【イナイレ二次創作】超次元転生~必殺シュートで成り上がリーヨ!~ 作:雨内 真尋
魔物相手ではあるが久しぶりに大人数でサッカーを楽しんだ僕は、朝から気分が上がりに上がっていた。
「よし!じゃあ今日僕は冒険者ギルドに行ってくるけど、ルチアさんはどうします?」
「仕事に決まってるでしょ……」
「そりゃそうか、はっはっは!」
「ほんとうるさい……」
本気でウザがられ始めたのでそろそろ止めておこう。
「いい?冒険者ギルドは西のメインストリートだからね?」
「そんなに何度も言わなくたって大丈夫ですから、任せて下さいよ~」
「不安……」
そろそろ出発の時間となったところで、ルチアにやたら不安げな目で見られてしまった。
クレフからこのペールマンまで迷わず来れた時点で、僕が方向音痴じゃないことは証明されているのだが、第一印象が悪かったのかやけに心配されてしまっている。
こればっかりは今後の行動で示していくしかないのだろう。
「改めまして昨晩はお世話になりました」
「うん、頑張ってね」
「はい!ルチアさんもお仕事頑張ってください。では行ってきます!」
別れ際再度泊めてもらった感謝を告げると、ルチアと別れ今度こそ冒険者ギルドへ向かった。今度は慎重に何度も方角を確認しながら進んだお陰で、無事に目的地まで辿り着く。
「あー、なるほど。こっちを見ると傭兵団がいかに物騒な連中の溜まり場かがよく分かるね……」
冒険者ギルドは傭兵団とは違い、建物に入っても睨まれることもなければ罵声や嘲笑を浴びせられることもない、至って平和な組織であった。恐らく僕よりは年上だろうが、子どもも何人か見受けられる。
「さてと、じゃあ改めて冒険者について学んでみるか」
僕の生きる目的は人の役に立つこと、困っている人を助けることだ。それを成すためにどちらの組織の方が動きやすいのか、それを見極める。
「すみません、少しよろしいですか?」
「はいなんでしょう?」
「冒険者に興味があって色々とお話をお伺いしたいのですけど――」
「あっ!お前は一昨日の……!」
受付のお姉さんに質問していこうと話しかけたその時、背後から何やら大声が聞こえてくる。何事かと思い振り返ってみてみると、そこには先日夜の森で襲われていた女性騎士がいて、驚いた顔で僕に指を指していたのだった。
「ああ、この間はどうも。腕の調子良さそうですね」
「お陰様でな。ボアレストが高く売れて良い治療を受けれたんだ。あの時は助けてくれてありがとう」
「いえいえ、大事なくて良かったです」
「今日は仲間も一緒に来てるんだ。改めて紹介したいから少し付き合ってくれないか?」
「?はぁ……」
骨折していた腕は見事完治しているようで何よりだ。前々から思っていたけど、魔法のあるこの世界は物理的な負傷に関しては前世と治る速度が段違いで、感覚がおかしくなってくる。
ともあれそれで話は終わりかと思ったのだが、何やら彼女のお仲間さんへ紹介したいとのことで呼ばれてしまった。まぁ今日は特に急いでいることもないので問題はないが。
「じゃあ改めて自己紹介からだな。私はこのパーティ、桜花乱舞のリーダーをしているジーナだ」
「私はエルマ、魔法使いだよ~」
「グローリアです。よろしくね」
「ロベルタ。この間は助けてくれたみたいで、ありがと……」
現在はギルドの2階にある、冒険者のためにいくつか用意された会議室の一つへと案内され紹介を受けている。
この前気を失っていたのはロベルタというのか。元気になったみたいで良かった。
「僕はカーミルです。クレフから来た孤児院出身です」
「随分若くみえるけど、おいくつなの?」
「まだ先日10歳になったばかりですよ」
「それであの強さか、世界は本当に理不尽だな……」
僕の年齢を聞いた4人は心底驚いたように目を見開いた。確かにこの年でなら相当強い部類に入るんだろう。だからこそ僕は罪深いんだ。
「ギルドにいたということは、カーミルも冒険者なのか?」
「クレフで活動してたの?」
「いえ、冒険者になるためにペールマンにやってきたので、僕はまだ冒険者じゃないですよ」
ギルドにいたから誤解を生んでしまったみたいだ。僕はまだ彼女たちの同業者ではないし、入るかどうかの段階でまだ悩んでいる。
「それなら私達のパーティに入らない?魔法を使える仲間がもう一人欲しかったのよ!」
「えっ?}
「お、おい、何を勝手に、リーダーは私なんだぞ……!」
「えー、でもジーナだって昨日似たようなこと言ってたじゃん」
「だからっていきなりそんなこと言われても迷惑だろうが!」
突然エルマに勧誘されて驚いたが、ジーナが怒鳴りながら制止してくれた。冒険者だろうと傭兵だろうと誰かと固定のパーティを組む気は無いので、申し訳ないが遠慮させてもらう。
「それは置いといて今日はギルドに登録に来たの?」
「いえ、実はちょっと冒険者になるかどうかをまだ悩んでまして。それで色々と情報収集のために来たんです」
「悩んでるって、どういうことだ?」
「助けていただいた恩もあるし、力になるわよ」
ロベルタからの問にそう答えると、ジーナとグローリアが前のめりになってそう提案してきた。本当は受付の人に聞こうかと思っていたけど、現役の人に相談した方が話は早いのかもしれない。
「実は僕、人助けがしたいんです」
そう思った僕は、彼女らに自分の希望を伝え、そのために冒険者がどういうものなのかを聞いてみる。もちろんレッドイーガルの事故については伏せて話したが。
――
「なるほどな、傭兵と冒険者どちらが人助けのために動きやすいか、か……」
「難しい問題ね~」
「私達は冒険者がどういう仕事をしているか教えればいいんじゃないの?後はカーミル自身が考えるでしょ」
「うん、この子はちゃんと自分で考えれると思う」
「なるほどな、確かにそれがいいか」
僕の話を聞いたジーナ達は、色々と相談した結果冒険者についてを教えてくれることになった。色々と配慮してくれているようで本当にありがたい。
「冒険者の主な仕事は魔物討伐と採取、後は物の運搬やその護衛だな」
「それにダンジョンなんかで探索というのもあるわね」
「冒険者は素材を売って生計を立てるのがほとんどだから、得にならない仕事はほとんどしないよ」
「うん、利益が無いなら困ってる人がいても魔物討伐依頼を無視することはよくある。そもそもそういう依頼自体がが少ないし」
彼女達からの話でも、事前に得た情報と遜色はあまりないようだ。あくまで得の多い素材が目当てで、魔物を倒すことそのものを目的とした依頼は少ない。だから僕の目的に見合った活動をするのは難しいのだろう。
「本当ならカーミルは騎士とか警備隊とかそういう正当な組織が向いてるんだろうがな……」
「あっちは身分重視なのよね。あっ、別に私達は孤児を差別したりはしてないわよ?」
「大丈夫ですよ。皆さんの優しさは十分伝わってますので」
確かに人助けを最も効率よく行えるのは、騎士や警備隊など国の兵士になることだろう。
だがそこだと常に上の判断を仰がなければならないため犠牲を前に目をつむることになる可能性もある。対局を見据えたら正しいのだろうが、その犠牲を僕は許せないからきっと向いてはいない。
それに集団行動の塊みたいな組織に入ったら、ストレスでどうにかなってしまいそうだし。
「色々とありがとうございます。参考になりました」
「このくらい大したことないさ。あっ、そういや一つ気になってたんだが、カーミルは魔法使いと剣士どっちなんだ?」
「あー、一応魔法使いの括りに入るんですかね。自分でもよく分からないですけど……」
僕の攻撃手段は基本魔力を用いてのものであるため、大枠は魔法使いだろう。だが動きがあまりにも近接戦闘しているので非常に分かりにくいが。
まぁ言葉で表すとしたら、僕はサッカープレイヤーだ。
「では失礼しますね」
「ああ、また困ったことがあれば私らを頼ってくれ。必ず力になる」
「ありがとうございます」
ともあれ聞きたいことを聞けた僕は冒険者ギルドを後にする。
そして建物を出る前にはもう、どちらの組織に所属するのか僕の中で答えは出ていた。