【イナイレ二次創作】超次元転生~必殺シュートで成り上がリーヨ!~   作:雨内 真尋

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12.狙い撃ち

 家族との別れを済ませた僕は町の門をくぐり、これから始まる旅路への記念すべき第一歩を踏み出した。

 

 

「さて、まずは大きい街を目指すとするか。ここからだと……うん、やっぱりペールマンっていう街が一番良さそうだな」

 

 

 まずは目的地の選定からだが、それについては事前に調べはついている。地図を広げた僕は、この町から最も近くて尚且つ程よく栄えているペールマンという街を目指すことに決めた。

 

 

「ペールマンは東だから、こっちだね」

 

 

 僕らの暮らしていた町はクレフと言うらしく、ペールマンとは巨大な森を挟み隣り合った場所に位置している。

 

 森ではそれなりに魔物が出没するため、用がない限りは避けて通るのが定石だ。ただ今回僕は、この2年間で自分がどれだけ成長したのか腕試しも兼ねているので、あえて森を一直線に突っ切るつもりでいる。

 

 

「ボボッ!」

 

「お、早速魔物の登場だ。あれは確か、マッスンって言うキノコの魔物だったかな。全長は恐らく50cm程か」

 

 

 森に入って数分もしないうちに、早速魔物と遭遇した。キノコ型魔物のマッスンは基本的には弱い種族に分類されているが、胞子を浴びると痺れて動けなくなってしまうため注意が必要だ。

 

 遠距離からサッカーボールで攻撃する僕なら、比較的相性の良い相手だろう。最初の敵としては悪くない。

 

 

「ボール生成。よし、先制攻撃だ。一撃で決めてやる!」

 

 

 ボールを生成した僕は、そのまま間髪入れずにシュートを放つ。ノーマルシュートだが、肉体強化された蹴りなので威力は相当なものである。

 

 

「ボ?」

 

「あれっ?」

 

 

 だが、シュートはマッスンに命中することなく脇をすり抜け、背後に立つ木々にリバウンドしてどこかへ消えてしまった。残念ながら魔物に命中することなく外してしまったのだ。

 

 

「ボボボ!」

 

「うわっと!危ない危ない……」

 

 

 まさか外すとは思ってもいなかったため焦りが出て、動揺が伝わってしまったのか反撃をされかけた。マッスンは近づいて胞子を放とうと傘をこちらに向けてきたので、慌ててバックステップで距離を稼ぐ。

 

 

「そうか、今まで大きい的やゴール目掛けて打ったことはあったけど、小さい的を狙った練習はしてこなかったな。意外な盲点発見だ」

 

 

 なんて冗談を言っている場合じゃない。まさか旅立って1時間もしないうちに出鼻を挫かれるとは、思いもしなかったのだから。

 

 この弱点はすぐにでも矯正しないと、今後の旅路に大きく影響が出ることになるだろう。

 

 

「なら、必殺シュートで勝負だ!」

 

 

 再度ボールを生成した僕は必殺シュートのシークエンスに入った。

 

 ボールを足で挟み回転させ冷気を溜め込む。十分に力が溜まり氷塊となったボール目掛け、僕自身も回転して力を溜め込み、渾身のシュートを叩きつける。

 

 

「吹き荒れろ……!エターナルブリザード!」

 

「ボボッ!?」

 

 

 前回転し襲いかかる氷塊を相手にマッスンは成す術なく直撃し、見事に凍りつき絶命する。若干オーバーキル感はあったが、それでも確実に仕留めるためには仕方のないことだった。

 

 ちなみに2年間の特訓成果で、今では技の種類が格段に増えている。今回放ったエターナルブリザードもその内の一つだ。

 

 

「よし、やっぱりシュート技の方が当て易いみたいだ。命中補正とかそういう特殊な効果があるのかもしれない」

 

 

 練習時の経験上、ノーマルシュートよりも技を使った方が命中精度が高いことは知っている。それでも外すときは外すので絶対ではないが、こちらの方が確実なのは確かだ。

 

 ただ全部の戦闘で技を使っていたらあっという間に魔力が枯渇し動けなくなってしまう。そうならないためにも、ノーマルシュートの命中精度向上は必須だろう。

 

 

 

「これからは狙い撃ちの練習か。まったく、いくつになってもサッカーは鍛えることが尽きないから最高だよ!よーし、こうなったらとことんやってやる。この森を出る頃には正確な狙い撃ちをマスターしてみせるさ!」

 

 

 新たな目標が出来たことでより一層やる気に満ちてきた。そうして僕はシュートの命中精度向上のため、出来るだけノーマルシュートのみで魔物を相手にしつつ森の攻略を進めていく。

 

 

 

 

 

 

――

 

 

 

 

 

 

 初日の夜、1日で森を踏破することは出来なかったため野宿をすることになった。それでもシュートの精度は徐々に向上しつつあるため、森を出る頃には満足いく実力が身に付いていると予想している。

 

 

「今は多分森の中腹くらいかな。マッスン以外にも魔物の種類がだいぶ増えてきたなぁー」

 

 

 今は火を焚いて夕食の準備をしつつ、倒した魔物の素材を整理しているところである。

 

 こういった冒険の技術は、1年程前にランプレヒト達のパーティにお邪魔して色々と教わっていた。サテラ先生は危険なことは極力避けてほしそうにしていたが、これも生きる上での術を身につけるため必要なんだと無理やり説得したものだ。ごめんなさいサテラ先生。

 

 

「でもここ1年はあの人達も拠点を別の街に変えちゃったから、しばらく会えて無いんだよな。今頃何してるんだろ」

 

 

 なんて物思いにふけながらも、手だけは止めず作業を全て終わらせた。今回倒したのは、カラスのように真っ黒な見た目をした鳥の魔物ヤドリ、茶色い体毛で魔力を帯びた耳を持つウサギ型魔物のラビックだ。

 

 8割方はマッスンで、次に多いのがヤドリ。ラビックは1匹しか仕留められなかった。この中じゃ一番すばしっこく動く魔物だったので、なかなかシュートを当てられなかったのが敗因だろう。

 

 

「この魔物達なら、夕飯は鳥肉とキノコのスープかな」

 

 

 マッスンはそこそこ美味しいので出汁としても活躍してくれるし、メインの肉であるヤドリもしっかりと煮込めば十分に食べられる。残念ながら僕に料理の才能は無いので、こういった大雑把なものしか作れないのが痛いところだ。

 

 料理の上手い人を仲間に加えたら旅の食事も楽しくなるんだろうけど、正直誰かと固定のパーティを組むつもりはない。もう二度と、大切な誰かを自分のミスで死なせるなんて経験はしたくないからだ。そのためなら仲間なんていない方がいい。

 

 

「ん?何だろう、今森の中で誰かの叫び声が聞こえた気がする……」

 

 

 少ししんみりしてしまっていると、遠くの方で微かに誰かの悲鳴が聞こえた気がした。ただ本当に一瞬だったため、気の所為だったのかもしれないが。

 

 

「……だめ……逃げて……!」

 

「っ!やっぱり気の所為じゃない、誰かが魔物に襲われているんだ!」

 

 

 集中して耳を澄ましていると、今度ははっきりと人の声が聞こえた。内容までは分からなかったが誰かが魔物と交戦していて苦戦しているようだ。

 

 

「急いで助けに行かないと!」

 

 

 誰かの危機を察したので何ふり構わず瞬時に走り出す。人助けこそを自分の使命に掲げている僕は、助けを求める人を見捨てるなんて行為は絶対にしない。

 

 夜の森は視野が狭くなり方向感覚を狂わせてくるが、先程の声や戦闘の音を頼りにどうにか現場に到着した。

 

 

「あのイノシシみたいな見た目の大型魔物は、ボアレストか!」

 

 

 最大全長は5メートルを超えることもある、森の主と呼ばれる大型の魔物だ。気性は荒く獰猛で見つかれば戦闘は避けられないと言われる、この森では一二を争う強さを持つ。

 

 ボアレストは夜行性ではないから夜間の移動を控えれば遭遇する確率はグッと減るのだが、どうやらあの人達は運悪く遭遇してしまったらしい。

 

 

「その怪我じゃ無理よ!逃げないと」

 

「大丈夫、私が引き付けるからお前達はそのうちにとっとと逃げろ!」

 

 

 数は全部で4人いる。頭部を負傷し気を失っている小柄な子に、それを手当している魔法使いっぽい女性。後は一緒に逃げようと懇願する剣士っぽい見た目の女性と、最後にボアレストと正面から向き合っているもう一人の剣士だ。

 

 

「ブルルン!」

 

「くっ……!」

 

「ダメよ、逃げて!」

 

 

 殿を務めている女性剣士は左腕が妙な方向に曲がって機能していない。そんな彼女を狙ってボアレストは突進する。片腕だけであれを受けるなど絶対に不可能だ。

 

 

「ザ・ウォール!」

 

「ブルゥッ!?」

 

 

 ボアレストと女性剣士が接触する寸前、ギリギリのところで間に滑り込むことに成功した僕は、そのままブロック技であるザ・ウォールを発動し阻止する。

 

 突如目の前に出現した岩の壁にボアレストは困惑していたが、急には止まれなかったようで勢い良く衝突いていた。

 

 

「え?何が、誰……?」

 

「助太刀に来た。ここからは僕が相手になるよ、イノシシくん」

 

 

 防御に成功し消滅する岩壁。その向こうで苛立たしげに睨みつけてくるボアレストを相手に、僕は強気な笑みを浮かべた。

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