結月ゆかりのアウトブレイク   作:宇迦之たま猫

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バイオハザードシリーズの数少ない有能警官レイモンドさん登場のBAR前通り編です。



【発生】BAR前通り

 

ボブさんの死と言う残酷な現実に打ちひしがれていると、下の方から拡声器で周囲に聴こえる様に注意喚起がなされる。

 

 

『住民のみなさん!この区間は暴動のため、あと数分で封鎖されます!残っている人は、急いでこの通りまで出てきてください!時間に間に合わなかった場合は…安全の保証はできません!』

 

 

僅か数分で区間の封鎖…間に合わなかった場合は安全の保証は出来ない…つまる所取り残された者は見殺しにすると言う宣言でもある…

ボブさんの遺体をここに置き去りにしなければ、私達は隣のアパートに飛び移る事は出来ない…

ボブさんの遺体を…野晒しのまま置き去りに……辛い、心が軋んで悲鳴を上げる…時間が無く、被せる物も探せないなんて…

 

涙を拭い、前を向く。

最も辛いはずのマークさんが、シンディさんに尋ねた。

 

 

「シンディ、ここからどうすれば隣のアパートへ飛び移れる」

 

「日記を見た限りだと、何処かに無理やり溶接したフェンスがあるはずよ!それを壊せば…」

 

「道は開ける…か…」

 

 

話を聞いて、直ぐに走って探し始める。

少し先へ進んだ所に物置部屋があったが、その物置部屋の前にあるフェンスがだいぶ歪んでいた。

恐らくこの歪んだフェンスが溶接したと言う物だろう、私は直ぐに大きな声でみんなを呼んで、手に持っていた木の棒でフェンスを力いっぱい叩き始めた。

直ぐに追いついて来たケビンさんがキックを、マークさんが鉄パイプで叩く。

非力な私と違って、2人が壊し始めるとすぐに壊れてフェンスは倒れた。

 

 

「良し、急ぐぞ!」

 

 

壊して倒れたフェンスのあった段差をなんとか登って走り出す。

そうしてすぐに、問題の飛び移る為の場所…ビルとアパートの間に着いた。

 

まずケビンさんが助走をつけてジャンプする、ケビンさんは上手く飛び移る事が出来た。

次にジョージさん、彼も上手く飛び移る事が出来て心底ホッとしていた。

3人目にシンディさん、彼女は上手く飛び移る事が出来ず、体勢を崩して落ちそうになった所をケビンさんとジョージさんが腕を掴んで引き上げた。

その際デッキブラシを落としてしまった。

4人目にマークさん、彼も上手く飛び移る事が出来てホッとしていたが、その際少し曲がった鉄パイプを落としてしまった。

 

そして最後に私、ハッキリ言って怖い。

奴らよりずっと怖い、ミスったら落下、明確な死のイメージ、それらが私の足を震えさせる。

それでも、私は飛ばなければならない…大丈夫、きっとみんなが掴んでくれる。

助走をつけて、勢い良くジャンプ!

 

……が、私は上手く飛び移る事が出来なかった。

ぐらりと体が揺れて、落下しそうになる。

慌てて手を伸ばして屋上の少し突き出している床を掴んでぶら下がる。

まるで底無しの暗闇が大口を開けて今にも喰らわんとするかの様な錯覚…ただただ、怖かった。

 

 

「あっ…あぁ…」

 

「おい、しっかりしろ!手を伸ばせ!」

 

「たっ……たす…け…」

 

「ケビン!右を頼む!」

 

「任せろ!」

 

 

恐怖に竦んで動けない私を、2人はなんとか引っ張り上げてくれた。

頭を過ぎる明確な死のビジョンで、私の心と体はまるで氷漬けになる様に凍てついて行った。

体がガクガクと震えて、頭がパニックを起こす。

そんな私を見かねたケビンさんが大声で叫んだ。

 

「落ち着け!ゆっくり呼吸を整えろ!」

 

「ひっ……ひぃ……」

 

「ほら、吸って……吐いて……」

 

 

ケビンさんの言う通りに深呼吸をしてみる。

パニックになっていた頭が少しずつ落ち着いていくのを感じる。

 

まだパニックを起こしているが、私は少し冷静さを取り戻す事が出来た。

そして思い出す、こんな事をしている場合では無いと…時間が無いのに、私のせいで余計な時間をかけてしまった。

無理やり立ち上がり、ふらつく足を必死に動かす。

 

 

「すみませんでした…なんとか少し冷静になれたので…時間もありませんから、先を急ぎましょう…」

 

「待ってゆかりちゃん、あたしが肩を貸してあげるから…」

 

「あっ…ごめんなさいシンディさん…ありがとうございます…」

 

「良いのよ、困った時はお互い様よ?急ぎましょ!」

 

 

シンディさんに肩を貸して貰い、先を急ぐ。

残り時間はあまりに少ない、僅か数分しか無い時間を無駄に浪費したのだから。

アパート内に入り、エレベーターを呼ぶ。数秒で到着したエレベーターに乗って1階へ降りて、そのまま大急ぎで外へと飛び出す。

 

 

やっとの思いで辿り着いた外は、想像よりも地獄の様な光景だった。

そこらじゅうに彷徨く奴ら、逃げ惑う市民の人々、市民を逃がす為に奴らと応戦するもあえなく喰われる警官の方々。

 

扉からすぐ近くのパトカーをバリケード代わりにして応戦していた生き残りの警官の方が、扉から出てきた私達を一瞬奴らと勘違いして銃を向けてきた。

 

 

「待ってください!私達は奴らじゃありません!」

 

「脅かすな」

 

「レイモンド!無事だったか!」

 

「ケビンか!そっちは生存者か…よく無事だったな、町中がまるで戦場だ…」

 

 

ケビンさんの同僚らしい金髪の渋いイケおじ系男性警官…レイモンドさんが手に持ったショットガンのリロードをしながら呟く。

 

 

「ケビン、よかったら手を貸してくれ、人手が足りてなくてな…パトカーを押してバリケードにしろ」

 

「パトカーだな、奥の1台で良いのか?」

 

「奥の1台と後ろの1台だ、俺は次の区間へ行く為の扉の鍵を開けに行く…頼む、行け!」

 

「おう!…て訳だ、悪いが俺はここでレイモンドの手伝いするからよ…生きて脱出しろよな?」

 

 

そう言ってケビンさんが笑うが、ここまで来てそれは無いと思うのは私だけだろうか?

 

 

「水くさい事を言うなケビン、わしらも手伝うぞ」

 

「そうですよ、一緒に生きて脱出しようと誓ったじゃないですか私達」

 

「今更1人置いて脱出なんてしないわ!」

 

「パトカーを押すのは人手が多い方が良いだろう?」

 

 

みんな同じ思いだった様で、協力を申し出る。

少しとは言え時間がたったおかげで、私も1人で走れる程度には回復した。

男性陣がパトカーを押している間、私とシンディさんで奴らを惹き付けてやりますよ!

 





本来レイモンドさんは登場ムービーの時はハンドガンを持っていて、会話しながらハンドガンのリロードをしているんですが、何故かムービー終わるとその手に持っているのがショットガンに変わっていると言う謎……
正直意味が分からないので初めからショットガンを持っていた事に改変しました。
なんでハンドガンをリロードして構えてたのにショットガンになってんのレイモンドさん?
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