かなり長いです。
「…サリア、奴がここに来る時間はおよそ4日後と考えられる。今私に提案できることは2つ。1つは君をその期間だけ遠征任務に配属する。そうすれば奴が君を見つけられる可能性は大いに減るだろう。2つ、君がここに残り、君自身が囮となり奴をこの場で無力化する。私的には前者を選んで欲しいんだけど…」
「3だ。」
「へっ?」
即答に素っ頓狂な声をあげるドクター、それもそうだろう、3と言う選択肢は彼の頭には甚だなかったからだ。
「ランナーが奴を倒す。」
「ん?え、ちょっと待って?ランナー?彼は今重症で…足だって切断されているはず…」
「もう訓練が出来るくらいには回復している。」
「えぇ…?」
ドクターは驚きを通り越したのか少し呆れたような声を上げる、そしてすぐに疑問の言葉を投げかけた。
「でも大丈夫なのかい?彼は1度やつに完敗している。その状態から勝利するには、かなりの改革が必要になるよ。」
「そこについては大丈夫だ。彼はアーツさえ鍛えれば…化けるぞ。」
「…ほう。勝算はあるみたいだね。」
「彼はもう2回目の昇進は済んでいるのだろう?」
「あぁ、だがしかし…その報告をするべきタイミングを間違えてしまったと…私自身心から反省している。」
「心配はいらないだろう、彼は強い。」
サリアはそう言い張ってドクターの執務室を後にした。
ドクターはすこし微笑んだ後、1人だけの執務室に独り言を残した。
「やはり彼はみんなからの信頼が厚いな…羨ましいことだ。」
_____________________
「よう、サリア。今日は何をするんだ?」
やあみんな、ランナーだ。今日は早朝からサリアに訓練室に呼ばれている。まあ大体やることは分かってるけど、聞いてやるのが勤めってもんだろ。
「今日はお前のアーツを鍛えるために、協力を要請した。アーツのプロフェッショナルがわざわざお前の為に時間を取ってくれたんだ。喜ばしい事だと思わないか?ランナー。」
そんなの…そんなの…!
「うっ…うっ…俺は感動したぜサリアぁ!俺のリベンジに協力してくれるだなんて…!」
「煩いぞランナー。それと…後ろを。」
「後ろ…?」
サリアが急に静かになって後ろを確認するように言った。一体後ろに何があるって…んだ…
「くっ…くく…!ランナー!どんな顔をしてるんだい!涙の跡が凄いよ!?あー!やっぱりランナーは面白いなぁ!」
「もっ…!もも、モスティマァ!?なんでいんだお前ぇッ!」
振り返ったらそこには青髪と堕天したサンクタ特有の輪が特徴的なめちゃやば神出鬼没トランスポーターの『モスティマ』が腹を抱えて床に転がっていた。こいつ…!人の感動をお笑いにしやがってぇ…!
「普通に入ってくるものかと思っていたよ。」
「うーん、それでも良かったんだけど…やっぱりさ?ランナーのリアクションを聞きたいじゃないか。」
「余計なお世話だよくそったれ。」
モスティマはひとしきり笑った後、真剣な顔で俺に言葉を投げかけた。
「それで、アーツを鍛えたいんだって?」
「…あぁ。確かお前はロドスの能力測定で『アーツ適正:卓越』だったよな。」
「だから呼んだんだが。」
「サリアもじゃん。」
「…」
痛いところを疲れたと言わんばかりに一瞬モスティマを睨むサリア。この2人、結構性格対偶関係だよな。
「モスティマ、アーツを鍛えるって…どんな感じだ?」
「んー…そうだね。そもそも、アーツってどんなものか分かってる?」
「…源石を媒介して具現化させるいわゆる…魔法?みたいなもんだよな?」
「あながち間違ってないね。」
「追記をすると、私や彼女などの非感染者は源石を使用したアーツユニットが必要だ。そして、お前やアーミヤのような感染者は自身から生成される源石を媒介としてアーツを使用することが出来る。」
「おっ、よく分かってるねサリア。…それでね、基本的にアーツ適正って言うものは感染、非感染に関わらず全員が持つものなんだ。その中でアーツを行使できるか否か。その性質…強度…効果…そこら辺はアーツの使用者の先天的な素質と、その学習能力によって変わっていくんだ。」
「先天的な素質…ねぇ。」
「君の場合は学習を増やすべきじゃないかな。」
「辛辣ッ!」
アーツについてなんかそんな詳しく分かってないことをどう学習すればいいんだか。あそうだ。
「じゃあさ、実際に見せてくれよ。お前がアーツ使うって言ってアーツを使ったこと…が…」
何かわからないけど急に体が思うように動かなくなる。…なんかモスティマとサリアめちゃくちゃ早口になってね?
「ね?面白いでしょ、サリア。」
「…まさかここまでの効果があるとは。時間認知鈍化、恐ろしいものだ。」
「ふふん、慌ててる所とかがゆっっくりと理解出来る所を見るのって面白いと思わない?」
「理解しかねるな。」
くっそ!モスティマに遊ばれまくるのはごめんだ!…ここでアーツを使って無理やり前に進めば、1回くらいはしばけるんじゃないか!?
俺はゆっくりとした時間の中で力いっぱい地面を蹴り、衝撃を溜める。ゆっくりとした時間の中だと自分の中を駆け巡る衝撃の動きがよく分かる。よし、一気に衝撃を解放するッッ!
「もーどーせーモースーテーィマァァァァ!?!?」
「おぉ…酷いな。」
「あっははは!やっぱりランナーは面白いなぁ!」
なっ…何が起こったか説明するぜ!時間の流れがゆっくりの中で、俺はモスティマに一矢報いようと衝撃を解放して前に進んだはずだった!しかし、急に俺の意思関係なく急加速して、訓練室の壁に思いっきり顔面から衝突した。何とかぶつかった時の衝撃を体全体に受け流して被害を最小限にすることが成功した。めちゃんこ痛いけど。
…あれ、これ結局俺遊ばれてるままじゃん。
「あー…大丈夫か?ランナー。」
「…っかいだ。」
「うん?」
「もっかいだモスティマァ!俺はお前に一矢報いる!」
「んふふ、いいよ。受けて立とうじゃないか。」
「ね?言ったでしょサリア。ランナーの闘争心を後押ししてあげるのが1番楽だって。」
「…そのようだな、君に頼んでよかったよ。」
2人が何か話してるみたいだったが、俺には関係ねぇ!絶対1回はシバいてやるからなぁモスティマァァァ!!
_____________________
「うっ…まだだぁっ!!」
「まだやるの!?」
「ああ!まだお前をしば「時間切れだ。」ゔっ…!?」
あっ…意識…がぁ。
「悪い、ここまで長くなるとは思っていなかった。」
「いやいや!私もランナーの根性を舐めていたよ。」
「…それで、ランナーの成長はどうだ?」
「そうだねぇ、鈍くなった時間での衝撃移動の使い方。急加速して衝突する時の受け流す衝撃の向き…かなり上達したと思うよ?急加速して衝突した時の衝撃をそのまま利用して、私の方に飛んでくるところが1番ヒヤッとしたかなぁ。」
「…モスティマ。」
「ん?」
「感謝する。」
サリアの言葉にモスティマはすこし照れているのか、俯いて話した。
「いいのいいの、私の力が君たちの役に立つなら、私は本望さ。」
そう言い放ったモスティマの表情は、今日1番の偽りなしの笑顔だった。
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「う…ん………はっ!モスティマ!」
「もう居ないぞ。」
「サリア!?…あれ、ここ仮眠室?」
「あぁ、昨日お前の諦めが悪いせいでとてつもない時間を浪費していたからな。彼女は明日仕事があるからな。私がお前を無理やり気絶させて止めた。」
「あぁ…なるほど…悪かった。時間を忘れてたよ。」
「仕方がないことだ。鈍化したり急加速する時間の中で時勘を感じることなんてほぼ不可能だろう。」
「…そうか、んじゃ!また決着付けねえとな!」
「…良い志だ。だがしかし、今日も協力を仰いでいる。朝食を食べた後訓練室に行くぞ。」
「おう!」
さあ今日も訓練か…ロドスに入隊したばかりの事を思い出すなぁ。…ん?1日経過してる?
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「おうサリア、時間通り来たぜ。」
なんと腹が減っている俺を見かねて食堂のおばちゃんが飯代をツケにしてくれた。おばちゃん…ありがとう…!
「あぁ、今回の協力者はもう到着している。いくぞ。」
「さあ今日は誰かなぁ!」
いつものように勢いよくドアを蹴破って中に入…る?
「あれ、俺の目がおかしくなったかな。」
「なってなんか居ない。」
おかしいな…俺が蹴り飛ばしたはずのドアが宙に浮いているぞ…???
「あなた…危ないじゃないですかっ!!」
「へっ?うげぁあぁぁっ!!?」
怒声と同時にドアが突っ込んできた!?つーかこの声は…!
「今日の協力者は、彼女。アイリーニだ。」
「あーいってて…知ってる…」
「ドアが顔に直撃してもすぐに動けるだなんて…やっぱりあなた恐魚なんじゃないですか?」
「んなわけ。」
今日の協力者は先程サリアも言っていたように、白髪の黒くピンと張った羽毛が特徴でいつもランタンを手放さないリーベリ、『アイリーニ』だ。サルヴィエントで初めて会った時とだいぶ印象が変わってた。
「なあサリア、こいつから教わることっていうのはアレしかないよな?」
「ああ、想像の通り浮遊について試してみたいと思っている。」
「できる確証は?」
「お前次第だ。」
「Sir…」
「任せてください!私が手取り足取り体取り教えて差し上げます!!」
「浮かせて体ごと取ろうとするなよ…」
アイリーニの奴はいつもの作戦で『浮遊』という特殊なアーツを用いて戦うすげー奴だ。…浮遊、俺もできるのかな?
「さあ早速始めましょう、…と言っても、あなたがもし浮遊することが出来ても、それは私のとは違う物だという事を認識しておいて下さい。」
「おっけーおっけー。んじゃ、どんなものか今1度見せてくれ。」
「分かりました、まずは私自身が浮遊しますね。」
そう言ってアイリーニはさっと俺の肩あたりの高さまで浮かんでいた。下着?見る見ない以前にそもそも見えません。
「はぁ〜…慣れてるもんだなやっぱり。」
「当たり前でしょう?ではランナーさん、よろしくお願いします。」
「えっ、何が「きゃあっ!?」。」
えっ…目の前でアイリーニが落ちた!?アーツを誤ったんかワレ!?
「いったた……ランナーさん!なぜ受け止めてくれなかったんですか!!」
「えぇ…?自分で降りられるはずなのになんで俺が………あ、なるほど?アイリーニは俺に受け止められたかったとw?んw?」
「そっ!そんなわけでは!」
「またまた!そんな顔赤らめちゃ説得力がないぜ〜?」
すぐ表情と口調に焦りが出てくる。ここが可愛いんだよなアイリーニは。
「ッ…!!判決!!」
「ちょっま!うげぇぇぇぇ!?!?」
突如として宙に打ち上げられた俺を襲ったのは、いつものハンドキャノンではなく、拳の嵐だった。
君いつからインドラになったの…?
「調子に乗るからです。」
「おっ…お前ぇ…」
「…はぁ。」
怒るアイリーニ、ため息をついて呆れるサリア、サンドバッグにされた俺。なんだここ、地獄か?
というかおかしい、いつもなら4秒程しか浮遊していないのに俺の場合はとっくに10秒を超えている。というか身体が動く気配すらない。
「なあアイリーニ…さん。いつになったら下ろしてくれるんでしょうか。」
「…ふん!自力で抜け出してください。」
「いや…地に足着いてないし、壁も遠いし衝撃蓄えれないから無理。」
「すまないアイリーニ、悪いのはランナーだと私も理解している。だがしかし訓練にならないんだ。許してやってはくれないか?」
「…仕方がないですね。」
「あぎゃっ!」
アイリーニが手を上げると俺にかかった強烈な浮遊感が消え失せ、俺は頭から地面に激突した。
「ランナー、あの時ドクターなら受け止めていたぞ。もう少し立ち振る舞いをドクターから学んだらどうだ?」
「うっ…ドクターを引き合いに出されたら勝ち目ねえよ。優しすぎるよ、ドクターは。」
でも噂によると、むかしむかしの記憶を失う前のドクターは殺伐とした性格だって聞いた。…全く想像がつかねえや。
「ではランナー。先程の感覚を思い出して浮いてみろ。」
「んな急に言われてもできるかわかんねぇぜ?まあやってみるか!」
まず地面を思いっきり蹴って衝撃を溜める、最高高度に到達して落ち始めた所に俺の体に鉛直上向きの力をぉぉぉぉ!?!?
「らっ…!ランナーさん!?」
「はぁ…」
あぁ…頭いってえ、割れたかと思った。ひとまず俺は天井に刺さった頭を抜き、訓練室に降りた。
「骨は異常ないぞ、続けろ。」
「おぉう辛辣…」
「いいですかランナーさん、その場を保ち続けたいなら重力やあなたの体重、重力加速度なんかを考慮しないと…」
「よっしゃもう1回!」
「話を聞いてください!!」
_____________________
「何時間経ちました?」
「…そうだな、5時間は経ったと。」
「彼、休み無しですね。」
「心配か?」
「いえ、そんなことはありません。まあもし彼が心配して欲しいってのなら心配してあげてもい「おい!おいおいおい!!サリア!アイリーニ!!」」
「なんですかうるさ…ってえええ!?!?」
「…おお。」
よし!よしよしよし…よしっ!やっとこさ成功したぞ!アイリーニに言われた重力と俺の体重、重力何とかを意識して体に加える衝撃の向きを調節してみた。するとビンゴ!安定こそしないが宙に浮くことに成功した。簡単な話、体に上向きの力と下向きの力を同時にかけていることになるのでめっちゃ痛い。25秒が限界かな。
「凄いじゃないですかランナーさん!」
「おう!でもアイリーニ、お前のおかげだ!ありがとう!今日は奢るぜ!」
「あら…!じゃあお言葉に甘えて。」
「それじゃあなサリア!お前にも感謝を言うよ、ありがとう!」
「…あぁ、また明日もこの場所で。」
サリアの許可も出た事だし、アイリーニ連れて食堂にGO!!ああ、今日は気分がいい!
「…やはり、彼にはドクターやあのカランド貿易のトップとはまた違うが…どことないカリスマ性があるな。」
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やあみんな、ランナーだ。一昨日、昨日と続き、また訓練の時がきた。
サリアはいつものように訓練室の前にスタンバっている。
「ようサリア!今日も誰か来てんのか?」
「…あぁ、もう来てくれているぞ。」
「おおまじか!今日は誰かな…あ…?」
昨日と同じくドアを蹴って開ける、昨日とは違いドア自体は吹っ飛ばなかったが、逆に飛ばなかったおかげで今日スタンバっている人の姿をまじまじと見ることができた。
「…君はドアもまともに開けることが出来ないのか?それに昨日も、一昨日でさえもこのような行動をとったと聞いている。このような行動をとると舟が傷むのも周知の事実だろう、修理費用も馬鹿にならない。本当なら君の給料全てを修理費用に当てる所だが、エンジニア部の口添えによって75%に抑えられていると言うことを君は──」
「あっ…あっあぁ…ぁぁ」
絶望、その顔を見た瞬間にその二文字が浮かんだ。
鬼?サルカズ?いえいえ、もっと恐ろしいものですよ。『ケルシー』ロドスの最高責任者の1人であり、冷静であり怒るとえげつない圧を向けてくる緑髪のフェリーン。脊椎に謎の源石ペットMon3terを潜ませており、知略、武力と共にトップクラスなお人、ついでに話の長さもトップクラス。
俺はこの人のおかげでノータイム土下座を開発したんだよ。
「ケルシー医師、ランナーに説教をするお気持ち、よくわかりますが、今現在ランナーの成長を急がなくてはならない時なのです。」
「あぁ、理解している。小言を言うくらいの時間は確保済みだ。続きはまた今度としよう。」
「oh...」
来る日までに俺の墓を立てておこう、うん。絶対。
「…あらゆる装甲や耐性を無視し、相手にダメージを与えることのできる技術、または特性。その名は確定的損傷技。巷では確定ダメージと呼ばれている。」
「はい、聞いた事はあります。」
「サリアから聞いたぞ、君にもすこし確定ダメージの兆しが見えたと。」
「言われました。」
「…なら、実践演習を始める。君がどこまで成長したのか、実際に観察させてもらうとしよう。」
「…マジですか。」
「Mon3ter。」
さあ始まってしまいました、無理ゲーのお時間です。
ケルシー先生の背中からバキバキと音を立てながら黒い表皮が出てきてます。確定ダメージの話をされるってことは多分『メルトダウン』使ってくるってことだよな……どうしよ。
「…ランナー。俯くな、前を向け。」
「サリア、さすがにこれはレベルが違いすぎて…」
「いいか、ランナー。」
サリアの橙色の目が近くなる、目力が強くてすこし圧がある。
「相手はケルシー医師。正直お前が戦っても勝てる相手ではないだろう。」
「…そりゃな。」
「お前、まさか最初から無理だとか考えてないよな。」
「ゔっ。」
「図星か…」
「だってよサリア、さすがにこれはお前でッ!?」
突然サリアが俺の胸ぐらを掴み、引き寄せる。表情からすこし怒気が伺える。
「お前…なんのために訓練してきた?」
「奴に…勝つため。」
「勝つのだろう?…奴は強いぞ、多分お前の思っている数十倍は。」
「数十…」
「確かにお前はこの数日の訓練でフィジカル、アーツ共に多大なレベルアップを遂げた。だがな、その力を十分に引き出すためにはお前自身の精神力が強くなければならない。」
「…精神力。」
「今お前はケルシー医師相手に無理だと言ったな、お前はその時点で既に勝利を諦めている。…諦めると言うことは、お前に協力してくれた全ての人たちの思いを無駄にすると言うことだ!…覚えておけ。」
「無駄に…する。」
そうだ、そうじゃないか。わざわざ時間をとって訓練に付き合ってくれたモスティマとアイリーニ、そして今からケルシー先生。決死の思いで敵陣地から俺と俺の足を運び出してくれたリスカムとフランカ。俺の足を繋げてくれた医療部の人達。俺の心配をしてそばに居てくれたドクター。俺の所持金の心配をして飯代をつけにしてくれた食堂のおばちゃん。壊れたドアの修理をしてくれたエンジニア部。そして、俺の訓練にずっと付き合ってくれたサリア。
「もう…あの時のように後悔はしたくない。」
決心が着いた。
「ありがとうサリア。吹っ切れたよ、もう無理なんて言わないさ。」
「…そうか、なら心のままに戦ってくるといい。」
「…話は済んだか?」
「…あぁ、ケルシー先生。Mon3terも一緒に、全力で頼みますぜ!」
「Mon3ter、彼の足には気をつけろ。」
(咆哮)
「うおっ!?早速来たか!」
Mon3terで気をつけるべきは2つ、爪と尻尾。どっちも鋭いしものすごいスピードで振ってくる。本体の強度もスピードもある。これがつよつよ生物か…。
真ん前から突っ込んでくるMon3terを飛び越え、爪の付け根に回転蹴りを食らわせる。
(咆哮)
「いやぁ食らってねえなあ!」
「Mon3ter、指令:戦術連携。」
ケルシー先生は懐から取り出した白い液体が入った注射器を首に注射する。痛そう。それと同時にMon3terから白い煙のようなものが漂い始める。
(ご機嫌な咆哮)
「戦術連携は…2つの爪での挟撃ッ!ならその衝撃、利用させてもらいますぜ!」
Mon3terの2つの爪での攻撃をわざと受け、それを衝撃に変えて受け流す。
モスティマとの訓練で瞬間的な衝撃移動を扱えるようになった。だから、Mon3terの速度でも衝撃吸収ができる!
「見せてやりますぜケルシー先生…!オラァァッ!!」
「…ッ。Mon3ter、指令:構造強化。」
(甲高い声)
Mon3terの表皮がパキパキと音を立てながら更に強靭に変化していく。だけどなぁ…
「そんなもの関係ねぇな!オラァッ!!」
ダンッ!!ガガガガガガッッ!!
(悲鳴)
「いくら装甲を強化したって…確定ダメージの前じゃ意味ないってなぁ!!」
「…Mon3ter、指令:戦術連携。」
(雄叫び)
「おぉ…さすがケルシー先生、動揺1つねぇ。」
2回目の戦術連携、また飛び越えて…いや、今度は尻尾がスタンバってやがるな…といって、ジャンプだけの停滞時間じゃ切り裂かれて終わる…となれば。
(驚き)
成功だ、浮遊することができた!Mon3terは驚きの声を上げているが、ケルシー先生は眉ひとつ動かさない。…強敵だ。
「Mon3ter、彼との距離を詰めろ。そして足を締め上げろ。」
(咆哮)
「うえっ!?」
Mon3terが突っ込んでくる、早すぎてジャンプが間に合わなッ…!
ドゴンッッッ!!
「ウゲえッ!!!」
いっっってえ…!血吐いたなこれぇ…!でもダウンしたら締め上げられてそのままゲームセット、それは嫌だッ!
「うおりゃぁぁッ!!」
(驚きの咆哮)
追突の衝撃を利用して天井に足を突き刺す。力ずくで引っこ抜いてMon3terの頭目掛けて…!
「オラァァァァッ!!」
(甲高い悲鳴)
よし、奴の小さな頭の中で衝撃が跳ね返り続けているはず…1度降りて爪の付け根を…!
「Mon3ter、指令…メルトダウン。」
(甲高い雄叫び)
「なあっ!?」
ザシュッッ!!
「ぐぅッッ…!!???」
ケルシー先生が注射した赤い液体に呼応するように赤い煙を上げるMon3ter、さっき与えたダメージなんて気にしないかのような力強い振りの爪は、俺の右肩に突き刺さった。突き刺されたのは肩だけなのに、まるで全身を突き刺されたような痛みが走る。これがケルシー先生の確定ダメージか…!
(雄叫び)
Mon3terが2撃目を繰り出そうと4つの爪を大きく開いた姿勢をとる。反撃のチャンスは…ここしかねぇ!
「さぁ来いッッ!
(咆哮)
胴体に鋭い爪がほぼ同時に突き刺さり、この世のものじゃないような痛みが瞬間的に走る、この痛みの衝撃を全て右足に集結させ、爪の刺さった方向と逆向きに動き、皮膚ごと爪を引き剥がす。メルトダウンは攻撃の隙間硬直する。ここに全ての確定ダメージを…!!
「喰らえやァァァァッッッ!!」
ダンッ!!ガガガガガガッッ!!
今までで1番手応えのある攻撃だった。これで倒れてくれないと意味が…な…い……。
「ゔっ…」
(弱々しい咆哮)
最後に緑の霧となって霧散したMon3terの姿を見て、俺の意識は途切れた。
「ランナー!?」
「…流石だな。まさかMon3terを
「ケルシー医師、ランナーを医務室まで運びましょう。」
「問題ない、医務室は手配済みだ。」
「…それなら良かった。」
「サリア。」
「なんでしょう。」
「彼は…大分強くなった。だがそれは、君の最初の激励がないとなし得ないものだった。」
「…そうですか。役に立ったなら幸いです。」
「彼の努力は、実を結ぶぞ。」
「…理解しております。」
堅苦しい内容の会話だったが、サリアは確実に微笑んでいた。
書いてて思いました。あれこれ…ケルシー先生ラスボスみたいになってね!?!?
『読みにくい』や『誤字脱字』などありましたらどんどんご指摘ください。
感想などくれると筆者が喜びます。
それでは、次回もお楽しみに。