俗世が好きで何が悪い!? 作:みども
魔防隊七番組組長である羽前 京香の能力により、奴隷にされている青羽の弟の優希を助け出す。
陰陽寮襲撃計画の準備も整っていない状況の中、青羽の強い希望により人型醜鬼たちは魔防隊と事を構える事となった。
今回の目的は、青羽の弟の優希を魔防隊から奪還する事。
現在、優希の所属するのは魔防隊七番組。醜鬼の発生が特に多い区画である裏鬼門の地域を担当する部隊である。
部隊の戦力は激戦区を担当するだけあり、他の部隊に比べて高い。
とはいえ、今回の目的は優希の奪還なので本格的な戦闘を起こす必要はない。
現世側でも調査を重ねていたジョン・ドゥは、魔防隊の方針や組織の人事もそれなりに把握している。
今後の陰陽寮襲撃計画に向けても、無用な戦闘を避けて戦力をなるべく温存した状態で優希を奪還するのがベストであると判断し、青羽たちとともに作戦を立てる事にした。
「正面からマボータイの寮にぶちかますんじゃねえのかよ!」
「却下よ。優希に怪我をさせる可能性があるし、こっちの損害も大きくなる。結界があるみたいだし、立て篭もられて援軍を呼ばれたらそれこそ厄介だわ」
正面から乗り込むべきというココの意見は、青羽によって即座に却下された。
敵の拠点へ正面から乗り込むのは確かにリスクが高すぎる。奪還する優希に怪我をさせて仕舞えば、本末転倒というもの。
隠れ里の存在は日本政府側に把握されていないため、優希を確保してすぐに撤退すれば目的達成となるだろう。
その場合、拠点を攻め込むよりも向こうに出てもらう方が手っ取り早い。
その事を踏まえた上で、波音が成功率の高い作戦を提示してきた。
「なら、これはどうかしら。魔都災害の被災者を装い、醜鬼に襲われているフリをして救出に来た彼を確保して撤退する。これなら必要最低限の戦闘で確保できる。美しい作戦だわ」
「けどよ、それって青羽姉の弟が出てきてくれなきゃ意味ないんじゃねえの? それに、組員全員が丸ごと出てこられたら手こずるぞ」
波音の作戦に、ココが問題点を指摘する。
しかしその可能性は低いとジョン・ドゥが魔防隊の組織の方針を引き合いに出して反論した。
「魔都災害の被災者救出は一刻を争う事態のため、人命第一とする魔防隊はすぐに動ける必要最低限の人員で出撃してきます。主力が出るとしても、救出困難と判断した第一陣の援軍要請がもたらされてからなので時間的猶予はあります。また七番組の担当は特に醜鬼の発生が多い地域のため、有事の際に対応する人員を必ず残して出撃するはずです」
「なるほど、戦力を分散しなければいけなくなるというわけね」
「肯定します。仮に救助部隊にいなかった場合も、救援要請を出させれば第二陣の後続として組長は必ず来ると推測します。組長が来る場合──」
「もれなく優希も来るというわけね。わかったわ、波音の作戦でいくわよ」
ジョン・ドゥの推測もあり、青羽は奪還作戦を波音の作戦で行く事に決定する。
そして作戦の細かいところを決めて、実行に移す事にした。
囮役にはココを用いて、アクラと波音を近くに待機させ、救援に出てきた七番組の魔防隊員を奇襲する。
そこに優希がいれば優希を確保。いなければ波音たちも参戦してわざと魔防隊員に救援要請を出させて、出てくるだろう京香と優希を進路上にて待ち構える青羽とジョン・ドゥで奇襲し優希を奪還する。
後は醜鬼たちで足止めしている隙に、ジョン・ドゥの門を作る能力で隠れ里に即座に撤退する。
「完璧な作戦、美しいわ」
「よし、派手にぶちかましてやろうぜ!」
「隠れ里まで追跡される事にもなりかねませんので、むやみな交戦は避けるようにしてください」
「よし……やってやるわよみんな! 力を貸して!」
「当然よ」
「任せとけ!」
「了解しました」
こうして作戦を定めた青羽たちは、優希の奪還に向け動き出した。
青羽たちの戦力だが、人型醜鬼である隠れ里の住人たちのほとんどは荒事に向いていないので、ジョン・ドゥの作った醜鬼の群れや鬼童丸のように力で従わせた醜鬼たちが主力となる。
人型醜鬼で魔防隊クラスと戦闘ができる、青羽、ココ、波音。
彼女たちの足であり相棒である、鬼童丸、
陰陽寮襲撃時用と、魔防隊九番組襲撃用に準備していた通常の醜鬼たち、計三百体。
そして特殊個体の醜鬼であるジョン・ドゥ。
対する魔防隊七番組は、奪還目標である青羽の弟の優希。彼に関しては青羽が無力化出来る手段があると言っているので、任せて欲しいとの事。
そして無窮の鎖を能力とし桃の恩恵なしに醜鬼を討伐できる組長である『羽前 京香』。最重要警戒対象である。
副組長の『東
巨大化の能力を持つ制圧戦に優れた戦力となる『
非戦闘要員だが、追尾された場合には隠れ里まで把握されかねない千里眼の能力を持つ索敵要員の『
千里眼を警戒し、場合によってはココたちの離脱もジョン・ドゥの能力を頼る事になるが、優希の奪還を目的とするならば決して出し抜けない相手ではないはず。
「では、開始します」
「行ってくるぜ、青羽姉!」
「頼んだわよ! ココ! ラッキー・マウス!」
「……もはや掠ってもいないわ、美しくない間違えよ」
「──開門」
作戦の第一段階となる魔都災害の被災者を装うために、ジョン・ドゥは門を開き変装したココとともに一度現世へと向かった。