ポケットモンスター・ライフ   作:ヤトラ

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前回のあらすじ:ソノオタウンの花畑が綺麗だぜヒャッハー!

さぁ、ハヤシがゲットするポケモンはなんなのか!?

12/01:誤字修正


その27「きのみ屋さん、あまいミツでポケモンを誘う」

 手からじとじとした土を感じる……。

 

「いい湿り具合ですねぇ。これなら郵送しても、向こうに着く頃には程よい湿り気を保っているでしょう」

 

「そうでしょ?うちのフワラーショップで良く使われている肥やしよ」

 

 赤バンタナにピンクのエプロンを着た女性店員が自慢げに言う。いやはや参りました。

 

 流石はシンオウ地方で一番の花畑があるソノオタウン。フワラーショップといえど良い肥料を使っているようだ。

 「いろとりどり」の店名に相応しい様々な肥料を一つ一つ直に触らせてくれるなんて、この店も気前がいいなぁ。

 ちなみにポケモン達を待たせるのも忍びないので、外の花畑で店員さんのハニー(ミツハニー♀)と遊んでいます。

 

 指を動かしてみるが、手の平に溜まった肥料は中々落ちようとしない。ちょっと粘土状の土が混ざっているのかな?柔らかいし、保湿性に優れていそう。

 他にも粘り気のある肥料や栄養価の高い肥料もあるけど、郵送してもらうならこの「じめじめこやし」かなぁ。値段も手ごろだし。

 

「……よし、買います!」

 

「ありがとうございます~」

 

 女性店員の笑顔が「勝った」と言っているかのよう。けどいいの!良い肥料なんだし!

 

「そうそう、その肥料を使うならね……」

 

「ふむふむ……」

 

 保湿性の優れた肥料と相性の良い木の実についてお話中。お花屋さんって木の実畑にも詳しいから話が合うんだよね~。

 ……純粋に花を育ててみないかって?木の実とローちゃんで充分なので、別にいいです。

 

 

 

―――

 

 店員さんとガーデニングについて話して、そこそこの量の肥やしを郵送してもらって、僕の心はホックホク。いやぁ、便利だなぁフキヨセカーゴサービスって。

 お値段控えめだから僕の小遣いでも余裕で買えたし、懐にも余裕があるっていうのがさらに心を暖かくさせてくれる。悲しいけど、お金は大事だよ。

 ポケモン達と一緒にソノオタウンを歩きながら(クケちゃんとは大分慣れた。捕まえてから前より大人しくなった気がする)、僕は目的地へと辿り着く。

 

―ソノオタウンでやりたかったこと、その2だ。

 

「さーてと、そろそろかな?」

 

 フラワーショップに寄る前に「あまいミツ」を塗っておいた「あまいかおりのする木」。

 その香りと「あまいミツ」はポケモンを引き寄せ、木の大きさ上1匹しか寄り付けないので、独占していて夢中になっていた所をゲットできるというソノオタウンだけのゲット方法。

 シンオウガイドブックを読んで一度やってみたいと思っていたのだ。こんな経験、ホウエン地方じゃ出来ないからねぇ。

 

 さて、どんなポケモンが居るのかなー……あ。

 

「フィ、フィ♪」

 

「(×<×)(やめれー)」

 

 一足先にイーくんが「あまいかおりのする木」に行っていたらしく、その木にぶら下がっているミノムッチにじゃれ付つこうと跳びかかっていた。

 なんかネコじゃらしに釣られているエネコみたいで微笑ましい。ミノムッチとしては迷惑らしく、身を揺らして避けようとしているだけなんだが。

 

 にしてもミノムッチかぁ。確か回りの葉や砂などを蓑にする面白いポケモンだったよね。うちの裏庭で育てたらどうなるんだろうなぁ。

 

「(▼<▼#)(いい加減にしろっちゅーの!)」

 

「フィーっ!?」

 

 お、ミノムッチがイーくんの背中に噛み付いた。いやー「むしくい」だから、噛み付いた、とは違うか?

 とにかく背中に張り付いて攻撃してくるミノムッチにイーくんが慌て出した。ちょっかいをかけるからそうなるんだ。ザマァ。

 

「フィ、フィイフィイ!」

 

 これ取ってー、と言っているかのように背中を見せつけながら跳んだり跳ねたりするイーくん。

 けど怒りっぽいミノムッチはその程度では離すつもりは無く、むしろバトルする気満々っぽい。

 

 ……そういえばイーくんってまだバトルしていなかったな。

 

「……頑張れ!」

 

「Σ(@■@;)(そ、そんなぁ!)」

 

 虫タイプ相手に厳しいと思うけど、相手は小さいし、初バトルには丁度いいでしょ!

 ローちゃんはチアガールのように両手を振って応援しているし、ここは傍観ってことで。クケちゃん、あまいミツやるから大人しく見守ってやってね。

 ちなみに僕の育て方としては、草ポケモンなら草ポケモンの先輩から技などを一通り教わり、初バトルは野生のポケモンと自分だけで戦わせる。

 まずはじゃれあいとバトルの違いを感じてもらうのだ。野良ポケなら違いが解るけど、タマゴから孵って人の手で育ったポケモンは解りにくいものだから。

 この育て方は相手次第にもよるが……今回の相手が怒りっぽいミノムッチで良かったー。

 

 とりあえず背中に張り付いたミノムッチを振り払いたいのか、イーくんは「でんこうせっか」で加速。

 花畑の外で戦っているから、ジグザグに走っても問題なし。お客さんもバトルと感づいたか離れ出したし。

 

 流石のミノムッチもイーくんの最高速度に耐え切れず地面に落下。即座に起き上がって跳ねながらイーくんを追いかける。

 イーくんはミノムッチの怒りを目の当たりにしたからか、四肢を踏ん張って威嚇。バトルする気になったみたい。

 

 しかしミノムッチの怒りは威嚇程度では止まらず「めざめるパワー」で攻撃……当ったけどイーくんには効果は今ひとつのようだ。

 「めざめるパワー」のランダムに助けられたイーくんはローちゃん直伝の「マジカルリーフ」で反撃。枚数は少ないが立派にホーミングしていくよ。

 しかし残念、ミノムッチは虫タイプなので効果はいまひとつ。ダメージはあるけど余計に怒らせちゃったみたいだ。

 

 プンスコと怒るミノムッチだけど……結構迫力あるな。イーくんもタジタジだよ。

 噛み付いてやる~!と言わんばかりに跳びかかってくるミノムッチを前に、イーくんは尻尾を口に当てて……。

 

 

―♪~♪~♪

 

 

 「くさぶえ」……ああ……眠くなってきた……。

 

 

―ぐごごががが!

 

 

「うるっせ~!」

 

 このミノムッチ「いびき」を覚えていたんかい!

 

 

 

―――

 

……で、ミノムッチVSリーフィアの戦闘はというと。

 

「(^<^ )(勝ったど~!)」

 

「(×皿×;)(参りました)」

 

―カンカンカーン、と脳裏にゴングの音が響いた気がした。

 

 相性の悪さと浅い戦闘経験故か、イーくんはミノムッチの「むしくい」の前に破れた。悪くなかったんだけどなぁ。

 うつぶせて倒れるイーくんの背中でピョンピョン跳ねるミノムッチは上機嫌。参ったか、と言わんばかりに時々強く跳ねる辺り、相当根に持つ子と見た。

 

 ちなみにイーくんに木の実を渡していれば「しぜんのめぐみ」を発動して勝てたんだろうけど、敢えてしません。

 さっきも言ったけど、初バトルは自分の手だけで経験してもらうのが僕の育て方なんです。この次からは僕直々に指導するゆもりだが。

 それに腕白なイーくんもこれを機にちょっかいをかけることを減らしてくれる事だろう。むしろそうしてください。

 

 

 ……さて、それはおいておくとして。

 

 

「(Θ<Θ#)(ああん?やんのかコラ)」

 

「ローちゃんレッツゴー」

 

「(>▽< )(ガッテンですわ!)」

 

 生まれたてのイーくんと経験豊富なローちゃんの格の差を見せてやるよ、ミノムッチ……ちゃん?くん?まぁいいか。

 悲しいけど、目的は飽くまでゲットですから。アーメン。

 

 

 

―――

 

 「しびれごな」で麻痺させて草タイプの技でチマチマ弱らせてからゲット。流石はローちゃん、手馴れているぜ。

 ワイルドなミノムッチは♀だったのでミノちゃんと名づけ、ポケモンセンターでイーくんと一緒に回復。怒られたけどね。

 こうして僕は、シンオウ地方に入って初めてポケモンをゲットしたのだった。クケちゃん?ホウエン産なのでカウントに入れません。

 

 そんなわけで手持ちとなったミノちゃんの歓迎会ということでおやつタイムにしたんだが……。

 

「(@v@;)(ど、どうぞ)」

 

「(―<― )(あらアリガト)」

 

 3分の1ほど残したポロックをミノちゃんにおすそ分けするイーくんの図。

 モソモソと食べるミノちゃんの隣でビシっと座るイーくんはまるで……そうだ、舎弟みたいだ。

 いやぁ、あのバトルだけで一気に上下関係が生まれるとか、このミノムッチやりよる。

 

「(0▲0#)(あまりイーくんを虐めちゃダメよ?)」

 

「(><<;)(わ、わかってますって姐さん!)」

 

 ローちゃんがミノちゃんより上で。

 

「(0<0 )(ボス、ご一緒してもいいでしょうか!)」

 

「(▽A▽ )(好きにすればー?)」

 

 クケちゃんが最上級か。この中では当然かな、実際強いし。

 

 それにしてもこのミノちゃん、怒りっぽいけど上下関係には五月蝿いようだ。また個性的なやっちゃなー。面白くなりそうだけど。

 

「(▽<▽#)(ちょっと、ボスのご飯が足りないわよ!早くお寄越しなさい!)」

 

 な、なんかミノちゃんが僕に突っかかってきた!一応トレーナーなのに!

 

 

 

「(@▲@;●)(コワイコワイあのミノムッチコワイ)」

 

「(@皿@;)(だよねー)」

 

 

 

 さて、コウキ君の店で買ったオヤツを食べ終えたら、次はハクタイの森に出発だ!

 

 

―続く―




そんなわけで、ゲットしたのはミノムッチでした。勇敢な性格でちょっと怒りっぽい。
ちなみにミノムッチは覚え技で「いびき」を覚えるそうなので採用しました(サイト調べ)
ネタのためなら過去の覚え技ですら平然と出す辺り、作者の気まぐれ度が物語りますね(汗)

コウキ君の店については後日語ります(←先延ばし体質)
というか今回のシンオウ編でシンオウ主人公とライバルのポケライフを覗くつもりですので。
設定は浮かんでいても本編優先で省くかもしれませんが(ぇ)

次回はハクタイの森へ行きます。

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