俗世が好きで何が悪い!? 作:みども
青羽の弟①
七番組の襲撃を行おうとした先で、偶然同じく魔防隊を襲撃していた八雷神と遭遇し、それを利用して六番組と七番組の戦力の観測を行ったジョン・ドゥ。
現世に移動した後、今回使用することなく温存することになった醜鬼の群れを九番組の襲撃に用いることとして今後の方針を固めてから、その九番組を構成する名家『東家』に関してこちらの世界で情報を得るべくネットカフェに足を運んだ。
東家は、魔都が発生し醜鬼との戦いが起きるようになってから、魔防隊が発足してより多くの優秀な人材を輩出し醜鬼による災害の防衛に大きく貢献してきた名家である。
現東家当主は元魔防隊総組長であり、人間としては非常に高齢ながら現在も魔防隊員として活動しているという。
次期当主と目されている実の娘は魔防隊九番組組長を、またその子供も六番組と七番組の副組長をそれぞれ勤めているという。
魔防隊の組長、副組長にこれだけ多くの東家の人材が就任していることから、一族の優秀さが見られるだろう。
「これが、親子……?」
元人間である人型醜鬼の青羽たちとも交流があり、現世にもよく行き来するジョン・ドゥは、人間と接する機会も多いので子孫を設ける適齢期や老化による一般的な外見の変化も承知しているのだが。
東家の現当主、九番組組長、そしてその3人の娘など、魔防隊のデータに侵入して確認した各隊員たちのプロフィールを見て最初に感じたのが、姉妹と言われても納得できる顔写真だった。
……桃の恩恵による物、かもしれない。当主の能力は生物の生命力を吸収したり、蓄えた生命力を治療などに変換して放出するものである。血縁なので、遺伝により類似する能力に発現することもあり得る。多分。
九番組組長は出している間には身体能力も向上する伸縮自在の槍を召喚する能力、副組長は巨大な手を召喚する能力とのこと。
以前確認した五番組組長や六番組組長の扱う能力と比較すると尖ったものではないが、データのみの情報だけでは正確な把握はできない。やはり群れをけしかけ、実戦で確認するのがより詳細な戦力を観測できる。
六番組と七番組に関しては、八雷神が襲撃を仕掛けていた際の様子を観測したことで群れを温存して戦力の把握ができた。
今回は温存した群れを動員するので、すぐに動くことができる。
九番組襲撃の前に、東家に関してもう少し現世側で調べ、青羽たちへの物資の納入も済ませておこうと判断し、ネットカフェを後にする。
現世側の九番組の拠点とも言える東家本邸の所在を調べるのは容易だったので、道中で買い物と観光をしながら目指すこととした。
多摩川近郊にある政府が管轄する門。
そこに東家の本邸がある。
「…………」
外から見た限りは、大きな武家屋敷風の建物にしか見えないが。
足を踏み入れれば不法侵入者となるので、偵察はここまでとなる。
別段観光名所というわけでもない場所に来たせいか、銀髪赤目のジョン・ドゥの外見は目立つ。
魔防隊員が出てきて声をかけられては面倒だと判断し、早々にその場を立ち去る。
東家側からは不審人物と見られていたが、日本政府側にジョン・ドゥの存在は確認されておらず、魔防隊員たちもまさか人型醜鬼たちが知られずに現世側に来ているとは思っていないため、ただの物好きな外国人観光客と見做された。
東家を後にしたジョン・ドゥは予定通り爆買いをすませると、物資を大量に詰め込んだ背囊を担ぎながら人気のない場所へと移動し、門を開く。
「──開門」
ジョン・ドゥの作り出す門は自分が移動するためのものなので、その規模は小さく開いている時間もわずかであり、観測されたとしても隊員のミスや機器のバグとして認識されることがほとんどである。
今回もまた、誰にも知られることなく魔都側へ移動した。