俗世が好きで何が悪い!?   作:みども

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六番組と七番組①

 八雷神を自称する存在との接触。

 一方的に殴りかかられたことで戦闘に発展した後、魔防隊の接近に伴い両者退く形でそれは終結。

 能力により一度現世に降り立ったジョン・ドゥは、見つかる前に作った門を消すと、物陰から出て周囲を見渡す。

 

 ──そこは、人気のない広大な墓地だった。

 

「…………」

 

 夜だからか、人の気配がない。

 俗世で過ごす中で人間の文化に触れることが多かったジョン・ドゥは、人間に対する敵意がないこともありその風習なども多く知識として理解している。

 同族を弔う習慣があることは知っていたので墓地の存在理由も承知していたので、夜に人気がないことも、この場所が墓地であることもすぐに理解できた。

 それでも醜鬼であるため、いくら同族でも焼いたり埋めたりして処理した死体にまで執着するその風習に共感することはなかったが。

 

 墓地の中心部に向かうと、そこにはひときわ大きな墓石が立っていた。

 

 それは、慰霊碑。

 石には『魔都災害慰霊碑』という文字が刻まれていた。

 

 上着から端末を取り出し、位置情報を確認する。

 

 そこは数ある魔都災害の中でも最大の犠牲者を生み出した事件である、『月山大井沢事件』の犠牲者を弔う墓地だった。

 

「月山大井沢事件……?」

 

 800人以上が犠牲となった事件だが、発生はジョン・ドゥの誕生よりも前だった上に、時間が経過している。

 世間では悲惨な事件だったこともあり話題に上がるのも忌避される傾向があったことから、ジョン・ドゥはその事件の存在を知らなかった。

 

 好奇心から、端末を利用して詳しく検索してみる。

 そこに記載された事件の全容を見て、慰霊碑の存在に納得する。

 

「大規模な門の発生に伴い、山間部の村1つが壊滅した上に周辺の町にも被害が発生した醜鬼による魔都災害でも最大の犠牲者を出した事件……その慰霊碑が、こちらという事」

 

 ジョン・ドゥにとっては縁もゆかりもない事件だが、偶然とはいえここに出たのには何か縁でもあったのかもしれない。

 背囊の中を探り、用途不明だが爆買いの最中に買い付けていた造花を1束慰霊碑に置く。

 花を墓に供えたところで死者が蘇るわけではないが、これも風習。

 見よう見まねで倣うことにした。

 

「…………」

 

 人間は、様々なものを生み出し俗世に溢れる娯楽を作り上げてきた。

 お互いが生きるために作り上げた群れが発展し、文明となり、今の社会を作り上げている。

 その中に、死者を弔うという行為は何の生産性も合理性もない行い。

 これを醜鬼である自分が共感できる日は来ないだろうが、倣ったり理解しようと努めるくらいはいいかもしれない。

 そんなことを思いながら、墓地を後にする。

 

「──開門」

 

 少し離れた場所で物陰に隠れると、再度魔都の別の場所に繋がる門を作る。

 この先は、魔防隊六番組寮にほど近い場所へ繋がるようになっている。

 

 ジョン・ドゥが通り役目を終えた門は、他の醜鬼を一体として通すことなく閉ざされて消えるのだった。

 

 

 

 

 

 ──翌日。

 

 この慰霊碑に、花束を携えた人物が訪れる。

 

 普段は滅多に人が訪れることのない墓地。

 そこで見たのは、慰霊碑に誰が供えたものか分からないから造花の花束が1つ。

 

 ──暇の少ない遺族が置いたものだろうか。

 

 そう思ったその人物は、造花の花束の横に自分の持ってきた花束を供え、突然命を奪われた多くの故人を偲んで慰霊碑に向かい黙祷する。

 

 目を閉じたその人物を撫でるように、そよ風が吹いた。




最後に出てきた花を供えに来た人物は、羽前京香ではありません。被害者遺族の1人です。
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