ポケットモンスター・ライフ   作:ヤトラ

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物凄い久々にポケモンライフ更新。
こっちの方があれだね、書きやすさが違いますね(笑)

描き始めたのは、心機一転、ポケモンASを最初からやり始めました。
草ポケモン縛りで!タイプ縛りって育てるポケモンが決めやすくていいですね。

うちの主人公にラランテス与えたいなぁ…。


その46「きのみ屋さんとユウキ」

 最近は妙な出来事が続いている。

 

 暑い日が続くと思えば土砂降りになったり、ポケモンで悪さする人が増えたり、この地方では見慣れないポケモンが増えたり、時間の流れが急に早く感じたり……ゴメン、最後の嘘。

 ニュースでは異常気象だとかマグマ団アクア団復活かとか言われているけど、今期のホウエンチャンプ杯に注目が集まっているから雲隠れしがち。

 

 そう、最近のホウエン地方は活気づいてきている。多くの他地方トレーナーがホウエン地方を訪れるから観光業が盛んになっているみたいだし。

 

 それだけチャンピオンへの挑戦権が欲しく、そして様々なトレーナーとぶつかり合いたいっていう欲求があるんだろう。

 こういったチャンピオンリーグは他地方でも定期的に開催されており、しかし日付はバラバラだからトレーナーはその度に地方を訪れることになる。

 そして開催する地方は収入的な潤いを得るのだ。僕のお店も連日トレーナーのお客さんで賑わい、木の実だけで十分儲かっている。

 

 まぁ、それだけ忙しくなるってことだけどね……不安定な天気の性で木の実栽培も手こずっているし…。

 しかし雨にも日照にも負けてられっか!草ポケモン達の助力を得て、ヤタピの実やチイラの実の栽培も順調です。

 『あまごい』や『にほんばれ』を持つポケモン欲しいなぁ……天候を変える技って意外と取得が大変なんだよ……。

 

 さて、今日は強烈な太陽が降り注ぎ、昨日の土砂降りで濡れた地面から湯気が出てくる日。

 多くのお客さんを捌ききり、ようやく落ち着きを取り戻してきた頃、その人はやってきた。

 

 

――大勢のギャラリーを引き寄せて。

 

 

「久しぶりだねユウキ君。悪いけど今日の来店はご遠慮願えます?」

 

「酷いじゃないですかハヤシさん」

 

 だって元とはいえチャンピオンになった事のある人を見ようと大勢人が集まってきているんだもん。

 

 白いニットキャップがトレードマークのユウキ君。昔はトレーナーとしてウチの店によく立ち寄ってくれたものだ。

 今ではポケモンダイバーを名乗り、海に関するバイトをしながら様々な地方の海を巡りながらポケモンをゲットしているという。

 なんでも伝説のポケモン・カイオーガに出会ってからだそうだが……僕は見たことないから未だに半信半疑だ。夢を持つのはいいけど。

 

 でも彼の一番の有名処といえば「一度とはいえチャンピオンの座を勝ち取ったトレーナー」という事だろう。

 

 直ぐに返還したとはいえ、ホウエン地方チャンピオンになった事実は変わらない。

 ユウキというトレーナーはホウエン地方の若者、そしてチャンピオン杯を目指すトレーナーに目がつきやすいのだ。

 見つかり次第、こうして色々な人に囲まれる。この店みたいな小さい店舗じゃ収まりきらないぐらいに。

 

「で、何か買ってくのかい?」

 

 群がるお客さんに静かにするようお願いしてから、僕はレジ前に立つユウキ君に問いかける。

 最近売られるようになったヤタピとチイラの実目当てだろうか?人気あり過ぎて在庫殆ど無いけど。

 

「オボンクッキーを一缶分。それと今日は、ちょっとした宣言をしておこうと思いまして」

 

「もう少ししたら焼き立てが出来るから待っていて。ところで宣言って?」

 

 丁度いい。乾燥したオボンの実をクッキーの生地に練り込んでいた処だった。

 レジから遠くないので、調理場に戻ってから彼の言う『宣言』とやらを聞く……聞き耳を立てるギャラリーと一緒に。

 

「ありがとうございます。宣言ってのは……原点回帰。一からポケモンを育てホウエンリーグ制覇を目指します」

 

「……一から全部のジムを回って、ホウエンリーグに出るつもり?」

 

「そうです」

 

「わお」

 

 唐突で大胆な宣言ですね、周りがザワめいているよ。ユウキ君は笑顔だけど……あの顔はマジだ。本気と書いてマジな笑顔だ。

 ユウキ君が今まで育ててきたポケモンで挑めばいいのに……と思うだろうが、ポケモントレーナーの目的や意図など、それこそ人それぞれだろう。

 しかし解らないのは、海の求道者とも言えるユウキ君が、どうしてまたホウレンリーグ制覇を目指すのだろうか?

 

「それは随分と大胆な目標だね?なんでまたチャンピオンの座を目指すの?」

 

 クッキー生地を均等な大きさに並べ、店舗用大型オーブンに投入。ヒートロトムじゃ小さいからね。

 そもそもユウキ君は過去にバッジをコンプリートしているから、ホウエンリーグにそのまま出場できるってのに。

 

「んー……夢の再確認、ですかね?」

 

「再確認?」

 

「僕が何を目指しているのかハッキリさせたいんです」

 

「何を目指すか?」

 

「大海に流れるままのメノクラゲのように、ただ海に関するバイトを続けるだけじゃダメだって思うようになりまして」

 

 深刻そうな表情を浮かべるユウキ君の言葉に、そうだったんだ、と思う。

 

 ユウキ君の名が知れ渡っているのは、様々な海に赴き、そこでバイトをしている事にも起因している。

 僕もミナモシティやカイナシティに買い物に出かける時によく見かける。最後に見たのは客船の案内員のバイトだったかな?

 色々なバイトをして満足しているのかなーと思っていたが、物足りないって感じていたんだね。

 

「なので、まずは水ポケモンだけを育て、どこまで戦えるかを試します」

 

「まぁセオリーではあるかな?」

 

 海といえば水タイプだし。育てやすくて弱点も少ないから、水ポケモンだけで旅をするっていうトレーナーは多い。

 

「もし水ポケモンだけでホウエンリーグを制覇したら?」

 

 現チャンピオンのダイゴさんは未だに強い。鋼タイプに偏っているにも関わらず、他地方のチャンピオンに引けを取らない。

 最近のニュースじゃキーストーンを所有するようになったから、むしろ更に強くなっていると思う。

 ユウキ君なら確実とは言えないが、ダイゴさんへの挑戦権を得られる確率は高い。彼を水ポケモンで超えた場合、何を目指すのだろうか?

 

――水ポケモンをマスターする?全ての海を制覇する?もしかしたら自分だけの船をもって船長になるとか言い出すかも。

 

 海の求道者と噂されているユウキ君が、ホウエンリーグを制覇した暁に何をするのだろうか?ワクワクしながら待っていると――。

 

 

 

「カイオーガを捕まえる旅に出ます」

 

 

 

「……はぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 マジだ!この子の眼差しも表情も、そして体中から放たれるオーラみたいなのも、本気と書いてマジだ!

 僕だけじゃなくてお客さん全員が驚いて叫んでいるよ……宣言しといた本人はキョトンと首を傾げているけど。

 

「……笑わないんですね?」

 

「そりゃマジな顔した元チャンピオンが言うんだからね!」

 

 笑われると思ったんだろうけど、君って結構なトレーナーだからね!

 そりゃあ伝説のポケモン狙っていますなんて言ったら、出来そうで怖いよ!

 

 




ORASの主人公、大胆発言。ゲームじゃ当たり前にしてるけど(苦笑)

私的ポケモン界設定では何年かに一度、地方毎のリーグ的なものを開催します。
ちなみにホウエンリーグ=ホウエンチャンピオン杯と同じと考えてください。

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