【イナイレ二次創作】超次元転生~必殺シュートで成り上がリーヨ!~   作:雨内 真尋

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9. 後悔と責任 下

「……は、死んだ?え、だ、誰が、ですか……?」

 

 

 本能ではもう全てを察しているが、真実を聞くまで理解したくないとばかりに、言葉をつまらせながらそう尋ねる。

 

 

「それは決まってるだろ、先生のところにいたガキ二人だ。一人はビビッて飛び出して、もう一人が庇いに走ったんだったか?二人共全身炭になって焼け死んでいたよ。庇った方のガキは体半分が消し飛んでたな」

 

「そんな、レオンが……、それにズザナまで、死んだ……?」

 

 

 ランプレヒトは淡々と起きた出来事を語った。彼にとっては他人事だからか、それとも冒険者という役職は常に死と隣り合わせだからなれているのか、真実は分からないが酷くあっさりしたものだったのは確かだ。

 

 レオンとズザナが死んだ。あの時の記憶は朧気だが、確かにマリーナがそんなことを叫んでいたような気もする。

 

 

「僕が、僕がバラバラに逃げようなんて言ったから、二人が……。うっ、

 

がはっ、げほっ!」

 

 

 自分のせいで起きた事実を知り、頭が真っ白になり酷くむせ返った。口からは血が吐き出され傷が身体を刺激してくるが、それを気にする余裕が無いほどに動揺している。

 

 僕のせいで、もうあの二人が笑って過ごす未来は来ないのだ。僕がレオンとズザナの人生を奪った。その事実が僕の胸を張り裂けそうなほど締め付けてくる。

 

 

「おいおい大丈夫か?こりゃ少し配慮が足りなかったみたいだな。悪い悪い、俺はそういう気遣いは苦手なんだ」

 

 

 ランプレヒトは僕の状態に焦っているが、その謝罪には一切の悪気も感じられない。この人はそういう人なんだろう。さっき怒られたときは尊敬できたが、やはり好きにはなれそうにない。

 

 ただ、だからといって彼に八つ当たりをしても仕方がないことくらい理解している。これは誰のせいでもない。僕自身の責任なのだから。

 

 

「カーミル、大丈夫!?」

 

「マリーナ……」

 

 

 絶望が僕を支配していると、マリーナが酷く慌てた様子で姿を現した。悲しさからか嬉しさからか、その瞳には薄っすらと涙が浮かんでいる。

 

 

「ちょっとあなた!カーミルに何したのよ!」

 

「いや、別に俺は何もしてねえよ。ただ小僧にこの前の事の顛末を話しただけさ」

 

「っ!?まさか、レオンとズザナのことも言ったんじゃないでしょうね……?」

 

「そんなの話したに決まってるだろ。全て事実だし知りたいと望んだのは本人だ」

 

「このバカッ!」

 

「痛ってー!」

 

 

 僕に色々と話をしたことで、ランプレヒトはマリーナに思い切り脛を蹴られた。あれは相当痛そう。

 

 しかしそういうことか。レオンとズザナが死んだという事実があるから、リタとサテラ先生は話したがらず隠そうとしていたのだ。

 

 

「大丈夫だからねカーミル、あれはあなたのせいじゃないから。レオンとズザナがその、ああなったのはとても悲しいことだけれど、自分を責めることだけはしないで!」

 

「ありがとうマリーナ。でも自分がよく分かってるから。あの惨劇が起きたのはバラバラに逃げたからで、それを提案したのは僕だって」

 

「違う――」

 

「ああそうだ、その通りだよカーミル兄ちゃん。いや、カーミル」

 

 

 マリーナが必死に僕を庇おうとしている中、小さくも覇気のある声が響いてきた。ライナルトだ。普段の明るくも人懐っこい性格とは正反対の、冷徹な表情が浮かんでいる。

 

 

「ライナルト!」

 

「何いってんだよマリーナ姉ちゃん。バラバラに逃げようだなんて提案したのはカーミルだぜ?それはあの場にいた皆が聞いてたんだ。そのせいで……、そのせいでズザナが死んだんだぞ!」

 

「違うわ!カーミルは悪くないって、そうサテラ先生も言ってたじゃない!」

 

「うるせぇ!俺は絶対にこいつを許さないからな!何でこんな奴が生きてて、ズザナが死ななきゃいけないんだよ……!」

 

 

 マリーナとライナルトは声を荒らげて激しく意見をぶつけ合う。マリーナは優しいから僕のことをフォローしてくれてたみたいだけど、やはり子どもでも誰が悪いのかくらいは理解しているということだ。

 

 責められるのは当たり前のことで、僕はそれを全て受け止める責任がある。

 

 

「ごめん……」

 

「黙れ!お前が誤ったってもう二人は返って来ないんだ!」

 

「やめなさいライナルト」

 

 

 謝罪を口にすると、ライナルトは涙を流しながら怒りを見せ拳を振り上げる。マリーナが止めに入ろうとするも間に合わず、僕の頬のすぐ側まで迫ってきた。

 

 だがその拳は届くことはなく、寸前のところで後ろから現れたサテラ先生によって止められる。その声は僅かにだが怒気が籠もってるような気がした。

 

 

「ライナルト君、そのことはもう何度も言ったはずです。あの時分散して逃げる決断を下したのは私で、全責任は私にあると。カーミル君はただ数ある選択肢の中で一つの手段を提示しただけに過ぎません」

 

「だけど、そのカーミルはあの魔物を倒したんだぞ!それだけの力を持っていながら、レオン兄ちゃんやズザナがやられるまで何もしなかったんだ。ふざけんなよ……!」

 

「皆を守れなかったのも、保護者である先生の責任です。カーミル君も私達が守るべき子ども達のうちの一人であり、強い力を持っているかなど関係ありません」

 

「ぐっ、でも、でも……!」

 

 

 怒りに任せて声を荒げるライナルトに対し、サテラ先生はただ淡々と事実のみを述べるように語ってみせた。先生は、こんなどうしようもない僕を庇ってくれるのか。

 

 本当は喜んでいはずなどない。僕にそんな資格はないことは分かっている。だがそれでも、今この時だけはマリーナとサテラ先生の優しさに救われた気がした。

 

 

「皆さん今日はもう戻りなさい。カーミル君はまだ寝てないといけない状態なのですから」

 

 

 ライナルトが何かを言いたげにしつつも言葉が出てこず詰まらせていると、サテラ先生はこの場を治めるためそう締め括る。その一声で皆は順々に部屋を去っていき、医務室には静寂が訪れた。

 

 

「ごめんなさいカーミル君、本当は皆分かってはいます。それでも抑えようのない怒りや悲しみを何処かにぶつけたくて、カーミル君にあたっているのです。何度も忠告はしていたのですが、止められませんでした……」

 

「大丈夫です。サテラ先生のその気持ちだけで僕は十分ですから」

 

「カーミル君はとても強い子ですね。ですが何もかもを背負おうとすることだけは許しません。先程も言った通り、全ての責任は私にありますので」

 

 

 柔らかい手で僕の頭を撫でてくれる。先生の優しさは先程まで自分を責め続けていた僕の心を洗い流してくれるようだ。

 

 

「辛くなったら、いつでも誰かを頼って下さい。必ず手を差し伸べる者は現れます」

 

「でも、僕にそんな資格はありませんよ」

 

「……今はゆっくりと自分と向き合い。考えて考えて考え抜いて下さい。そして大切なのは、最後に自分自身を許してあげることです。いつかそんな日が来ることを私は信じていますから」

 

「はは、本当に先生は凄いですね。まるで全部お見通しみたいだ」

 

「当然ですよ。何年あなた達の母をやっていると思っているのですか」

 

 

 どう足掻いても自分を責める念は抑えられない。そのことをサテラ先生は理解してくれていて、それを肯定して尚最後には救いの道を提示してくれたのだ。

 

 先生の言葉のお陰で、辛く悲しい状況の中でも前に進めそうな気がする。あと少しでこれから僕がするべきことが、目指すべき道が見えてきそうだ。

 

 

「それにしてもランプレヒトさんには困ったものです。後できつく言っておくとしましょう。では、これ以上は身体に障りますのでもう行きますね。今は身体を治すことだけに集中して下さい」

 

「はい、お休みなさい」

 

 

 場を和ませるためか、最後にそんなお茶目な言葉を残しサテラ先生も医務室を後にした。

 

 いつの間に夜になっていたのか外はもう真っ暗だ。自責の念で押し潰れそうになっていた僕は、サテラ先生の言葉で少しだけ救われまた眠りの中へと落ちていく。






登場してほしい必殺技がありましたらコメントで教えて下さい。可能な限り出そうと思います!
ただ現状は10話以上先を書いているので、登場が遅くなってしまうのはご了承下さい。
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