【イナイレ二次創作】超次元転生~必殺シュートで成り上がリーヨ!~   作:雨内 真尋

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4.僕は魔法を使えない

 孤児院のとある一室、ここではサテラ先生による授業が開かれていた。7歳を超えた子どもは将来に向けて、簡単な読み書きや計算を習うのがこの院でのルールである。

 

 つい1ヶ月ほど前、7歳を迎えた僕もこの授業に当然参加していた。

 

 

「では次にこの問題を解ける子はいますかー?」

 

「……じゃあはい。これはここをこうして、答えは9です」

 

「正解です!カーミル君は計算が早いですね」

 

「ありがとうございます」

 

 

 今習っている計算問題は単純な四則演算であるため、転生者である僕にとっては出来て当たり前な問題ばかりだ。

 

普段はあまり目立って変な疑いをかけられると困るから、発言は極力控えている。ただ今回は解ける子が誰もいなかったため仕方なく僕が解いたというわけだ。人並みには出来ることをアピールしないと勉強時間を増やされる可能性もあるので。

 

 

「せんせー、そろそろお昼ですよー」

 

「あら、ほんとですね。それでは今日の授業はここまでにしましょうか」

 

「よっしゃ!ようやく昼飯だー!」

 

「ふふっ、あまりはしゃがないでくださいねレオン。あと午後からは魔法の訓練もありますから、皆忘れずに来るのですよ」

 

「「「はーい」」」

 

 

 昼ご飯が食べられるということで、毎度の如くレオンが興奮している。荒っぽい性格でちょっと苦手だけど、彼の明るさはこの孤児院には欠かせない大切なムードメーカーだ。

 

 サテラ先生は治癒魔法以外にも基本的な属性魔法の初級までなら使用出来る優秀な魔法使いである。そんな先生から魔法を教わっているためか、孤児院を出た後は魔法職に就く子どもが意外と多い。そういう意味でもここは町ではそれなりに有名だ。

 

 ただしとある事情から、僕はそんな素晴らしい魔法の特訓を受けていない。

 

 

「先生、僕は午後は下の子達の面倒を見ていますね」

 

「そうですね、いつもごめんなさいカーミル君。本当は皆平等に扱わないといけないのだけれど、あなたは少々特殊なので……」

 

 

 サテラ先生が特殊と言っているその理由は、僕の魔法適性が皆無であったからだ。本来この世界の人間は誰しも最低1つは適性属性を持っている。そんな中で僕は世にも珍しい適性属性を持たない存在だった。

 

魔法の授業では、まず最初に魔力の扱い方を習得する。ここは僕も問題なくクリアし、その後いざ魔法を実践しようというところで、僕の適性が無いことが判明したという経緯があった訳だ。

 

 

「気にしないでください。その代わり魔法訓練が終わった後の自由時間を多めに頂いているんですし」

 

「それは当然のことですよ。魔法訓練の時間は、カーミル君一人に色々と任せてしまっているのですから」

 

「ありがとうございます。じゃあ僕もお昼ご飯を食べてきますね」

 

 

 皆が魔法の訓練を受けている間、訓練を受けていない下の子の面倒は基本僕一人で見ていた。なかなか骨の折れる子達ばかりだが、僕には天下無双のサッカーボールがある。これのおかげで僕は下の子人気が意外と高いため、大概はどうにかなるのだ。

 

 

「他の魔法が使えなかったのは少し残念だけど、僕にはサッカーがあるから何も問題はないんだよね」

 

 

そう、そんな僕にも使える魔法はある。御存じの通り転生時に授かった固有魔法の『ボール生成』だ。ボール生成は僕が歩けるようになった時期から特に何か意識することなく使えるようになっていた。

 

初めて使用した時は、固有という唯一無二の魔法を使えることにサテラ先生は自分のことのように喜んでくれていたものだ。それが蓋を開けてみれば、僕の適性はボール生成に全て注がれていることが判明してしまった。そこから途端に同情の念が強くなったものである。

 

 

「カーミル兄ちゃーん、ボール出してよー」

 

「はいよー、ほらっ」

 

 

 昼食後、子ども達にせがまれてボールを生成し手渡す。孤児院から少し離れたところに軽く運動出来る空き地があり、基本的にはここが僕達の遊び場だ。

 

 

「じゃあ今日も2チームに分かれて試合しよっか」

 

「今日こそカーミル兄ちゃんに勝つからなー!」

 

「望むところさ!」

 

 

 子ども達にはサッカーのルールを教えており、こうして皆で試合をすることが多い。この中では一番年長者であるため、やる気のある子なんかは僕をライバル視して楽しんでいる。各々自分なりにサッカーを満喫していて僕も楽しい。

 

 

「リタはミルといっしょ」

 

「お前またカーミル兄ちゃんのチームかよー。いい加減兄ちゃん離れしろよな」

 

「うるさい」

 

「あはは、一緒のチームでいいからズボンにしがみつくのはやめようかリタちゃん?これじゃ僕が一歩も動けないよ……」

 

 

 今僕の足にしがみついている女の子はリタ。この子はサテラ先生に頼まれてよく面倒を見ていたのだが、気付いたら恐ろしいほどに懐かれていた。基本的に何をするにしても行動を共にしようとしてくるので、特訓のために林に行くときなんかは引き離すのが大変だ。

 

 髪は灰色に近い白髪でショートボブにまとめており、前髪が長めなのでたまに目が隠れている。

 

 

 

「リタってカーミル兄ちゃん以外には当たり強いよなー」

 

「大きくなったら自然と自立するようになるだろうし、たぶん大丈夫かな」

 

「いや。離れない」

 

「あらら……」

 

 

 いつかは兄離れしてくれると思っているが、この様子を見ていると少し心配になってくる。前世は一人っ子だったから兄弟姉妹に憧れていたので、慕われるのは素直に嬉しい。ただくっつき過ぎもどうなのかと思い始めているのが最近の悩みだ。

 

 ちなみに僕をライバル視しているこの男の子は、ライナルト。子ども達の中では一番サッカーに熱中してくれている。一人で特訓するのもいいけど、やっぱり共に切磋琢磨しあえる仲間がいるのは楽しい。

 

ライナルトは髪色だけなら、イナズマイレブンのキャラにいる風丸一朗太に似ている気がする。長さは全然違うけど。

 

 

「まぁいいや、そんなことより早くサッカー始めようぜカーミル兄ちゃん!」

 

「うん、分かったよ。それじゃあいくよ皆!」

 

「「「おー!」」」

 

 

 リタのべったり癖については一旦保留にし、皆でサッカーを開始する。リタもこうして無理矢理でも何かをスタートさせると率先して動いてくれるので、やっぱりあまり大事にする必要はないのだろう。

 

 ともあれ今日も、他の子が魔法の訓練をしている間年下組とのサッカーを楽しむのだった。

 

 

 

 

 

――

 

 

 

 

 

 

 魔法訓練が終わる時間になったので、年下組は皆に任せて僕は一人林の特訓場へと向かう。この時毎度のことながらリタが駄々をこねてしまうので引き剝がすのに苦労したのは余談である。

 

 とまあそれは置いておいて、今大事なのは特訓の進捗状況だ。サテラ先生に魔力の扱い方を習ったおかげで、とある技能を使えるようになった。それは魔力操作による肉体強化だ。これは魔法ではないから僕にも使うことが出来た貴重な手札である。

 

 肉体強化とはその名の通り大幅に身体能力を向上させる力のことで、この技能を使うことで特訓の成果がこれまでの何倍も出るようになった。

 

 

「ここ最近は技の練習をしている時、微かにだけど体の一部が光ってる気がするんだ。肉体強化のお陰で必殺技習得まで大きく一歩前進した気がする!」

 

 

 本当に微かに光ってるかな?というレベルの淡いものであるため、確証があるわけではない。でも一歩一歩前進していることは日々研鑽を積んでいる経験からはっきりと分かる。

 

 僕なら絶対大丈夫だ。イナズマイレブンに登場したャラクター達のように、必ず僕もカッコいい必殺技を繰り出して見せる。

 

 

「うおーーーー!絶対に必殺技を実現してみせるぞーーーー!!」

 

 

 空に向かって気合の雄叫びを上げると、やる気を最高峰まで引き上げ特訓を開始するのであった。

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