俗世が好きで何が悪い!?   作:みども

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隠れ里の戦い②

 優希が無窮の鎖形態を解除した際に発生する、京香の能力の代償。

 それを利用し拉致された後行方不明となっていた優希の所在の判明に成功した京香たちは、六番組との共同戦線を展開して優希の奪還に乗り出した。

 

 まずは京香が自動で歩き出した方向から大まかな位置を推測し、天花の能力で共同の救出部隊を移動する。

 その後は自動で動く京香に着いて行き、優希が囚われている場所に向かう。

 醜鬼たちが迎撃に出た場合は、2人1組のチームに分かれそれぞれ醜鬼と戦闘し敵戦力を分断していく。

 そして他の隊員が醜鬼の足を止めている間に、京香と天花は優希の元まで移動し奪還する。

 奪還後、各自可能であれば醜鬼を撃滅するという流れとなる。

 念のため五番組にも協力を要請しており、後からの合流となるが貴重な治癒の能力を持つ副組長らを派遣してもらう手はずを整えている。

 

 2つの組による共同戦線とはいえ、相手は未だに正体もわからない人型醜鬼。

 優希という人質をとられている状況でその拠点に乗り込むことになると考えれば、油断などできるはずもない。

 滅多に本気を出したがらない天花も、今回は優希が人質になっているということもあり珍しくやる気をみなぎらせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 その魔防隊の到来は、ジョン・ドゥが俗世で購入し外の警戒に当たらせていたドローンのカメラを通じて操作者であるジョン・ドゥに発見され、青羽たちに伝わることとなった。

 

 洞窟の偽装した入口付近まで来た京香たちの前に、ジョン・ドゥの送った通常の醜鬼たちが出てきて立ちふさがる。

 死を恐れることがない手駒ではあるが、30体ばかりでは足止めにすらならず蹴散らされた。

 

 魔防隊の到来を知った青羽は、優希の救出にきた京香たちの迎撃を決断し、ココたちに指示を出す。

 

「ココは熊と一緒に入口に出て!」

 

「任せとけ! 全員ぶっ倒してやるよ!」

 

「波音はアクラと中腹に待機して、魔防隊が抜けてきたら奇襲して!」

 

「分かってるわ」

 

「モンキーはみんなを避難させて! あと、ココと波音に護衛の醜鬼をつけてちょうだい!」

 

「了解しました」

 

 魔防隊を迎え撃つために各動き出す青羽たち。

 ココは熊童子とともに洞窟の入口へと出陣し迎撃、波音はアクラとともに洞窟の中腹地点で潜伏し奇襲の用意をする。

 今度は猿に間違えられているジョン・ドゥは、非戦闘員である隠れ里の住人たちを別の隠れ里に門を使って避難させ、ココや波音に通常醜鬼の護衛をつける。一体毎は弱いが、製作者であるジョン・ドゥの思うがままに操作できるこれらの醜鬼たちは死を恐れないし数は豊富にある。盾や駒としては便利な存在だ。

 

「通信機を携帯する醜鬼をつけます」

 

 連絡を取り合えるように護衛用の他に通信機器をもたせた醜鬼を青羽、ココ、波音の下に配置して、優希以外の非戦闘員を集めたジョン・ドゥは門を作り現世を経由して別の隠れ里へと住人たちを避難させた。

 

「──開門」

 

 ジョン・ドゥの作る門は、魔都側は何処でも、現世側は日本国内であれば何処でも自由な場所に門を作ることができる。

 これにより別の世界を経由する必要はあるが、実質的な瞬間移動を行うことが可能である。

 

 ただし醜鬼の戦力を動員する上に青羽と波音とココの3人が全員此方に残る場合、避難させた人型醜鬼たちを万が一の黄泉醜鬼による襲撃から守る戦力がいない。

 そのため、青羽は送ったらそのままジョン・ドゥには向こう側へ残ってもらい仲間たちの護衛を託すことにした。

 

「みんなを向こうに送ったらホイ・ホイはそっち側に残ってみんなを守ってほしい。こっちが片付いたら連絡するから」

 

「了解しました。可能な限り援護します」

 

「──みんなのこと、頼んだよ」

 

「お気をつけて」

 

 最後にジョン・ドゥが潜ると、門が閉じる。

 その光景を見ていた優希は、突然登場し紹介すらされてなかったが、現世と魔都をつなぐ門を作るという明らかに普通の人間じゃない所業のこなしたジョン・ドゥのことが今更になって気になってきた。

 

「ちょ、ちょっと待って姉ちゃん! 今の外人さんって何者なの!?」

 

「ボイ・コットのこと? 友達よ!」

 

「ボイコット? あれ、でもさっきホイ・ホイって……? いや、まあ、そっか……友達──って、それだけで説明つかないから! まずなんであの人、門を作れるの!?」

 

「ホイ・サヨナラは私の友達だからよ! それ以上の説明がいる?」

 

「訂正を要求します。ジョン・ドゥ、貴方がつけた名前のはずです」

 

「とりあえず正しい名前だけは分かった。なんか、うちの姉がすみません……」

 

「謝罪は不要です。慣れています」

 

 サボリ魔みたいな名前にされたジョン・ドゥからの抗議が、通信機から聞こえてくる。これにより青羽の何1つ謎が解明しない中で出てきたジョン・ドゥの名前の正解を優希は知ることができた。

 無事に避難先の隠れ里に到着したらしい。

 外ではすでにココと熊童子が戦いを始めており、波音とアクラの元に入口を抜けてきた魔防隊が到着する頃である。

 

「ボッシュート、向こうの詳しい能力とかって分かる?」

 

 戦う前に敵の情報が知りたいと、陰陽寮襲撃計画に向けて魔防隊を襲撃するなどして情報を集めてくれていたジョン・ドゥに──当然のように名前を間違えながら──尋ねる青羽。

 今回出てきたのは、六番組と七番組。

 6人全員の能力に関しては八雷神の襲来を利用して既に観測していたため、ジョン・ドゥは優希も隣で聞いている中で青羽にドローンの映像などから確認した魔防隊員たちの情報を答える。

 

「確認できた魔防隊戦力は、六番組が3人、七番組が3人、合計で6人です。双方ともに組長及び副組長を確認しています」

 

「七番組の組長は優希を奴隷にしていたヤツよね?」

 

「肯定します。七番組組長『羽前 京香』。能力は契約対象を奴隷とし使役するものと推測します。桃の恩恵無く醜鬼を打倒する技術を獲得しています」

 

「六番組は?」

 

「六番組組長『出雲 天花』。能力は空間を接続する瞬間移動、空間もろとも対象を切断する攻撃等より、空間操作の類と推測します」

 

「副組長の方は?」

 

「六番組副組長『東 八千穂』。魔防隊九番組組長『東 風舞希』の次女です。能力は未来予知、若しくは時間操作による逆行と推測します」

 

「七番組の方は?」

 

「七番組副組長『東 日万凛』。魔防隊九番組組長『東 風舞希』の三女、八千穂の妹です。能力は京香と共に優希に騎乗する姿を確認しています。他者の能力をコピーする類と推測します」

 

(なんで、天花さんたちの能力を……? いや、それに『戦雲(いくさぐも)』は魔都交流戦の時にしか使っていないはずなのになんで知って──やっぱり、あいつらの仲間なのか!?)

 

 青羽はまだ戦っていないはずの天花たちの能力や、京香と日万凛の2人の主人が乗ることで発動する戦雲の形態を知っている。

 交流戦で雷煉が襲撃した時しか使っていない戦雲の形態を知っていることから、姿は見えないが紫黒や壌竜たちも青羽の仲間なのではと推測する優希。

 

「空間操作に時間操作、コピーに巨大化、そして制限時間付きの強化ね……」

 

 その後、朱々とサハラの能力の推測も聞いた青羽。

 通信機を通じて、これらの情報は波音とココにも届けられている。

 

「こっちは任せろ青羽姉! 打撃しかないならあたしが勝つ!」

 

「情報戦で優位に立つ……美しいわね」

 

 現状、ココたちとは朱々とサハラが、波音たちとは東姉妹が戦っている。

 

「……来たわね」

 

 そして、青羽たちの元に2人の組長がたどり着く。

 

 これにより、全ての戦場の役者が揃った。

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