私は、あの数々の問題発言やパロディを合法的に観られると知って2つほど残機が減りました。
ちなみにアニカビって01〜03年までやってたので約20年前なんですよね。そんな前なのか……
となるとその辺りで存命の馬がアニカビを見ていた可能性が微レ存……?
前
夏合宿。
怪我人二人は砂浜を歩く。
砂がクッションとか海水には消炎効果があるとかなんとか。
要するにリハビリである。
マックイーンとテイオーは普通にトレーニングをしている。
ゴールドシップは砂でクラインの壷とかカラビ=ヤウ多様体とかを量産していた。
どうやってそんなものを砂で作れたのか、セミナーを開いて一から全部説明して欲しい。
ボーガンは後から合流するらしい。
トレセンでスカウトに励んでいるようだ。
宝塚を勝ったから、ウマ娘からの受けはいいと思う。
何人か成功してるといいけど。
「おーいライス! 見てくれ!」
ゴールドシップから呼ばれた。
見に行ってみると、二つの平面の間に球が幾つかある構造物があった。
「……なにこれ」
「左はtheta関数による対称性通信。右はκコア的関数。真ん中の球が対数殼」
「は?」
「正直ゴルシちゃんにもこれが何なのかさっぱり分からん」
「は?」
分からないものを作って見せるな。
余計分からなくなる。
「いやぁ、超高度数学の英語の500ページ超の論文を読むのは流石のゴールドシップ様でもしんどくてな……事前知識を含めたら1000ページ超えちゃうし……だから解説動画を模すしかなくってよぉ……その解説動画も何一つ分かんねぇんだけど」
「……ちなみに何の論文?」
「Inter-universal Teichmüller Theory」
「名前しか知らないな。なにそれ」
「んー、これはゆるーく言うと掛け算と足し算を分離するものなんだけどー、それにはまずthetaリンクっていうのを掛け算系のモノイドと抽象的な群としての局所的なガロア群だけで構成して」
「OK、ストップ。それ以上はいい」
慌てて止める。
何か入っちゃいけない世界の気がする。
というか何でそんなの知ってんだよ。
「いいのかぁ? 宇宙を感じられるぞ〜?」
「数学的な宇宙とか理解したくない……」
「なあ頼むよ〜一緒に論文読もうぜ〜」
「絶っっっっっっっ対に嫌」
へばりついてくるゴールドシップを押し退ける。
「ちぇーっ。ゴルシちゃんは正八胞体でも作ってるか」
「いやトレーニングしろよ」
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夏も終わりが近づいた。
少し前には、ブルボンが「おにぎりコース許すまじ」(超訳)とか言ってるくせにKGⅥ&QESで2着に入ったりして国内を沸かせていた。
ボーガンから聞いたところによると、ブルボンは馬の時にどういう訳か引退後の方が馬体が仕上がってるとかいう意味不明な状況になっていたようだ。
もし走れていたらこんなことになっていたのだろうか。
ちなみに次はフォア賞からの凱旋門らしい。逃げは向かないけど頑張れ。
私の怪我はどうやらもう治りかけらしい。
来年までかかると思ったんだけど。
となると春天までのレースを考えなきゃならない。
秋シニア三冠のレースに出てもいいのだけれど、「無茶してないよ」アピールとして抑えながらGⅢ・GⅡに絞ろうと考えている。
というかそろそろ2400以下の重賞に勝ちたい。
いい感じのローテでいい感じの距離のレースはないものか。
誰か提示してくれないかな。
さて、スピカの部室でダラダラとDy○amixの下埋めをしていると。
「……なんで…………」
「どうしたお前」
ボーガンが死んだ目で入ってきた。
大丈夫か? 関節変な方向に曲がってない?
「……サンデー四天王いるじゃん。96世代の」
「ああ、そんなのがいるって言ってたな」
コンコン
「既に4分の3取られてるんだけど」
「はぁ!?」
……あ、good出た。クソが。
というか何だよそれ。何でもう取られてるんだよ。
コンコンコン
「その後もGⅡ勝つ連中探したらカノープス行ってたし。なんなんこれ」
「……どうなってんだよ」
「アイツら眼が良すぎる……」
「……4分の3取られたなら、残り一人はどこ行ったんだ?」
「あのー、聞こえてます……?」
そいつならまだ取れる可能性残ってるんじゃないのか?
そんな考えを否定するかのように、
「あの……もしもし……?」
「行方不明」
「勝手に行方不明にしないで」
と答えた。
いや待て待て待て待て。
「あの……もう入りますよー?」ガチャッ
「行方不明って何!?」
「ああ……一応出席自体はしてるみたいなんだけどな……休み時間とか放課後になった途端どっかに消えるらしくってな……教室前に張り付いてても、いつのまにか消えてるんだよ……やっと見つけたと思ったらフサイチコンコルドとかファイトガリバーとかだったりで別の奴だったし……」
「ちゃんと前通りましたよ……?」
なにそれ怖い。
「……飯時にカフェテリア行けばいるんじゃないのか?」
「どこで飯食ってるかすらわかんねぇんだよ。目撃情報が一切無い」
「カフェテリアの店員さんも気付いてくれない……気付いてくれるのはQRコードリーダーだけ……たまに反応しないけど……」
「……最悪寮内で探せば…………そいつ栗東か?」
「栗東。あともうやった」
「気付いてください……後ろです、後ろにいますよ……」
やったのかよ。
……ん?
「やったのに?」
「イエース。居ない。ヤベェぞ、同室の奴が『顔を覚えてない、それどころかそもそも顔を合わせてすらいない』って言ってんだぞ。もうホラーだよこれ」
「えっ、わたし会ったよね……? あいさつしたよね……?」
「……もはや幽霊の類だろそれ」
「私もそれを疑い始めてるよ。一応入学試験のデータとかは存在してるんだけどなぁ……」
「幽霊じゃないです……ちゃんと生きてます……」
「そこまで居ないならもうデータのバグとか疑うしかねぇよな……」
「あの……バグじゃないです……ちゃんと今ここにいます……」
「いつもこう……闇の中で踊っても、誰も見えない……気付けない……」
何なんだよそいつ。
そんな生きた怪奇現象みたいな奴が来たらそれはそれで怖えぞ。
「失礼なこと考えられてる気がする……」
「……ちなみにそいつの名前は?」
「ダンスインザダークです。そろそろ気付いてください……」
「ダンスインザダーク。長距離走れるからウチに合うと思うんだけどなぁ……」
「わたしも合うと思ってここに来たんです。だから……あの……気付いて……」
スカウトしたくても見つからないんじゃやりようが無い。
その時、ふと閃いた。
「なあ、そいつってサンデーサイレンスのとこのだよな?」
「ああ、そうだけど……」
「サンデーサイレンス先生……あの人だけはよく気付いてくれた……」
「確かマックイーンがサンデーサイレンスの連絡先持ってるから、そこから連絡して探すのはどうなんだ?」
「……アリだな。後で聞いとくわ。とりあえず今はまた探してくる。名前とか強さとか家柄とかは目立つ筈なんだけどなぁ……」
「えっ、あの、後ろ……」
そう言ってボーガンは外に出た。
「あの、待って……後ろ、後ろにいます……お願いだから気付いてください……」
どうか見つけ出せることを祈ってる。
本当にいるのかだいぶ怪しく感じるけど。
「わたしはちゃんといますよ……」
……気分転換に半球とかJoKでもやるか。
後
†ダンスインザダーク†
編集画面がtransparent塗れだよ。可読性もあったもんじゃねぇな。
Q.コイツそんなに地味か?
A.普通は目立つんですよ。何でだろうね。