ポケットモンスター・ライフ   作:ヤトラ

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最近になって思う。なんでシンオウ地方に旅立たせたのかなぁと。
自由にあれこれできる環境にしておけばよかったと後悔しています。
まぁ出した以上は目的完了まで頑張ります。


その34「きのみ屋さん、マグマ団の暗躍を聞く」

 話を振られた時はどうしようかと思ったけど、ヒカリちゃんを巡る修羅場が治まったからか穏やかに話を進められました(表向きは)。

 改めてゲンさんにクケちゃん暴走事件のお礼を述べる事が出来たが、クケちゃんって何?とシロナさん言われてクケちゃんを出せば。

 

「ドクケイル……なるほど、だからクケちゃんなのね。間近で見ると意外に可愛いじゃない」

 

 とシロナさんとヒカリちゃんは好評。ナタネちゃん気になる様子。うーむ、アゲハントの方が人気あると思っていたんだけどな。

 けど僕だけではなくゲンさんも微妙な顔をしている。女の子の可愛さの基準は男から見れば解らないものだとほっとしました。

 

 するとシロナさんは悪戯を思いついた子供のような笑顔を浮かべ。

 

「せっかくだからコーディネイトしちゃいましょっか!」

 

「Σ(▽△▽川)(え、なんでよ!?)」

 

 『賛成です!』と書かれたスケッチブックを掲げるヒカリちゃんも、それ面白そうだなーとクケちゃんを見るナタネちゃんもノリ気であった。

 さっき街の人から着せ替えポケモン扱いされたからか、クケちゃんは僕の背中にしがみついてイヤイヤと首(?)を振る。必死だなぁ。

 けどクケちゃんが僕の背中にいるからか、女の子らの「着せ替えたい」オーラが僕に注がれることに……こ、怖い……!

 

「そ、そういえばゲンさん、シロナさんから頼まれていた事ってなんだったんですか!?」

 

 こ、ここはゲンさんに話を逸らそう!「あんなもの」が何なのか気になるし!

 ゲンさんは僕の意図に気付いたらしく、僕らの前に立ちはだかってシロナさんと向き合う。

 

「忘れていましたよシロナさん、コレ(・・)渡しておきます」

 

 そういうとゲンさんはシロナさんにジャラリと鳴る小さな袋を手渡した。

 「あ、忘れてた」と言わんばかりに目を丸くしたシロナさんはゲンさんから袋を受け取り、中身を確かめようと手の平に落とす。

 

 そこに入っていたのはキラリと輝く『石』だった。珠のように丸みを帯びた物が幾つか入っており、主に二種類ある。

 どちらも不思議な色合いをした輝きを持っていて、ただの石でないのは明白だ。しかし進化の石とも違う。

 

「……うん。本物のようね。ご苦労様」

 

「ダイゴさんから貰ったんだから本物に違いないだろう?」

 

 僕とヒカリちゃん、ナタネちゃんが首を傾げながら『石』をマジマジと見る中、シロナさんは「違いないわね」と言ってゲンさんと笑い合う。

 ダイゴさんといえば『チャンピオン』としての知名度より『ストーンゲッター』としての知名度の方が有名な石コレクター。

 チャンピオンがダイゴさんとゲンさんを頼ってでも欲しがっていた石……ま、まさか……。

 

「あの……もしかしてコレって」

 

「キーストーンとメガストーンよ。それも加工前の」

 

「どっしぇー!?」

 

「えーっ!?」

 

 僕とナタネちゃんの奇声にヒカリちゃんも(未だに)背中に張り付いていたクケちゃんもビックリ。ゴメンね。

 耳でしか聞いたことがないキーストーンとメガストーン、それも加工前の物を見るなんて始めて!ハヤシさんビックリよ!

 

「チャンピオンたるもの、キーストーンとメガストーンの一式ぐらい持っておいた方がいいかなって思ってね。ガブリアスナイト欲しかったし。

 ポケモンリーグでもチャンピオンのキーストーン所有を認めてくれたから、今頃は他地方のチャンピオンにも回っているんじゃないかな」

 

「シ、シロナさん、そんな情報を一般人に教えちゃっていいんですか?しかもさらっと私情まで混ぜちゃって」

 

「あら、いずれ公式でも発表する予定だからいいじゃない。ナタネちゃん達ジムリーダーにはまだ話していないけど」

 

「こりゃ皆驚くだろうなぁ……トウガンさんとか特に」

 

 どこまでもフランクな人だなぁシロナさんって……いい加減にクケちゃんをボールに戻そ。重いし。

 そんな僕らの間にゲンさんが割り込んで、真剣な表情でシロナさんを見る。その視線には僕も含まれていた。

 

「そういえばシロナさん、もう1つ話があるんですが。……ハヤシ君もよかったら耳に挟んでくれないか」

 

「……さっきのマグマ団のこと?」

 

 朗らかだったシロナさんの目つきが鋭くなった。そういえば何気なく忘れていたけど、さっきマグマ団がいたじゃん。それも複数。

 空気を読んだヒカリちゃんが『お邪魔しました~』と書いてそそくさと逃げようとして、シロナさんに捕まって抱き人形と化した。

 

「……どうやら連中はシロナさんがこの店に来ることを事前に知って、シロナさんにキーストーンを届ける僕を待ち伏せしていたみたいだ」

 

 一瞬ヒカリちゃんに抱きついたシロナさんに向ける目つきが怖かったけど、瞬間なので気にしない。気にしないったら気にしない。

 

「随分と用意周到ね……そういえば各地で赤い服を着た悪党の噂が絶えないけど、それ全部マグマ団のことよね?」

 

「ハヤシ君、ホウエン地方出身の君に聞きたいが、マグマ団についてどれだけ知っているかな?」

 

 シリアスな雰囲気の中で唐突に声を掛けられたので一瞬ビビるが、事態は思っていたよりも悪そうなので話せるだけ話そう。

 

「えっと……陸を増やして活動範囲を広げようとしていたテロリストだって聞いています。

 ホウエン事変でアクア団っていう敵対組織と一緒に、2対の伝説のポケモンを呼び起こして物凄い事になったけど……」

 

 嫌な記憶だなぁ。一日だけで日照りと大嵐が何度も入れ替わるから、庭を守る云々言っていられなかったよ。

 大嵐の中、材木で窓を補強していた時にアメモースがぶつかってきた時なんか死ぬかと思ったね。作業していた場所が2階だったから。

 

「けど2人のトレーナーが組織をやっつけてくれて、伝説のポケモンも大人しくなったんでしょ?組織も解散したって聞きましたけど」

 

「ナタネちゃんの言うとおりです。けどホウエン地方じゃ残党が未だに残っているんだよね。大半がコソ泥集団だけど」

 

 ナタネちゃんも煙突山で会ったアイツらも小悪党だったんだろうけど……今考えると小悪党にしては腕が立つ連中が混ざっていたなぁ。

 そんな印象があるけど、僕が知らないマグマ団の暗躍っぷりをシンオウ地方の面々が語ってくれた。

 

「そんなコソ泥集団がシンオウ各地に広がり、『石』を探して暗躍しているらしいんだが……どうも情報が曖昧なんだ。

 奴らは『貴重な石』であれば闇雲に首を突っ込む。情報収集はバッチリなのに、目標である『石』の狙いが曖昧すぎるんだ」

 

「ヒョウタ君の所にもしょっちゅう出てきたそうね。化石が目当てってわけじゃなかったらしいけど」

 

「そういえば以前、スズナちゃんとスモモちゃんの所でも赤い服の強盗が出てきましたよね。確か親友のコルニさんから贈られたメガストーンとキーストーンが届いた直後でした」

 

 ふーん、そんな事があったんだ……なんでシンオウ地方に足を運んでいるんだろうねぇ?

 化石は元より、メガストーンなんか近年になってホウエン地方でも掘り出されるようになったのに。

 

 あ、マグマ団で1つ思い出した。ここに来る前にも会ったじゃん。

 

「もう1つ思い出したんですが、ナナカマド博士に苔生した石を届けたんですけど、その時もマグマ団の2人に襲われました。偶然一緒にいたコウキ君っていう少年もターゲットに含まれていたみたいで」

 

 そう言うとヒカリちゃんが反応を示し、スケッチブックに何かを書く。

 台詞を書くにしては長いなぁと思って待っていると、見せたのはデフォルメしたコウキ君の似顔絵と台詞だった。

 

『コウキ君ってこの子ですか?私の友達なんです』

 

「そうそう、その子」

 

 なんだ、ヒカリちゃんの友達だったんだ。目を閉じて微笑んでいるが、思い出に浸っているんだろうか。

 

「懐かしいな。……彼のことだから、容赦なく返り討ちにしたんだろう?」

 

「『とどめばり』でトドメまで刺して」

 

「ああ……彼らしいなぁ」

 

「悪い子じゃないんだけど……私もよく驚かされるわねぇあの子には」

 

 ナタネちゃんはジムリーダーだから解るとして、ゲンさんやシロナさんも彼の知り合いだったんだ。彼も彼で顔が広いなぁ。

 ていうか3人……いや困ったような笑顔を浮かべているヒカリちゃんもか、この人達が微妙な顔をするとかどんだけ容赦がないねん。

 

「とにかく『石』という言葉があればドコでも出てくる。キーワードはハッキリしているが、どの石が目当てなのかさっぱりだ」

 

「……あれ?今さっきみたいに捕まえたりしているんですよね?尋問とかは……」

 

「それがね、したっぱも『石』を奪えと言われただけで『何の石を』奪うのかは聞いていないそうなのよ。だからしたっぱに聞いても解らないの一点張り。情報漏洩を防止する為か、或いは陽動なのかは解らないけど」

 

 それでいてメガストーンだろうが化石だろうが「珍しいから」って言う理由で奪おうとする大雑把っぷり。

 どうしてシンオウ地方で活動しているかってのも謎。やっぱ煙突山の連中とは違う理由で動いているんだろうか?

 

 謎が謎を呼ぶ……しかし。

 

「お話中に失礼します。ハヤシさん、ミサトさんに頼まれていた物ができたので確認してください」

 

「あ、了解でーす」

 

 僕には関係ないので、スミスさんが言うミサトの頼まれた物をチェックしよっと。

 

「それとヒカリ、休憩の時間はとっくに終わっているわよ」

 

『解りました』

 

「え~?もう少しスキンシップさせてくれても」

 

「さっさと帰れ」

 

「スミスさん辛辣すぎ!」

 

 スミス店長マジ強ぇ。

 

 

 

―続く―




加工前のキーストーンというのは独自設定ですのでご勘弁を。
というかポケモンXYやっていないから原型があるかなんて知らないんですよね。ポケモンYやろうかな……。
ちなみに原作キャラにキーストーンを持つならシロナ→メガピアス・ゲン→メガロッドと妄想しております(笑)

次はノモセシティへ。さっさと片付けてホウエンに戻らせたいところです。
その前に残党の相手やら色々としないといけないのでまだまだ続きそう。

というか(都合上)ポケモンの出番が少なすぎてテンション下がるんですわ。
細かくアレコレ書く癖がこんな所でグダるとは(汗

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