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めも、可能性、ステイヤーズs 12月前半 中山3600 、オールカマー 9月後半 中山2200、福島記念 11月前半 福島2200、年明け史実で 多分減らす
「……まだ見つからないの?」
「うん……」
「後ろですよー……」
スピカの部室で嘆くボーガン。
今はマックイーン以外の全員がいる。
ダンスインザダークが本当に見つからない。
一度スピカ総出で校内を探し回ったことがあるのに、それでも見つからない。
「すぐ近くにいましたよ……」
「……やっぱりいないんじゃないの?」
「いや、出席記録とかのデータにはちゃんと残ってるんだよ。だからいる筈なんだよ……」
「でも見つからないんだろー? もう諦めるか?」
「う〜〜〜〜〜ん……」
「あの、います……ここにいます……」
誰に聞いてもどこにも居ない。
あのたづなさんですら見つけられなかったのだ。
「たづなさんも気付いてくれなかった……」
最早どうしろと。
「……一応、そいつ以外にアテはあるのか?」
「うん、あるにはあるけど……どちらかと言うと個人的な興味からなんだけど……」
「へぇ。誰?」
「マキノプリテンダー」
誰だよ。
「誰ですかそれ?」
「マキノプリテンダー……どっかで聞いたような……どこだったか」
トレーナーがうんうんと唸り出す。どうも知っているらしい。
「ほら、アレです。T大と共同で実験やってる子」
「ん? ……ああ〜! アイツか!!」
「じ、実験……?」
「実験ってなんですか」
テイオーが恐る恐る聞く。
「そ。独自に開発した食事とか摂ったり、全身に機械貼り付けて走ったり。精密なサンプルデータを提供してる」
「へ〜……」「へ〜……」
「でも、それじゃあスカウト難しいんじゃねぇの? なんかめんどくさそう」
ゴールドシップが言った。
確かにそうだ。
「そう。一応トレーナーは選べるみたいなんだけど、お察しの通りチーム制とは合わない。だから『個人的な興味』って言った」
「あ、ここに契約書あった。勝手に書いていいのかな」
「ふ〜ん」
まあ、多分スカウトされることはないだろう。
「あの……これ書いたので、机の上に置いておきますね」ペラッ
その後も高大連携とか入試とか色々話をしていると。
「……あれ?」
「どうした?」
何かがおかしい。
何か違和感を感じる。
「いや……何か違和感が……」
「?」
ふと机を見ると、一枚の紙が置いてあった。
「……あそこに紙とか置いてたっけ」
「いやしらねぇよ」
ゴールドシップが真顔で突っ込む。
「いや多分なかった、さっきまでそこで音ゲーやってたから」
「ゲームかよ!」
なんか言ってるが気にせず見に行って、
「……は?」
気の抜けた声が出た。
ダンスインザダークの名前が書かれた、トレーナー契約書があった。
なんで? いつ? どうして?
訳がわからないまま、皆に見せる。
「……これ置いてあったんだけど」
「……えっちょっ、はぁ!? なんで!?」
ボーガンが驚いて声を上げる。
ずっと探し回ってたウマ娘の契約書が置いてあったんだ。
そりゃあそうなる。
全員が困惑している。
その時。
「あの……」
「「「「「「うわああああぁぁぁぁぁぁあああっっっっ!!!!?」」」」」」
いた。
そこにいた。
初めからずっとそこにいたかのように、ダンスインザダークは立っていた。
「あ、やっと気付いてくれた」
「い、いいいいいいいいつからいたんだよ!?」
ゴールドシップがガチビビりしながら問う。
「ええっと、ライスシャワーさんがそこでゲームをやっていた時からです」
「んな訳あるか!?」
思わず素で反論する。
嘘つけ絶対居なかった。
「いや居た訳ない……居た訳が……」
急いで記憶を辿る。
ここに来てarc○ea開いてfinal verdict詰めて横からコイツが見てきてftr arcanaでex出して……
うん?
「……いる」
「え?」
「待って記憶にいるんだけど何怖い怖い怖い怖い」
頭を抱える。
いや馬鹿な。横に居たなら絶対に気づく筈。
でも記憶にはいる。
何が起こっている!?
「ちなみに先週からずっとキョウエイボーガンさんに声かけたりしてたんですけど、一向に気付いてくれなくて……」
「…………はぇ?」
ボーガンが弱々しく呟く。
「いや……そんな……あれ? …………あああああああああああああああ!!!? ああああああああああああああああああっ!!!!!?」
頭を抱えて叫ぶ。
他の皆も記憶を辿って、そして居たことに気付く。
何より、一切気が付かなかった自分に恐怖している。
ゴールドシップは完全にダメになった。顔を真っ青にしてガタガタ震えて縮こまっている。
「本当に、気付かれたことが少ないんですよね」
「少ないとかじゃねぇよ……アノマリーの域だよもう……」
認識阻害かけられた時ってこういう感覚なのか。
全員がまじまじとダンスインザダークを見る。
「ええっと、一応ダンスインザダークであってるんだよな?」
「はい。一向に気付いてくれないので勝手に契約書に書きましたけど」
「それは別にいいよ。というわけでスピカにようこそ」
「嘘だろ!?」
ゴールドシップが悲鳴を上げる。
「だって……お前……お前……!!」
「はあ? 別に気付かなかっただけだろ。それはそれとしてスカウトはするぞ?」
「え、いや、ちょ、はぁ!? 怖くねぇの!?」
「認識が改変される感覚を味わえて大変興味深かった。できることならばもう一度体験したい」
「イミわかんねぇ!」
ゴールドシップがまだ何か言っているが、トレーナーもボーガンも無視。
「あー白いのが何か喚いてるけど無視していいぞ。これからよろしくな」
「はい、よろしくお願いします」
「よろしくー」
「ヨ、ヨロシク……」
「よろしくお願いしまーす」
「ゴルシちゃんもう帰りてぇ……」
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いよいよ秋シーズン。
私はとりあえずオールカマーに出ることにした。
今回はツインターボはいない。
なぜか「秋天に出る!!!」とか主張しているし。
秋天にはビワハヤヒデ出るから頑張れよ。
ちゃんとTwitterでも記者会見でも「無茶な走りはせず安全に行く」と主張はしてある。
……主張は守るよ。うん。守りますよ。ええ。
私は2200メートルを逃げ続けて勝った。
ほら、半バ身しか空いてない。
ちゃんと安全に行った。
念願の2400以下の重賞制覇だ。
なのにボーガン、なんだその目は。
「常に半バ身をキープし続けたくせに何言ってんだテメェ」
ずっと先頭にいれば勝てる。
だったら、一つ後ろから一定距離を保ち続けたら勝てるということだ。
周りに合わせるだけでいい。
なんて思考が楽になる作戦なのか。
「お前の後ろのやつの顔見てから言え」
後