不老少女、海に出る。   作:千樹 星百

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第3話

「うう、頭痛い………」

 

 豊はこの世界に来て初めての気絶から目覚めた後、無事に(・・・)覇気と(・・・)六式の(・・・)知識と(・・・)感覚を(・・・)刻み込(・・・)()()()頭を手で押さえながら、人里を求めて、砂浜を歩いていた。

 この世界では、島の行き来に、主に船を使うと手紙に書いてあったので、海沿いを進めば、そのうち、港に辿り着けるだろうと、考えたためだ。

 豊は砂浜を歩きながら、ただ港探しをしているだけでは時間が勿体無いと考え、脳に刻み込まれたときに一度は理解した覇気と六式について復習する。

 

(覇気って凄いわね。

 視覚を封じても相手の攻撃を躱せたり、自然系の悪魔の実の能力者の実体を捉えてダメージを与えられたり、威圧だけで相手を気絶させられるとか。

 神からの知識には、私にも〝覇王色の覇気〟の素質はあるってあったけど、今のところ全然使えないのよね……………やっぱり、危機的な状況とかにならない限り、〝武装色の覇気〟と〝見聞色の覇気〟を鍛えないと駄目なのかしら?)

 

 実は、豊は砂浜を歩きながら、感覚にある通りのことを再現しようとしているのだ。

 が、今のところ、〝武装色〟は指先を数秒ほど黒く出来、〝見聞色〟は半径数メートルの範囲の気配を十数秒ほど探れる程度である。

 

 六式に関しては、まだ再現は出来ていない。

 再現することができだけの身体能力はあるのだが、強化された身体を運用する経験が足らないので、再現するにはまず、今の身体に慣れなくてはならないのだ。

 そのため、今は保留となっている。

 寧ろ、豊は、知識に超人体術とある六式を使えるだけの基礎があることに驚いている。

 

(六式は正直言って頭おかしいんじゃないの? 地面を十回蹴って高速移動するとか、空中を蹴って移動するとか……………本当になんで身体能力が足りてるのかしら?

 て、そう言えばこの身体は鬼滅ボディだったわね)

 

 豊は、鬼滅の隊士たちにちょっと引いた。

 神の知識の補足で、自分の身体能力が実は鬼滅の隊士たちを超えてるって知ってても、引いた。

 別にやり場のないもやもやを、鬼滅の隊士たちに当たっているわけではない。ないったらないのだ。

 

 さて、そんな感じで、豊は港を探すが、全く見当たらない。

 太陽の位置が目を覚ましたときと比べて、かなり動いていることから、それなりの時間が経っているのは確実だ。

 宝箱が置いてあった場所には、目印をつけておいたため、一目見れば分かるので、まだ島を一周はしていない。

 島全部を周ってないから港が見つからないのか、それとも、そもそも港なんてないのか。

 

「ここが無人島だったら私、しばらくはサバイバル生活になるのよねぇ…………」

 

 本当にはそうあって欲しくない、そう思いながら、覇気の消耗でへばった身体を一旦休めた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「なんでこうなるのかしら……………」

 

 転生から二週間後、豊は最初に目を覚ましたあの場所で三角座りをし、太陽の光を反射して綺麗に光る海を眺めながらそう呟いた。

 

 豊の言う〝こう〟とは、この島の人里探しの結果である。

 豊は、最初の数日ほどで島の砂浜を覇気の練習をしながら一周した結果、港は見当たらず。

 次に、島の中を十日ほど掛けて探索し、結果として、人里は見当たらなかった。

 つまり、人里探しで確定したのは、この島は無人島であり、人の乗った船が流れ着くまで自給自足のサバイバル生活であることだ。

 

 しかも、この島は、砂浜を除けば、ほぼ全てジャングルであり、この島での食事は、野生の動物や植物が主になる。勿論、ここは地球でないので、似てるが異なるものや、全く知らないものであふれており、豊は運が良かったのか、今のところ、身体に異常をきたすようなことにはなっていない。

 仮に、毒性のあるもの食べてしまった場合は、鬼滅ボディのタフネスに期待するしかない。あるいは、何故か知識と感覚におまけとしてあった「生命帰還」を修得するしかないだろう。

 

 しかも、問題はそれだではない。

 

 この島のジャングルに生息する野生動物であるが、一応、普通の強さを持つ動物が主である。ここ二週間の食料になったのも、それらの動物である。

 しかし、ジャングル探索では、それらではない異常な動物たちがちらほらいるのだ。

 その動物たちの異常な点は三つ。

 一つ目の異常な点は、身体の大きさだ。

 一般の動物たちはいっても精々二メートル半だが、そいつらは十メートルは余裕であるのだ。

 二つ目の点は、身体能力だ。

 図体の大きい野生動物と人間だから当たり前だと思われるかもしれないが、豊は異常な身体能力の持ち主である。今の身体能力に多少であっても慣れてきた豊を上回る身体能力をしているのだ。十分異常に分類されるべきだろう。

 三つ目の点、豊的には、これが一番の異常性である。

 それは、その動物たちは、覇気を使う(・・・・・)という点である。

 現時点の豊のような未熟な覇気ではない、鍛え上げられた覇気である。

 何で覇気を使えるのかとか、その図体で覇気を使うのはないだろうとか、色々と豊的に物申したい気分ではあったが、それはそれとして、その動物たちは、〝武装色〟は勿論のこと、〝見聞色〟も鍛えられているため、今の豊であれば、〝見聞色〟の効果範囲に入れば、視界に入らなくても見つかる。そして、〝武装色〟を纏った前足で叩き潰されるのがオチである。

 

 と、以上のことから、豊は浜辺でちょっとした現実逃避をしていたのだ。

 

「まあ、ここで現実逃避しても仕方ないっていうか、普通に時間の無駄なのよねぇ」

 

 豊は、なんでこんな島で無期限のサバイバルになってしまったのかと、溜め息を吐きながらも、立ち上がり、グッと身体を上に伸ばして、身体を解す。

 

「さて、まずは何をしましょうか?」

 

 豊は、そう言って、今後やるべき最低限のことを考える。

 

「まずは、今の身体に慣れることが先よね」

 

 身体を鍛えても、覇気を鍛えても、まず自分の身体能力に振り回されているようでは、この先やっていけないだろうと考えて。

 

「次は、やっぱり覇気の修得と上達よね」

 

 この先、海に出るのであれば、悪魔の実の能力者との戦闘があるとして、その戦いで覇気は有用だし、何より、覇気を使う大型の生物がいるこの島においては、覇気が使えるようにならなければいつかは死ぬだろうと考えて。

 

「取り敢えず、〝見聞色〟を使いながら、砂浜でも走りましょうか」

 

 豊はそう言って、〝見聞色〟で周囲を索敵しながら、砂浜を走り始めた。

 

 こうして、豊の無人島での修業とサバイバルが本格化した。

 

主人公が海に出た後。

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