)す。

なんとか源流闘争(グレンデル・バスター)の間(あいだ)だったから

殴(なぐ)りまくって耐(た)えたが、

こいつはキツイ。

マジでどこから来た?

カルデアから召喚(しょうかん)されるなんてありえねーぞ。

「俺はシグルドに召喚(しょうかん)されたサーヴァントだ。

彼(かれ)の力と意志(いし)を継(つ)いで

この特異点(とくいてん)を修正(しゅうせい)する。

よろしく頼(たの)む。マスター」

「あぁ、驚(おどろ)いたけど助(たす)かったよ。

よろしく。」

鎧姿(よろいすがた)に眼鏡(メガネ)で確(たし)かにシグルドみたいな野郎(やろう)だ。

宝具(ほうぐ)を受け止めた両腕(りょうわん)は

焼(や)け焦(こ)げてほとんどつ(・)い(・)て(・)る(・)だけだ。

宝具(ほうぐ)が切れる前になんとかする。

 「そして、抑止(よくし)の守護者(しゅごしゃ)でもある。

この特異点(とくいてん)の修正(しゅうせい)は抑止力(よくしりょく)からも求(もと)められいることだ。

君(きみ)も人理(じんり)に刻(きざ)まれる一人(ひとり)なら手を引いてもらおうか。」

「あぁ?!抑止力(よくしりょく)だ?

勘違(かんちが)い機構(きこう)がちょっかい出してくるんじゃねぇよ。

事が終わったら言われなくても

この特異点(とくいてん)は消すことになってる。

マシュ嬢(じょう)ちゃんが住(す)んでく世界(せかい)が無くなるからなぁ!!」

「そうだとしても、この事態(じたい)は見過(みす)ごせない。

実(じつ)は、君(きみ)たちに騙(だま)されたシグルドが

俺を召喚(しょうかん)する時に憤慨(ふんがい)していてな。

その感情(かんじょう)が俺に残(のこ)っているんだ。

抵抗(ていこう)するなら容赦(ようしゃ)はしない!!!」

たっく面倒(めんどう)な事になった。

ヘクトールだけ潰(つぶ)せばいい筈(はず)が

抑止力(よくしりょく)とはなぁ。

だが、

既(すで)に作戦(さくせん)は第二段階(だいにだんかい)に突入(とつにゅう)している。

俺はマシュが意味喪失(いみしょうしつ)するまでの

時間稼(じかんかせ)ぎをすれば いいだけだ。

こいつらがマスターの邪魔(じゃま)しねぇように

殴(なぐ)って蹴(け)って立(た)ってりゃなぁ!!

まっすぐに眼前(がんぜん)の騎士(きし)の元(もと)へ歩(ある)く。

こいつは未知数(みちすう)だ。

ヘクトールよりマスターは嫌(いや)がる。

此奴(コイツ)だけはすぐに消(け)す。

「はぁああああああああああ・・・・・・・・」

呼吸(こきゅう)を整(ととの)えて

突(つ)っ込(こ)む!!!

騎士(きし)は剣(つるぎ)を構(かま)え、

握(にぎ)りを回(まわ)す。

「邪悪(じゃあく)なる竜(りゅう)は失墜(しっつい)し

世界(せかい)は今落陽(らくよう)に至(いた)る

『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!!!」

「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおら

おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおら!!」

途中(とちゅう)で両腕(りょううで)が吹(ふ)き飛(と)んだ。

後(あと)は蹴(け)るしかない。

左足(ひだりあし)を前に蹴(け)り続(つづ)ける。

光の大流(たいりゅう)が途切(とぎ)れ、

右足だけになった四肢(しし)を

動かし近づき続ける。

立て続けの宝具(ほうぐ)の使用(しよう)を目(ま)の当(あ)たりにして

左右に控(ひか)えているマシュとヘクトールは近づけずにいる。

あと一歩(いっぽ)近づければ・・・・。

「はああああああああああああ!!!」

長髪(ちょうはつ)の騎士(きし)の袈裟斬(けさぎ)りが身体(からだ)に染(し)みこんでくる。

「はっ」

笑(わら)った。

貰(もら)った・・・・!

筋肉(きんにく)で刃(は)を止めて

千切(ちぎ)れた足の代(か)わりに支(ささ)えにした。

これで此奴(こいつ)の首を思いっきり

噛(か)み千切(ちぎ)れる!!

「何(なに)ッ!」

長髪(ちょうはつ)の騎士(きし)が身(み)を引(ひ)こうとするが

もう遅(おそ)い!!

「『無毀の湖光(アロンダイト)』」

途端(とたん)、長髪(ちょうはつ)の騎士(きし)の肩(かた)を抜(ぬ)けて

細(ほそ)い水光(すいこう)の線(せん)が俺の頭を貫(つらぬ)いた。

 

 最(・)終(・)特(・)異(・)点(・)の記憶(きおく)がよみがえる。

最終特異点(さいしゅうとくいてん)にたどり着(つ)いた男は

サーヴァント達(たち)に特異点(とくいてん)の

重要拠点(じゅうようきょてん)を攻撃(こうげき)するように

分散(ぶんさん)して攻(せ)め込(こ)ませた。

これまでの特異点(とくいてん)の実績(じっせき)から

似合(にあ)わず慢心(まんしん)していたのかもしれない。

最終局面(さいしゅうきょくめん)で合流(ごうりゅう)するはずが、

特異点(とくいてん)の主(あるじ)の前に現(あらわ)れたのは男とマシュのみ。

作戦(さくせん)では男たちは最後(さいご)の到着(とうちゃく)のはずだった。

他(ほか)のサーヴァント達(たち)は戦闘(せんとう)を続(つづ)けているのに、

男達(たち)だけ到着(とうちゃく)するのは

事前(じぜん)のリサーチのデータではありえない。

 

 敵(てき)の猛攻(もうこう)が続(つづ)き、

時間も稼(かせ)げぬまま

敵(てき)の宝具(ほうぐ)の餌食(えじき)となってしまう二人(ふたり)。

マシュが大盾(おおたて)で防(ふせ)いでなんとか耐(た)えている。

「兄(にい)さん、この一撃(いちげき)だけは耐(た)え抜(ぬ)きます・・・・!

儀式(ぎしき)の準備(じゅんび)を続(つづ)けて、

他(ほか)の方(かた)たちの到着(とうちゃく)まで逃(に)げて下(くだ)さい!!」

「耐(た)えるって!!どうやって!!

このまま二人(ふたり)とも焼(や)かれて終(お)わりだ・・・!」

「いえ、サ(・)ー(・)・(・)ギ(・)ャ(・)ラ(・)ハ(・)ッ(・)ド(・)の宝具(ほうぐ)なら・・・!

私が兄(にい)さんを守(まも)り切(き)ってみせます。」

「いや、だめだ。

話(はな)していただろう!

お前の宝具(ほうぐ)の最大出力(さいだいしゅつりょく)はお前自身(じしん)が耐(た)えられない。

消(き)えてしまうぞ!

だから今までほ(・)と(・)ん(・)ど(・)使(・)わ(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)!!」

「はい、でもこの状況(じょうきょう)では他(ほか)に手段(しゅだん)がありません。」

「いいかよく聞け、

消(き)えるなら私と一緒(いっしょ)か私だけだ!

逆(ぎゃく)はありえない。

今、令呪(れいじゅ)による転送(てんそう)で私ごと、

仲間(なかま)の元(もと)へ転移(てんい)出来(でき)るか試(こころ)みる。

お前はそれまでこのまま耐(た)えて

時間を稼(かせ)いでくれればいい!」

「いえ、何度(なんど)か実験(じっけん)を重(かさ)ねていますが、

マスターごとの転移(てんい)は不安定(ふあんてい)で兄(にい)さんだけ

取(と)り残(のこ)されてしまう可能性(かのうせい)が高(たか)いです。

それではこの状況(じょうきょう)から勝利(しょうり)することは困難(こんなん)かと」

「いや、お前だけでも転移(てんい)出来(でき)ればいい。

指揮(しき)はお前とロビンが引(ひ)き継(つ)ぐんだ。

サーヴァント達(たち)は俺が消(き)えてもレイシフト中は

継戦(けいせん)出来(でき)るように術式(じゅつしき)を組(く)んである!」

「いいえ、兄(にい)さん。

この旅(たび)はみんな兄(にい)さんに頼(たよ)りきりで

私はほとんど何(なに)もしていません。

貴方(あなた)の代(か)わりになれる者(もの)はきっと

人理(じんり)が修復(しゅうふく)したあとでも

見(み)つけられないでしょう。

だから、兄(にい)さんがいないとダメなんです。」

「悪(わる)いが、指揮権(しきけん)はまだ俺にある

令呪(れいじゅ)を持(も)って重(かさ)ねて命(めい)ず」

左手(ひだりて)に刻(きざ)まれた令呪(れいじゅ)に魔力(まりょく)を流(なが)す、

一画(いっかく)では二人(ふたり)の転移(てんい)に足(た)りないなら

三画(さんかく)全(すべ)て使(つか)って無理(むり)にでも押(お)し通(とお)す!!

「妹(・)で(・)す(・)の(・)で(・)、兄(あに)へのわがままくらい

許(ゆる)されますよね・・・!」

マシュが出力(しゅつりょく)を上(あ)げ始(はじ)める。

先(さき)ほどまでは熱(ねつ)が漏(も)れ伝(つた)わっていたが

今(いま)はなく

敵(てき)の攻撃(こうげき)が続(つづ)いている緊張感(きんちょうかん)が和(やわ)らぐ。

マシュの身体(からだ)が薄(うす)れ始(はじ)める。

「やめろ!マシュ!!行(い)くな!!!」

「兄(にい)さん・・・・、

家族(居場所)になってくれてありがとう・・・・。

きっとこの先(さき)、寿命(じゅみょう)を迎(むか)えるより

素晴(すば)らしい人生(じんせい)をあなたは与(あた)えてくれました。

貴方(あなた)は完璧(かんぺき)なマスターで、

完璧(かんぺき)な兄(にい)さんです・・・・・。」

彼女(かのじょ)の身体(からだ)が光(ひかり)に昇華(しょうか)し

目(め)の前(まえ)には盾(たて)だけが残(のこ)る。

男は声(こえ)のない叫(さけ)びを己(おのれ)の中(なか)に

響(ひび)かせて立(た)ち上(あ)がる。

術式(じゅつしき)が特異点(とくいてん)に染(し)みわたった。

マシュが長(なが)い時間耐(た)えてくれたおかげで

あっさりと構築(こうちく)出来(でき)た。

男の表情(ひょうじょう)からは優(やさ)しさが消(き)え、

憎悪(ぞうお)と後悔(こうかい)で

ぐちゃぐちゃに線(せん)を引(ひ)いたような

黒(くろ)い顔(かお)をしている。

 

 あぁ、すまねぇマスター。

俺はこの時も、

今もアンタの役(やく)には立(た)てなかった。

くっそ・・・・!

次(つぎ)があればアンタの幸(しあわ)せを

絶対(ぜって)ぇ叶(かな)えるって決(き)めたのにな・・・・。

ベオウルフの意識(いしき)が黄金(おうごん)の光(ひかり)に

昇華(しょうか)して消(き)えていく。

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