前
いやぁ〜〜〜〜〜〜〜長かった。
ついに中央トレセンの合格発表日である。
発表数分前なので、トレセンの発表ページにF5アタックを仕掛けながら待機。
この日のために厳しいトレーニングを……いやそんなに厳しくなかったかも……
まあともかく色々やってきたのだ。
ただ無闇矢鱈に走るのは逆効果だろうとトレーナー(前世における調教師)用の分厚い本やら論文やらを読み漁り。
せっかくだからとトレーナー試験の過去問である程度の点数が出せるまでは粘って(今思い返してもあの試験の難易度はイカれている。合格最低点の半分すら届かなかった)。
取り敢えずあの坂路バカの真似をして毎日山をランニングし。
水泳が身体を痛めづらく、かつ心肺機能を鍛えると実に良さそうなのでスイミングスクールで鍛えて。
地元で開催されている草レースに参加して競馬の感覚を取り戻しつつ。
息抜きのための娯楽及び忍耐力向上としてフ◯ムゲーのトロコンを行い。
苦節n年。
その結果がようやく出てくるのだ。
──ただいくら頑張って食事量やら栄養バランスやら睡眠時間やら調節しても身長が150cm行かずに成長止まったのは嘆くしかない。
こんなところまで前世通りじゃなくていいから!
そうそう、受験会場であったことを記しておく。
一応中央を受験したのだ。もしかしたら知っている馬だったウマ娘がいるかもしれないと若干の期待を寄せながら会場へ向かったのだが、その道中にて
「バクシンバクシンバクシ〜〜ン!!!!!」
とウマ娘専用レーンを爆走してるヤバいのがいた。
……いやもうバクシンとか言ってる時点で絶対サクラバクシンオーじゃん。
案の定少し先でスタミナ使い果たして転がってたし。
私とは主戦距離が異なるのであまり詳しいことは知らないのだが、短距離レースでは尋常ではない強さを誇ったらしい。
ステイヤーで良かったと心の底から思った。
その後、会場にいた受験生の中でやたらムッキムキな奴を見かけた。
もしやと思ってよく見てみたら、Tシャツにデカデカと「HANRO」と書いてあった。
そうですね、例の坂路バカでございます。
ダービーでコイツに負けたの未だに悔しいなぁ……
取り敢えず偶然を装い適当に会話して、本人(本馬?)であることが確定した。
……なんかロボットみたいな口調になってて若干困惑したが。
君、馬の時は全然そんな性格じゃなかったよね……?
あと、自分の名前を伝えた時に一切の動揺が見られなかったことを確認した。
追加で前世のことをそれとな〜〜く言葉に含ませてみたのだが、やはり反応は無く。
前世の記憶を持ち越したのはやっぱり私だけなのか、と若干落胆してしまった。
後は特に何もなく筆記試験やって実技試験やって面接やって終わり。
ただ、面接官が幼女だったのはすごいビックリした。
何で幼女が面接官なんだと思ったが、まさかの中央の理事長であった。
……あの見た目で成人してるの?マジで?
面接の時に、自分の夢を聞かれたから正直に回答したら目を見開かれたのが若干気になるところ。
別に「勝ちたいのはもちろんだが、何より最後まで走り切るのが一番だ」という旨を伝えただけなのだが。
いろいろ懐古しているうちに発表時刻数秒前である。
ページ更新!いやサイトおっっっっも!
──やっと繋がった。えーっと私の番号はっと……
当たり前だろ死んでもG1三勝馬だぞ落ちるわけねぇだろ!
ひとまず両親に合格を伝えて安心させ、とっとと入学手続きに入る。
さて、寮はどうしようか。
前世通り美浦でもいいのだが、そこまで変わりがないのなら栗東でもいいような気もする。
正直どちらでもいい。
迷ったのでコインを放り投げる。
結果は美浦。
というわけで今世も美浦です。お世話になります。
やることも無くなったので、Ste◯mでプ◯ムンとかカプ◯ンのゲームでもやって入学までの時間を潰すとしようか。
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さて、今世での全体の目標を定めよう。
最低限の目標として、前世に劣る戦績を取らないというものにする。
追加の目標としては
・芙蓉S後、および6歳時*1春天前の骨折回避
・オールカマー後の低迷期を無くす
・7歳宝塚で死なない
を取り敢えず設定。
上2つを達成すればまず間違いなく最低限は超える。
ここで迷うのがダービー及び菊花賞。
前世ではダービー2着、菊花1着だった。
このままではつまらないので、折角なので変えてみようと思う。
今現在考えているプランとして
・ダービー及び菊花にてミホノブルボンに勝利する
・菊花までは目立たないように重賞への出走を控えて、菊花で伏兵として無敗三冠をぶち壊す
の2つを考えている。
──面白いことになるのは絶対に後者なんだよなぁ。
無敗三冠を見ようと詰めかけた数多の人間の前で「三冠逸おめでとうございまぁぁぁす!!」するのとか絶対楽しいじゃん。
多分ブーイングの嵐が起きるが知ったこっちゃない。私の娯楽が最優先だ。
ついでに言えば、ヒール呼ばわりはとっくに慣れてるから問題無し。
どうせならヒール街道突っ走って行こうじゃぁないか。
というわけで後者決定。ミホノブルボンと観客には涙を飲んでもらおう。
────こんなこと考えてないで引っ越しの準備しろよ私。
明日には荷物全部美浦寮に送らないといけないんだぞ。
取り敢えず真っ先にそのHELL◯INGとジョ◯ョ全巻セットをダンボールにぶち込め。途中で読み始めたら悲惨なことになるぞ。
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入学式も顔合わせも終わり、自分の寮室に戻ってきた。
まさか生徒会長が式辞にクッソ寒いダジャレ仕込んでくるとは予想していなかった。マジかよ皇帝。
寮の同室は何年か上の先輩だった。
感じのいい人で寮とか学園について色々と教えてくれた。
自分で言うのもなんだが、私は可愛らしい見た目をしているのでそれもあるかもしれない。
なぜか私の漫画セットを見た時に顔が引き攣ったが。
別に変な本を読んでいるわけではないのに、全くもって心外である。
さて、この学園で非常に感動したことがある。
カフェテリアだ。
まず食べ放題。非常にありがたい。
そして何より、IDを読み取らせることで注文した料理の栄養素をwebで確認できるのだ。
流石スポーツ専門校。お陰でカロリーやらタンパク質のバランスやらの計算が大変やりやすくなりました。
もうこれだけで中央に来た甲斐があると言うものだ。
そうそう、料理で思い出した。
──人間テメェ肉も米もクッソ美味いじゃねぇか!
何で馬時代は草ばっかり与えたんだよ!
雑食動物である人間の身体を持てて本当に良かった。
まあ、ともあれ念願の中央トレセンに来たのだ。
本格化が来るまでは教官の下で程々に鍛えておくとしよう。
あと