ポケットモンスター・ライフ   作:ヤトラ

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なんとか年が明ける前に投稿できました!相変わらず粗いです(汗
今回は活動報告に書かれた読者様のトレーナーがチョビっと登場します。


その31「きのみ屋さん、ヨスガの衣服店に行く」

 初めて知ったけど、トロピウスの背中って意外と暖かいんだね。葉っぱの皮もフサフサしていて気持ちいいし。

 旅していた時は幼馴染みの二人に振り回されてゲットできなかったけど、いつか必ずゲットしたる。

 別の機会で休みを作って、ホウエン地方の草ポケモンを探してみようかな?

 

―まぁそれはいいとして。

 

「寒い!」

 

「……今さらそれを言います?」

 

 僕の前に座る、しっかりと防寒着を着込んだナタネちゃんが言う。

 考え事をして寒さから逸らそうとしたんだけど、コートを着ていても寒い!

 

 いやぁ、迂回するとはいえ、テンガン山の空を甘く見ていました。流石は北の国の山。

 

 ジム改修を終えてお昼ご飯を食べた後、仕事友達(特にイナゴロウさんとは番号を交換しあった)と別れた。

 午後にミサトの頼まれた物を取りにいって、夜はヨスガシティのポケセンかホテルに泊まる予定だ。明日はノモセシティに。

 そのままヨスガシティに行くバスに乗ろうとしたらナタネちゃんが来て、トロピウストヨスガシティに送ってくれると言い出したのだ。

 なんでもジム復活は二日後に予定していたが、予想以上に早く改修が終わったので、その間は暇なんだとか。

 

「ミっちゃんとの約束もありますからね!ハヤシさんの代わりに目配りヨロシクって!」

 

 ……とはナタネちゃんの談。ちなみにミっちゃんとは依頼主のミサトのアダ名。いつの間に仲良しになったし。

 ついでに、僕がこれから行く衣服屋で働いているという、ナタネちゃんの友達に会いに行くんだとか。うわぉ、妙な偶然。

 そんな訳で、トロピウスに乗って空の旅路を言っている訳です。

 

―それにしても。

 

「寒いー」

 

 一肌が恋しくなるから後ろから抱きついちゃえ。

 

「抱きつかないでください。これでも私、レディなんですよ?」

 

 冷静だなーナタネちゃん。けど心なしか、温かさが増したような気がする。

 いい歳した男だけど、人肌が恋しい時ってあるのだ。高い所だし、背中越しでも抱いていると安心感ってもんが。

 

-ぼんっ

 

「(▼■▼#)(離れなさいよー!)」

 

 ひー!クケちゃんが勝手にボールから出てきt、北風に流されていったー!?

 

 

 

 余談ではあるが、もし僕らがテンガン山を迂回せず飛び越えようとした場合。

 黒くて大きな電気ポケモンに乗った緑の髪の青年を、ウォーグルとバルジーナに乗ったバックパッカーの少年少女が追いかける様子を見ることになっただろう。

 まぁ、それは飽くまでもしもの話なんだけどね。

 

 

―――

 

 ヨスガシティ。ポケモンコンテスト会場があるお洒落な街。

 ジムリーダー・メリッサがコンテストの常連であるほどに、ポケモンコンテストの影響力は高いのだという。

 街行く人達も、暖かい格好こそしているが、誰もがお洒落と思える服装をしているし。

 ……まぁ、ポケモンコンテスト会場のあるミオシティも負けてはいないけどさ。地元が一番!

 

―で、どんだけヨスガシティの人達がお洒落好きかというと。

 

「あらぁ、あなたのドクケイル中々プリチーじゃな~い!」

 

「いやいやこの子ならかしこさコンテストでしょ!優勝は無理でも上位は狙えるわ!」

 

「このリボンつけてみて!」

 

「いや敢えてシルクハットをだな」

 

「(@▲@;)(な、なによなんなのよ!?)」

 

「ほらほら、トレーナーさんもダンディに着込みましょ!」

 

「うちで作ったタキシードをどうぞ!」

 

「いやうちの店でじっくり試着をだな」

 

「執事服とか狙ってみてもいいと思うんだ」

 

 なんとか救出できたドクケイルことクケちゃんをそのまま連れ歩いただけで、この有り様。

 クケちゃんはポケモンコンテスト出場者らしい人達からコーディネイトされ、僕は衣服屋の人達に引っ張りだこ。

 さらに強制的に着替えさせられてしまいそうな事態……どうしてこうなった。

 

「あーあ、だから言ったのに……」

 

 遠くでは「初めてヨスガシティに来たんならモンスタボールにポケモンしまっておいてね」と事前に忠告してナタネちゃんが見ていた。

 ああ、その「軽んじていた方が悪いんだよ?」と言っているような冷たい目つきは止めて!だってクケちゃんが嫌がったんだし~!

 

「ナ、ナタネちゃん助けて~!」

 

「ワタシ、ナタネチガイマスヨー。タダノ草ポケ好キナトレーナーネー」

 

 ナタネは バンタナで髪を隠して 逃げだした!▼

 

「この人でなしぃ~!」

 

 それだけのことをナタネちゃんもされたってことなんだろうけどさ~!

 ああ、既にクケちゃんがリボンで可愛らしく……意外と似合うもんだな。

 

「さぁ!次はあなたをコーディネイトよ!」

 

「よし!着替えは俺達に任せろ!」

 

「新作のタキシードを試したかったんだ!」

 

「た、助けてぇぇぇっ!」

 

 天は我らを見放したのかー!……「悪くないかも」と言わんばかりに鏡の自分を見つめていなでよ、クケちゃん。

 

 

「フレイ、ここがヨスガシティだ。お前に相応しい衣装を見繕って……」

 

 フライゴン(♀)を連れたトレーナーが現れた!▼

 

「あ、フライゴンだわ!」

 

「皆!あっちのトレーナー(お客)の方が見栄えが良さそうだ!」

 

 僕にタキシードを着替えさえようとした男女がトレーナーさんを指差し、一気に人混みは向こうへ流れていく。

 

「やぁお兄さん!良いフライゴンね!」

 

「あら女の子なのね!しかもトレーナーさんと凄く仲良しなのねぇ~!」

 

「大胆にフライゴンにエプロンをつけてみない!?それも新妻の如く白いエプロン!」

 

「いいな!夫婦並の仲良し度だから似合いそうだ!」

 

「……結婚衣装なんてどうだろう?」

 

『それだ!』

 

 もはやトレーナーとフライゴン(♀)の意見なんざ聞く気もないのか、皆揃ってワイワイガヤガヤ。

 しかしトレーナーとフライゴンは新婚夫婦風コーディネイトを見て幸せそうなので、よしとしよう。

 

―何が言いたいかというと。

 

 天は我らを見放さなかったー!……はいはい、リボンが可愛いからくっ付かないでねクケちゃん。

 

 

 

―――

 

「いやぁ、災難でしたねぇハヤシさん」

 

「面白い物を見たような顔で言っても説得力が無いよ」

 

 クケちゃんをボールに戻した僕らは、ミサトに頼まれていたお店に向かう。

 ちなみにクケちゃんはコーディネイトが気にいったらしく、施してくれた人はリボンだけだからとタダでくれるという。やった。

 多少のトラブルはあったものの、ナタネちゃんの案内もあって早く店に辿り着くことができた。

 

―衣服店『Dress Of Handmade』。おしゃれ好きなミサトが地方の壁を超えてでも欲しい物があるという衣服屋。

 

 他にもコンテスト衣装のお店や大きな衣服店があるが、この店はどちらかというと小さい方で、店そのものにオーダーメイドめいた造りを感じさせる。

 レンガ造りで看板や屋根などは木材を用いた他、屋根を貫くようにして煙突が立っているからか、ノスタルジックな雰囲気がある。

 

 この店は横に広がっているらしく、入り口から見て右側はレンガ造りの壁があり、二種類の光景が見える窓が交互に並んでいる。

 まずはウィンドウショップの如く衣服が並んでいる窓。人用とポケモン用、果てはポケモンドールまであり、これが全部手作りっていうんだから驚きだ。

 もう1つの窓が面白く、なんと店内で作業する様子が見えるのだ。ミシンで縫う人、手編みのセーターを作る人、完成間近の衣服と睨めっこする人、一生懸命ドールを縫う女の子までいる。

 

「あそこでエネコドールを塗っている子……ラナちゃんって言うお友達なんだけどね。彼女もホウエン出身で、ぬいぐるみ職人目指して修行しているの」

 

「へぇ!そりゃ凄い!」

 

 あのぐらいの年頃はポケモントレーナーとして旅している頃だろうに、生まれ故郷と別の地方で修行しにくるとは。

 塗っている様子も一生懸命だし、足元のエネコもそれを解っているのか控えめにじゃれついている。

 それほどまでに大きな夢があるのか、或いは裁縫が好きなのか。とにかく頑張れ!

 

 さて、のんびり見ているのは良いが頼まれごともあるので、さっさと店内へ。

 ニャルマーをモチーフにした焼印が刻まれた木のドアを開け、扉につけられたベルがチリンチリンと鳴る。

 

「いらっしゃいませ」

 

 20代後半ぐらいの青年がニコリと微笑んで僕らを迎えてくれた。名札もあるし店員さんで間違いないだろう。

 隣では彼の手持ちらしいサーナイトが衣服を並べており、ペコリと頭を下げてきた。あ、どうも。

 

 店は広いが、恐らく三分の一が作業所だったのだろう、衣服が並べられた売り場は思いのほか狭かった。

 ここで造られたであろう衣服が幾つも飾られており、一つ一つがマネキンに飾られている事もあって高級感が半端無い。

 店内も綺麗だし、お店の人もエプロンを着込んだ職人風。柄にも無くドキドキしちゃう。

 

「……おや、ナタネさんじゃないですか」

 

「ミイさんこんちわーっ。また遊びに来ましたよっ」

 

「毎度ありがとうございます。少々お待ちください」

 

 おや、ナタネちゃんとは知り合いみたい。この人はミイさんって言うのかな?

 するとミイさんは店内の右奥へ……あ、ここからでも作業所の様子が見える。うわ、色んな人が裁縫やらしていて、まるで工房みたい。

 

「あの人がナタネちゃんの言っていた、会いに行く予定の友達?」

 

「違いますよ、いや友達には違いないけど、一番の友達がこの奥にいるんです」

 

 ニコリと微笑むナタネちゃん。一体どんな子なんだろうか。

 すると奥の工房みたいな作業所から姿を現したのはミイさんと……作業着を着た紺色の髪の女の子だった。

 

「久しぶりヒカリちゃん!顔を見に来たよ!」

 

 茶目っ気に敬礼して挨拶するナタネちゃんに対し、彼女―ヒカリちゃんもペコリとご挨拶。

 僕の存在にも気付いたらしく、ヒカリちゃんはニコリと微笑んで……!?

 

 

 

―な、なんだこの、癒し系と愛したい系と健気系のハイブリットオーラは!?

 

 

 

―続く―




お針子見習いのラナ
ホウエン出身の女の子。16歳の♀。可愛い系のポケモンを好んでいる。
自分が作ったドールが店や市場に並ばれるのを夢見ており、シンオウ地方で修行中。

ポケモントレーナーのミイ
元コンテストトレーナー。28歳の♂。より美しく、よりカッコよくがモットー。
服飾関係の仕事についており、そこそこ稼いでは好きなポケモンをゲットしている。

今回は衣服店を出すので、上記の2名を採用させていただきました。
性格とかがわかっていないので曖昧です、ごめんなさい(汗)

ポケットモンスターの主人公が1人、ヒカリ登場!詳細は来年の投稿に(ぉぃ)
癒し系と愛したい系と健気系のハイブリットオーラを出す愛され系の予定です(謎)

次回はシンオウ地方の有名人が続々登場!待て来年!(ぉ)

それでは皆様、良いお年を!

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