【イナイレ二次創作】超次元転生~必殺シュートで成り上がリーヨ!~   作:雨内 真尋

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20.やりすぎた

 ブロック技を駆使して依頼主の畑を防衛し、最後は必殺のファイアトルネードで一掃した。これで任務は完了だ。

 

 

「いやぁありがとう傭兵くん、本当に助かったよ」

 

「いえいえ、このくらいわけないですから」

 

 

 僕が子どもということもあり若干不安げにしていた依頼主だが、結果には大満足のご様子だった。初仕事は完璧に達成したと言っていいだろう。

 

 

「くそっ、こいつらまた来やがった!」

 

「野菜に手をだすんじゃねー!」

 

「ん?他の畑はまだ狙われてるのか……」

 

 

 仕事を終わらせ気分良くなっていると、他の畑から喧騒が聞こえてることに気づく。どうやらそちらでは魔物の被害が継続しているようだ。

 

 僕の依頼主は傭兵を雇ったから被害をゼロに出来た。だが雇っていない農家はまだ被害が止まらないのだろう。

 

 

「よし、せっかくだしあっちも助けに行ってくるかな」

 

「え、向こうも行くのかい?」

 

「大丈夫ですよ、おじさんにも悪いようにはしませんから」

 

 

 依頼主は依頼料を払って僕に助けてもらった。だがこれから僕が向かう人達は対価を払っていないのに助けてもらうことになる。そうなると依頼主だけが損をしてしまうことになるので、それだと気分も良くないだろう。

 

 だから事後処理のことも考えつつ他の畑へと魔物駆除に向かった。

 

 

「ハンターズネット!」

 

「「「ジジジー!」」」

 

「「「ババッ!」」」

 

 

 魔物をブロック技で捕らえ最後にはシュート技で殲滅する。最初と変わらず同じことを淡々と続け、そうして他の畑全てからも魔物を駆除することに成功した。

 

 結構な大群を屠ったので、これで今年はもう魔物による被害を受けることはないだろう。

 

 

「君、誰だか知らないがありがとう!」

 

「助かったよ!」

 

「いえいえ、お礼ならあちらの農家さんに言って下さい。僕は彼の依頼で魔物駆除に来ただけなので」

 

 

 駆除を終えると農家さん達から次々にお礼を言われ始めたので、全ての立役者は依頼主であると彼を立てる。

 

 

「おお、お前が雇ってくれたのか」

 

「助かったよ。今年はどうなることかと懸念してたところなんだ」

 

「い、いや、いいってことよ……」

 

 

 依頼主の方へ促すと、皆もそちらへ向きお礼の言葉を告げ始める。進言するなら今が一番のタイミングだな。

 

 

「それで皆さん、彼は今回の騒動のために一人で依頼料を負担してくださったんです。だからもしよければ、皆さんからも少しずつ出してもらって、彼の負担を軽減してくれませんか?」

 

「なっ、おいそこまで――」

 

「おお、当たり前だ!畑が無事だったのはお前らのおかげなんだからな。いくらでも出すぜ!」

 

「そうだな、畑の被害に比べりゃ安いもんだ!」

 

 

 依頼主だけが損をしないよう、依頼料は皆で分担して出すよう促す。こうすれば依頼主も損はないだろうし、僕も多くの人を助けられて皆ハッピーという寸法だ。

 

 

「はいよ、これが皆で集めた今回の報酬金だ。受け取ってくれ」

 

「ありがとうございま――あれ?なんか元の依頼料より遥かに多い気が……」

 

 

 完璧な采配だと思ったのだが、想定外の事態が起きてしまった。貰った報酬が明らかに多すぎるんだが。これだと依頼を受けた時に提示された報酬の3倍くらいはあるぞ。

 

 

「後こっちは今年採れた野菜だ!」

 

「ええっ!いやいやそんな、いただけませんって……!」

 

「子どもが遠慮なんかすんじゃねーよ」

 

「そうそう、君みたいな優秀な子はたくさん栄養を摂って、これからもっともっと活躍していくんだからさ!」

 

「えぇ……あ、ありがとうございます」

 

 

 その上何故か大量に採れたての野菜まで手渡されてしまった。流石にこれは断ろうとしたんだが、有無を言わさず押し付けられては返すことも出来ない。

 

 

「ありがとうな傭兵さん。最初は子どもだと侮って悪かった、また頼むよ!」

 

「こちらこそ最後は訳分かんなくしちゃってすみませんでした。またよろしくお願いします」

 

 

 結局そのまま依頼主にお礼を言われて見送られた僕は帰路につく。

 

 依頼自体は無事に解決したけど、その後の対応を完全に誤った。余計なことをしたから怒られそうだなと思いながら、ペールマンに向けて夜道を進んでいく。

 

 

 

 

 

 

――

 

 

 

 

 

 

 深夜にまだ早いというそんな時間帯、無事ペールマンへ到着した僕はアレッシアの元へ結果報告に来ていた。

 

 

「なんだ、1日向こうに泊まってくるかと思ったが帰ってきたんだな」

 

「お金が心もとないんで」

 

「ははは、そうかそうか。で、依頼の方はどうだったよ?」

 

「は、はい、依頼ですが……」

 

 

 雑談も程々に依頼の結果を催促されたので、説教されること覚悟しながらも包み隠すことなく全てを報告した。ついでに頂いてきた野菜も出しておく。

 

 

「なるほどな。まぁ隠し事をせずに全部話したのは褒めてやるよ」

 

「はい……え?何で全部話したって分かるんですか?」

 

「そりゃお前の仕事ぶりを探るために後をつけさせてたからに決まってるだろ。おい、出てこい」

 

 

 アレッシアに呼ばれる形で、僕の背後から知らない女性が現れた。

 

 一体いつからそこに潜んでいたんだ。まったく気づかなかった。

 

 

「こいつの名はテレーザだ。隠密行動や暗殺が趣味の陰湿な女だよ」

 

「ふざけるな。暗殺を趣味にした覚えはない」

 

「なははっ!まぁ冗談はその辺にしといて、明日からはこのテレーザがカーミルの教育係になるからな。仲良くしろよお前ら?」

 

 

 趣味は否定したが暗殺自体は否定していない。ということはこの人は本当に暗殺が得意ということじゃないか。

 

 背後にいたこともまったく気が付かなかったし、さすがは傭兵団だ。そういう特殊技術の使い手もいるということなんだろう。

 

 

「でも一応依頼は達成してるんですが、それでも彼女から教わらないとダメですか?」

 

「だめに決まってるだろうが!初日から依頼内容外の仕事をするのも、想定していた3倍の依頼料を取ってくるのも、お土産まで持たされるのも全部前代未聞なんだからよ!」

 

「す、すみません……」

 

「ったく、そういう仕事をする上での基本的なこともテレーザが色々と教えてくれるから、先人からの話はちゃんと聞いとけ」

 

「はい、分かりました」

 

 

 無理だと思いつつも断る形で話を振ってみたが、案の定断られた上こっぴどく叱られた。

 

 まぁ予想はしていたが、やっぱり依頼外の魔物駆除は余計なことだったのだろう。それでも人助けが僕の心情だから、今後も困っている人がいたら助けることに変わりはないが。

 

 

「他の連中を無償で助けなかったところは評価してるから、これ以上は何も言わない。だがあんまり好き勝手やるんじゃねーぞ」

 

「気をつけます」

 

「よし、じゃあもう今日はここの空き部屋を使っていいから休め。明日からはテレーザの指示に従うように!」

 

「了解です」

 

 

 お説教は終わりだとアレッシアに退室するよう促される。思ったよりもお叱りは少なく済んだので良かった。

 

 そうして退室すると、何故かテレーザがこちらを見つめていることに気づく。

 

 

「えと、改めまして僕はカーミルです。明日からよろしくお願いします」

 

「私は他の連中のように甘くはない。子どもだからと容赦はしないし、役に立たなければ切り捨てる。それを覚えておけ」

 

「は、はい……」

 

 

 暗い廊下の中で冷え切ったテレーザの声が小さく響く。なんだか少し嫌われてる気配がするのは気のせいだろうか。厳しい言葉を残して彼女は去って行ってしまった。

 

 綺麗な銀髪ストレートに血よりも赤い紅玉の瞳、そして話す度にちらりと覗く八重歯が特徴的な女性だ。

 

 この世界の人間は色々な種族がいると聞くが、彼女もその類の人なんじゃないかと思う。まだ会ったことはないから予想の範疇だけど。

 

 

「また個性的な人が出てきたな。でも僕だって負ける訳にはいかないんだ。よーし、明日も頑張るぞー!」

 

「うるせーぞカーミル!部屋の前で騒いでないでさっさと寝ろ!」

 

「す、すみませーん……!」

 

 

 気合を入れ直していると扉越しにアレッシアに怒られてしまった。

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