ポケットモンスター・ライフ   作:ヤトラ

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久々のポケライフ、そして活動報告のトレーナーの登場です。
メインはバックパッカーとなったトウコ&トウカの話になります。捏造設定注意。

なので活動報告のトレーナーは出番が少ないです。ごめんなさい(汗

4/3:誤字修正。ご報告ありがとうございました。正しくはトウヤでした(汗


ポケライフ「旅する者達」

「ああ、この子なら先ほど会ったよ。煙突山の頂上に行くんだってね」

 

 

―この一言はトウコとトウヤにとって、今年最高の幸運を掴み取った瞬間であった。

 

 

「「YEAAAH!」」

 

―パンッパンッ、グッグッ、ガッガッ、ドンッ

 

 その幸運を、妙な動きで呼吸を合わせながら体現する二人。コンビネーション抜群だ。

 

「よかったね2人とも!」

 

「「ありがとうミツキちゃん!」」

 

 同じ探し人の旅に出ている旅仲間・ミツキ(バックパッカー♀)は2人の喜びに同調し、3人でハイタッチ。

 2人を喜ばす情報を提供したリーク(けんきゅういん♂)もコレにはビックリ。唖然とするしかない。

 

「ふむ……友を訪ねて三千里か。唄を作りたくなるぐらいに良い話じゃないか」

 

 逆にオールファン(ぎんゆうしじん♂)は、その喜びようでいかにその少年を探し出したかったかを知って感動する。

 

 

 トウコとトウヤは双子の旅人だ。それも各地方の隅々まで回っている程に長い旅を続けている。

 バックパッカーズと言っても過言ではない程の荷物を背負い、移動手段に富んだポケモンを連れて陸海空を巡っているという。

 

 このホウエン地方にやってきたのも、2人が捜し求めている少年―Nを見つけ出す為だ。

 

 Nという少年もまた世界各地を旅しており、かつて敵対し最後には和解したはずの2人から逃げ続けている。

 それを許すまいと、性格や性質は似ていないがコンビネーションは抜群に合う2人の力を合わせて探し続け、何度か遭遇してきた。

 

 そして今日。ホウエン地方で知り合った、行方不明の兄を探している旅仲間と訪れた煙突山で、総計12回目の再会を果たそうとしている。

 現在はここデコボコ山道の生態を調査しているという30代にしか見えないリーク(22歳)にNの似顔絵を見せた所、当りを見つけたのだ。

 そのリークの友人であるオールファンという青年も目撃者の1人で、確かにNらしき少年と出会ったという。

 

「これならすぐにでも見つけられるわ!行きましょうトウヤ!」

 

「待ってトウコ。Nの事だから何か対策してくるはず。まずは今の手持ちポケモンのチェックを……」

 

「そんな事していたら逃げられるじゃない!すぐ行くわよ、すぐに!」

 

「静かにしてよ!こっちの存在にはまだ気付いていないのに、そんなに大きな声を出したら気付かれるだろ!」

 

「ごちゃごちゃ煩いわねインテリ愚弟!」

 

「そっちが五月蝿いんだろ脳筋姉貴!」

 

 せっかちな姉と慎重な弟が言い争っていた―――その時。

 

「……シッ」

 

 ピっと両手を二人の眼前に突き出して止め、静かにするよう促すリーク。彼の足元にはシャワーズがおり、ピコピコと耳を動かして警戒していた。

 唐突な行為に驚いて止まる双子と、ただならぬ様子のリークに声を静めモンスターボールを取り出すミツキとオールファン。

 デコボコ山道に静寂が訪れた事で、なにやら音が響いてくるのが聞こえる……まるで大量のバネが跳ねているような音だ。

 

―ビヨンビヨン、ブーブー、ビヨンビヨン、ブーブー

 

 坂道を下るようにこちらへやってきたのは、大量のバネブー達の群れであった。

 しかもただの通りすがりでないことを物語るように、全てのバネブー達がこちらに敵意を向けていた。

 

「馬鹿な……これだけのバネブーの群れ、ここしばらく見たことも無いぞ」

 

 長年ホウエン地方の生態系を調査してきたリークは、このバネブーの津波を見て愕然としていた。

 落ち着きのあるオールファンですら驚愕する中、トウコとトウヤだけは確信を持った目でバネブー……正確にはその先の、煙突山の頂上に続く道を睨む。

 

「「Nか!」」

 

 Nはポケモンと言葉を交わす特殊能力がある。現地の野生ポケモンに協力を得ることなど容易い事だ。

 その大量の視線の大半がトウコとトウヤを睨んでいる為、Nが自分達の存在に気付き、その妨害に彼らに頼んだのだろう。

 バネブー達は一斉に跳び上がり、集団で津波の如くトウコとトウヤに押し寄せていく。しかし―――。

 

「ジャローダ、『リフレクター』!」

 

 即座にモンスターボールを放り、中から出てきたジャローダが瞬時に全員を包む障壁を展開。

 半円を描く障壁はバネブーの津波を押し留めるも、前面に張り付いたバネブー達が少しずつ障壁の中へと侵入していく。

 

「出ておいでエンブオー!」

 

 遅れてトウコがモンスターボールを放り、鼻から火を噴出すエンブオーが出現。

 それを見たトウヤが振り向くとトウコは無言で頷き、トウヤは了承したように頷き返す。

 

「ジャローダ、『リフレクター』解除!」

 

 パっと消えていく障壁。防壁が無くなったことで一気に雪崩込んでいくバネブー達。

 それを見て「何やっていんのさ!」と叫ぶオールファンだったが、ミツキとリークは落ち着いていた。

 

 対するトウコは―申し訳無さそうにバネブー達に手を合わせ、言う。

 

「手加減して上げてねエンブオー……『ねっぷう』!」

 

 ジャローダが隣に避難し、エンブオーはスウっと鼻から息を吸い、高温の鼻息が暴風のようにバネブー達へ放たれる。

 その風量は前線のバネブーを押し留める程で、しかし熱風は些細な隙間ですら通りってバネブー全体に行き届かす。

 

 やがてバネブー達の半数以上が熱風に直撃したからか、「痛いよー熱いよー」と言っているように残りのバネブー達を踏み台に撤退。

 その残りのバネブー達は「よくもやったなー!」と再び襲い掛かる。半数以下に減ったとはいえ、結構な数には違い無い。

 

「まだ来るよ!」

 

「バネブー達の勇気と仲間愛に完敗。乾杯の洒落だけど」

 

「んなこと言っている場合じゃないだろ!どうするんだ2人とも!」

 

 すっかり取り囲まれてしまったミツキ・オールファン・リークの3人。

 

―――3人?

 

 オールファンとリークが顔を見合わせて気付く―――トウコとトウヤが居ないことに。

 

「あ、トウトウなら頂上に向かったけど」

 

「「あいつらぁぁぁぁ!」」

 

 いくら会いたい少年が頂上に居るかもしれないというのに、自分達を置いていくとは何事か。

 そんな怒りに駆られた2人はバトルする気になったらしく、オールファンはボールからバクオングを出し、リークは傍らに寄り添っていたシャワーズを前に出す。

 仕方ないとばかりにミツキもモンスターボールからギャラドスを出し、バネブー達を威嚇する。

 

 しかしミツキは「仕方ないなぁ」と肩を竦めるだけで、男2人のように怒りを露にしていない。

 行方不明の兄を探す自分と共感して仲間になったとはいえ、あの双子と旅していけば嫌でも理解できたからだ。

 

 2人は性格も性質も正反対。そんな2人が合わせれば非常に頼もしい事。なんだかんだで仲が良い事。

 そして、度々遭遇するNという少年と、その少年を心から愛する双子との間柄。あの3人はまるで―――。

 

 

 

―――

 

 噴煙上がる煙突山の頂上にて。

 

「―――来たね。2人とも」

 

 空に上がる噴煙を追うようにして見上げる黒いポケモン……こくいんポケモン・ゼクロムを背にして立つ少年が居た。

 その少年は表情を隠すようにして帽子の唾を下へ下げるが、視線は間違いなく目の前の2人―トウコとトウヤを見すえている。

 居るのは2人だけではない。ゼクロムに対抗する為のポケモン―トルネロスとボルトロスが彼女らの背後に漂っていた。

 

「今日こそ捕まってもらうわよ、N」

 

 せんぷうポケモン・トルネロスを背後に、ニヤリと笑うトウコ。

 

「今度こそ一緒に来てもらうよ、N」

 

 らいげきポケモン・ボルトロスを背後に、鋭い目を見せるトウヤ。

 

 そんな2匹のプレッシャーと2人の覚悟を感じたか、灰の暗雲を見上げていたゼクロムがゆっくりと振り向く。

 Nは宥めるようにゼクロムを撫で、困ったような笑顔を浮かべて2人を見た。

 

「ごめん。()はまだ(・・・)無理なんだ。僕は学びたい事が沢山あるから」

 

「「そう言って誤魔化すのも今日までよ(だ)!」」

 

 2人は拳をピッタリと並列させて突き出し、それを合図にトルネロスとボルトロスが飛ぶ。

 両手を掲げてゼクロムに襲い掛かろうとし―――急降下してきた、ほうじょうポケモン・ランドロスの拳骨が両者の脳天に叩き付けられた。

 地面に撃墜することは無いが、急な拳骨で2匹はフラフラだ。対するランドロスはゼクロムに並び、2匹を睨みつけている。

 

 睨むランドロス。唸るゼクロム。やる気のある2匹の友達を見て、Nはやれやれと首を振った。

 

「2人ともやる気みたいだし、久々にやろうか……ポケモンバトル」

 

「「もちろん!」」

 

 バックパッカーズのトウヤとトウコは2匹の伝説のポケモンをボールに戻し、新たなボールからジャローダとエンブオーを出す。

 Nはゼクロムとランドロスに下がるよう伝えてから、どこからか野生のバクーダとオコリザルがやってきた。

 

 

「私達が勝ったら今日1日、私とデートしてもらうからね」

 

 トウコが顔を恋心でほんのりと赤く染めて。

 

「僕達が勝ったら今日1日、僕とチェスの相手をしてもらうよ」

 

 トウヤが挑戦者のように鋭い笑みを浮かべて。

 

「僕が勝ったら……今日は見逃してもらう」

 

 そんな2人の好意を受け取りきれないNが、申し訳無さそうに笑みを浮かべる。

 

 

 

 それぞれが約束を交わしたのを合図に―――ダブルバトルの幕が上がった。

 

 

 

―――

 

―まるで、鬼ごっこをして遊んでいる子供みたい。

 

 

 バネブー達を退かしたミツキは、空へ飛んでいく黒いポケモンを見つけて思った。

 

 

 それと同時に思う。

 

 

「ああ、また逃がしちゃったのね」

 

 

 

 2人の旅はまだまだ続きそうだ。

 

 

 

―完―




その後、リークとオールファンに怒られたトウトウであった。

 ●トウコ
 イッシュ地方出身のバックパッカー♀。腕白な性格。おっちょこちょい。
 トウヤの双子の姉。思いついたら即行動。辛党。技能派。姉弟でタッグを組めば最強。
 現在は弟と共にNという少年を探して世界中を旅している。Nに恋心を抱いている。
 『もろはのずつき』や『ソーラービーム』など超高火力の技を好む。攻撃型。

 ●トウヤ
 イッシュ地方出身のバックパッカー♂。慎重な性格。とても几帳面。
 トウコの双子の弟。石橋を叩いて渡る。甘党。知能派。姉弟揃えばどんな事件も解決。
 現在は姉と共にNという少年を探して世界中を旅している。Nは親友だと信じている。
 『やどりぎのタネ』や『しんぴのまもり』などサポート系の技を好む。防御型。

 ●N
 かつてイッシュ地方を騒がせたプラズマ団の王子。よく解らない性格。謎が多い。
 ポケモンを友達として接し、ポケモンと会話する能力を活かし様々な知識を吸収している。
 現在は親友らから逃げつつ「ポケモンと人との関係」を学ぶ為に世界各地を旅している。
 技にこだわりはなく、基本的に戦闘はポケモン任せ。どちらかというと守り派。

 トウトウを双子にしたのは作者の趣味です(滅)だってほら、似通った名前とか見た目とか(爆)
 そして双子の性格が反対なのも作者の趣味です。そっくりもいいですが、見た目も性格も反対な方が萌えるからです(殴)

 そして作者はNが大好きです。ピュアでイノセントなN様萌え(ぇ)
 3人の出会いやら切っ掛けやら書いていないのは読者様の妄想に任せようという(ry

 そんなわけでグチャグチャな作者の妄想が入った「バックパッカーズのトウコとトウカ」でした。

 お粗末。

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