聖域【序】
古代ギリシャを思わせる、夜の遺跡のような建物。その頂上にあるアテナ像の前に、二つの人影があった。
?「見つけたぞ、アテナ」
アテナ「あなたは……!」
桃紫の髪色をした女性を"アテナ"と呼んだそれは、黒く、辛うじて人の形を保っているようだった。
?「聖闘士共は皆、崩壊に巻き込まれ、今はお前一人だ。さあ、どうする?」
アテナ「私が信じる限り、希望はあります!」
女性が光輝いた。それはとても眩しく、温かな光だった。
アテナ「お願いします。……人類の最後の希望、シンフォギア装者よ……」
響side
リディアン音楽院 宿舎
響(私は目を覚ました。このような夢を見た時、大体ギャラルホルンの異変が見つかる。……あの夢は、何だったのだろうか。)
未来「……響?」
響「……何でもないよ。」
タスクフォース『S.O.N.G』潜水艦内
響(そういえば、聞き慣れた単語があった)
夢で聞いた、聞き覚えのある単語。確か……
響「せいんと……」
呟いた途端、ガタン、と誰かが何かを落とす音がした。後ろを振り向くとエルフナインが立っていた。
響「エルフナインちゃん。どうしたの?」
エルフナイン「それより響さん、今、何て……?」
エルフナインはオドオドした様に聞き返す。私はよく解らず、「せいんと」とまた呟いた。
エルフナイン「……何で、その名前を?」
響「いや、あの……夢や前回の調査で……」
私は夢の内容と前回の出来事を話した。エルフナインは真剣に聞きながら、少し考え込んでいた。
エルフナイン「成程……。……もしかしたら、今回の異変と関係あるかもしれませんね」
響「と、いうと?」
エルフナイン「あとで話しますよ」
その後。ミーティングで弦十郎は、重々しく口を開いた。
弦十郎「前回、発見された遺跡の正体は"聖域"だ」
響「サンクチュアリ……?」
響はなんとなく反芻する。
エルフナイン「ギリシャのアテネ近くにある場所です。神話の時代からある、としか僕も知りませんが……」
弦十郎「エルフナイン君の言う通り。聖域は神話の時代からギリシャにある女神アテナが地上に降臨した際の"家"であり、また女神を守る戦士"聖闘士"達が集う場所でもあるんだ。」
マリア「……じゃあ、アテナを守る聖闘士達はいなくなっている事……?」
弦十郎「女神アテナは約二百数十年毎に人間の赤ん坊としてこの世に降臨する。地球を狙う他の神々から守る為に。」
響(私には分からないけど、助けを求められた。あの黒く、辛うじて人の形を保っている様な奴を退ける為に女性は力を使った。温かくて、優しい光だったんだ。もしかしたら、彼女が女神アテナなのかもしれない。)
未来「……響、それは?」
響「え?」
未来が指摘した右腕を響は見た。金色の腕輪がはめられている。
響「私のじゃない。」
エルフナイン「どうしたんですか?」
響「エルフナインちゃん、これ……」
エルフナイン「ん? ……!これは!」
エルフナインは驚愕したような声を張り上げた。
エルフナイン「僕にも解らないですが!!!純金製に見える腕輪です!」
翼「わからないのか。」
切歌「因みに聖闘士には格差があるんデスか?」
弦十郎「そうだ。聖闘士には階級が有り、まず下に青銅聖闘士(ブロンズセイント)、響君とクリス君が最初に遭遇したペガサス達がこの階級に値する。続いて真ん中に位置する白銀聖闘士(シルバーセイント)は黄金聖闘士に近い存在とされている。と言っても、青銅も白銀も実力次第ではそれ程大した者は居ない。そして、聖闘士の頂点が響君が言ったサガを含める12人の黄金聖闘士だ。黄金聖闘士は一人、一人が神に近い力を持つと言われている」
ミーティング後
S.O.N.G基地 廊下
響達が帰路についている時、翼や調が話をしていた。
翼「聞いたか?指定した日時に12時間にも及ぶハードな訓練がある事を」
調「司令の話じゃ、今までの訓練よりもハードなんだって。」
クリス「マジかよ…」
響「どんな訓練なのかな…?」
そのあまりにもハードな訓練に響達は好奇心と不安が入り混じっていた。だが、この訓練がのちに壮大な大戦の序章になる事を彼女達は予想だにしなかった。