不老少女、海に出る。   作:千樹 星百

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第5話

 豊が転生してから、おおよそ十年が経った。

 

 つまり、転生一年目から九年が経っている訳だが、豊はあれからどれだけ成長したかと言えば―――

 

「喰らいなさいッ!!」

 

 ドゴンッ!!

 

「ゴアァァァァアッ!!」

 

 ―――〝異常な生物〟と真っ正面から殴り合えるまでに成長していた。

 ……………成長し過ぎではないだろか。

 

 現在の豊は、六式の〝剃〟〝月歩〟〝嵐脚〟を完全に修得し、更に〝指銃〟〝鉄塊(テッカイ)〟〝紙絵(カミエ)〟の三つも修得しており、所謂、六式使いとなっており、現在、六式の応用技を習得中である。

 

 覇気に関しては、〝異常な動物〟と真っ正面から殴り合っている時点でお察しだろうが、かなり上達している。

 実はこれで、二年前、つまり、転生から八年目時点では、〝武装色〟は精々及第点レベルで、〝見聞色〟は「未来予知」に二、三歩及ばないレベル、と当時三、四年ほどの間、停滞気味だったのだ。

 最早、この二年間に一体何があったんだ、という思わず言ってしまいそうな現状だが、勿論その何かがあったのである。

 

 それこそ、〝覇王色の覇気〟の覚醒だ。

 

 二年前のある日、豊はいつも通り〝異常な動物〟と鬼ごっこをしていた。

 そして、鬼ごっこで〝異常な動物〟の気を逸らして、逃げ道を確保するときの常套手段の一つであった「〝異常な動物〟に〝異常な動物〟をぶつける」というやり方をやったら、その日は何があったのか、二体の〝異常な動物〟が共闘して、豊に襲い掛かってきたのである。

 そこから、当たり前のように豊は、あっという間に追い詰められた。

 そんなときである、〝覇王色の覇気〟が覚醒したのは。

 無論、覚醒したところで、当時の豊は〝異常な動物〟よりも格下としか言えない相手だ。だが、この無人島には今まで〝覇王色〟を使える者がいなかったのだろう。当時の豊の〝覇王色〟でも少し怯む程度ではあったが、隙を作ることが出来た。豊はその隙をついて、何とか逃げ出したのだ。

 

 だが、前述にもあった通り、これが一つの転機になったのだ。

 

 この〝覇王色〟の覚醒で、豊は「何かのピースがピタリとはまって、覇気のコツが分かった」らしい。

 

 それからの豊の覇気の上達速度は凄まじく、それから二年経った今となっては、原作の四皇の最高幹部に勝らずとも劣らない実力となっている。

 

 〝武装色〟は、サーベルの「ワイバーン」やピストルの弾丸に纏わせる武装硬化は勿論のこと、触れずに相手を弾き飛ばすことが可能な段階に来ており、内部破壊まではあと一歩と言ったところ。

 

 〝見聞色〟は、「未来予知」の段階にとっくに上がっており、現在は動揺していても、ある程度正確な「未来予知」が出来るように、その精度を更に高めているところである。

 

 〝覇王色〟は、全方位への発散から特定の方向への発散、そして、物理的な破壊も可能となっている。「纏う〝覇王色〟」は取っ掛かりは掴めているが、習得には至っていない、という状況だ。

 

 身体能力の方も大分上がっている。それはもう、「その細腕の何処にそんな力があんの!?」とか、「あれ? コイツもしかして動物系の能力者?」とか、正直思われても可笑しくないレベルだ。

 勿論、悪魔の実は何も食べていない。

 尚、豊が少し疑問に思って神に聞いてみたところ、神曰く、「身体のスペックを超上げたときの副作用みたいなものじゃない?」とのことだった。

 

 「ワイバーン」を使った剣術やピストルの狙撃に関しては、まともな実戦が、ここ二年間だけであるにも関わらず、剣術では飛ぶ斬撃を八割の確率で飛ばし、狙撃はピストルの射程のこともあり、距離は短いが、だとしても、百発百中に近い精度である。

 

 

 さて、ここまで成長した豊であるが、サバイバルと修業の生活の内容は、かなり変わった。

 

 まず、朝。

 転生一年目では、〝異常な動物〟との鬼ごっこ(午前の部)だったわけだが、今は〝異常な動物〟とのステゴロなタイマンになっている。

 このように変えた当初こそ、ボロ負けした挙げ句に逃走という散々な結果ではあったが、それも回数を重ねる内にメキメキと実力が上がり………二年経った今では、冒頭のように、互角以上に殴り合えるレベルになっている。

 

 次に、昼近く。

 転生一年目では、岩山での筋トレだったわけだが、今でもそれは変わらない。

 但し、重しにしている物が、岩山の岩から、神様パワーによる巨大且つ、超重量のダンベルに変わったが。

 尚、ダンベルの重りの部分には、「5t」の文字が……………。

 因みに、神はこれについて、「ゴリラかよ…………」と呟いたのを豊に聞かれ、ガツンッと音が出るほどの拳骨を喰らった。

 

 そして、正午。

 転生一年目では、「ワイバーン」の素振りだったわけだが、今ではそれに加えて、ピストルの狙撃訓練も行っている。

 「ワイバーン」の素振りでは、フォームの試行錯誤だけでなく、直接岩を斬ったり、飛ぶ斬撃で岩を斬ったりしている。

 狙撃訓練では、岩の上にジャングルで採った果物を置いて、それを撃ち抜いたり、岩山付近を飛び交う猛禽類の動きを〝見聞色〟で「未来予知」して撃ち落としたりしている。

 因みに、「ワイバーン」の素振りの後に行っていた昼食の狩りはなくなり、現在では、週一で大量の動物を狩って、それを、神へのお願いで〝時間経過なし〟や〝保管空間の拡張〟などの更なる魔改造を施した「マジックポーチ」に保管してあるため、それを飯時に調理して食べている。

 尚、神へのお願いで、解体ナイフや果物ナイフ(神様パワーで絶対壊れない)を貰っているので、「ワイバーン」涙目なことには、もうなっていない。

 

 さて、それも終わって、昼過ぎ。

 転生一年目では、〝異常な動物〟との鬼ごっこ(午後の部)だったわけだが、今では、〝異常な動物〟とのタイマンになっている。

 こちらは、午前のとは違い、豊は素手でなく、「ワイバーン」とピストルを装備して行う。

 こちらも、変えた当初は午前のと同じく、ボロ負けからの逃走であったが、現在では、互角どころか、勝率百パーセント。

 〝異常な動物〟たちにも、ある程度の個体差はあるため、勝ちとは言っても、辛勝から圧勝まで、様々ではあるが。

 

 そして、夕方の少し前。

 転生一年目では、〝見聞色〟を使用しつつの砂浜をランニングしていたが、現在では、〝見聞色〟を使いつつ、無人島周辺の海を泳いでいた。

 因みに、この無人島周辺の海には、五十メートルから百メートルクラスの海王類がそこそこの数生息している。

 なので、そこを泳ぐ豊は、海王類にとって良い餌のように思われる訳だが、

 

 ドバァァンッ

 

 と海が大きく水飛沫を上げ、そこに海王類の首が切られた死体が、プカァーと浮かび、同じくそこに上がってきた豊によって「マジックポーチ」に保管され、その日の夕食となる。

 

 夜は、夕食を食べ、神へのお願いで貰ったテント(神様パワーで絶対壊れない)の中で、これまた神へのお願いで貰った布団で就寝する。

 

 以上、強キャラへの道を順調に進みまくる転生十年目の豊であった。

 

 

 ☆☆☆

 

 ~〝神域〟サイド~

 

 神は、いつものように、豊の一日の様子(ダイジェスト版)を見て思った。

 

「豊ちゃん、強くなりすぎじゃない?」

「あの世界においては、戦闘力はあるに越したことは無いと思いますけど」

「いや、まあ、そうなんだけどさ」

 

 神の台詞に、豊の転生を担当した天使がそう返す。

 神はそれに、少し困ったように返す。

 

「でもさぁ、豊ちゃんがこのままのペースで成長していったら、原作が始まるどころか、ロックス時代の時点で世界最強になってそう。ロックスの詳しい強さは知らないけど」

「ロックス………確か、原作の数十年前の最強格の海賊でしたっけ? それに勝てるなら、その時代では安泰ですね」

「う~ん、でも原作ファンとしては、ロックスとは最高でも互角であってほしい……」

「…………………」

 

 天使は、原作ファンとして悩んでいる神に呆れた視線を送りながら、仕事に戻っていった。 

 




 おかしい、主人公の台詞が殆ど無い。主人公なのに。

 
 誤字報告であったんで、修得した六式の部分を書き直しました。

主人公が海に出た後。

  • 海賊
  • 海軍
  • 賞金稼ぎ
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