仮面ライダー獄王(ゴクオー)   作:アカミツ書庫

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 怨み骨髄

 死の果てまで


第三章
第十九話 骸骨の戦


 深夜。誰もが寝静まった夜。

 どこかの路地裏を、一人の男が歩いていた。

 その足取りは非常にふらついており、口からは荒い息が漏れ、髪の下に隠れた右目からは血を流していた。

 男は壁に手を着き、ひたすら前に進む。どこか目的があるわけではない、ただ少しでも遠くへ逃げたかった。

 やがて、足が限界を迎えたのか、膝から崩れ落ちて倒れる。男はなんとか身体を持ち上げると、壁に背を預けて座り込んだ。

 

「……なんとか逃げられた。あとはこの傷を癒して、戦う力を蓄えるだけだ」

 

 男はそう呟き、右手でポケットから何かを取り出した。

 それは、銀色に輝く弾丸――アヤカシバレット。

 その表面には、大きな骸骨の姿が描かれていた。

 

「……この力さえあれば、俺は戦える。俺を苦しめた妖怪共に復讐してやる……!」

 

 そう言ってアヤカシバレットを握りしめる男。その身体からは禍々しいオーラのようなものが、立ち上っていた。

 

 ★

 

 あくる日、雑貨屋《東堂》。

 この日は多くの客が詰めかけており、かなりの忙しさを見せていた。

 普段は店の奥で作業している健児までもが表に出て、客を捌いていく。

 

「ありがとうございました!」

 

 会計が終わった客を見送り、カズキは頭を下げる。

 そうやって客足が落ち着くまで働いていると、時刻は午後4時を回っていた。

 

「ふう、そろそろ人も少なくなるかしら」

 

 店の中から最後の客が出た後、早苗が大きく伸びをしながらそう言う。

 

「そうだな、もう落ち着く頃だろう。お疲れ様、早苗」

 

 レジカウンターに立っていたカズキがねぎらいの声をかける。

 早苗もそちらに顔を向けて、笑顔を浮かべる。

 

「アンタもお疲れ。こんなに忙しいなんて久しぶりだったわ。父さんまで駆り出さなきゃいけないくらいだもん」

「新作の雑貨を入荷したからな。話題になっていた物だったが、ここまでになるとは思わなかった」

 

 そう言いながら、健児は段ボールを片付けていく。その顔には苦笑を浮かべていた。

 カズキもその作業を手伝いながら、会話を続ける。

 

「まあ、たまには良いんじゃないですか。こういうのも俺は好きですよ、平和な感じで」

「確かにね。最近は大きな事件もご無沙汰だし。こういう平和な時間ができるだけ長く続いて欲しいものだけど」

 

 そう言って笑い合う二人は、和やかな時間を過ごしていた。

 

 ★

 

 一方その頃、街中を歩くのは、南文香。

 彼女は仕事のついでにカフェで買ったドリンクを飲みながら、目的地に向かって歩いていた。

 

「この新作のチョコフラッペプリンソルベ、結構美味しいな。なんだか優しい男達の友情みたいな味がする」

 

 そうひとりごちりながら、人混みの中を歩いていく。

 そんな時、視界の端に異様な気配を感じた。

 思わずそちらに視線を向ける。そこはビルの合間の路地だった。

 そこには、壁に背を預けて座り込む男性がいた。ただそれだけなら気に留めることもなかった。だがその人物は、全身がボロボロで血を流していた。それを見た文香は思わず駆け寄る。

 

「ちょっと貴方! 大丈夫!?」

 

 男性の元に駆け寄り、そう声をかける文香。

 男性は閉じていた目を開くと、文香の方を見る。

 

「……誰だ、お前は」

「えっ、私は……ってそんな場合じゃないでしょ! なんでこんなところに傷だらけで倒れてるの!? 早く病院に行かないと――」

「いや、必要ない。もう治ってる」

 

 慌てる文香を尻目に、男性はゆっくりと立ち上がる。その言葉通り、男性の身体には傷が無かった。付着している血液も、既に乾いているようだ。

 

「えっ……貴方、一体……」

 

 その光景に目を丸くする文香。そんな彼女を置いて、男性は何かに気付いたように顔を上げる。

 

「この気配――近くにいるな。おい、お前。死にたくなければさっさとここから離れろ。死体を好んで見る趣味は無いんだ」

「なっ、待ってよ!」

 

 そう言って歩き出す男性に、文香は思わず腕を掴む。

 次の瞬間、男性が凄まじい形相で文香を睨みつける。それは激しい怒りと憎しみが込められたものだった。

 文香が思わず手を離すと、男性は表情を元に戻す。そうして彼女を置いて歩き去っていく。

 その背中を見て、文香は思わず叫ぶ。

 

「待って! 貴方の名前は!?」

 

 今そんなことを聞いて何になるのか、自分でも内心そう思ってしまう。

 男性は足を止めると、後ろを振り向くことなく、その問いに答える。

 

「――シノブ。月道(つきみち)シノブだ」

 

 そう言うと、男性――月道シノブは去っていく。

 文香はその背中を、ただ見送ることしかできなかった。

 

 ★

 

 街の外れにある工事現場。人気のないその場所で、一体の妖怪が暴れていた。

 それは大きな貝のような盾を両腕に装備し、全身に細かい毛が生えた人型の妖怪だった。

 黒い身体でゆっくり歩くその足元には、食い殺された人々の死体が転がっていた。

 

「この辺は当たりだったな。工事の人間を殺せば、勝手に後続が追加される。待っているだけぇ食料が集まるとは、人間様々だな」

 

 そう言って笑う貝の妖怪。

 そんな彼の元に、二台のバイクが駆けつける。それから降りた二人の男は、ヘルメットを取る。

 それはカズキと赤獅子ダイヤであった。

 

「見つけたぞ、妖怪! これ以上お前の好きにはさせない!」

「こんなところでコソコソ食事とは、陰気な野郎だぜ」

 

 二人はそれぞれの変身アイテムを取り出し、起動してから変身動作を行う。

 

《ラセツ!》

《ウリエル!》

 

「「変身!」」

 

《ジゴク・レンゴク・ヘンゴク!》

《ゴクオー・ラセツ!》

《クロス・フェイス・グレイス!》

《クルセイド・ウリエル!》

 

 自らの眉間を打ち抜き、目の前で十字を切ると、二人の変身が完了する。

 獄王とクルセイド、二人の仮面ライダーが並び立った。その姿を見て、妖怪は警戒心を露わにする。

 

「っ! 貴様達が例の仮面ライダーか!」

「そうだ、仮面ライダー獄王。お前を地獄に送る者だ」

「仮面ライダークルセイド。さあ、懺悔の用意はできてるか?」

 

 それぞれの武器を構えた獄王達は、妖怪に向かって走り出す。そのままの勢いで武器を振り下ろす。

 だが、妖怪が両腕を前方に突き出して合わせる。すると、両腕に付いていた貝のような物が一つになり、大きな盾のようになる。

 ライダー達の武器は、その盾に当たった瞬間に弾かれた。

 

「フハハッ! この比良夫貝(ひらぶがい)の防御力には、貴様らの攻撃など効かんわ!」

 

 高らかに笑いながら、妖怪ーー比良夫貝はそう叫ぶ。

 その両腕を分離させると、そのまま獄王達に殴りかかる。

 獄王とクルセイドはその場から飛び退き、距離を取ってから構え直す。

 

「チッ、思ったよりも硬いな。アレを超えるのは一苦労かもな」

「何言ってんだ、ただ硬いだけだろ? だったらパワーでぶち抜けば良い!」

 

 そう言うと、クルセイドはミカエルバレットを取り出す。それを見て、獄王も温羅バレットを取り出した。

 

「そこまで言うなら、ちゃんと合わせろよ」

「お前の方こそな!」

 

 お互いにそう言うと、取り出したアヤカシバレットを使おうとする。

 だが、その直前。見慣れない人物が現場に現れた。

 それは深い青色の髪を持ち、右目を隠した男だった。全身がボロボロになっているが、その足はしっかりと地面を踏み締めていた。

 

「おいアンタ! 危ないから早く逃げろ!」

 

 突然現れた男に、獄王はそう叫ぶ。

 だが男はその声に反応せず、ただじっと比良夫貝の方を見ていた。

 

「――やっと見つけたぞ、妖怪。絶対にここで殺してやる」

 

 男はそう呟くと、細長い機械のような物を取り出す。

 それを左腕に当てると、自動でベルトが巻かれて装着される。

 更に男は、ポケットから一本の弾丸ーーアヤカシバレットを取り出した。

 

「っ! おい、アレって――」

「なんだぁ? マジで言ってんのかよ」

 

 予想外の光景に、獄王とクルセイドも驚きを隠せない。

 それは後方で様子を見ていた早苗とレイも同様であった。

 そんな彼女達の元に、文香も合流してくるが、文香もまた目の前の光景に驚いた。

 

「あの人、さっきの……なんでここに!?」

 

 男は先程、文香が路地裏で出会った男だった。

 周りの困惑など意に介さず、男――月道シノブは、左腕に付けた機械にアヤカシバレットを装填する。

 

《ガシャドクロ!》

 

 機械の真ん中にアヤカシバレットを装填し、透明なカバーをスライドさせる。 

 左手を回して前方に突き出し、それと同時に右手で機械の後方に付いたレバーを引く。

 待機音声が鳴り始めると、左腕に青いエネルギーが発生し始める。

 やがてシノブは、左手の中に現れたグリップを握り、親指でボタンを押し込む。それと同時に、ある言葉を呟く。

 

「――変身」

 

 機械の銃口から青いエネルギー弾が飛び出す。それは大きく弧を描いて、シノブの元に戻り、胸の中央に炸裂する。

 

「ぐうっ……! ああっ……!!」

 

 その衝撃で俯くシノブ、その身体が徐々に変わり始める。

 深い青色のアンダースーツが形成されると、その背後から巨大な骸骨が現れる。その骸骨がシノブの身体にまとわりつくと、骨を模したアーマーが全身を覆う。

 やがてシノブは、目を見開いて正面に向き直る。顔が頭蓋骨のようなマスクに包まれ、その複眼が青く染まる。

 数秒足らずで、シノブは異形の存在へと変貌した。それに合わせて、激しい電子音が鳴り響く。

 

《ボーン・オブ・ザ・デストロイ!》

《ガシャドクロ・ガッシャ!》

 

「お前……何者だ!?」

 

 突然現れた乱入者に、比良夫貝が声を荒げる。

 ゆっくりと動き出したシノブは、それに答える。

 

「――仮面ライダー骸紗(ガッシャ)。お前達を殺すために、生まれた男だ」

 

 シノブ――骸紗は、地面を蹴って比良夫貝に向かっていく。

 一瞬で接近すると、右手で拳を握り、顔面に叩き込んだ。

 

「ぐはぁ!?」

 

 大きく吹き飛ばされる比良夫貝。更に骸紗は攻撃を加えていく。

 殴る、蹴る、肘打ち、膝蹴り、投げ飛ばして妖怪を痛めつけていく。

 

「凄いな、あんなに勢いよく……」

「ああ、ありゃ並大抵の強さじゃねえな」

 

 怒涛の勢いに、獄王達も思わず感心する。

 それは近くで見ている文香達も同様であった。

 

「あのシノブって人、仮面ライダーだった上に、あんなに強いなんて……なんで今まで姿を見せなかったの?」

 

 そんな疑問を口にする文香。

 その視線の先で、骸紗は更なる攻撃を仕掛ける。

 激しく拳を振るうことで、比良夫貝を痛めつける。

 だが、比良夫貝もそう簡単には倒れなかった。

 

「クソがぁ! 舐めるなよ人間が!!」

 

 口から血反吐を吐きながら、骸紗の胸を殴る。その勢いで骸紗は後方に下がる。

 比良夫貝は両腕を合わせて、貝の盾を再び展開する。

 

 

「この盾があれば、貴様など敵では無いということを教えてやる!」

 

 そう叫ぶと、比良夫貝は盾を構えたまま骸紗に向かって走り出す。

 その速度は人間を遥かに超えるもので、瞬く間に距離を詰めていく。

 

「――その程度か」

 

 骸紗はそう呟くと、その場で両足に力を込める。

 次の瞬間、骸紗はその場から飛び上がる。一瞬で数メートル程まで飛び上がると、突っ込んできた比良夫貝の頭上を越えていく。

 地面に着地した骸紗は、ゆっくりと立ち上がり、比良夫貝を見据える。

 

「くっ、なんだこの動きは!?」

 

 急ブレーキをかけた比良夫貝は、驚きながら振り向く。

 その視線の先で、骸紗は自らの胸部に手をかざす。

 そこから、細長い骨のような棒状の物体が現れた。それは人の身長程の長さであり、真ん中の部分に持ち手のグリップが付いている。

 骸紗はその棍――ガッシャーロッドを握ると、先端を妖怪の方へと向ける。

 

「っ! そんな玩具で何ができる!」

 

 比良夫貝は強がる言葉を発して、盾を構える。

 対する骸紗は無言のまま、ガッシャ―ロッドを構えて動き出す。

 ロッドを素早く振り抜き、盾に叩きつける。一度では終わらず、何度も連続でロッドを振り回す。

 

「ハハハ! 何度やろうが無駄なことだ! 俺の盾は何者にも破れない!」

「……」

 

 勝ち誇る比良夫貝。だが骸紗は無言で殴り続ける。

 巧みに振り回されるガッシャ―ロッドは、常に同じところに命中していた。

 

「――おい、まさかアレって」

「ああ、そのまさかだろうよ」

 

 その光景を見ていた獄王達は、あることに気付く。

 やがて、骸紗は腕を大きく後方に伸ばし、力を込めて前方に突き出した。

 

「ハアッ!」

 

 気合いの一声と共に突き出されたガッシャ―ロッドは、その先端が盾の中心に突き刺さる。

 盾の中心にはわずかなヒビが入っており、そこを突かれた瞬間、盾が粉々に砕け散った。

 

「ば、馬鹿なぁ!?」

 

 自慢の盾が破壊されたことに、比良夫貝は驚愕する。その隙を突いて、骸紗はガッシャ―ロッドを更に一振りして、比良夫貝を殴りとばす。

 

「ぐあっ!?」

「――やはり、哀れな生き物だな、妖怪は。人間を舐め腐り、見下して、足元をすくわれる。こんな奴らがのさばっていることに、怒りを覚える」

「何を言って……」

「こんな奴らに、俺の全てが奪われた。この恨み、絶対に忘れない。必ずお前達を皆殺しにしてやる……!」

 

 静かに、だが確かな激情を込めた声で骸紗は言う。

 その雰囲気に、獄王達も少しだけ気圧される。

 

「あの人、一体何が――」

 

 そう文香が呟く。

 そんな事は知らずに、骸紗は左腕の機械ーーガッシャブレスからアヤカシバレットを取り出す。

 そして、ガッシャーバトンの持ち手にあるスロットに、アヤカシバレットを装填する。

 

《ファイナルバレット!》

《骸紗ボーンインパクト!》

 

「ハアッ!!」

 

 電子音が鳴り響き、ガッシャーバトンに青いエネルギーが充填する。

 骸紗はそれを確認すると、掛け声と共に飛び上がる。

 バトンの先端に青いエネルギーが集まり、それを着地と同時に比良夫貝の胸の中央に突き立てる。

 その瞬間、強烈なエネルギーが全身を走り、内側から破壊する。

 

「ハアアアアッ!!」

「ぐっ……ぐわぁぁぁぁ!?」

 

 断末魔の叫びをあげて、比良夫貝は爆散した。

 骸紗はガッシャーバトンを振り払い、大きく息を吐いた。

 

「……凄いな。あっという間だった」

「ああ、アイツ強えな。一度戦り合いたいもんだ」

 

 獄王とクルセイドは、その戦いぶりに感心する。

 そうしていると、骸紗の様子がおかしくなる。

 

「ぐっ……! ああああっ……!!」

 

 突如、頭を抑えて苦しみだす。まるで強烈な痛みを受けているかのように。

 痛みを振り払うかのように、身体をめちゃくちゃに動かしてうめくその姿に、獄王達も困惑する。

 

「おい、一体どうしたんだ?」

 

 心配して声をかける獄王。

 だが、骸紗はそれに答えることなく、視線を獄王達に向けた。

 それは仮面越しに睨みつけているようであった。

 

「妖怪……全て、殺す……!!」

 

 骸紗はそう呟くと、いきなり獄王達に向かって走り出した。

 そして、手に持っていたガッシャーバトンを振り抜く。

 獄王とクルセイドは、すぐさま飛び退いて距離を取った。

 

「くっ、いきなりなんだ!?」

「急にケンカをふっかけてくるとは、上等じゃねえか!」

 

 突然のことに、獄王達はそう叫ぶ。

 骸紗はガッシャーバトンを構え直すと、もう一度二人に向かって行く。

 

「……アアアアッ!!」

「――仕方ない!」

 

 理性を感じさせない叫びと共に、骸紗はバトンを振り回す。

 獄王も腰のホルスターからヘルソードを引き抜き、それを受け止める。

 その後ろから、クルセイトマホークを召喚したクルセイドが迫る。

 

「オラァ!」

「ガアッ!!」

 

 骸紗はヘルソードを弾き飛ばし、クルセイトマホークを受け止める。

 互いに互角の力で、鍔迫り合いが起こる。

 

「急におかしくなっちまったみたいだな、どうなってやがる?」

「妖怪……殺す……!!」

「何言ってんだお前?」

 

 強い怒りを滲ませた声音で、そう喋る骸紗。

 クルセイドは困惑しながらも、トマホークに力を込める。

 その背後で、獄王がヘルガンを構える。

 

「ダイヤ、避けろ!」

 

 叫びながらアヤカシバレットを装填、ヘルガンにエネルギーが溜まっていく。

 それを見たクルセイドは、武器を弾いてその場から離れる。

 自由になった骸紗は、獄王の方を見ると、左腕のガッシャブレスに手を伸ばす。

 後方に付いたグリップを二回引くと、ブレスにも青いエネルギーが集まっていく。

 

《ファイナルバレット!》

《骸紗ボーンブラスト!》

 

 ガッシャブレスの先端、そこにある銃口にエネルギーが移動し、発射の準備を整える。

 獄王の持つヘルガンにも、銃口に赤黒いエネルギーが溜まり、いつでも撃てる状態になる。

 

「――ハアッ!」

「ガアアアアッ!!」

 

 互いに同じタイミングで、引き金を引く。

 ヘルガンから放たれる弾丸、ガッシャブレスから放たれるレーザー。

 その二つが、互いの中間点でぶつかり合い、拮抗する。

 やがて、両者が同時に爆発を起こす。その爆風を受けて、三人とも吹き飛ばされる。

 

「うわぁ!」

「おおっ!」

「グウッ!」

 

 獄王とクルセイドは同じ方向に飛ばされ、なんとか倒れずに耐えた。

 骸紗も空中に飛ばされるも、宙返りで地面に着地する。

 それでもなお、骸紗の視線は獄王達に向けられていた。

 

「……まだやる気なのか」

「良いじゃねえか、好きなだけ付き合ってやるよ」

 

 人間相手に戦うことに、いい加減抵抗を覚える獄王。

 それとは対照的に、クルセイドは好戦的に笑う。

 だが、彼らが動く前に、再び骸紗が苦しみだした。

 

「グッ……! ウウッ……お、俺は……」

 

 そう呟くと、先程までの荒々しい気配が消えた。

 骸紗はまるで困惑するかのように周囲を見回すと、獄王達に視線を向ける。

 すると、怯えるように後ろを振り向き、その場から歩き去っていった。

 その様に、獄王とクルセイドも呆気に取られてしまった。

 

「アイツ……一体なんなんだ?」

「オレが知るか。せっかく楽しめそうだったのになぁ。アレじゃ興醒めだな」

 

 そう言うと、クルセイドも踵を返して去っていく。

 残った獄王は、去っていく骸紗の背中を見届けていた。

 骸紗はゆっくりと歩いていき、やがて姿が見えなくなる。

 その背を追うこともできず、モヤモヤしたものを抱えながら、獄王もその場から去るのだった。




 どうも、アーニャです。
 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
 
 今回から、仮面ライダー獄王は第三章に入ります。
 いよいよ三人目の仮面ライダー、仮面ライダー骸紗を登場させることができました。
 がしゃどくろモチーフの新たなライダー。これから更に物語を盛り上げてくれることと思います。
 
 獄王本編も後半戦になりました。
 あとは終わりに向かって走るのみでございます。
 できれば、最後まで付き合ってください。

 それでは今回はこの辺で。
 次回もお楽しみに。
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