愛讐越界特異点カムラン   作:Pon_De_hutago

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7章 君の為だけに

 

 「敵サーヴァントの宝具、完全に沈黙。

お疲れ様です、マスター!」

「あぁ、ホントに疲れた。

いったいどうなって・・・・」

汗を拭って、辺りをみると

ランスロットが森から出てきた。

 「ご無事ですか、マスター!

こちらは敵サーヴァント、

ダビデの討伐完了しました。」

「あぁ、ランスロットが倒してくれたのか!

いつの間に」

「なに、マスター達が

敵の目を引いてくれていたので、

頃合いをみて奇襲を仕掛けたまで。

それよりも、

早く、城への攻撃を・・・!

もうあまり猶予はないはず」

「うん。自分もそうしたい。

任せたよ。ヘクトール」

そう言うと、ヘクトールが肩に手を置いて

優しく叩いてくれた。

「あぁ、ここからはおじさんの出番だ。

だけど、

あの城は生半可な攻撃じゃビクともしない。

正真正銘全魔力を送り込んで

一撃で確実にぶち壊すから、

俺はここまでだ。

あとの事はくれぐれも任せたよ」

真剣なまなざしのヘクトール。

疲れを振り払い真剣に返す。

「任された。

君たちのマスターのため

出来る限りのことはやってみるよ」

ヘクトールはニカッと笑い。

前に出て、

槍を構える。

 「不毀の極槍行くぞ!!

標的、確認。

方位角、固定。」

この特異点の異常な魔力量から更に、

目に見えるほどに

槍に魔力が注ぎ込まれる。

不滅の槍が今、

白亜の城に投げられる。

辺りは、黄金の光に満ちて、

担い手の身体と対極に

槍は益々その存在を確かにする。

「我が槍は全てを射貫く!!!

『不毀の極槍』あああああああああああ

ああああああああ!!!!」

輝ける極槍が白亜の壁を通過する。

確かに空いた穴から始まり、

激しい振動が来たその時、

大きく爆ぜた。

煙が立ち込め、

城であったものの位置を覆い隠す。

白亜の瓦礫が宙を舞い、

それぞれに飛んでいく。

 

「では、これで我らは突入を・・・」

「待って!

何かおかしい・・・・。

敵は最初に交戦してきた時の様に

聖剣の宝具で迎撃出来たはずだ!」

「た、確かに・・・!」

「警戒して煙が晴れるのを待った方が」

 「先輩!上を!!」

途端に辺りが暗くなった。

上を見上げると

先ほど破壊した白亜の城の正面が

頭上に垂直に表れた。

だが、

こちらは門や城壁も見える。

『いまは遥か理想の城』

それが巨大質量として

頭上に落ちて来ようとしている。

冷や汗が出た。

こんなことって・・・・・。

「マスター、

こちらも宝具で迎撃します・・・・!」

「う、うん・・・!」

すると遥か頭上から

響き渡るあの声が。

「『ロオオオオオオオオオオオオオオオオド!!!!!!!!

キャメロットオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!』」

聞き馴染みの掛け声が

聞き馴染みの無い声で木魂する。

 全員が頭上を見上げて、

戦慄する中。

シュッと振り返り

宙を斬るランスロット。

「・・・。

抜かった・・・・!!」

聖剣の剣先をすり

抜け毒矢は3人の足に突き刺さる。

フードを取り、

姿を現したロビンフッド。

ランスロットとマシュが痺れて倒れこみ。

藤丸立香は痛みで足を押さえる。

頭上の城は刻々と迫り来る。

 

 「居城をあえて破壊させて、

注意をそらして強襲なんて

ぶっ飛んだ事しますよねぇ」

ダビデの戦闘中に次の作戦の再確認をする。

ロビンと黒い鎧の男。

「敵がこの城を全力で破壊しにくるんだ。

抵抗せずに目的を達成させて

その隙をついた方が効率的だ。

この城は特異点を維持するためのものだからな。

もう意味消失を待つだけなら必要ない。

自然に消えるまでの間に

相手がタイムアウトだ。」

「普段緻密に行動するのに

こう言う時は大胆っすよねぇ。

で、爆発前に俺は居城を脱出。

マスターは時に煙る白亜の壁で爆発をしのいで、

飛んでる瓦礫の中を飛び移って、

敵の上までいき、

宝具を展開。

敵がマスターに夢中になってるうちに

俺が毒矢で全員痺れさせるっと」

「あぁ、宝具は連中が潰れる直前で

解除して着地する。

あとは痺れてるところを拘束して、

マタ・ハリとダ・ヴィンチが術式を

成功させるのを待つだけだ。」

 回想が終わり、作戦通り

3人に毒矢を射ち込んだロビンフッド。

駆け寄って、3人の状態を確認する。

「あっちゃー、

カルデアのデータで見てたけど、

オタク、ホント毒耐性強いのね・・・。

これいっぱしの英霊でも

半日は動けなくなる奴よ?」

悶絶する藤丸立香に話かける。

「まぁ、データによると瞬時に

解毒してる訳でなく、

体内に残ってるものを無害な状態まで

戻していってるだけみたいだから

俺の宝具でゴリ押すけどね」

外套から腕を上げて

『祈りの弓』をみせる。

「じゃあ、さいなら。」

「・・・・・ッ!!」

 バシャリと水が降ってきた。

水は藤丸立香やマシュにも伸びて

二人も濡れている。

振り返ると、

ランスロットが革袋を取り出して

中の水を撒いたようだ。

「?! 

こりゃ、フィン・マックールの『この手で掬う命たちよ』か?

それより!

なんで動ける!」

「何、これだけ魔力を送り込まれているんだ、

体内の魔力を加速させて利き手一本ぐらいは

すぐに動けるようにしてみせるさ。」

青くなった顔でランスロットが虚勢を張る。

彼はまだ毒で痺れたままだ。

 「クソ!!」

振り返って、

『祈りの弓』をランスロットに向けたが遅かった。

大盾が振り下ろされる。

撃ち返す猶予がない。

フードを被り『顔のない王』を発動させて後転する。

円卓の騎士たち相手に

真っ向勝負は無理だ。

 なに、解毒されたのは想定外だが

解毒の水はあれだけだろう。

もう一度仕切り直せばいい。

『顔のない王』で逃げれば

奴らは探し回る余裕はない。

今度は藤丸立香だけを狙おう。

サーヴァントは矢を弾く可能性があるし、

マスターが倒れれば

サーヴァント達はマスターを置いては動くまい。

?! ・・・・。

突然、身がよじり、

淡い光が目を通過する。

「『縛鎖全断・過重湖光』」

思考が止まり、

自身の身体の異常に気付いた。

斬られている?

何故?

足跡なんてヘマは・・・・・。

そもそも何故ランスロットが動け・・・。

振り返ると、

藤丸立香がさきほどの革袋を持っている。

自分用に残しておいて

マスターにかけてもらったのか・・・・?

そもそも何故俺が斬られて・・・。

 

脱力感で視線が下を向いた。

そこには外套から水がしたり落ちて

足元の 芝に水滴が垂れて続いていた。

はッ・・・、

ヘマしてるじゃねぇか。

草臥れた笑顔を浮かべて弓兵が散る。

まったく・・・。

これだけの計画を考える人が、

何考えてこんな三流を副官に・・・。

馬鹿だよなぁ・・・。

 

 亜種特異点の攻略も終え、

カルデアに所属していた全ての

サーヴァントが退去された。

彼の精神安定のために残っていたマタ・ハリと

司令官を務めていた私

レオナルド・ダ・ヴィンチを除いて。

それも今日までだ。

正式にカルデアの引き取り先が決まり、

今後カルデアは国連の担当者が取り切るらしい。

まぁ私も今日までだから関係ないけどね。

 二人の別れに水を差すのも忍びないが、

そろそろ施設を丸々引き払わないといけない。

だが探しても見つからない。

彼の部屋にも、

食堂にも娯楽室にもいない。

ここ数ヶ月間、

研究のために自室に引きこもっていたのに。

いきなりどこにいったんだよ・・・!

 ようやく見つけたと思ったら

引き継ぎに向けて

機材のメンテナンスのために

封鎖していた管制室にいた。

しかもレイシフトの準備までしている。

「いったい何してるんだ!」

ダ・ヴィンチが大声を上げる。

数か月ぶりに直接見た男は変わり果てた姿になっていた。

黒い鎧姿に長い前髪。

まるでマシュのようで実に、悪趣味だ。

「ついに計画のための演算が終わった。

俺の術式は実現可能なものだ。

これから実践に移す。」

「おい!

ついにイカれたか?!

もう遊びはおしまいだ!

現実に目を向けて家に帰れ!」

ここ一年と数ヶ月の最大の友人に対し

ストレートに物を言う。

「やり残した事をやるだけだ。

夕食までには戻ってくる」

男はこちらを見もせずに馬鹿な嘘を返してくる。

 「君の研究はみたが、確かに成功しないと

否定しきることは出来ないが、

確実な方法でもない!

コストに対して結果の確証が見込み薄だ!

君が救った世界を犠牲にして

何もかも無意味にするだけの価値があるものじゃない!」

「悪いが、現代の魔術はハイコストで

そこそこの可能性があれば大儀式に踏み込むもんだ。

我々の時代の神秘はそれだけひっ迫している。

そんな理由で辞める気はない。」

 「旦那ぁ!言われた通り、

組み立てと物資の積み込み終わりましたぁ!!

いつでも行けますわぁ!!」

管制室の下のコフィンの傍で

ロビンフッドが叫んでいる。

頭が痛くなってきた。

「サーヴァントまで呼び出したのか?!

もうここは国連の施設なんだぞ!

立派な国際犯罪だ!

後戻り出来ないぞ。

もう借りていたマリスビリーの霊地も

君のもんだろ!

とっとと帰って元の研究に戻ればいいじゃないか!!」

ここまで言ってもまるで手を止める気配がない。

管制室での入力が完了し、

ロビンのいる下へ向かっていく。

あきれて追いかける。

「聞いてるのか!

おいったら!

サーヴァント召喚も設備の無断利用も適当にもみ消しとくよ。

もう全部忘れるんだ。

君は君の人生を生きるべきなんだよ」

今まで微動だにしなかった男がようやく振り返る。

鬼の形相で駆け寄ってくる。

「忘れる?

お前はマシュを忘れられるのか?

俺には無理だ。

残りの人生とこの世界、全て乗せても

マシュが 生き返るなら

そっちに天秤が傾くんだよ、俺にはな!」

「忘れられるわけないだろ!

このまま退去しても

座に永遠に刻まれるさ!

だがな!

諦める境界線をとっくに過ぎているんだよ!

いつまでも駄々こねてるんじゃないぞ!」

気付けばもう顔と顔がぶつかるような距離に居た。

「なんだ?

こんな美女と殴り合う気か?

いいぜ?

もう甘やかさないからな!!」

マニピュレーターを握るレオナルド。

「まさか、そんな事するわけないだろ」

 重い音がした。

胸にアカが広がった。

男が腰に携えていた剣が黒い靄を纏い

私の胸に突き刺している。

「うっ・・・・・、ぐあ!!」

口からもアカが帯状に垂れ下がっていく。

地面に広がっていくものを

ただ見ている事しか出来ない。

視界にも赤みがかかっていた。

そこで男の後ろにいるサーヴァントに問いかける。

「なぁ、聞かせてくれよ。

同じ英霊同士、

なんでこんなバカな事に協力してるんだ?」

緑の弓兵が目を背けて言う。

「別に特別な理由なんかないさ。

俺はただ、

アンタが言えたことが言えなかっただけだよ」

あぁなるほど。

ホント救いようがないなぁ・・・。

「君と紅茶がもう飲めないとは、かなしいよ」

男は私から剣を抜きながら

小声で呟いた。

 「あぁ、ホントかなしいぜ・・・お前・・・!

幸先悪いんじゃ・・・・ない・・・・か?」

そう言って

最高にしてやったという笑顔をした。

男は剣を鞘に戻し、

置いていた大盾を持って歩いていく。

私は大盾を見て笑いかけ、

そのまま光となり消えた。

 はぁ・・・。

なんでこう嫌な記憶ってのは

自分の光景じゃなくて

その場にいた別の奴の視点になってたりすんのかねぇ・・・。

だがまぁ、

ここで選択を間違えたとは思ってねぇ。

俺はただマスターに忠義ってやつを

尽くしたかっただけかもな。

義賊風情が騎士道なんてありゃしないが、

それなりに満足だ。

わりぃなマスター・・・。

最後までは無理だった。

後は一人で頑張ってくれ・・・・。

 寂しげな光は

そのように昇華して消えていった。

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