ポケットモンスター・ライフ   作:ヤトラ

42 / 71
ORASのメタモンって見つかりにくい……けどサーチで良い個体が手に入りやすい……。
どっちが効率的なんだろうか?(←キチンと育てた事が無いなんちゃって経験者)
とりあえずシンクロラルトスの全性格をコンプせねば(←計画性の無い鈍足トレーナー)
後、ポケバンクをダウンロードしようかな……(←精々ポケモンBW2しかない惰弱者)

そんな私ですが、ポケモントレーナーの日々を楽しく過ごしています(笑)

今回ポケモン要素低めです。


その29「きのみ屋さん、ハクタイジムに着く」

 ハクタイの森で色んな人とすれ違いながら歩いていくと、徐々に差し込む光の量が増えてきた。

 これだけの量の光が差し込んできたという事は、この先は木々が大きく空いている、つまり出口が近づいてきたと言う事。

 森の中の散歩を楽しんだ草ポケモン達をボールに戻し、嫌がるクケちゃんを強引にボールにしまう。喧嘩を吹っ掛ける悪い子はしまっちゃおうねー。

 

 ハクタイの森を抜け、久しぶりな気がする太陽の日差しを浴び、歩くこと少し。ハクタイシティに無事到着。

 ソノオタウンから出て長かったようで、意外と短かったな。

 

 

―――

 

 歴史に深い街・ハクタイシティ。午後のおやつ時という事もあり、街の人に限らず、僕みたいな観光客も大勢いた。見分けるポイントはガイドブックと厚着。

 ハクタイシティに飾られているドラゴンポケモンの像を拝み、コウキ君が働くソノオタウンの店で買った蜂蜜マドレーヌを食べ歩く。

 マドレーヌを食べ終えた頃、ナタネさんが務めるハクタイジムが見えてきた。

 

 見えてきたんだが……屋根からはみ出ているあの岩はなんすか?

 

 ジムに近づくにつれ、その人並みあるデカい岩が『ストーンエッジ』だと解り、よく見ると窓ガラスやら壁やらが随分と破壊されていた。

 それなりに大きなジムの周りには修理屋らしき作業員達が、アリアドスやデンチュラと一緒に修復作業をしていた。なるほど、命綱は蜘蛛ポケモンの糸で代用しているのか。

 唖然としながら荒れ果てたジムを見上げていたが、ジムの入口で掃き掃除をしている人が誰かようやく解った。

 

 

―ジムで一番偉いはずの人……ジムリーダーのナタネさんだった。何故に?

 

 

「あ、ハヤシさんヤッホー!お久しぶりです!」

 

 掃除に夢中だったのか今になって僕に気づいたらしく、ナタネちゃんは竹箒を持ったまま茶目っ気に敬礼。

 前に来た時と変わらないフレンドリーさで嬉しくなるが、一応お辞儀をして挨拶。

 

「お久しぶりです~。いや今日はお招きありがとうございました」

 

「敬語でなくていいですよ。ハヤシさんは年上で、草ポケモンの良さが解る友達だし!」

 

 にぱっと元気よく笑い、気にしないでと片手を振ってアピール。可愛い。

 友達か……憧れのジムリーダーの一人だから恐縮だけど、嬉しくなるなー。ええ子や。

 

「じゃあ遠慮なく……どうしてナタネちゃんが掃き掃除してんの?」

 

 一応キミ、ジムリーダーだよね?

 

 するとナタネちゃんはため息を吐いて俯いてしまった。え、禁句だった?

 やがてナタネちゃんは顔を上げ、観念したかのような顔で話し出した。

 

「実はね……」

 

 

 

―――

 

 ジムはポケモントレーナーの為の施設でもあり、ポケモンバトルをする為の施設でもある。

 その為に施設の耐久性はもちろん、防水、防火、防電と様々な防災に備えるのが基本とされている。その為、災害時には緊急の避難先にもなる。

 しかし相手はポケモン。いかに計算づくで強度を増したとしても、人間が想定できないような威力を見せる事も当然ある。

 トレーナーの育て方次第では滅茶苦茶な威力を発揮する事もあり、ジムが半壊、という自体は割りと多い。時折キンセツジムでも凄い音が響いた事もあるし。

 そういう場合を考慮して、ジムの修理代は経費として落ちるんだが……。

 

「修理が追い付かなくて予算が間に合わない、と」

 

「恥ずかしながら。しかもフルメンバーで挑んでおきながら負けましたし……」

 

 ナタネちゃん悲しそう。勝負自体は後悔していないが、ジムがここまで壊れたのだから仕方ないか。

 

 この間のジム戦は特に被害が大きく、ジムの外側にまで貫通する程の激戦だったとか。あの『ストーンエッジ』も、その激戦の一端なんだろう。恐ろしや。

 しかし経費は無限ではない。本年度中に2回ほど激しいバトルでジムを破損した事がある為、予算はギリギリらしい。

 

 そういう場合、ジムリーダーはどうするかと言うと。

 

「ジムの修理はちゃんとした建築業にお願いして、内装……つまり植物関係は知り合いの庭師に頼んでます」

 

「で、その一員に僕が選ばれたと」

 

「あたり~」

 

 受付の女の子に軽く挨拶した後、僕達はジムの通路を歩きながら話す。

 

 ジムリーダーは私用から仕事まで、様々な理由で外出する事は結構ある。だから基本的には予約制。

 そしてどんな人でも言えることだが、外出するなり仕事するなりすれば、自然と人やポケモンと関わり、交友関係や仕事仲間が次々とできる。

 そう言った人物、特に専門職を持つ友人に「頼み事」を依頼し、少しでも費用を減らすのだ。僕ことハヤシで例えれば、ツツジさんが授業で使う木の実を提供したりとか。

 

 で、ガーデニングマニアの僕を、ジムの庭を整理する役に選ばれ……うわぉ。

 

「激しいバトルをした結果がこれだよ」

 

「これは酷い」

 

 開閉式らしい天井が開いていて日差しが差し込む広い空間。本来はジム一面に広がる綺麗な芝生や草木があったんだろう。

 それらは、岩と砂と泥と若葉と水溜まりでぐちゃぐちゃだった。なんじゃこりゃ。

 芝生を塗り替えるように砂が広がり、『いわなだれ』や『ストーンエッジ』などで積み上げたらしき小さな岩山が聳え、砂に混じり泥となった水が草木を濡らし、そこを苗床に『グラスフィールド』で生やしたらしい若葉が芽生えている。

 まるでポケモンを用いて無理矢理フィールドを変えてしまったかのよう。最近増えたという技「●●●フィールド」よりも荒っぽい。

 

 そんな荒れ果てたジムを直そうと色々な人とポケモンが総動員で働いている。

 ゴーリキーやドサイドンが岩をどかし、ガバイトやサンドパンといった地面ポケモンが砂を掃き、それら土砂をつめた袋をフワライドが外へ運んでいく。

 向こうではバックパッカーらしきトレーナーが、右肩が赤いゴルークとアイアントと一緒に岩をどかしている。知り合いかな?

 

 

―しかしまぁ……これはこれで……。

 

 

「いやー、知り合いの庭師さんやトレーナーにお願いしたんだけど未だにこんな状態で……ハ、ハヤシさん?」

 

「責任者どこ?」

 

「あ、あちらで図面とにらめっこしている人です。私がジムリーダー成り立ての頃からお世話になっているイナゴロウさん」

 

 何をビビッているのかねナタネちゃんは?アッハッハ……あの人か。

 さて、リュックからガーデニング専用エプロン(緑)、軍手、その他諸々を出して……良しっ。

 ガーデニング完全装備を施した僕は、ナタネちゃんが言っていた、図面を広げにらめっこしているお年寄りへ向かって歩く。

 

「こんにちは」

 

「……おう」

 

 こちらへ振り向いたお年寄り……いや、あの顔はお年寄りっていう顔じゃない。薄い灰色の髪をしているし皺もあるが、立派な職人面だ。

 おおう、見ただけでもガーデニングの最強装備じゃないですか。傍らには専用のチェーンソーが幾つも並んであるし。欲しいなぁ。

 

 見ただけで解った。この人は同士……否、同()だと。

 

「ハヤシといいます。ホウエンからナタネさんに頼まれて来ました」

 

「イナゴロウだ。臨時の責任者をやっている」

 

 軍手越しに交わす握手。分厚い軍手の先からは、暖かい人肌の熱とゴツゴツした触感を感じ取った。

 口をへの字にして声が重いが、不思議とプレッシャーは感じない。真面目さは伝わってくるが。

 

「今は力自慢のポケモン達を使って物をどかす作業の途中だ。ワシらの出番はその後になる」

 

「わかりました」

 

「……で、だ。今よ、ジムに花時計を取り込もうとしてんだけどな」

 

「花時計!いいですねぇ」

 

 花時計とはそれぞれの時間帯に応じて咲く花を並べることで、さながら時計のように花が時間帯を教えてくれるというものだ。

 イナゴロウさんに並び、図面を見てみる。おー、ハクタイジムって本当に時計みたいな仕掛けがあったんだ。

 土木作業の様子を見ると、植え終わるのは明日か明後日かな……ポケセンの宿泊施設に予約入れておかなきゃ。

 

 

 

「頼りになるなぁ」

 

 ナタネはそんな庭師2人の後姿を見てホっと溜息を零し。

 

(なんでこんな事しているのかなー。まぁ頼まれたんだから仕方ないんだけど)

 

 最近ナタネと知り合ったというバックパッカー・キリコ(25歳♂)は心の中で嘆きつつ仕事を続ける。

 その心境を理解しているのだろうか、右肩が赤いゴルークとアイアントは岩をどかす作業のスピードを速めるのだった。

 

 

 

―続―




バックパッカーのキリコ
寡黙で冷静。25歳の♂。心の中で独白するのが癖。騒動に巻き込まれやすいタイプ。
ハクタイシティに訪れた際、知り合いのナタネに頼まれて作業入り。どうしてこうなった。

活動報告で応募したトレーナーを採用してみました。チラっと程度でごめんなさい(汗)
このように、「皆が考えるハンター&トレーナー生活 」の読者様のキャラが本編に登場する可能性があります。

次回は作業終了後のお話です。
とりあえず作中でハヤシが働いている描写はカットします。描写面倒&更新速度優先で(ぇ)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。