やっぱり考えすぎは良くないんだなぁと思いました(苦笑)
暑い日差しが降り注ぐ日が続く中、ようやくヤタピの実とチイラの実を注文希望数まで回収できました。
いや~、ここのところ暑いのなんの。草が育つのに必要とはいえ、過度な日光と温度は枯らす原因にもなりかねないっす。
さて、ホエルコ如雨露で新しく植えた木の実に水を上げた後、僕はもう一仕事始めよう。
ネンドールのヤーやんが壁を張っているのを他所にホースを取り出し、蛇口に繋いで水を通らせる。
向ける先は―――暑さに参っているうちの草ポケモン+ナゾノクサ軍団。
「ほら、たっぷり水をあげるから元気出しなさいな」
ホースの口を潰して拡散シャワ~じゃ~。生き返る~と言っているかのよに幸せそうな顔が可愛らしい。
ロゼリアのローちゃん、リーフィアのイーくん、ミノマダムのミノさん、マスキッパのキッパさん、それと半野良ポケモンのスーちゃん。
水を浴びたら、グッタリ、から一転して、ニヘラ、と表情を変えていく。ちなみにロトムことロトやんは暑さは平気みたいだ。
ナエトルのダイトさんは、エアームドことアーさんからバシャバシャと水を掛けられて気持ちよさそう。お父さんも大変だ。
「ほらほら、君もね~」
バクオングのゴーさんも参っているようなので水浴び。サンドパンことサンちゃんは水が苦手だからパス。
僕も暑いし、後でシャワーを浴びるか水辺で水浴びしよっと。
暑いといえば、最近はポケモンバトルが熱い。ついにチャンピオン杯が近づいてきたもんね。
ホウエン地方の新たなチャンピオンを決めようと開かれるチャンピオン杯。
そこに出場しようと、トレーナー達は一新したホウエン地方の各ジムに挑むのだ。
最近ではポケモンコンテストも一新したらしく、コンテストも熱いんだそうだ。ルチアっていうアイドルが特に。
そんなこんなでトレーナーの誰も彼もが熱い暑いと連呼しているわけです。
ちなみにうちはマイペースに過ごしています。トレーナーでもあるけど勝利やバトルには拘らないんで~。
さて、水浴びを終えてポケモン達も満足そうだし、今度は僕も汗を流そうかな……。
「ひょひょ、失礼いたしますぞ」
おや、この妙な笑い方は……。
「ホムラさんじゃないですか。お早いお付きですね」
「グッモーニン!良い日差しなので、早い目に目覚めてしまいまして」
無表情の男女の部下を背後に添えた、ふくよかなお腹を揺らす糸目の男・ホムラさんである。
こんな暑い日差しで汗1つも垂らさずにケロリとしているのが凄い。そういえば炎ポケモンを持っているって聞いたなぁ。
「さっそくビジネストークですが、例の木の実は……」
「あ、ヤタピとチイラですね。保存している分を出してきますので、少々お待ちを」
さて、木陰で休んでいる処を申し訳ないが、ゴーさんのパワーが必要なので起こそう。
寝ぼけているけど仕事はキッチリするゴーさんが沢山の箱を物置から出し、僕もそれを出してホムラさん達の前に出す。
「ご注文されていた個数、無事に実りましたよ。ちょっと色を付けておきました」
頑張って育ったから、ダンボール箱が数個必要になるぐらいに実っちゃったんだよね。
余った分は貰っちゃって良いって聞いたけど、それにしたって多いので余剰分も追加。
流石に予想外の量を目の当たりにしたのか、ホムラさんが口笛を鳴らして驚いたように目を開く。う、結構鋭い。
「ほっほぉ……随分と増えましたなぁ」
「張り切っちゃいました」
あっはっは、と軽く笑う。
何時の間にか部下の2人が木の実を数え終えたらしく、ホムラさんに耳打ちする。
「はい、確認が取れましたぞ。では約束の報酬を」
「毎度あり~」
商売は商売なので、遠慮なくお金を貰う……あ、色を付けた分だけ金額が増えてる。キッチリしているなぁ。
「取引成立ですな。今後とも御贔屓にお願いしますぞ」
「こちらこそ」
久々の大きな稼ぎにホクホクしていると、ホムラさんが僕の手を握って握手。
別にお金稼ぎ目当てではないが、こういった大きなお店のお得意さんが出来るのはコチラとしても嬉しい限り。ホムラさん良い人だし。
「もう1つ頼みがあるのですが……オボンクッキーを1缶売って頂けませんかな?」
おお、オボンクッキーが一番多く詰められた缶入りを頼むなんて、よっぽど気に行ったのかな?
せっかくのお得意さんだし、開店前だけどオボンクッキーを準備するとしよう。焼きたてが美味しいんだよね。
……にしても、やっぱりポケモンには嫌われているのかな?遊び好きなイーくんが威嚇しっぱなしだよ。
―――
「それでは、シーユーアゲイン、ですぞ~」
「お気をつけて~」
今度は陸路で移動してきたらしく、帰りは車でご帰宅。妙に赤が目立つ車だったなぁ。
とりあえず見送って、もうすぐ開店時間だと思い出したから準備を進めておこう。
さてさて、暑い時期でも木の実屋さんは頑張りますよ~。
まるで大異変なんか起こりませんよってぐらい平和です。
いっそ原作みたいな事件は未然に防がれたってことにしようかな(ぇ)
こんな感じのきのみ屋さんのスローライフな日々をお楽しみに(笑)