【イナイレ二次創作】超次元転生~必殺シュートで成り上がリーヨ!~   作:雨内 真尋

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14.門前払い

 ボアレスト撃退後、逃げるようにキャンプ地へ戻ってきた僕はようやく夕食にありついた。人見知りが発動して逃げるように去ってしまったが、魔物は倒したし仲間も無事だと言っていたから何も問題は無いだろう。

 

 

「でもボアレストの処理を丸投げしたのはよくなかったかなぁ。解体は簡単にしといたけど、あっちは怪我人もいるし」

 

 

 ボアレストはこの森で狩れる魔物の中じゃ高価で取引されている部類だ。ただし一人であの巨体を運ぶのは骨が折れるので、僕だけだと絶対に不可能だろう。だから持てる分だけは貰って、残りは人数の多いあっちに任せてしまった。

 

 

「まぁいいか。日が昇ったらまた現場に戻って、肉が残ってたら僕が処分しておこう。それよりも今日はシュートの狙い撃ちを意識して頑張ったから疲れたな。少し早いけどもう寝ちゃお」

 

 

 旅の初日でありながら、自分の弱点を発見し克服のために励んだ慌ただしい冒険の幕開けに、披露は相当溜まっていた。

 

 夕食のスープはそこそこ美味くてお腹いっぱいにもなったので、もう眠ることにする。

 

 

 

 

 

 

――

 

 

 

 

 

 

 翌朝、少し寝坊してしまったらしく日は完全に昇りきっていた。昨日の夕食の残りをかき込み手早く支度を済ませると、昨夜の現場に戻ってくる。

 

 

「あ、ちゃんと全部持っていったみたいだね。よかったよかった」

 

 

 昨夜冒険者が襲われていた現場に戻ったが、そこにボアレストの死体は転がっていなかった。どうやら彼女達が全て運んでくれたらしい。ならばもう何も気にすることはないだろう。

 

 

「さて、それじゃあ今日も狙い撃ちの練習をしながら、日が落ちるまでには森を抜けてペールマンに到着しますか」

 

 

 そうして2日目も小さい魔物を狙ってシュート練習をしながら、少しずつ街へと近づいていく。途中何度か大型の魔物とすれ違いそうになったが、今は倒してもその後が面倒なだけなので隠れてやり過ごした。

 

 後は街についた後の行動をスムーズにこなしたいので、そのために必要なものをいくつか採取しながら進む。

 

 

「お、森を抜けたか。そして遠くに見えるあの高い壁が、ペールマンを囲む防壁だな」

 

 

 夕方よりも少し前の時間帯、予定通りに森を抜けると遠くに街の壁が確認できた。僕の暮らしていた町クレフでは、あんな壁は無いから興味をひかれる。

 

 

「狙い撃ちも後半は精度が上がってきたからな、初日は1匹しか仕留められなかったラビックを今日は5匹も倒せたよ」

 

 

 小さな体躯で素早く動く魔物は練習相手としては最適で、ラビックのお陰で急速な成長を見込めたのは間違いないだろう。今日は彼らに感謝してウサギ鍋でも頂こうか。

 

 ここからの道のりは、街道に入って後は街に向かって真っ直ぐ進むだけでいいので、森の中ほどの危険は存在しない。夕日を全身に浴びながら、悠々自適によくやく目的地へと到着だ。

 

 

「見ない顔だな。何者だ?」

 

「クレフから来ました。これが出身の証明書です」

 

「どれどれ……なるほど孤児か。街へ来た目的は?」

 

「冒険者になりに来ました。こちらの方が大きい仕事が多そうですので」

 

「分かった。通っていいぞ」

 

 

 孤児院を出る前、これを身分証明として使えとサテラ先生から預かっていたものが、早速役に立った。

 

 孤児は職にありつくのも一苦労なので、子どものうちから稼ごうとする者は珍しくない。そして大きな稼ぎ目当てにより大きな街へ飛び出すこともだ。

 

 この門番は、僕をそういうたぐいの人間だろうと判断してくれたらしく、すんなりと街へ通してくれた。まぁ実際まだ10歳程度の子どもを一人に、そこまで警戒心を抱く必要など無いだろうし。

 

 

「おいボウズ、冒険者ギルドは西のエリアだからな。迷うなよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 親切な門番にお礼を告げると、僕はその足で真っ直ぐ冒険者ギルドへ向かった。彼の言う西エリアというところに入ると、周りには冒険者らしき屈強な見た目の人達がぐっと増えた気がする。彼らに付いて行ってそれっぽい建物に入ればそれが冒険者ギルドだろう。

 

 

「お、あれがそうっぽいな。失礼しまーす」

 

「あぁ?」

 

 

 冒険者らしき人が何人か大きめの建物に入っていくのが見えたので、そこがギルドだろうと思い戸を開く。すると中にいた人達から一斉に鋭い眼光を向けられてしまった。

 

 荒々しい風貌の屈強な男がいっぱいだ。ここがギルドで間違いないだろう。少し寂れた暗い雰囲気のある室内だ。クレフにあったギルドとは随分と様子が違うんだな。

 

 注目を浴びているのは少し嫌だが、ここで気弱になって帰るわけにもいかない。意を決した覚悟を決めると、受付らしき場所へと歩いていく。

 

 

「何のようだ。ここはお前みたいなガキの来るところじゃねぇぞ」

 

「ここに加入させてほしくて来ました。一応10歳なので、ギリギリ働ける年齢ではあります」

 

 

 この世界での成人年齢は15歳だ。だが成人にならなくとも職種によっては働くことは当然可能で、冒険者の規定年齢は10歳以上である。それがあるから孤児院の卒院条件は10歳以上なのだ。

 

 つまり年齢的には僕が働くのに何も問題はない。

 

 

「加入だと?おいおい何を言うかと思えば、冗談は見た目だけにしてくれよ」

 

 

 何が可笑しいのかは分からないが、加入を希望すると何故か大笑いされてしまった。しかも受付の人だけではなく、そのフロアにいた人全員からだ。

 

 これは一体どういうことなんだろうか。

 

 

「お前はここへ一体何しに来たんだ?」

 

「ええと、お金稼ぎですけど……」

 

「それだけか?」

 

「いえ、あとは困ってる人に手を貸す、とかですね」

 

 

 一通り笑った様子の受付ボーイは、改めて悪鬼のような表情で僕を見定める。

 

 冒険者って加入するのにこんなに試されるものなのだろうか。ランプレヒトは誰でも簡単に入れるから心配いらないとか言ってたが、あの野郎嘘つきやがって。

 

 

「金稼ぎに人助けか、お前みたいなガキ一人に何が出来るってんだよ。いいからとっとと帰りな。ガキのお守りをする暇はねぇんだ」

 

 

 理由は聞いたが、結局は子どもだから入れられない、か。冗談じゃない、まともに審査をする気もなく外見だけで門前払いだなんて納得できるか!

 

 

「馬鹿にするなよ。僕が本気を出せば、お前らなんか簡単に倒せるんだぞ」

 

「何だとこのガキ……!」

 

「今この場で試したっていい。示せばいいんだろ、僕の実力をさ?」

 

 

 帰れと言われたから、ハイ分かりましたと簡単に引き下がれるものか。こうなったら喧嘩でも何でもいいから、まずは僕の実力を認めさせてやる。でないとそもそも話にすらならないみたいだから。

 

 

「くははっ!随分と威勢のいいガキだなおい。クソムカつくぜ」

 

 

 挑発じみた言葉を放ち受付ボーイと睨み合っていると、背後から笑いながら苛立ちを露わにした男が現れた。筋骨隆々でいかにもな見た目の大男だ。

 

 

「ついてこいクソガキ。身の程ってものを教えてやるよ」

 

「何をするんですか?」

 

「あぁ?お前が言ったんだろうが、実力を示すって。だから俺が試してやんだよ!」

 

「なるほど、分かりました」

 

 

 どうやら彼が僕の試し相手になってくれるらしい。良かった、これで門前払いはま逃れたようだ。

 

 建物の裏手には広い運動場があった。所々荒れているのはここの人達が日々の鍛錬に使っているからなのだろうか。

 

 

「おいおい本気でやる気かよマルクス?」

 

「ったり前だ。こんなガキに舐められたままでいられるかよ」

 

「ボスに怒られても知らねーぞー」

 

「こいつは面白くなってきたな。賭けでもしようぜ!」

 

 

 僕の相手をする人の名前はマルクスというらしい。外野はなんやかんやと野次を飛ばしているが止める気は一切なく、この状況を完全に楽しんでいる様子だ。

 

 

「おいガキ、お前は普段使ってる得物を使っていいぞ。全力でかかってきな」

 

「あなたは?」

 

「俺はこの木剣で十分だ。ガキ相手に本気を出すまでもねぇ」

 

「分かりました」

 

 

 マルクスの木剣は僕へのハンデらしい。ランプレヒト達とは暇な時に模擬戦をしたことがあったが、こういう雰囲気の対人線は初めてなので緊張する。

 

 ともあれ冒険者になるためにはまず、あの男を倒して実力を示さなければならないのだ。全力でぶつかって、ここにいる全員に僕の力を示してやろうじゃないか。

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