作中出てくる影島とは高校二年生で早坂同様四宮家に仕える近侍です(架空キャラ)
女子にキモがられるという理性を無視すれば教室の真ん中で下ネタを叫ぶ事に何の躊躇いもないような男です。
それは秀知院の文化祭、奉心祭の後の話。
「早坂知ってる? 初キスがレモンの味ってのは嘘なのよ!」
かぐやの様子は普段とまるで違う。彼女はつい先ほど学園の屋上、後夜祭の時に人知れず想い人の白銀御行と結ばれた。そして念願のキスまで。今の彼女は恋愛脳が全てを支配したいわばアホである。
「そ...そうなんですか?」
その惚気を聞いているのは早坂愛。彼女は恋に憧れておりそして主の恋愛頭脳戦で度重なる活躍をしてきた女である。主とその想い人が結ばれた事を心から祝福し、そしてその生々しい話に内心ドキドキしながら耳を傾けている。彼女もまた、恋に恋する乙女なのである。
「会長はちょっと前までアメリカンドッグを食べていたからケチャップの味がしたわ!」
数刻前まで大して変わらなかった筈なのにもうかぐやは早坂よりもずっと遠くまで行ってしまったのだとこの時早坂は思った。
「でも少し手間取ったわ! 唇を合わせるまでは大変なのですがその後が大変で!」
「ちょっと待って下さいかぐや様! キスとは! 唇を合わせるのがゴール! その先なんてないんです! 一体何をしたんですか?!」
話のあまりの飛躍にかぐやと早坂はドアがノックされた事にも気づかない。
「あらあら! 早坂は何も知らないのね? いい? 恋人同士がするキスってのはね? ──」
「失礼します。お嬢様、本家──」
「唇を合わせながらこう...舌を絡ませてやるのよ!」
──────
影島は四宮家に仕える近侍である。主のかぐやとは異性であるため同僚の早坂ほど距離は近くはないがそれでも良好な関係を築いている。かぐやも早坂もできないような事を彼は担ってきた。そして彼も、かぐやの恋愛頭脳戦を支えた一人である。そして先ほど、四宮本家から遣いが来た事を知らせるためにかぐやの部屋をノックした。
が、返事がない。もう一度ノックをするも...やはり返事がない。
「(ヘッドフォンで音楽でもお聞きになられてるのだろうか...?)」
しかし緊急性は低いが必要性のある事柄。彼はドアノブを引いて主の部屋へと入った。
「失礼します。お嬢様、本家──」
本家の遣いの方がいらっしゃってます、と最後まで言葉を紡ぐ事ができなかった。なぜなら...
「いい? 恋人同士がするキスってのはね? 唇を合わせてこう...舌を絡ませてやるのよ!」
どう考えても異性の自分が聞いてはダメな内容だったからである。
「失礼しました。話が終わりましたら居間にお越しくださ──」
「逃がしませんよ影島」
即座に踵を返して撤退しようとしたが早坂に腕を掴まれ失敗に終わる。
「あ! 影島も聞いて! さっき会長とね!」
早坂はこの羞恥に自分一人では耐えられないと思い、そしてかぐやは異性であろうが信頼している影島にも惚気たいと思い、影島の来訪を歓迎した。そして影島も併せてかぐやの惚気談は再開する。
「だからこう、お互いの舌を絡ませあったらすごく幸せなのよ!」
「〜〜〜〜!!」
そのかぐやの惚気に早坂は最早羞恥で赤くなっていた。一方三人目の参加者の影島は...
「(えっ? それだけ? 早坂が真っ赤になるほどだからもっと...それこそ突っ込んだ内容だと思ったけど)」
この男。かぐやや早坂と違ってピュアではない。二人は知らないがかぐやが言った内容など数年前に経験している。そしてその先も既に。
「影島君。遅い...ってどうしたんですかかぐや様」
「ママ?!」
影島が言った本家の遣い。それは早坂奈央。早坂愛の実母である。
「あら! 奈央さんも来ていたのね! 聞いてくれる?」
かぐやの思考は幼児レベルに退化している。早坂や影島にしたように惚気てマウントを取ろうとする。
「あら、初々しいですね。それなら──も──も既に?」
「えっ?」
「──とか──とかも付き合いだしたらしますよね? かぐや様は──の経験は?」
「えっ?!」
レベル5の勇者が魔王に挑むが如くのレベルの差。散々人を赤面させてきたかぐやだが明らかにレベルの違う猥談に着いていけず赤面する側となる。尚、この小説はR-18ではないため奈央の発言は一部音割れしている。
「お嬢様、やっぱりアホですよね。子持ち既婚者相手にマウント取ろうだなんて。早坂がいる時点で早坂のお母さんはそれ以上の事を既に経験してるのは確定なのに」
「やめて。人の親のそういう事を考えさせないで」
本日の勝敗 かぐや、早坂の敗北
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