勇敢な警察官が、私達を守る為に死んだ。
ならば、私達はその思いに答えなければ行けない…私は心が折れそうになるのを、必死に歯を食いしばって前を向く。
「ジョージさん…シンディさん…タンクローリー、任せても良いですか?」
「えっ…あぁ、それは…構わないけど…」
「すみません…私がレイモンドさんが胸ポケットから取り出していたライターを取りに行きますので…」
その言葉に4人は思わずギョッとする。
「何を言ってる!この中で1番非力なのはお前なんだぞゆかり!」
「分かってますよマークさん…でも、この中で1番背が低くて早く走れるのも私です…怖いですけど…やらなければ、死んでしまいます。私はレイモンドさんやボブさんの死を無駄にしたくはありませんから…生きて、絶対に生きて脱出するんです…平和な日常を死ぬ程謳歌して…天寿を全うしたら天国で笑顔で2人に告げたいんですよ…2人の分も精一杯生きてやりましたよって…」
「ゆかり……」
「……分かった、援護するから行ってこい」
「ケビン!?何を考えてるの!」
「ゆかりが腹括ったんだ、だったら手伝ってやるのが筋だろ。仲間だしな!」
「……なるべく怪我はしない様にね、もしも怪我したらすぐに私に言うんだよ」
「ジョージ!…あぁもう…絶対に怪我しちゃダメよ?ちゃんと無事に帰って来てね…」
「はい、ごめんなさいシンディさん…すぐに戻ってきますから」
みんなにそう告げて、私は全力で奴らの隙間を駆け抜ける。
なるべくぶつからない様に避けながら、レイモンドさんの亡骸の元へと辿り着く。
勇敢だった警察官の亡骸は、余りにも無残な姿になっていた。
その面影は服装で分かる程度…肉のほとんどは喰いちぎられて、骨と内臓が露出していた。
既に慣れてしまったはずの血肉の匂い…彼の亡骸から放たれる新鮮で強烈なそれは、その姿と相まって強烈な吐き気を催した。
その吐き気をなんとか飲み下し、彼の手元にあるライターとショットガンを拾う。
彼の血に濡れたショットガンを胸に抱いて、ほんの1秒程度だが…祈った。
どうか天国から見守って欲しい、そして私達に力を貸して欲しい…と。
近付いてくる奴らに目掛けて、私は形見のショットガンを腰でドッシリと構えてぶっぱなした。
至近距離で放たれたその散弾を体で受けて、強烈な衝撃により吹っ飛ぶ奴ら。
ケビンさんとマークさんの援護も有り、なんとか奴らの包囲網から抜け出せた。
「なんとかなりましたね…」
「たくっ…危ねぇ事しやがってよ…」
「だが良くやった…!」
マークさんに頭をわしゃわしゃと撫でられる。
なんとなくお父さんを思い出す。
そんな会話をしていると、大きな音を立てながら大量の液体が流れ出て来た。
かなりキツい臭いを放つ液体…ガソリンだった。
ジョージさんとシンディさんが走って戻って来る。その顔には笑顔が浮かんでいた。
「良かった、無事だったんだね」
「怪我はしてない?大丈夫?」
「えぇ、大丈夫ですよ!それにほら、ライターも形見のショットガンも取ってこれました!」
そう言って少しばかりドヤ顔をして見せると、苦笑いされてしまった。
ゆかりさんだってやれば出来る子なんですよ?まったくもう…
「それでは、ライターの火をつけて…投げますね」
蓋を開けて、カチッと音を立てて火打ち石を回す、所謂ジッポライターと呼ばれるそれの火をつけて…ガソリンが撒き散らされた所に軽めの力で投げ入れる
急速に燃え広がって、奴ら事勢いよく燃え上がって行く。
奴らの呻き声と、肉の焼ける匂い…あの中にレイモンドさんの亡骸もあると考えると…辛い物がある。
せめて、火葬する事で供養出来たと信じよう。
そして私達は横にある少し大きい水路に飛び込んだ、タンクローリーに引火して爆発なんてすれば私達はひとたまりもないから。
事実、飛び込んで数秒後にタンクローリーは爆発した。
私達は間一髪だったと言う事だ。
「くっ……夏場とは言え冷てぇ…」
「だが、助かったみたいだな…」
「ねぇ、あの土管に入れないかしら?」
シンディさんが指を指した所にある、恐らく用水路か下水道に繋がる土管。近付いて、一人一人が順番に登って中へと入って行く。
中へと入ると……まぁ、だいぶ酷い臭いだった。
鼻が曲がりそうな悪臭に耐えきれなさそうなのでサッサと外へ出る事に。
先へと進んでいたケビンさんが、梯子を見つけたらしい。
マンホールの蓋で閉められた梯子を。
マンホールの蓋、つまり…ここは下水道と言うことになる訳で…鼻が曲がりそうな悪臭も納得だった。
ケビンさんが先に梯子を登ってマンホールの蓋を外してくれた。順番に登って外へ出ると、事故現場だった。
アップルインと言うホテルの前らしい、トラックとタクシーが事故を起こしている現場に、生存者が3人いた。
うち1人は警察の人だった。
その警察の人が拡声器を使って周囲にいる人に聞こえる様に確認を取っていた。
「こちらはラクーン警察、落ち着いて行動するように、避難用車両が待機している、速やかにこちらに集まってくれ」
避難用車両
その言葉に、私達は急いで合流した。
「これだけか?乗ってくれ」
映画や海外ドラマなんかによく出て来る、特殊部隊などが乗っている様なトラックだった。
その避難用車両に私達5人と、先にこの場所にいた2人が乗り込む。
数分の間トラックの中で揺られていると、運転してくれている先程の警察の方が困った様に呟く。
「幹線道路は危険だ…裏道を行くしかない…」
そう呟いてすぐに、急ブレーキが踏まれた。
「まいったな…ここもか…」
警察の方がこっち側に振り向いて告げる。
「見ての通りだ、あちこちバリケードで塞がってやがる…歩くしかなさそうだ…すまんが降りてくれ。」
非常に申し訳なさそうな顔で謝ってくる警察の方、まぁこの状況だし…バリケードで塞がってるのなら仕方が無いだろう…
渋々トラックを降りる。
警察の方がお詫びと言って、トラックの中にある銃火器、弾薬、薬品等を幾つか譲ると言ってくれた。
物資の枯渇している私達にはありがたい話なので、喜んで頂く事にする。
物資を諸々を頂いて、私達の所持品は現状こうなっている。
私が
・形見のショットガン
・ショットガンの弾×14
・救急スプレー×1
・愛用のハンカチ
マークさんが
・愛用のハンドガン
・ハンドガンの弾×30
・ショットガン
・ショットガンの弾×14
・救急スプレー×1
ケビンさんが
・愛用の45オートハンドガン
・45オートの弾×12
・ハンドガン
・ハンドガンの弾×30
・ジョージさんの調合したカプセル薬(回復剤)×2
ジョージさんが
・愛用のメディカルキット
・ハンドガン
・ハンドガンの弾×15
・調合したハーブ(緑×赤)
・調合したハーブ(緑×緑)
シンディさんが
・愛用のハーブケース
・ハンドガン
・ハンドガンの弾×15
・救急スプレー
・調合したハーブ(緑×赤×青)
となっている。
全員万全と言える程度には物資を整えられたので、これならなんとかなるだろう。
やっと、希望が少し見えた。
絶対に生きて帰るんだ…日本に。
という訳で、シナリオ【発生】
クライマックス突入でございます。
次のシナリオの構成考えないと行けないの辛い…