結月ゆかりのアウトブレイク   作:宇迦之たま猫

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シナリオ発生のラストです。
つまりシナリオクリアとなります。



【発生】大通りへ、そして…

 

ここまで運転してくれた警察の方…ドリアンさんのご好意で物資を補給出来たので、先へと進む事になった。

トラックを止めた場所の横にある路地の階段を登って行くと、歩道橋へと出た。

 

歩道橋の先へ進もうと歩いて行く私達は、そこで地獄の様な光景を目の当たりにする。

 

 

「そんな…」

 

「死んだヤツらの臭い…オサラバしたと思っていたのに…」

 

 

レイモンドさんの時とは比べ物にならない…その何十…いや、百倍程の奴らが溢れかえっていた…

 

歩道橋の真下で、3人の警察官が何かをしていた。

パトカーと比べると非常に頼りない鉄柵のバリケードの前、3人のうち2人が射撃して牽制を、残る1人が何らかの作業をしていた。

流石に遠目では何をしているかは分からないが、何かを組み立てている様に見える。

 

そうこうしていると、射撃をしている2人の片割れ…太った警察官の人が何か焦った様にあたふたと動く。

すると彼の前の鉄柵が倒れ、連続してドミノの様に他の鉄柵も倒れた。つまり、バリケードを超えて奴らが押し寄せると言う事になる。

そして何かの作業をしていた警察官ともう1人の射撃していた大柄な警察官が奴らの波に飲まれてしまった…。

太った警察官の人はまだ生きているみたいだが…このまま放っておくと間違いなく死んでしまうだろう…

 

波に飲まれた彼らを見て、ケビンさんが悲しそうに呟いていたのが聞こえた。

 

 

「エリック…エリオット…クソっ…!」

 

「ケビンさん…彼らはやっぱり…」

 

「同僚だよ…ハリーはまだ生きてるみたいだが…」

 

「ハリーと言うのは…あの太った…?」

 

「あぁ、良い奴なんだが…とにかく臆病な奴でな…ダチなんだ。生きてるならあいつだけでも助けてやりてぇんだが…」

 

 

ケビンさんが申し訳なさそうな顔でこちらを見る…今更だろう、レイモンドさんは助けられなかった。

なら、今度こそ絶対に助けよう。

 

 

「行きましょうよ、ケビンさん」

 

「助けるぞ、今度こそ」

 

「もう人が死ぬ所は見たくないわ…ならやる事は当然決まってるわよね?」

 

「後悔しない様に…行動しよう」

 

「……すまねぇな、恩に着る」

 

 

ケビンさんは軽く頭を下げると、覚悟を決めた様にホルスターから愛用のハンドガンを抜き取ると、歩道橋先の階段へと駆け出した。

 

私達もケビンさんの後を追い掛ける様に駆け出す。

 

 

階段を降りると、怪我をしたのかお腹を抑えて立っているハリーさんが居た。

 

 

「ハリー!」

 

「ケ、ケビンじゃないか!いいところに来てくれたよ!お…俺たち友達だろ?助けてくれよ!なぁ頼むよ!起爆装置を押しに行ってくれ!」

 

「起爆装置…?」

 

「あぁ、そこの死んじまったエリックの側だ!爆薬が仕掛けてあるだろ?頼むよ!」

 

「……いえ、無理ですね。逃げた方が良いです。」

 

「なっ!?あんた、何言ってんだよ!起爆装置を押せば奴らをまとめて吹っ飛ばせるんだぞ!」

 

 

起爆装置…正直な所、奴らをまとめて吹き飛ばせるのならとても惹かれるのは事実だ。

でも大きな問題がある。

 

 

「そもそもの話、どうやって起爆装置の所まで行くんです?確かに私達、物資は多少ありますけど…だからと言ってあの数を相手に、エリックさんの遺体まで向かうのは無謀過ぎます」

 

「で、でもさ…」

 

「確かにな…間違いなく弾薬が足りねぇしな…」

 

「ハリー…と言ったな、お前さんもわしらと一緒に逃げんか?」

 

「起爆するしないに関わらず、一旦離れた方がいいわよ」

 

「そうだな…君、怪我をしているのだろう?私は医者だから後で見せてくれ、手当しよう。私が肩を貸すよ」

 

「あ、ありがとう…そうだよな…無謀…だもんな…」

 

 

ジョージさんが肩を貸して歩き出す。

ハリーさんは涙を流しながら、「エリック…エリオット…臆病でごめんな…役に立てなくてごめんな…2人の頑張りを無駄にしちゃってごめんなぁ…!」と泣いていた。

それを聞いた私達は、なんとも言えない気持ちになる。

起爆装置の起動は無理だと切って捨て、一緒に逃げようと誘ったのだから。

彼らが命を投げ打ってまで組み立てた起爆装置を無駄にしたのは私だから…

 

 

 

 

歩道橋の上でジョージさんがハリーさんの傷の手当を行い、そのままドリアンさんの元へと帰還する。

負傷したハリーさんを見て生きていて良かったと呟くも、エリックさんとエリオットさんの殉職を聞き、悲しげな顔で俯いた。

そして再び私達はドリアンさんの運転するトラックに乗り込み、この場を後にした。

 

 

 

 

 

 

本来ならば胸踊るはずの留学生活

それはたったの一日で、街全体が血肉で溢れ、死臭のする地獄へと様変わりした。

建物は焼け落ち、人が人を喰らい、喰われた人が蘇り、また人を喰らうと言う地獄の様な惨状…

平穏な日々が、退屈な日常が、なんでもないありふれた毎日が…これほど恋しくなるなんて思っても見なかった…

生きて帰る事が出来るのか…それとも奴らに喰われて奴らの仲間入りしてしまうのか…それはこれからの私の行動次第なのだろう…

生きて帰る、今はそれだけを考えよう。

 

家族に会いたい…友達に会いたい…

日本に…帰りたい…。

 





これにてシナリオ【発生】クリアとなります。
正直ゲームだからこそ起爆装置の起動が出来る程度の数しかゾンビがエリアにスポーンしないのであって、現実だったら絶対起動に向かう暇も無いし武器も弾薬も圧倒的に足りないから死ぬのよね…
ぶっちゃけ逃げルートが真の正規エンドなのでは?と思う今日この頃

次は零下かぁ……
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