疾走の馬、青嶺の魂となり   作:乾いた重水

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今回はかなり短いです。
あとarcaeaやってて遅れました


15.菊花賞にむけて

 

 

 

 さて、どうしようか。

 迷っているのは9月からのレース予定である。

 収得賞金に関しては、適当な3勝クラスとオープンにいくつか出ればまず足りるだろう。

 しかし菊花への叩きをどうするかが決まらないのだ。

 出ようと思えば出られるが、出来れば出たくない。

 しかし何もせずに本番というのはいかがなものか。

 

 

 色々考えていると、ふと名案が思い浮かんだ。

 レース場を借りて練習すればいいのだ。

 こうすれば外部からの目線も気にせず好き勝手に走れる。

 あちらで菊花賞の動きを思い出していけばいいのだ。

 

 

 というわけで早速予約。スピカの連中も連れて行くことに。

 マックイーンは残念ながら宝塚前に骨折してしまっているので見学に近いが。

 

 

 予定日が来るまでに、菊花賞に出るウマ娘の過去のレースの映像を確認する。

 

 

 特に確認すべきなのが、ミホノブルボンとキョウエイボーガン。

 ミホノブルボンは言わずもがな。

 キョウエイボーガンに関しては、彼女にハナに立ってもらわないと困るのだ。

 私がブルボンを抜けたのは、ボーガンがブルボンの前を走り続けたことが大きい。

 本番でも破滅逃げしてくれるとありがたいのだが。

 

 

 

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 レンタル日。

 スピカの面々には一旦待ってもらい、自分ひとりでとある地点に向かう。

 着いたのは4枠8番の位置。

 菊花賞の枠番。

 目を閉じて、あの時を思い出す。

 

 

 一つ内のミホノブルボン。

 ゲート内の閉塞感。

 静まり返る会場。

 

 

 目を開くと、ゲートの中にいた。

 隣の栗毛の馬の重圧を感じる。

 心なしか視点も高く、視野も広い気がする。

 

 

 さあ、あの時の自分を。

 ヒールたるライスシャワーを。

 完全にトレースしよう。

 

 

 

 幻覚のゲートが開いた。

 ミホノブルボンが先頭に向かうが、さらにその先にはキョウエイボーガン。

 その少し後ろにメイショウセントロ、続いてマチカネタンホイザ。

 そして私。

 コーナーの坂を越え、直線で歓声を浴びる。

 

 

 先頭がどんどん差をつけ、10馬身差までいくが、3コーナーの坂でその差が縮まっていく。

 今だ、と鞍上の意思が届く。

 下り坂で先頭めがけ一気に上げる。

 4コーナーの始めでキョウエイボーガンが垂れるのを右に見て、ミホノブルボンへと突っ込む。

 

 

 最後の直線。

 スタンドからの大歓声が耳に響く。

 もうミホノブルボンとの差はほとんど無い。

 その内からマチカネタンホイザが急速にあがってくる。

 

 

 でも、勝つのは私だ!

 ミホノブルボンを完全に抜き去る。

 そのまま少しずつ差を広げ、1馬身差を付けてゴール板を切る。

 

 

 スタンドの歓声とどよめきが少しずつ薄れ、視点も低くなり、視野も狭くなる。

 スタンドにいるのはスピカのみ。

 

 

 ゴールドシップとトレーナーがドリンクを持ってこちらに来る。

 来るまでの間、私は歓喜に満ちていた。

 

 

 ━━間違いなく、あの時よりも実力は上だ。

 あの時よりも差を広げられるはずだ。

 

 

「……ねえマックイーン」

「……言わなくても分かっていますわよ」

 

 

「「…………あの動物の幻覚は一体……?」」

 

 

 

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 新幹線の中で、一人パソコンをいじる。

 表示されているのは、菊花賞に出場するであろうメンバーに関する膨大な量のデータ。

 ミホノブルボン、マチカネタンホイザ等の有力バ。

 しかし、そのウマ娘たちが私の最注目ではない。

 一人のデータを注意深く読み、過去の言動を漁り、レース映像を何度も見直す。

 至るところに注釈を書き込み、データをアップロードし続ける。

 乗務員が横を通ったとき、私の()()鹿()()が揺れた。

 

 

 

 

 

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