不老少女、海に出る。   作:千樹 星百

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 時間、めっちゃとばします。
 


第6話

 豊が転生してから、おおよそ百三十年が経った。

 

 〝異常な動物〟と同等以上の強さになってから、百年以上の月日が流れたわけである。

 さて、現在の豊は一体どれほどにまで成長しているのだろうか。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「グラァァァッ!!」

「グオォォォンッ!!」

 

 無人島のジャングルの奥地にて、二体の〝異常な動物〟、熊型と獅子型が、取っ組み合いの喧嘩をしていた。

 二体の側には、大きな鹿の死体もあるため、おそらくは餌の取り合いだろう。

 

 二体は、お互いに覇気を使って殴り合う。その衝撃波で周囲の木や地面は吹き飛び、二体の咆哮に普通の動物を怯えさせて、その二体から離れ、他の〝異常な動物〟も巻き込まれぬよう、その二体から離れる。

 二体の間に入るものは、誰もいなかった。

 

 一人を除いて。

 

「貴方たち」

 

「「ッ!?」」

 

 二体のところに現れた例外、豊は静かではあるが、何故か耳に入る声で二体に話し掛ける。

 

「───ちょっと五月蝿いわよ?」

 

 豊がそう言うと同時に、二体に強烈な殺気が降りかかる。

 二体は、獲物であった大きな鹿の死体を置いて、即座にその場から逃げ出した。

 何せ、この島、否、この島一帯の絶対強者(・・・・・・・・・・)からの警告である。逆らえば、待っているのは「死」のみである。

 

 豊は二体の〝異常な動物〟が逃げ出す様にフンッと鼻を鳴らし、二体が置いていった鹿の死体を「マジックポーチ」に回収し、その場から立ち去る。

 

 現在の豊は、〝異常な動物〟たちを軽い〝覇王色〟だけで撃退できるほどになっていた。

 

 〝異常な動物〟とタイマンで()り合えるようになってからも、更なる鍛練をしてきた豊。

 

 六式は、原作に登場したCP9のメンバーである、ジャブラが使っていた「鉄塊拳法」や、カクのような様々な〝嵐脚〟、クマドリのような「生命帰還」、フクロウの「獣厳(ジュゴン)」、ロブ・ルッチが使っていた「剃刀(カミソリ)」や「飛ぶ指銃〝(バチ)〟」、「六王銃(ロクオウガン)」などを修得していた。

 

 次いで、覇気。

 〝武装色〟は、内部破壊の段階を超え、現在では飛ぶ斬撃に纏わせることが可能になっている。

 勿論のこと、その練度も凄まじく、軽く纏った〝武装色〟であっても、百メートル級の海王類を一撃で殺し、本気で纏った〝武装色〟であれば、小さい島くらいなら、一撃で海に沈められるほどである。

 

 〝見聞色〟は、範囲が半径数百キロメートル以上に及び、島一帯どころか、島の遠海の気配も感じられるほどになっていた。

 更に、相手の思考を表層ではあるが、ある程度読めるようになっていた。

 それに加え、気配のカモフラージュも修得しており、〝異常な動物〟たちでさえ、豊から声を掛けねば、全く気付かないほどである。

 

 〝覇王色〟は、効果範囲が馬鹿みたいに広くなっており、且つ、纏わせることが可能になっていた。

 

 最早、天地を吹き飛ばす準備は既に出来ているようだ。まあ、おそらくはやらないだろうが。

 

 覇気の次は身体能力だ。

 こちらも六式や覇気同様に、かなり成長している。

 百と二十年前の時点で、動物系の悪魔の実の能力者と思われるような身体能力であったが、今では素の状態で「あれ、〝武装色〟でも纏ってるんですか?」みたいな感じになっている。〝見聞色〟を使っていれば、原作のレイリーと同様に光の速さに対応することも可能だ。それに加えて、回復力が異常な領域に達している。覚醒した動物系の悪魔の実の能力者でもないのに。

 更に今現在は、身体中の血管や内臓を〝武装色〟で強化した上で、「生命帰還」で身体中の毛細血管や心臓、肺を操作して、原作の主人公・ルフィの「ギア(セカンド)」と『鬼滅の刃』の「全集中の呼吸」を足して二で割ったようなものまで編み出しており、六式や覇気を使わなくても、物理無効な相手でなければ大体はどうにかなるようなことになっている。

 

 そして、武術関連。

 まずは剣術であるが、斬鉄(鉄は神に貰った)や飛ぶ斬撃を完全に修得し、〝柔〟の剣も修得していた。試しにと、〝武装色〟を纏わせ、「黒刀化」させた「ワイバーン」を縦に振り下ろして、島を横断する亀裂を作っていた。剣術の腕前は、原作の二年後のゾロにも確実に勝てるレベルであり、世界最強の剣士であるミホークにも劣らないのではないだろうか。

 次いで狙撃であるが、こちらは早撃ちを覚えた。しかも、普通の猛禽類や〝異常な動物〟たちだけではあるが、必中である。しかも、神へのお願いで、狙撃銃(神様パワーで絶対壊れない)を貰っており、これでなら数キロメートル先の目標にも届く上、日々の努力で三キロメートル内であれば、〝見聞色〟も併用してほぼ必中である。たまに海中の海王類を、〝武装色〟を纏わせた弾丸で狙撃して、ご飯にしている。

 更に、豊は神に「鎖は武器にだってなるんだよ!!」と言われて以降、鎖を使った戦闘を想定して修業したところ、現在では鎖を手首のスナップなどで自由自在に操れるようになっている。たまに度が過ぎた〝異常な動物〟のことを海楼石の鎖を操って捕縛していたりする。

  

 

「はあ、やっと来たのね」

 

 このように強くなった豊は、鹿を慣れた手つきで解体していると、この無人島の近くの海で、漂流していた船が無人島の砂浜に着いたことを〝見聞色〟で感知する。

 その船は、つい先日無人島を通り過ぎた嵐が不幸にも直撃して、そのまま流されていたのだ。

 豊はそれを、範囲の広すぎる〝見聞色〟で感知していた。

 豊は自分から泳いで接触するのも面倒臭かったので、向こうがこの無人島に着くのを待っていた。

 

 その船が漸く来たので、豊は〝剃刀〟で船が着いた砂浜まで移動する。

 

 その途中で見えた船の帆には髑髏が描いてあった。

 どうやら、この無人島に言われて漂流して来たのは、海賊船のようだ。

 

(この世界に来て初めて会う人間が海賊なんて、私運が悪いのかしら)

 

 豊は、そもそも運が良かったらこの世界に来てないか、と考えつつ、海賊たちに近づく。

 海賊たちの中に、指示を飛ばしている男がいたので、彼がこの船の船長だろうと当たりをつけて、豊はその男に話し掛ける。

 

「ねぇ、少し良いかしら?」

「ッ!?」

 

 すると、その男は地面を蹴って、豊から距離を取り、海賊たちは突然自分たちの前に現れた豊にざわめき出す。

 船長らしき男は、豊に忌々しそうな視線を向けながら、口を開く。

 

「誰だてめぇ」

「あら、人に名前を聞くときは自分からって、教わらなかったのかしら?」

「はっ、俺を知らねぇたあ、よっぽど世間知らずみてぇだな!!」

「へぇ、貴方ってそんなに有名なの?」

 

 豊がそう言うと、男の後ろにいる海賊たちが騒ぎ出す。

 

「おおよ、うちの船長はこれまでありとあらゆる首を狩ってきた男だ!!」

「その名も〝首狩り〟のルルーバ!!」

「懸賞金3億4000万ベリーの大物海賊だぜ!!」

「そして、俺たちはルルーバ海賊団!!」

「全員が賞金首の少数精鋭!!」

「「偉大なる航路」じゃ知らねえ者はいないぜぇ?」

 

 海賊たちは、豊を脅そうとでもしているのか、自分たちのことを、べらべらと話す。

 豊は海賊たちの自慢を一通り聞いて一言。 

 

「で、ルルーバさんとやらは何で私にそんな視線を向けるのかしら?」

 

 豊に忌々しそうな視線を向ける男、ルルーバは口をニヤリと歪め、

 

「俺はなぁ、自分の背後に立たれるのが嫌いなんだよッ!!」

 

 そう言い放つと、豊に急接近し、腰に下げていた剣を豊の首目掛けて振り抜く。

 そして、

 

 バキィッ

 

「グガッ!?」

 

 豊の裏拳がルルーバの頬に突き刺さり、ルルーバは手下たちの所まで大きく吹き飛ぶ。

 それを見た手下の海賊たちは、情けない声を上げて騒ぎ出す。

 豊はその光景に、失望の溜め息を吐く。

 

「あれだけ言っといて、その程度で実力なんて…………貴方たちって、本当に大物海賊なの?」

「な、てめぇっ!!」

 

 海賊たちは、船長を倒された上に、自分たちを馬鹿にされたことから、自分たちの武器を手に取り、豊に襲い掛かろうとするが、

 

 ドンッ

 

 豊から放たれる〝覇王色〟に戦意をあっさり喪失し、顔面蒼白になった。中には、白目を剥いて気絶している者もいる。

 

「手加減したのにこの有り様だなんて、修業が足りないんじゃないかしら?」

 

 豊はそう言って、ルルーバの腹を蹴って、気絶しているルルーバを無理矢理起こす。

 

「ぐっ、がはっ、てめぇ何しやが──ひっ」

 

 このまま騒がれても面倒だ、と思い、豊はルルーバに〝覇王色〟を気絶しない程度にぶつけながら、お願い(・・・)をした。

 

「ねえ、今ここで死ぬのと、私を人のいる近くの島まで運ぶの、どっちが良いかしら?」

 

 ルルーバは、その願いを了承した(その脅しに屈した)

 




 
 感想で「少女か?」というのがあったんですけど、作者にとって十九歳はギリギリ少女です。
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