俗世が好きで何が悪い!? 作:みども
優希の奪還に成功し、隠れ里へ撤退した青羽一行。
確保当初は無窮の鎖による戦闘形態をとっていた優希だが、意識を失うと同時に元の人間の姿に戻った。
ココたちの方で通常醜鬼を何体か倒されたものの、ほとんど損害なく優希も無傷で確保することに成功。結果を見れば、十分勝利と言えるものである。
「──優希は?」
「まだ眠ってるわ。寝顔はなかなか美しいわね」
「能力が解除された反動による疲労と推測します」
「一応確認したけど、怪我とかはないから安心してくれ」
鬼童丸たちを待機させて優希の眠る部屋に戻ってきた青羽の問いに、様子を見ていた波音、ジョン・ドゥ、ココが三者三様の答えを返す。
それを聞いてひとまず安心した青羽が、ようやく再会できた世界で最も愛する家族に寄り添う。
「優希……ごめんね、こんなに待たせちゃって。でももう、大丈夫だから。お姉ちゃんがずっとそばにいるからね」
「……ここにいるのは野暮だよな」
「私たちは美しく去るべきね」
「同意見です」
姉弟水入らずの時間を邪魔しては悪いと、2人を部屋に残して外に出る三者。
醜鬼であるジョン・ドゥは共感できていないが、ココと波音は青羽がどれだけ優希のことを愛しているのかをよく知っているため感動の再会を見て胸にくるものがあったらしい。
「……でも、あの時は助かったよ波音」
「仲間の窮地を助けるのは当然よ。気にしなくていいわ」
「まあ、こうしてマボータイとやりあって全員無事なのはジョン・ドゥのお陰だけどな。一瞬だけど、現世の風景も見せてくれたし」
「囮役を成功させたココの功績です」
「でもまあ……やっぱり一番頑張ったのは青羽姉だよな」
「そうね。弟を助けようとする一途な思い、美しいわ」
「同意見です」
2人を残して部屋を離れた3名。
会話は先ほどの魔防隊との交戦で活躍したお互いを讃えるものとなったが、なんだかんだで三者とも一番頑張ったのが誰なのかを知っているため、讃える先は結局青羽になる。
この隠れ里の住人たちのリーダーを全員慕っている証拠だった。
一方、優希を誘拐された魔防隊七番組では。
波音との戦闘で手を負傷した朱々の応急処置を終えた日万凛が、攫われた優希のことを思い不安になる朱々を励ましていた。
「醜鬼たちは罠まで張ってたのに、
「……うん!」
自分も不安だろうに、励ましてくれる仲間に、気を取り直す朱々。
確かに日万凛の言葉にも一理ある。あれだけ戦力が分断された状態の中、朱々が負傷していたというのに、人型醜鬼たちは優希の誘拐に成功するなりすぐに引き上げた。
もともと魔防隊員ではなく、優希を奪うことが目的だったことに他ならない証拠であり、生け捕りにしなければならない何らかの理由があるはず。京香の奴隷契約も解除されていないため、優希が生きている可能性は高い。
「その通りだ。出撃するぞ」
そこに、七番組組長の京香が入ってきた。後ろには寧もいる。
先ほどまで寧の千里眼で周辺を索敵していたので、出撃を決定したということは優希が見つかったのかもしれない。
「ユッキーの居場所がわかったんですか?」
朱々の質問に、京香は首を横に振る。
居場所が明確に確認できたわけではない。
だが、出撃を決定したということはあては見つかったということ。
それは、京香の能力の特性。使役後、奴隷に褒美を与えるという代償を支払うために体が自動で優希の元に向かうのである。
「私の体が自動で動き始めた。つまり──」
「優希が変身を解いたんですね!」
「そっか、能力の代償!」
すぐに理解した部下たちに頷く京香。
「褒美を与えに行く私自身が、優希を捜すレーダーだ」
代償を払うために動き始めたということは、優希の変身が解除された証拠であり、そこに自動的に向かう京香の足は優希のいる場所へ必ず赴くこととなる。
それについていけば、自ずと優希のとらわれている場所にたどり着けるというわけである。
褒美を与えなければ体は自動的に動き続けるため、京香は移動中戦力にならないというデメリットはあるが。
それを補うために、既に寧に指示を出して援軍を要請していた。
「連絡聞いたよ。間に合った〜」
京香たちの後ろに、
「共同戦線だ。頼むぞ」
「六番組に任せい!」
六番組副組長、東 八千穂。
六番組組長、出雲 天花。
六番組隊員、
以前に魔都交流戦で競い合い、そして八雷神の襲撃を共に撃退した魔防隊六番組の面々が加わり、優希奪還に向けて動き出した。